じゃがいもの皮の青い部分は毒なの?
皮の青いじゃがいもを見たことがありますか。変色してしまったじゃがいもの皮の青い部分は、毒なのでしょうか。元々じゃがいもの芽の部分には「ソラニン」と言われる毒が含まれているため、調理の際には芽を取り除くことは有名です。
実は、変色した青い皮の部分にも毒が含まれます。青いじゃがいもの毒は加熱しても消えることはないため、食べないようにすることが大切です。では何故青い毒が発生してしまうのでしょうか、その原因や注意点について解説します。
じゃがいもの皮が青い原因
じゃがいもの青い皮の部分には、毒素が含まれています。食用する際には、その青い皮の部分と周辺の身を厚めにしっかりと取り除く必要があります。しかしそもそも何故、青いじゃがいもの皮は変色してしまうのでしょうか。青いじゃがいもが出来上がるその原因について解説します。
太陽の光に当たり過ぎたため
青いじゃがいもの皮が変色してしまう原因は、太陽の光に当たりすぎてしまうことです。じゃがいもは太陽の光に当たって光合成をすることによって、毒素が増えてしまいます。毒が増えてしまった状態が、皮の青い部分に反映されているのです。
このためジャガイモを収穫してから保存する際にも、なるべく太陽の光に当たらないように、暗くて涼しい場所に保管する必要があります。また、家庭菜園などで作られた未熟なじゃがいもには、青い毒素がより多く含まれる可能性があるため注意が必要です。
青い部分にはソラニンやチャコニンが含まれる
じゃがいもの皮の青い部分には、ソラニンやチャコニンと呼ばれる毒素が含まれています。これらは天然毒素の一種で、通常のじゃがいもには100gあたり平均7.5mgのソラニンやチャコニンが含まれています。このうち3~8割は皮の周辺に含まれていると言われています。
一方で、太陽の光に当たって出来た青い皮の部分には、100gあたり100mg以上のソラニンやチャコニンが含まれていると言われます。比較するとその毒素の多さが分かります。取り除かずに青い皮の部分を食べることは絶対にやめましょう。
皮が青いじゃがいもを食べるとどうなる?
じゃがいもの青い皮の部分には毒素が多く含まれていることをお伝えしましたが、では実際にそれを食べてしまった場合にはどうなってしまうのでしょうか。皮の青い部分に含まれるソラニンやチャコニンを多量に摂取してしまった場合にどのような症状が出るのか、注意点を含めて解説します。
食べてしまった場合の症状
ソラニンやチャコニンを含む青いじゃがいもを多量に摂取してしまうと、吐き気や腹痛・下痢・嘔吐・めまいなどの症状が出ることがあります。
早ければ数十分後には症状が出始めることもありますし、遅くて数日後に症状が出ることもあり、個人差があります。急な腹痛や下痢・嘔吐などの消化器症状が出た場合には食中毒を疑い、直近で食べたものを思い出すようにしてください。
青いじゃがいもの場合はしっかりと加熱されていたとしても毒素が消えることはなく、万が一青い部分を食べてしまうと上記の症状が出ることがあることを覚えておきましょう。
摂取すると危険な量
じゃがいもの皮の青い部分に含まれるソラニンやチャコニンといった毒は、体重50kgの成人の場合、50mg摂取すると症状が出る可能性があります。
また150mg~300mgで致死量となり、死亡してしまう可能性も出てきてしまうため多量の摂取をしないように、じゃがいもの青い皮には注意が必要です。
子供は特に注意
子供の場合は、大人よりも体重が軽く身体も小さいため、成人よりも少ない量で症状が出る可能性があります。大人よりも少ない量で致死量に至るので、小さな子供にじゃがいもを食べさせるときは、青い部分がないかどうか注意して確認する必要があります。
変色してしまった皮が青いじゃがいもは、子供の食べる料理にはまず使用しないようにすることが食中毒予防の観点からは確実と言えるでしょう。
少しでも症状が出たら病院へ
じゃがいもの青い皮の部分に含まれる毒素によって、食中毒が引き起こされることがあります。症状の出るタイミングや出方には個人差がありますが、万が一食後に腹痛や下痢・吐き気・嘔吐・めまいなどの疑わしい症状が現れた場合は、すぐに病院へ行くようにしましょう。
皮が青いじゃがいもによる食中毒を防ぐには?
皮が青いじゃがいもが原因で起こる食中毒の症状を解説しました。では、そもそも青い皮のじゃがいもはどのようにしたら食中毒を起こさないで済むのでしょうか。調理における注意点などをご紹介します。
青い部分や芽は取り除いて調理する
じゃがいもの青い部分や芽の部分にソラニンやチャコニンという毒素が含まれているため、これが原因で起こる食中毒を予防するためには皮の青い部分や芽の部分をすべて取り除く必要があります。
少しでも変色している青い部分はしっかりと取り除くようにしましょう。また、変色した青い皮の周囲にあたる部分も厚めに切り取ることをおすすめします。少しでも迷った時には食べないようにした方が安全です。
皮を剥いて調理すると安心
じゃがいもの皮をそのまま調理する方法が好きな方もいると思いますが、皮を剥いて食べることで毒素を摂取する可能性を減らすことが出来るため、じゃがいもの皮は青いものに限らず基本的にはすべて剥いて食べることをおすすめします。
特に未熟なじゃがいもを皮ごと食べるのは避けた方が無難でしょう。同時に芽の部分もしっかりと取り除くことでソラニンやチャコニンが原因の食中毒を予防することが出来ます。
保存は暗くて涼しい場所に
じゃがいもは太陽の光に当たることで毒素が発生し青い色に変わってしまうことを解説しました。そのため、じゃがいもを保存するときには日に当たらない場所で保管することが大切です。
また、じゃがいもの芽にもソラニンが含まれているため、発芽してしまわないようにする必要があります。気温や湿度の高いところだと発芽しやすくなってしまうため、涼しくて風通しのよい場所で保存することで発芽を防ぐことが出来ます。
じゃがいもを長期間保存するときには、暗くて涼しい風通しの良い場所で管理するようにして、ソラニンやチャコニンといった毒素が増量して青い皮になってしまうのを防ぎましょう。
リンゴと一緒に保存すると発芽防止になる
じゃがいもをりんごと同じ袋にいれて保存することによって、りんごからエチレンガスが発生してじゃがいもの発芽防止になると言われています。20℃位になると発芽や腐敗をしやすくなるため10℃位の涼しい場所で保管することが必要です。
調理するまで水洗いはしない
注意点として、じゃがいもに水分が付着することによって発芽しやすくなってしまうため、調理するまでは水洗いは避けることをおすすめします。どうしても洗う場合には、よく水分をふき取ってラップや密閉袋に入れて野菜室などで保存し、すぐに食べきるようにしましょう。
冷蔵保存したじゃがいもは揚げたり炒めたりしない
調理する上での注意点として、じゃがいもを揚げたり炒めたりすると、じゃがいもに含まれる糖とアミノ酸の一部が反応してアクリルアミドという有害な化学物質が生成されます。
じゃがいもを冷蔵庫で保存すると糖の濃度が高くなるので、常温で保管していたものと同様に揚げたり炒めたりしたときのアクリルアミドの生成量が比較すると増えてしまう可能性があります。
このため、一度冷蔵保存をしたじゃがいもは、揚げ物や炒め物といった料理にはしないことをおすすめします。
じゃがいもの皮を青くしない栽培時の注意点
じゃがいもの毒素が、太陽に当たることで増えてしまうことを解説しました。では、じゃがいもが青い皮にならないように、栽培時に注意すべき点にはどのようなことがあるのでしょうか。
土寄せをきちんとする
じゃがいもは太陽の光に当たることでソラニンやチャコニンが増えてしまい青い変色をしてしまうため、栽培時にもじゃがいもの部分が土から出ないようにしっかりと土寄せをする必要があります。
土寄せとは、土を株元に寄せる作業のことです。茎が成長した時にぐらつくのを防ぎ、土中のじゃがいもが成長してきたときに露出して陽の光に当たらないようにする効果があります。また、収穫後のじゃがいもを太陽の下に放置することも避けましょう。
育ちきっていないじゃがいもは収穫しない
育ち切っていない未熟なじゃがいもにも、毒素が多く含まれている可能性があります。大きく熟したじゃがいもに比べて、未熟で小さいじゃがいもは、太陽の光に当たった時に変色して青い皮になりやすいのです。
自分で栽培したじゃがいもを食用するときには、十分に育ち切って熟したものを収穫するようにして、早めに消費してしまうように注意しましょう。
じゃがいもの皮の青い部分に注意して調理しよう!
様々な料理に使えて美味しく、子供にも人気のあるじゃがいもですが、皮が変色してしまった青いじゃがいもにはソラニンやチャコニンといった毒素が多く含まれてしまいます。
皮の青いじゃがいもを調理する際には、しっかりと青い部分とその周辺まで厚めに切り取って食べるなど、今回紹介した注意点に気を付けて安全に調理するようにしましょう。