じゃがいもの賞味期限を知っていますか?
カレーライスや肉じゃがなど様々な料理で大活躍するじゃがいもですが、賞味期限を知っている方は少ないのではないでしょうか。じゃがいもには賞味期限が表示されていません。それは生鮮食品には賞味期限の表示義務がないからです。
じゃがいもは比較的日持ちが長い野菜ですが、いつまで美味しく食べられるか賞味期限は気になります。また常温、冷蔵庫、冷凍庫など、どのような保存方法が良いのか、食べられなくなる目安や状態などを紹介していきます。
じゃがいもの賞味期限・目安
賞味期限とは美味しく食べられる目安となる期限のことです。よく消費期限と勘違いされますが、消費期限とはその期限までに食べないと食品が傷んでしまう期限のことです。
じゃがいもの主成分はデンプン(炭水化物)ですが、その他にもビタミンCやカリウム、食物繊維も多く含んでいます。本来ビタミンCは熱に弱いのですが、じゃがいものビタミンCは熱でも壊れにくいと言われています。
じゃがいもは、このように栄養が豊富、保存がきく、様々な調理方法ができると3拍子そろっていて、しかも美味しい優れた食品です。
それではじゃがいもが美味しく食べられる目安となる賞味期限はどのくらいなのでしょう。保存方法によって変わることは何となくわかりますが、実際には保存方法によりどのような違いがあるのでしょうか。保存する際の注意点も合わせて紹介します。
常温保存の場合の賞味期限
じゃがいもを常温保存した場合は、暑い夏場の時期で約1週間、寒い時期では約1ヶ月と言われています。しかし、これはじゃがいもを常温保存している場所や状態により変わるのであくまで目安と思ってください。
じゃがいもは日光が当たると光合成を起こし、緑色に変色して味や品質が落ちてしまいます。また湿気があると腐りやすくなるので、常温保存する場合は新聞紙や紙袋に入れて日光が当たらない風通しの良いところで保存するのがベストです。
冷蔵保存の場合の賞味期限
じゃがいもは夏場など気温が高い時期には常温で賞味期限が1週間程度と言われています。冷蔵庫で保存すれば賞味期限は伸びますが次のような注意が必要です。
冷蔵庫のじゃがいもをそのまま入れると、乾燥により表面がシワシワになって味が落ちてしまいます。冷蔵庫の野菜室などのスペースに余裕がある場合は保存容器に新聞紙などを敷き、詰めすぎにならないように並べます。さらに上から新聞紙をかけ容器のフタは少しずらして密閉しないようにします。
また冷蔵庫ではじゃがいものデンプン質が糖分に変わり甘みがますという特徴があります。煮物に使うと甘さが引き立ちますが、ホクホク感は薄れてしまいます。揚げ物にした場合は色が濃くなりやすいので注意しましょう。
つまり冷蔵庫では賞味期限は伸びますが、味や食感が変わるので夏場の気温が高い時期以外はあまりオススメできない保存方法です。涼しい時期には常温保存がベストです。
冷凍保存の場合の賞味期限
じゃがいもを生のまま丸ごと冷凍庫に入れると確かに長期の保存はできます。しかし解凍した時には水分が分離して抜けてしまいスカスカの状態になってしまい食感が悪くなり味が落ちます。
つまりじゃがいもは冷凍保存には向かない野菜です。ただ加工して冷凍すれば保存することができます。食べ残したじゃがいも料理を保存するのには適していますが賞味期限の目安は2〜3週間と生のじゃがいもの常温保存より短くなります。
加工したじゃがいもの賞味期限・目安
じゃがいもの加工といっても様々な状態があります。じゃがいもの皮をむいてカットしたけれど余ってしまった場合や、茹でたりレンジで熱を加えたけれど使い切れなかった場合、調理したけれど食べきれなくて残ってしまう場合など色々です。
その残ったじゃがいもの賞味期限はどのくらいなのでしょう。この場合は消費期限といった方が正しいかもしれません。消費期限とは食べられなくなるまでの期限のことで通常1週間以内の短い場合に使います。それぞれの状態別で、じゃがいもの賞味期限と消費期限を紹介します。
切ったじゃがいもの賞味期限
生のままカットしたり皮をむいたじゃがいもは、皮で守られていた中のデンプン質が直接空気に触れることになるので長もちしません。長く空気に触れるとデンプンやポリフェノール色素は酸化して表面が変色し傷んでしまいます。
酸化を防ぐためにはできるだけ空気に触れないようにすることが大切になります。ラップでしっかりと包むか、水を入れた容器にカットしたじゃがいもを浸すなど空気を遮断した状態で冷蔵庫で保存すれば2〜3日は保存できます。
しかし長時間水に浸すと栄養分が流れ出してしまい味も悪くなります。ラップの場合は完全に空気を遮断することができないのでしなびてしまう可能性があります。どちらにしても早めに調理することをオススメします。
茹でたじゃがいもの賞味期限
じゃがいもを丸ごと茹でた場合は、皮をむかない方が多少長持ちします。冷蔵庫で保存する際はラップをかけるだけで大丈夫ですが、やはり2日間ほどで食べ切るようにしましょう。
このように加工したじゃがいもは、生のままで保存するより傷む速度が早くなります。加工すると賞味期限が消費期限に変わります。なるべくその日で食べ切る量を調理加工するようにしましょう。
賞味期限と消費期限の違い
デパ地下などの惣菜・食品売り場の商品では「賞味(しょうみ)期限」や「消費(しょうひ)期限」をよく目にします。字がよく似ているので混同している方が多いのですが、表示する意味が全く違います。
賞味期限とは美味しく食べることができる期限を表しています。その期限までは品質を保証しますが、期限を過ぎたなら味が落ちるのは保証しませんという意味で、食べてはいけないという意味ではありません。通常味の劣化が遅く日持ちが長い食品に賞味期限が使われます。
消費期限は数日しか保存ができない食品に使われる表示で、期限を過ぎた場合には人体に害があっても保証しませんという意味で、期限内に食べてくださいと注意を促す表示です。
消費期限は弁当やサンドイッチ、惣菜などの加工食品によく使われる表示です。メーカーが保証する期限なので家庭で使うことはありませんが、じゃがいもを家庭で調理加工した場合は日持ちが短くなり、市販されている惣菜と同じように1日〜3日の消費期限が目安になります。
前述で加工したじゃがいもは賞味期限が消費期限に変わると紹介したのはこのような理由のためです。つまり加工したじゃがいもは市販されている惣菜類と同じように2日以内に食べきらないとお腹をこわす原因にもなりかねないということです。
もちろん賞味期限も消費期限もどちらも目安の期限です。保存状態によって期限は変わります。消費期限が2日後でも冷蔵庫が詰めすぎなどで温度が下がらない場合は1日で傷んでしまうことがあります。つまり食品の保存は自己管理が大切になります。
賞味期限を過ぎた腐ったじゃかいもの状態は?
じゃがいもには賞味期限が表示されていません。それは野菜などの生鮮食品でパックに入っていない裸売りの食品には食品衛生法で表示義務がないからです。その判断は自己責任に委ねられています。
期限が表示されていないじゃがいもの腐った状態や食べてはいけない状態をどのように判断すれば良いのでしょう。長く保存しておくと緑色に変色していたりシワシワになっていたり芽が出ていたりします。判断の目安はなんでしょう。
見た目
見た目でシワシワになっている場合は食べられないことはありませんが、味や食感は確実に落ちています。カビが生えている場合は少々危険です。カビが生えるということは中が腐っている可能性が高いからです。無理してカビ臭いのを我慢して食べることもできますが害がないと保証はできません。
またぶよぶよと柔らかくなっている場合は、水分が抜けている証拠で食べられないわけではありませんが明らかに味は落ちています。一晩水につけておくとシワシワが取れて調理しやすくなります。
皮が緑色に変色したり芽が出ている場合は要注意です。これは毒素があるので危険です。この対処の仕方などは後で詳しく解説します。とにかく見た目で明らかに買った時と変化がある場合は、上記のような食べ方はありますが心配な場合は食べないほうが無難です。
臭い
じゃがいもから異臭や悪臭が出ている場合は腐っている可能性が高いので食べられません。またじゃがいもから茶色の液体が出てきている場合も確実に腐っていますので食べずに捨てましょう。
このように見た目で変化のある場合は腐っているのではないので工夫して食べることもできますが、いやな臭いがする場合は高確率で腐っているので食べないようにしましょう。
切った中身
じゃがいもを切った中身が紫や黒に変色している場合は、見た目で傷んでいると思いがちですが、腐っているのではないので普通に食べることが可能です。
これはじゃがいもに含まれるポリフェノールが作用して、じゃがいものアミノ酸成分の「チロシン」が「メラニン」に化学変化して紫や黒色に変化させています。
ただし切った中身が緑色に変色している場合は、じゃがいもの芽にある毒素と同じ毒なので食べることはできません。これは日光などによる光合成で変色して毒素を作ります。ですからじゃがいもの保存は日光が当たらない冷暗所が基本になります。
芽が出ている場合は注意
じゃがいもを日が当たる場所などで保存すると芽が出てきます。最初は白っぽい芽ですがさらに時間が経つと緑色の芽に変わってきます。この芽にはソラニンとチャコニンという天然毒があり危険です。
天然毒にはこのほかにキノコ毒やフグ毒などがあり致死率の高いものもあります。じゃがいもの芽の毒は命を危険にさらすほどの毒性はありませんが、吐き気や下痢、嘔吐、腹痛、頭痛、めまいなどの症状を起こします。
芽と同じように緑に変色した皮や身にもソラニンとチャコニンを含んでいるので中毒を起こします。しかし毒性が強いのはやはり芽の部分とその周辺です。しかしその部分をよく取り除けば食べることができます。
ソラニンとチャコニンは加熱では分解されませんが水に弱い性質があります。芽が出たじゃがいもを食べる場合は、しっかりと芽と周辺を取り除き皮は厚めにむいてしばらく水にさらすと毒素が水に排出されます。間違ってもこの下処理をしないで食べないよう注意してください。
じゃがいもを長く美味しく食べるための保存方法
じゃがいもは高温と日光、湿気を嫌います。農家でもじゃがいもは秋に収穫し一部は新じゃがとして市場に出しますが他は風通しの良い冷暗所で2〜3ヶ月寝かせてから出荷するのが通常です。保存方法をうまくするともっと長い期間保存することができます。
ですから年間を通してじゃがいもは市場に出回っているのです。このことを考えて家庭でも同じような環境を工夫して作ってあげれば長期保存ができ長い間美味しく食べることができます。
常温での保存方法
常温で保存する場合は、湿気を避け日光が当たらないように新聞紙や紙袋に入れて風通しの良い冷暗所で保存するのがベストです。家に庭がある場合は土の中に埋めて保存するのも良いでしょう。
また買ってきたじゃがいもを土が汚いからと絶対に水洗いしないことです。水洗いしてしまうと表面が水ぶくれのようになり腐ってしまいます。洗ったあと陰干ししてもダメです。土が落ちるのが嫌なら乾いた紙や布でさっと払う程度にします。
とにかくじゃがいもは湿気のない状態で保存することが大事です。また保存に適している温度は10℃〜15℃と言われています。気温が高くなってきたら冷蔵庫の野菜室も保存場所としては適しています。
冷蔵庫での保存方法
夏場の気温は30℃を超えるので常温保存では危険なので冷蔵庫を利用します。しかし冷蔵庫の温度設定は5℃前後が多いので、じゃがいもには少し低すぎてシワシワになってしまう場合があります。
冷蔵庫の場合は新聞紙や紙袋に入れて野菜室で保存するのが良いでしょう。夏場や梅雨の湿気の多い時期には効果があります。また野菜室で保存すると甘みが増し煮物などには最適の甘さになります。ただ1週間を目安に使い切るようにしましょう。
切ったじゃがいもの保存方法
切ったじゃがいもの保存方法は前にも紹介したように、水をはったタッパーやボウルに浸けてできるだけ空気に触れないように冷蔵保存すれば変色を防ぐことができます。しかし長い時間水に浸けておくと栄養素が流れ出し味が落ちてしまうので早めに調理することをオススメします。
また切ったじゃがいもを茹でてからラップに包んで冷蔵保存をすると変色も防げ栄養素も流れ出さないので美味しく保存ができます。しかし保存期間は生の場合より短くなるので注意してください。
じゃがいもは保存方法により賞味期限が長い
じゃがいもの賞味期限が長い保存方法は、梅雨や夏場を除けば常温保存が一番長く美味しく食べられます。梅雨や夏場では賞味期限が短くなりますが冷蔵庫の野菜室がベストです。
ここまでじゃがいもの保存方法や食べられなくなる目安・判断の仕方、加工したじゃがいもの保存方法などを紹介してきました。じゃがいもは栄養価も高くどんな料理にも利用できる優れた野菜です。これらの記事を参考にして美味しく召し上がっていただければ幸いです。