早期退職でその後の生活を失敗したくない!メリット・デメリットも解説

早期退職でその後の生活を失敗したくない!メリット・デメリットも解説

早期退職制度を導入する企業が増えており、あなたにも早期退職を選択するチャンスがあるかも知れません。退職後の生活に失敗し後悔しないように、そのメリット・デメリットを把握し、しっかりと計画を立てたうえで判断するようにしましょう。

記事の目次

  1. 1.早期退職とは
  2. 2.早期退職を導入する企業が増えている
  3. 3.早期退職・退職したい理由
  4. 4.早期退職・メリット
  5. 5.早期退職・デメリット
  6. 6.早期退職・失敗しない為にするべきこと
  7. 7.転職を前提とした早期退職の選択
  8. 8.早期退職をする為にはしっかりとした計画を立てよう

早期退職とは

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早期退職とは定年を前に勤めていた企業や組織を退職することです。脱サラで早期退職を選ぶ人もいますが、企業がリストラや人事制度の一つとして早期退職制度を導入する場合もあります。後者の場合、割増退職金などの優遇措置が受けられますが、早期退職が自分にとって得なのかどうか迷うところです。早期退職に失敗しない方法について解説します。

定年前に勤務先を退職

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企業が導入する早期退職制度には大きく分けて二つあります。一つは会社が業績悪化等に伴い人員削減を目的として臨時に行うもので、早期希望退職制度とも呼ばれます。もう一つは、会社の業績にかかわらず人員や年齢構成の適正化等を目的に随時募集しているもので、選択定年制とも呼ばれます。

どちらの場合も、会社からの強制ではなく、多くの場合、割増退職金や再就職支援などの優遇措置を受けられます。また失業保険を申請する場合、退職理由が自己都合とはならず会社都合となるため、3ヵ月の給付制限がない、失業給付金をすぐもらえるのもメリットです。

早期退職制度は、導入する会社によって制度適用の対象となる年齢や勤続年数は様々です。多くは40代から50代を対象にするケースが多いですが、なかには30代まで広げる会社もあります。

早期退職を導入する企業が増えている

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就職市場が売り手市場で深刻な人手不足と言われているなかでも、定年前の退職を募る早期退職を募集する企業が増えています。応募者側も人生100年時代を見据え、早期にキャリア再構築に動く中高年が増えています。

調査会社の東京商工リサーチによると、上場企業で早期退職を募集または発表した企業は2019年の上半期(1~6月)に17社となりました、募集人数でみると既に前年1年間を超え、その2倍の水準にあたる約8200人に上りました。

企業が早期退職制度を導入する理由

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企業が早期退職制度を導入する理由はいろいろあります。経営不振による人員削減を意図したものが多いと感じるかも知れませんが、実は、業績が好調うちに人員の適正化を図り、事業環境の変化に備える動きも目立ちます。

年功序列・終身雇用にこだわらず、キャリア再設計を理由に積極的に応募する人も増えていますので、柔軟な人事制度、働き方改革の一環として導入する企業もあります。

早期退職・退職したい理由

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定年を待たずに退職する理由は人それぞれです。新しい仕事にチャレンジしてキャリアアップしたい、脱サラして開業・起業したいといった前向きな理由から、労働環境や職場での人間関係に悩んで新しい会社に移りたい、早めに引退して元気なうちにセカンドライフを楽しみたいという理由もあるでしょう。

年齢40歳・50歳でも働きたくない気持ち

40代、50代の年齢は、働きたくない気持ちが高まるときでもあります。多くの会社は50歳過ぎに役職定年を迎え昇給・昇格が頭打ちもしくは減少し、出世競争のゴールがみえてしまいます。また中間管理職として上司と部下に挟まれ職場での人間関係に悩む人も多いでしょう。

また子供が成長し子育てが一段落するのもこの年代です。家族の為にいやなことも我慢して働いてきたが、もうその必要が無くなり、働く気持ちが薄れていくというわけです。

そうした状況のなかで、気力を支える体力が落ちてくる年齢も40代・50代です。人間関係に悩み、昇給・昇格の限界がみえてくる。子供に対する責任もある程度終えた。このように、働くモチベーションの維持が難しくなるのが40代・50代なのです。

早期退職・メリット

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長年働いた会社を辞めるのは誰しも抵抗はあるもの。40歳や50歳という年齢で、積み上げてきたキャリアや人脈・ネットワークを失い、また1からやり直さなければならい可能性もあります。しかし、早期退職制度をうまく利用して新たなスタートを切った人も多くいます。早期退職制度のメリットをみてみましょう。

①退職金が増える

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早期退職の場合、所定の退職金に加えて割増退職金がもらえるケースが多くなっています。退職金の割増額は退職時の年齢によって異なりますが、割増額が一番大きい年齢で給料の5年分相当など高額になる事例があります。

退職金は他の収入と比較すると控除枠が大きく税負担が小さくなるため、給料やボーナスとしてもらうよりもメリットは大きくなります。

早期退職で得られる退職金は、開業や起業のための資金、次の仕事をみつけるまでの生活費や、資格取得費用などの貴重な軍資金になります。このメリットを見逃す手はありません。

②健康なうちに時間を作れる

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定年退職と早期退職の一番の違いは退職時の年齢です。若さと時間はお金で買うことはできない大きなメリットです。早期退職時の年齢が若ければ若いほど、新たな挑戦の選択肢は多くなります。何をするにしても一番の資本は健康な身体(からだ)です。仕事もそうですが、趣味に使う時間や余暇を楽しむうえでも、体力のある若い方が可能性は広がります。

③新しい挑戦ができる

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40歳、50歳という年齢からでも新しいキャリアを積み、さらなるステップアップ目指すことが可能です。現状よりも高待遇で転職する、これまでの経験やネットワークを活かして新しい仕事にチャレンジすることができるのは大きなメリットです。

また、今の仕事で思うような成果が上げられない、職場での人間関係に悩んでいる人にとっても、心機一転し、新しい会社、職場に転じるきっかけになります。

経済的に余裕のある人は、思いっきり趣味に没頭したり、ボランティアによる社会貢献に専念することもできます。終身雇用では思いもよらなかったことが、早期退職を利用することで可能になるのです。

早期退職・デメリット

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早期退職は、年功序列・終身雇用の恩恵を失うことでもあるので、デメリットも考えておかなければなりません。今の会社を早く辞めたいという理由や、目先の退職金が欲しいという理由で早期退職に飛びつくと、あとあと後悔して失敗ということになりかねません。早期退職のデメリットも良く考えた上での決断が求められます。

①定期収入が無くなる

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会社を退職すれば当然給料はもらえなくなりますので、給料以外に収入がなければ、生活の基盤となる定期収入を失うことが大きなデメリットになります。しかも、年功序列は崩れつつあるとは言え、40代、50代というのは給料が一番高い時期にあたります。また、企業年金制度がある場合には、その積み立ても退職時点で終了となります。

定期収入が無くなるということは、思っている以上に大変なことです。早期退職で手にする割増退職金は、定年までの定期収入や年金の積み立てを失うというデメリットと引き換えであることを忘れてはなりません。

②年金が減る可能性がある

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早期退職し会社に属さなくなると、厚生年金をやめ国民年金に加入することになるので、将来受け取る年金が定年まで勤めて退職する場合に比べ減少するというデメリットがあります。

退職する年齢が若く厚生年金の加入期間が短くなるほど、将来受け取る年金の減少額は大きくなります。その企業独自の企業年金制度を導入している会社を退職する場合は、このデメリットはさらに大きくなります。

③健康保険の保険料負担が増加する場合がある

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会社を退職すると、健康保険はその会社が属している健康保険組合から国民健康保険に変わります。国民健康保険の保険料は、前年の年収や家族の中で加入する人数で決まりますが、会社負担が無くなることもあり、前に比べて保険料負担が大きくなる場合があります。

会社を辞めた後も、その会社が属する健康保険組合に退職後2年間加入できる任意継続制度があります。国民健康保険と比べて保険料負担が少ない方を選択できますが、それでも保険料負担が増加する場合があることを注意しておきましょう。

早期退職・失敗しない為にするべきこと

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早期退職で失敗しないためには、早期退職のメリット・デメリットを踏まえたうえで今後のライフプランを設計し、入念な準備をする必要があります。

特に、経済的な準備は重要です。悠々自適なセカンドライフを迎えるのも、新たなチャレンジを成功させるのも、事前の経済的な準備次第です。失敗しないためには、早期退職後の生活を想定した、早めの準備が欠かせません。

家族と暮らしている人は、家族の理解と協力が必要です。単身で暮らしている人も、親や兄弟・姉妹の理解を得ましょう。人生には想定外のことも起こり得ます。そのときには何よりも周りの人の協力が必要です。早期退職に失敗したとしても、家族の協力があればやり直すこともできるでしょう。

①退職後の収入・支出の把握

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早期退職後は、収支管理が非常に重要になります。退職後の収入の有無、生活費はどれくらい必要なのかを事前に把握し、年金が支給される期間を含めた長期間の収支についてシミュレーションをしておきましょう。

そのうえで、年金受給開始年齢までに必要な貯蓄額を計算し、現在の貯蓄額と早期退職でもらう退職金で足りなければ、再就職の検討や資産運用の活用、毎月の生活費の節約など、収支の見直しを行います。

病気やケガなどの思わぬ出費や、子供の結婚費用や孫の教育費を出してあげたい気持ちあるでしょう。老後破産や生活にゆとりを持てない老後生活では、何のために早期退職したのか分かりません。失敗しないためには、何よりも老後を含めた長期的な収支管理が欠かせません。

収支把握にあたっては社会保険料や税金に注意

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退職後の収支の把握、特に支出の把握にあたっては社会保険料や税金負担に注意しましょう。退職後は年金は国民健康保険、国民年金に加入しますが、収入がなくてもこれらの社会保険の保険料は負担しなければなりません。家族を扶養に入れていた場合は、被扶養者の社会保険の手当も別途必要になります。

自動車税や固定資産税など保有資産にかかる税金は、収入が無くても払う必要があります。また住民税は前年の所得にかかりますので、収入が無くなった翌年も払わなくてはなりません。

社会保険料と住民税は給与天引きで払うことが多いので、つい見落としがちです。後で困ったことにならいないよう、こうした支出も考えて退職後の収支を把握してください。

②退職して何をしたいのか決める

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「退職したら何もせずゆっくりしたい」というのは、長年働いてきた人にとっての夢なのかもしれません。早期退職はその夢を叶えてくれるでしょう。

しかし、何もしなくてもよいとなると、最初のうちはそれが楽しくても、ずっと続くとなるとだんだん退屈になり、ついにはそれが苦痛になるという人は少なくありません。こんなことなら会社を辞めずに働いた方が良かったと後悔することになります。

そのような失敗をしないためには、退職自体を目的・ゴールとするのではなく、退職した後に何をしたいのか決めておくことです。趣味やボランティア活動でも何でも良いので、長く続けられるものを探しておきましょう。

③目的の為に貯蓄

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前述しましたが、早期退職はそれ自体が目的ではありません。退職して何をしたいのか、何の為に退職するのか、その何かが目的にならないと、退職しても何もやることがなく、早期退職は失敗だったということになりかねません。

その目的が決まったら、早期退職後の安定した生活の為の貯蓄に加え、さらにその目的を実現・達成する為に必要な貯蓄額を考え、貯蓄を実行しましょう。目的を達成しようとする意思が強いほど、貯蓄は難しものではなくなります。資産運用を活用するのもよいでしょう。

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転職を前提とした早期退職の選択

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働き盛りの30代、40代を対象に早期退職を募集する企業もありますので、転職によるキャリアアップを考えているときに早期退職制度が導入されたら大きなチャンスです。早期退職制度のメリットである割増退職金や再就職支援を受けながら、在職中でも正々堂々と求職活動を行うことができます。

また、早期退職に応募して退職すると、退職理由が会社都合となる場合が多いので、次の会社がすぐに決まらなくても、自己都合の場合にある3ヵ月の給付制限なしに、すぐに失業保険をもらえます。

転職先のことを良く調べてから判断

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処遇や人事・福利厚生面での不満を理由に転職を考える場合は、転職先のことを良く調べて、今の会社に勤める場合のメリット・デメリットを吟味したうえで判断するようにしましょう。

表面にはあまり出てこない年金制度など人事・福利厚生面を考慮しないと、長く勤めた場合とどちらが得かは分かりません。早期退職制度を導入して割増退職金などの優遇措置を提供する企業は、もともと福利厚生が充実した企業とも言えます。給料やボーナスなど表面的な処遇だけで判断すると、転職の失敗になりかねません。

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早期退職をする為にはしっかりとした計画を立てよう

早期退職制度を導入する企業が増えています。早期退職は、うまく活用すれば新たなチャレンジ、充実した老後生活を送るための絶好の機会になります。失敗しないためには、早期退職のメリット・デメリットを踏まえ、退職後の収支を把握し早めに準備しましょう。そして何よりも、早期退職の目的を明確にし、しっかりとした計画を立てることが肝心です。

shkamj
ライター

shkamj

shkamjと申します。56歳男性、金融機関で約30年の経歴があります。

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