事なかれ主義ってどんな人のこと?
みなさんは「事なかれ主義」という言葉を聞いたことがありますか?学生の頃はあまり聞くことがない言葉ですが、社会人になると、この言葉を聞くことが増える傾向にあります。そしてそのほとんどは、あまり良くない意味で使われているようです。
それでは「事なかれ主義」の人はどうしてそんなに、周りの人達に嫌がられるのでしょうか?今回は「事なかれ主義」の人の特徴や心理、その性格のメリット・デメリット、そして「事なかれ主義」の人への対処法などをご紹介していきましょう。
事なかれ主義の人の性格の特徴
まずは初めに、事なかれ主義の人の性格の特徴を見ていきましょう。「あの人は事なかれ主義だから」なんて眉間にシワを寄せて噂されることが多い性格を持った「事なかれ主義」の人ですが、それは何故なのでしょうか。ここでは事なかれ主義の人の性格の特徴をご紹介していきましょう。
争いを好まない
まず初めにご紹介する事なかれ主義の人の性格の特徴は「争いを好まない」という点です。争いを好む人はあまりいませんが、その中でも事なかれ主義の人は普通の人よりも争いを好みません。ちょっとした言い争いですら避けて通ります。
その特徴は、良い言葉で言えば「平和主義」なのですが、要するに「争うことが怖い」というのが本音のようです。例え争う相手が年下であろうが部下であろうが、極端な例では我が子でさえ、とにかく「争う」ということに怯えてしまう傾向にあるのが、事なかれ主義の人の特徴のひとつです。
消極的な態度
事なかれ主義の人の性格の特徴、2つ目は常に「消極的な態度」である点です。前述の通り、事なかれ主義の人はとにかく争う事が怖くて、そういう事態になることを避けて通ります。積極的に何か行動を起こせば、もしかしたら争いが起きるかもしれない。
それだったら、多少の不満はあるけど今のままでいい。と考えるため、どうしてもあらゆる事において消極的な態度となってしまいます。もしかしたら争いの元になってしまうかもしれない変化よりも、現状維持を好むのが事なかれ主義の人の特徴なのです。
保守的な行動
事なかれ主義の人の性格の特徴、3つ目は、いつも「保守的な行動」を取るという点です。「保守的」とは以前から実施されてきたこと大切にして、それにしっかりと従い新しいことを取り込むことを良しとしない考え方です。
今までずっと実施されてきたことに従うのは簡単なことです。事なかれ主義の人は、例えそのやり方が「時代遅れ」だったり「非効率的」であると感じても生真面目に従います。何故なら新しいことを取り込もうとしたら、必ず何かしらの争い事になってしまうのが目に見えているからです。
事なかれ主義になる心理
ここまでは事なかれ主義の人の性格の特徴をご紹介してきました。では、どうして事なかれ主義になってしまうのでしょうか。どんな心理が働いているのでしょうか。ここでは事なかれ主義になってしまう心理についてご説明していきましょう。
自信のなさ
事なかれ主義の人の心理、一つ目は「自信の無さ」です。会社などで問題が発生した時は、いち早く正確な対応をして解決しなければなりません。ですが、事なかれ主義の人は自分の能力や自分自身に全く自信がないため、問題から逃げることばかり考えて、解決しようとはしません。
起きてしまった問題を、どういう風に解決すべきなのか分からない、問題を解決する実力は自分には無い、自分だけでは解決出来ない、などの心理が働きます。ですので起きてしまった問題と向き合うことが出来ず逃げてしまうのです。
無責任
事なかれ主義の人の心理、二つ目は「無責任」ということです。責任感が強い人であれば、例え自分が原因で起きた問題ではなくても、自分の問題として一生懸命、解決しようと努力します。ですが事なかれ主義の人は臆病なゆえに無責任になりがちで、とにかく自分は関係無いことを主張します。
自分には関係ないことだ、と考えて問題を解決しようとはしません。そのように無責任な事なかれ主義の人が職場などに一人でもいると、何か問題が起きた時に他の誰もが問題解決について考えなくなって、責任の押し付け合いが始まってしまいます。そして対人関係が悪化してしまうのです。
責められたくない
事なかれ主義の人の心理、三つ目は「責められたくない」という気持ちです。例えば事なかれ主義の人が責任者だとしましょう。そこで何か問題が起きてしまうと、自分の上司などから責任を追及されることになります。
自分が上司などから責められているところを想像してしまい怖くなって、たとえ大きな問題だったとしても、それをなかったことにしてしまったりすることもあります。ですが、いずれは問題が明るみに出てしまいます。そうなってしまうと更に大きな問題となってしまうのです。
面倒くさがり
事なかれ主義の人の心理、四つ目は「面倒くさがり」な気持ちです。職場などで争い事や問題が起きると、精神的に非常に疲れてしまいます。それがその部門のリーダーという立場であれば、ますます疲れてしまいます。きちんとした人ならば争い事や問題を良い方向に持って行こうと努力します。
ですが、事なかれ主義の人は面倒くさがりなところがあるので、そのような努力はしたくないのです。出来るだけ疲れずに、自分だけは何事もなく毎日を過ごせるようにと、争い事や問題から目を背けて知らんぷりをしてしまうのです。
向上心がない
事なかれ主義の人の心理、五つ目は「向上心がない」ということです。向上心がある人は現状のままでは満足しません。例え今現在が上手くいっていても、もっと良い方法はないか、もっと効率よく出来ないか、などと更に上を目指そうと頑張ります。
ですが、事なかれ主義の人は違います。今現在、特に問題がなければ良しとします。とにかく「現状維持」が最大の課題なのです。良くもなく悪くもないなら、それでいいではないか。このままが一番。と強く思っています。
事なかれ主義の職場でのメリット・デメリット
事なかれ主義の人の性格の特徴、その心理などを一通りご説明してきました。何だか非常に厄介で、良いところが一つもない性格に感じたのではないでしょうか。でも、事なかれ主義の人にもメリットとデメリットがあるのです。ここでは事なかれ主義の人のメリットとデメリットをご紹介いたします。
メリット
まず初めにメリットからご紹介していきましょう。事なかれ主義の人にもいくつかのメリットがあります。一つ目は「空気が読める」というところです。本当によく空気を読む事が出来ます。ですので、周囲の人の気持ちを理解する事が出来たり、相手の立場になって物事を考える事が出来ます。
そして非常に感受性が豊かで、少し過敏過ぎるくらいに自分の周りの人の感情を感じてしまいます。なので、嫌われたくないという風に思ってしまい、人の顔色を伺うようになってしまうのです。とても厳しい親に育てられた人が事なかれ主義になってしまう傾向が多いというのも分かります。
二つ目は「洞察力に優れている」という点です。自分の周囲の人の普段と違った感じや、ふと見せる表情で「具合が悪いのかな」「何か嫌なことでもあったのかな」と感じ取ることが出来ます。ですのでどんな相手でも争い事などにならないように出来るのです。
三つ目はいつも「いつでも穏やかである」という点です。気分屋だったり感情のアップダウンが激しい人というのは、総じて自己中心的な人が多い傾向にあるので、良い言えば「自分に正直」悪く言えば「他人のことはあまり考えない」のです。
ですが、事なかれ主義な人は争い事が嫌いで平穏無事を一番と考えているので、嫌な事があったとしても周囲に対して不機嫌になったり一触即発のような空気は絶対に作りません。逆に自分の周りのムードを明るくしようと頑張るのです。
四つ目は「我慢強い」という点です。事なかれ主義の人は、とにかく職場などで揉め事や争い事を起こしたくないので、本当は大嫌いな人に対しても「嫌いだ」という態度は決して表に出さず仲良く出来ますし、相手の意見に反対の気持ちを持っていたとしても、同調することが出来るのです。
デメリット
ここからは事なかれ主義の人のデメリットをご紹介していきましょう。まずは一つ目のデメリットは「本当の自分が分からなくなる」という点です。誰のどんな意見に対しても反対せずに、必ず肯定します。ですので自分は一体どんな考えを持った人間なのかが分からなくなってしまうのです。
二つ目のデメリットは「本音で話せる人が出来ない」という点です。事なかれ主義の人は職場などで周りの人に話を合わせてばかりいます。そのほうが無難であることを知っているからです。ですので相手の気分を悪くさせる事を恐れて、本音で話す事が出来なくなるのです。
三つ目のデメリットは「利用されやすい」という点です。事なかれ主義の人は揉め事を起こしたくないので、職場などで何かを頼まれた場合断ったりしません。本当は大変なのに笑顔で引き受けてしまいます。そこに付け込まれて仕事を押し付けられたりと、利用されてしまうのです。
四つ目のデメリットは「とにかくストレスがたまる」という点です。自分の意見や感情を持っているのに、それを表に出す事はなく、我慢ばかりしているのでストレスがたまるのは当たり前と言えるでしょう。そのうちに精神的に限界が来て、精神疾患を患ってしまう人も少なくありません。
五つ目のデメリットは「頼りがいがないと思われてしまう」という点です。とにかく誰の意見にも合わせてしまうので「あの人には自分の意見がない」を思われてしまいます。特に事なかれ主義の人が職場でリーダー的立場であった場合は大変です。
部下から「あの人は相手によって言う事がコロコロ変わって頼りがいがない」と思われてしまうのです。他のデメリットとしては「媚を売っているように見える」ことや「いい人ぶっている」「自分の意見も言えない臆病者」と職場の人たちにマイナスイメージを持たれてしまう事が多いです。
事なかれ主義の対処法
事なかれ主義の人の性格の特徴やその心理などをご説明したところで、その対処法をいくつかご紹介していきましょう。その人の性格というものは、大人になってからでは変わる事はほとんどありません。ですので事なかれ主義の人はこれからもずっと事なかれ主義のままです。
確かにイライラすることばかりになるでしょう。ですが、そのイライラを事なかれ主義の人にぶつけたとしても職場などの空気が悪くなるだけで、何一つとして改善されることはないのです。決して良い対処法とはいえません。ではどのような対処法が良いのでしょうか。
職場にいる事なかれ主義の人との接し方
職場において、事なかれ主義の人が自分より下の立場にある場合の対処法は簡単です。もっと自分の意見を出すようにと指導してあげれば良いだけです。ですが相手が上司となると、その対処法は非常に難しくなってしまいます。
そもそも事なかれ主義の人は人の上に立つような性格ではありません。指示するより指示に従う方がラクだからです。色々と指示を出して、その結果が失敗だったりしたら責任を問われてしまいます。そのような事になるのが怖くて避けてしまうのです。全く対処法に頭を抱えてしまいます。
しかし向上心を持って仕事をしている人にとっては、何の改革もなく、その結果自分も成長することが出来ないことに不満を感じます。事なかれ主義な人が上司になった場合の対処法は、自分の方から「このようにしてみようと思っているのですがよろしいでしょうか」と提案していくことです。
自分の事なかれ主義の改め方
次にご紹介するのは相手ではなく「自分」が事なかれ主義だと感じている人への改め方です。事なかれ主義の人は自分が事なかれ主義だということを知っています。そしてそんな自分に嫌気がさしている人も多いのです。そんな人はまず今までの自分の行動・発言を思い出してみましょう。
「本当は、こうすればいいと分かっていたのに出来なかった」などと思い出し、ではなぜ「そうしたいと考えていたことと違うことをしたのか」ということを、じっくりと自問自答してみましょう。恐らくほとんどは「嫌われたくなかった」「人の目を気にしていた」との答えが出るでしょう。
または「面倒だから取りあえず合わせておけば良いと思った」などの答えが出るはずです。自分の言動を客観的に見つめなおす事で、そんな風にならないよう気を付けることが出来てくるはずです。ですがもし幼少期の頃の経験によって事なかれ主義となってしまった場合は問題です。
なぜなら、そのようなパターンで事なかれ主義となってしまった場合は、幼少期の「トラウマ」が原因となっているためです。幼少期の経験が原因で事なかれ主義になっていると感じている場合は、カウンセリングなどに行ってみるのも良い対処法といえるでしょう。
事なかれ主義の人との接し方を探ろう
今回は「事なかれ主義」の人の性格の特徴やその心理、職場などでの接し方や対処法などについてご紹介してきました。いかがでしたでしょうか。事なかれ主義の人というのは何らかの理由で、自分の周りの色々な人、物事に対して非常に臆病になっています。
それは過去に何かとても嫌な経験をしたせいかもしれませんし、幼少期のトラウマかもしれません。またもともとの性格ということもあります。事なかれ主義の人が上司になった場合には、丁寧にさりげなく自分の方から色々な提案などを持ちかけて、仕事を進めることをおすすめします。
また自分が事なかれ主義で悩んでいるのであれば、自分自身を見つめなおしてみたり、他者の力を借りて少しでも自主的に行動できるようにしていきましょう。そうすることで本音で話せる人も出来ますし、職場などでもいい意味で頼ってもらえる存在となっていくことでしょう。