納豆の賞味期限についてご紹介!
食品衛生法で、容器包装された食品には「消費期限」または「賞味期限」を表示することが義務づけられています。納豆の容器には賞味期限が印字されています。では消費期限と賞味期限はどう違うのでしょう。
消費期限はいつまでに食べて下さいという日付表示です。一方、賞味期限はいつまでが美味しく食べれる期間なのかを表示したものです。
消費期限は、期限切れを食べると体に害を及ぼす可能性があることの注意喚起と安全を保証する期限です。
それに比べ納豆などの賞味期限は、期限切れを食べても、美味しさは保証されないけど食べてはいけないという訳ではありません。いつまで食べられるかの判断は消費者に委ねられているのです。
賞味期限に関する豆知識を知っておこう
一般的に弁当や生鮮食品のように、保存が効かない食品には消費期限が、納豆のようにある程度保存が効く食品には賞味期限が使われます。賞味期限は、美味しく食べれる期限をメーカーが保証しているものです。
しかし保存状態によって食品は変化します。そのため容器には必ず保存方法が明記されています。例えば冷暗所で保存、要冷蔵10℃以下で、要冷凍ー18℃以下などです。つまり、たとえ賞味期限内と言っても保存方法を間違えれば、美味しく食べられる保証が無くなるということです。
納豆の賞味期限とは
納豆は発酵食品です。発酵食品とは微生物の発酵作用により原材料を加工した食品で賞味期限が長いものが多いです。納豆の場合は大豆を納豆菌で発酵させた食品で、醤油や味噌と同じ大豆発酵食品の仲間です。
また納豆にもひきわり納豆や塩納豆、つと納豆など種類も色々あり、容器もプラスチック、藁(わら)、経木(きょうぎ)と様々です。納豆の賞味期限も種類、製法の違い、容器の違い、保存方法により変ってきます。そんな賞味期限の違いをこれから紹介します。
納豆を美味しく食べれる期間
納豆を美味しく食べれる期間は、製造日から1週間〜10日以内が好ましいと言われています。しかしそれはあくまで目安で、季節や納豆を製造するメーカーによっても、保存する冷蔵庫の温度設定や開け閉めの回数、納豆の種類、味覚の個人差によっても変ります。
納豆の発酵は温度が高ければ早く進み、再発酵を起こしアンモニアが生成されて旨味が落ちます。つまり納豆の保存温度が美味しく食べれる期間を左右します。温度管理により美味しく食べれる期間が伸びたり縮んだりするのです。
多少過ぎても問題は無い
納豆の賞味期限を消費期限と勘違いし、期限切れになったら食べられないと思い捨ててしまう人がいます。これは勿体ない話で、賞味期限は美味しく食べられる目安の期間で、期限切れ1週間たった納豆でも表面が多少固くなる程度で、食べても身体に支障はありません。
ただし、常温の温かい場所に放置したものや、冷蔵庫でも期限切れ1ヶ月以上経った納豆は、アンモニア臭がでたり、カビが生えたりして食べられません。冷蔵庫できちんと保存した納豆なら賞味期限が多少切れても意外に美味しく食べられるものです。
納豆の商品によって賞味期限は変わる
納豆の賞味期限は商品によって変ります。商品の種類が一番多い発泡スチロール容器入の賞味期限は1週間〜10日です。水戸納豆のようにワラの苞(つと)に入った商品もおおよそ8〜10日です。少しかわった耳慣れない商品に経木(きょうぎ)納豆があります。薄い木の皮状の板に包んで発酵させた納豆で賞味期限は10〜14日と言われています。
経木納豆の賞味期限が長いのは、松やヒノキなどの天然木の抗菌作用と保湿性、通気性のお陰で、味にも芳ばしい木の香りが加わり深みを増します。
ひとむかし前の納豆の製法は経木が主流で、食べる際の利便性では発泡スチロール容器にかないませんが、味と旨味では断然上を行きます。食べ方もまずは薬味など入れずに醤油だけで、芳ばしい木の香りを楽しんでみて下さい、一度食べてみればその旨味、違いが分かるはずです。
保存方法も大きく影響するので注意
納豆の旨味を損ねるのは、その再発酵が原因です。再発酵は温度が低ければ低いほど進行が遅くなります。つまり保存方法で美味しく食べれる賞味期限が大きく影響を受けるのです。
安売りやセールで納豆を大量に買い込んでしまった時には、冷凍保存も良い方法のひとつです。冷凍すると納豆菌は休眠状態になり、再発酵を防ぐことで賞味期限が伸びます。食べる時は1日前に冷蔵庫で解凍することをおすすめします。
納豆の賞味期限切れはいつまで安全?
賞味期限切れの納豆を、いつまでに食べなければいけないという決まりはありません。自己責任とは言うけれど、自分だけならいざ知らず家族に食べさせても良いのか心配になるのは当然です。納豆の賞味期限が切れた後いつまでなら安全なのでしょう。期限切れから1週間?1ヶ月後に納豆はどんな状態になるのでしょう。
賞味期限切れから1週間
冷蔵保存されていた納豆なら、期限切れ1週間では健康面の安全には全く問題ありません。ただ期限切れ1週間を不安に思う気持ちが味覚に作用する場合があるのも事実です。期限切れ1週間を知らないで食べた人は、意外と美味しく感じられます。
つまり期限切れ1週間程度の場合、安全面では問題ないけれども心理面や思い込みによって味の旨味に個人差が出るのです。
見た目や味に変化無し
納豆の賞味期限切れ1週間〜10日後に食べた人の感想によると、ほとんどの人が見た目も味の変化もなく、食べ方も普通に食べられたと答えています。納豆菌は非常に強い菌で、腐敗菌や他の雑菌の侵入や増殖をおさえてしまいます。
そのため1週間〜10日程度では変化が出にくいのです。もちろん冷蔵保存されていた場合です。むしろ納豆の場合は保存温度が高いとき納豆菌自体の再発酵が味に変化をもたらすので、温度管理が大切になります。
賞味期限切れから1ヶ月
賞味期限切れから1週間ではほとんど変化がなかったけれど、1ヶ月経つと納豆はどんな状態になるのでしょう。
賞味期限切れ1ヶ月後に納豆を食べた人の話によると、白い斑点のようなものがあったり、糸を引かなくパラパラしてたけど健康被害はないようです。安全面ではクリアでも味や食感には変化が出るということです。
パラパラしている納豆のほうが好きという人もいるので、味覚に関する個人差はさておき、期限切れ1ヶ月程度ではまだ食べることが可能ということですが、あくまで健康な状態にある成人のデータです。
体調不良や、小児、高齢者など抵抗力の弱っている時には同じことが言えませんので注意して下さい。また炒飯に入れて炒めるとか食べ方を工夫すると良いでしょう。
白い菌やアメーバ状の液体も
賞味期限が切れて日数が経つと、納豆の表面に白い斑点状のつぶつぶが出来ることがあります。これは納豆菌の発酵が進んだ時に大豆タンパクが結晶化したチロシンという物質です。
アミノ酸の結晶なので毒性はなく、むしろ身体に良い成分なんだけど、食べた時にジャリジャリとして食感は悪いです。みそ汁に入れるなど調理、食べ方を工夫して見てください。
つぎにアメーバ状の液体の正体ですが、納豆菌が発酵するときの熱が水分を結露させた汗のようなものと考えられます。
要するに期限切れ1ヶ月になると、健康被害はなさそうですが、納豆の美味しさや味に変化が現れるということです。安全面を考えるなら火を入れるなど調理、食べ方に工夫が必要です。
納豆が完全に食べられない見極め方
納豆は賞味期限切れのあと、いつまでに食べなければならないのでしょう。完全にアウトで食べてはいけない、食べられない状態とは一体どんな状態でしょう。
まさか食べてみるわけにはいかないので、判断するには、臭いを嗅ぐ、見た目の変化で判断する、固さ柔らかさの変化で判断するなど色々な方法があります。納豆の食べられない状態の見極め方をこれから紹介します。
腐ってしまった納豆は絶対に食べない
食べものが腐ると、臭いや見た目に変化が起こります。納豆の場合には冷蔵保存で1ヶ月以上経過すると変化が見られます。
うっかり冷蔵庫に入れ忘れて常温に置いた時など、賞味期限内なんだけど食べられるかどうか心配になります。そんな時にも見極める方法があれば助かります。
腐るとは腐敗菌が増殖して酸味やアンモニアを発生します。腐敗菌そのものに身体に害を与える菌は少ないのですが、腐敗菌が増えるということは同時にほかの菌、食中毒菌も増えている可能性があるのです。ですから腐ってしまった納豆は絶対に食べてはいけないのです。
①アンモニア臭がする
納豆は過発酵するとアンモニアを発生します。多少のアンモニア臭ならば、旨味の低下はあっても身体に害を及ぼすほどではありません。しかし容器のふたを開けたとたんに、ツーンと鼻にくるアンモニアの強い刺激臭がしたら要注意です。
腐敗している可能性が高いので食べるのは控えましょう。煮たり揚げたりして火を通せば菌は死にますが、中途半端な火入れはかえって危険が増すので止めましょう。
②水っぽくなっている
納豆が水っぽくなりドロドロの状態になった時は、腐敗が進んでいる証拠です。良く冷蔵庫の中で食べ忘れの野菜などが、ドロドロになって手でさわるとフニャッと潰れる状態と同じです。
微生物(菌)が増殖する為には栄養成分が必要です。その栄養を完全に分解し終えた後には液体になります。納豆が水っぽくなっているのは、腐敗菌などが大豆タンパクやアミノ酸を分解し尽くして、水になる現象が始まっていると考えられます。絶対に食べるのは止めましょう。
③糸を引かずバラバラ
納豆が糸を引かずバラバラになっている状態だけでは、腐敗していると判断するのは難しいでしょう。腐る一歩手前の状態とも言えます。見極めるには、賞味期限切れから1ヶ月以上経過しているかどうかが判断の分かれ目になります。
期限切れから1ヶ月以上の場合は、たとえ腐敗していなくても食中毒菌のような身体に害を及ぼす菌が増えている可能性があります。もちろん納豆本来の旨味はとうてい期待できません。食べるのは止めましょう。
④カビが生えている
納豆にカビが生えていたら、まず食べる人はいないでしょう。カビの中には身体に有益なものもありますが、まずカビ臭くて食べられる代物ではありません。またカビが生えるということは、腐敗と同様に他の雑菌や食中毒菌が増えている可能性があるので、絶対に食べないで下さい。
食品の菌に関する知識を知っておこう!
食品の加工は、意外に思われるかも知れませんが化学の力、バイオテクノロジーなのです。昔の人が経験や知恵で行っていた、酒造り、味噌造り、漬け物などもすべて化学、微生物(菌)の力で裏付けられます。納豆も同じです。
ただ微妙な味覚や匠がつくり出す独特な旨味だけは、化学では解明できない部分があります。そこだけは職人の技と勘と経験に頼るしかありません。職人技は別として、簡単な菌の知識を持っていると、食品の美味しさを長持ちさせる方法や、腐らせない方法が分かり、これは納豆にも応用できます。
発酵と腐敗の違い
発酵も腐敗もどちらも、食品の栄養成分を微生物・菌の働きによって分解する現象です。両者の違いは、簡単に言うと発酵は人体に有益な食品を生み、腐敗は人体に有害なものを作ることです。
発酵は納豆菌や麹菌などの微生物の作用で、食品成分を分解し納豆や味噌、醤油、日本酒、アルコール類などの加工食品をつくり出します。一方腐敗は雑菌の作用で食品成分を分解し、異臭やネト、アンモニアを生成して食品本来の味を壊し食べられなくする現象です。
特にタンパク質を分解する時にアンモニアを発生するので、魚や納豆が腐った時の嫌な臭いはアンモニア臭です。雑菌には沢山の種類があり、総称して腐敗菌とか一般生菌と呼ばれることもあります。
最も怖いのは食中毒菌
食品の微生物のなかで最も怖いのが食中毒菌です。O-157、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ菌、などでこれらの菌は、ある一定以上に増殖すると人体に多大なダメージを与え死にいたる場合もある恐ろしい菌です。
雑菌は人体に危害を加えるものは少ないのですが、腐敗した食品には食中毒菌が混入し、増殖してしている可能性があるので食べてはいけないのです。微生物は目に見えません、つまり腐敗は食中毒菌が混入していた場合、人体に悪影響がでるレベルまで増殖しているかどうかのバロメーターでもあるのです。
菌の増える条件と抑える方法
食品の美味しさ長持ちさせるには、雑菌などが増えるのを抑えれば良いのです。菌が増える条件には3つあります。酸素があること、適度な温度があること、水と栄養があることです。
真空パックは空気を遮断し菌の増殖に必要な酸素を与えないから常温でも賞味期限を長くで来ます。増殖速度は温度が低ければ低いほど遅くなります。冷凍食品は冷凍保存ですからかなり温度が低く増殖速度は極端に遅くなり、賞味期限を1ヶ月〜数ヶ月に出来るのです。
乾燥椎茸のような乾物は増殖に必要な水を菌に与えない保存方法です。つまり賞味期限の長い食品とは、菌が増殖する条件を取り除き、増えるのを抑えた食品なのです。
菌は分裂で増えて行きます。その分裂速度が最も速いのは35℃前後で12分で1回分裂します。冷蔵や冷凍の温度帯になると1回の分裂速度が数時間から数日間と極端に遅くなります。夏場に食品が傷みやすいのは、気温が分裂速度の一番危険な温度帯に近いからです。
菌を殺す方法は1つしかない
悪い菌を完全に殺してしまうには1つしか方法がありません。それは火にかけて熱で殺すのです。恐ろしい食中毒菌でも75℃〜85℃の温度で数分間熱を加えれば死滅します。
75℃〜85℃は意外に低いと感じる方もいると思いますが、この温度は食品の中心の温度です。食材にもよりますが100℃の熱でも中心の温度を75℃〜85℃に上げるにはかなり時間がかかります。しっかりと火を入れましょう。
アルコールスプレーなどでは完全な殺菌は出来ません。昔は殺菌スプレーなどと呼んでたのですが、完全な殺菌が出来ないことから現在では除菌スプレーと名称が変わりました。
ここで注意ですが、せっかく熱で殺菌してもいつまでも放置しないことです。すぐ食べる時は別として保存するなら、小分けするなどして速く冷まし冷蔵庫にしまうこと、とにかく危険な35℃前後の温度帯を通過させてしまうことです。
納豆の美味しいおすすめの食べ方
納豆は庶民の味方で優れた栄養食品。手間いらずで高タンパク、低カロリーの健康食品、しかも賞味期限も長く保存も楽、いつまでも飽きない味の食品です。大好きな方もいれば、身体に良いことは分かっているけど臭いや食感が苦手、そんな方にも一寸した工夫で美味しく食べれるメニューやレシピ、食べ方を紹介します。
①生山椒の葉を一緒に混ぜる
新緑の季節になると山椒の木に新芽がでます。これを「木の芽」と言い、とても良い香りがする日本の香草です。これを納豆にのせると定番の刻みネギや芥子と違った、ひと味違う風味が生まれます。葉が少し大きくなると固くなるので刻んで混ぜると良いでしょう。
この季節にはスパーにも並びます。露地(ろじ)ものと栽培ものがありますが、栽培ものは高いのでリーズナブルな露地物をおすすめします。食べ方は白いご飯にのせてもよし、お酒のつまみにもなるので、ぜひ試してみましょう。
ピリッとした山椒がアクセントに!
山椒の葉には少し辛みがあります。このピリッとした山椒がアクセントになり、さらに食欲を増進させます。山椒の葉「木の芽」は日本料理ではよく使われる食材で、特に筍と相性が良く、筍の煮煮やあえ物に使われますが、納豆にあえるのも新鮮な感じで面白いです。食べ方も色々工夫して見てください。
②半熟卵・マヨネーズ・ブラックペッパー
納豆にマヨネーズを混ぜ、半熟卵をその上にのせてブラックペッパーをかければ、ちょっとした大人の味に変身です。少し洋風の味付けなので、納豆が苦手な人にも美味しく食べられるレシピです。食べ方は様々、ごはんのお供にもなるし、おつまみにもなります。ひょっとするとワインに合うかも知れません。色々食べ方を試してみて下さい。
朝ごはんにぴったり!
朝ごはんのの3種の神器は、目玉焼きに納豆と味噌汁と言われますが、パン食の方も増えています。このレシピの納豆は白いご飯にも、パンにのせても美味しい、朝ごはんにピッタリのメニューです。もちろん朝ごはんだけでなく、夕食の一時にお酒やワインのおつまみにしても良いのです。食べ方は自由、あなた任せの納豆メニューです。
納豆の賞味期限・食べれる状態を見極めよう!
納豆の賞味期限切れはいつまで食べれるのか、1週間後の状態や1ヶ月後にはどうなるのか、食べれる状態を見極める方法やおすすめの食べ方を紹介してきました。これらを参考にして、素晴らしい栄養食品である納豆を安全で美味しく召上がり、食生活を豊かにする助けになれば幸いです。