寝方・寝相で猫の気持ちがわかる?
猫は夜行性で昼間良く寝ることから「寝子(ネコ)」と呼ばれるようになったと言う説があるくらい、猫の睡眠時間は長いです。野生界で肉食の「猫科」のライオン・ヒョウ・トラなどは、草食の牛・ゼブラ・キリンなどの睡眠時間(1時間〜4時間)より、ともかく睡眠時間が長く13時間〜15時間です。
ちなみに猫の名前の由来のもう一つの説に、鳴き声が昔は「ねうねう」に小さなものを指す「子」をつけ「ねこ」と呼ばれるようになったと言うものもあります。
その眠りの特徴は、狩りのためのスタンバイです。そのため大半が警戒したままの浅い眠り(レム睡眠)、合間に深く眠る(ノンレム睡眠)を交互に繰り返すと言うものです。そして猫は夢を見るレム睡眠が長いと言われています。つまり猫は人間より多く夢を見ていることになります。
家猫は人間と暮らすようになって歴史も浅く「猫科」の野生の本能を色濃く残しています。そしてほとんど狩りをしませんが夜行性で、睡眠時間は「子猫」で20時間、「成猫」で16時間です。睡眠時間8時間の人間の2倍です。では、飼い猫の寝姿から「寝方・寝相」で猫の気持ちがわかるのでしょうか?
猫の寝方・寝相の意味
猫がいま、どんな気持ちで寝ているのかが分かれば、「可愛い」と何気なく写真を撮るだけではなく、もっと飼い猫を知ることになり心の距離を縮められます。猫の寝方・寝相には意味があるのです。健康状態もチェックできます。
ただもっと良く観察してみると、猫の寝方・寝相にはさまざまなバリエーションがあることが分かります。猫のボディ・ランゲージの意味を読み解いて行きましょう。猫の気持ちを知ってあげることで、猫の信頼を得られます。
信頼・安心している時
では、信頼・安心している時の猫の寝方・寝相について見てみましょう。前足を体の内側にたくし込んだ「香箱座り(下で説明)」をして寝ている時は、「安心」して見せる猫の寝方・寝相です。
また、猫がお腹をすっかり上に見せた無防備な姿で伸びきっている時も、完全に信頼・安心しきった寝方・寝相と言えます。飼い主を信頼してリラックスしているサインなのです。
警戒している時
次に「警戒している時」の猫の寝方・寝相を見てみましょう。これは、たとえ丸くなっていても、前足や後ろ足の裏も、床にぴったりくっつけたまま寝た寝方・寝相の時です。この体勢だとすぐに動くことができます。香箱座り(下で記述)の時も後ろ足は飛び出せるようにしています。
また、猫がスフィンクスのようなポーズをとって頭をあげ前足を突き出しているような時も、警戒している時と言われます。この場合も後ろ足がすぐ飛び出せるような大勢なのです。
猫の寝方・寝相でわかる気温・健康状態
猫の寝方・寝相で気温・健康状態がわかります。寒い時や暑い時、猫の具合が悪い時など、猫の寝方・寝相は異なります。猫が居心地良いのか悪いのか知りたいところです。猫の居心地の良し悪しの分かるボディ・ランゲージでもあります。
猫の寝方・寝相は、猫の気持ちを表すと同様に気候に順応したサインであったり、猫の具合の良し悪しのサインなのです。それぞれの違いについて、詳しく見てみましょう。
寒い時
寝方・寝相でわかる気温・健康状態で、寒い時の猫はどんな状態でしょうか?猫と一緒に暮らしている方なら、きっともうお分かりでしょう。猫は冬に近づく頃から、寒い時くるりと丸くなった寝相で眠ります。そして省エネモードになりますので、睡眠時間も長くなるようです。
そして飼い猫であれば、寒い時は飼い主の布団に潜り込んでくるので、人間も暖められます。作家のエドガー・アラン・ポーのエピソードが残されています。小説が売れず、ニューヨークのセントラールパークの小屋に住んでいた時、奥さんが何匹かの猫で暖をとったと言うものです。
暑い時
では、寝方・寝相でわかる気温・健康状態で、暑い時の猫はどんな状態でしょうか?猫は体を思い切り伸ばし切って眠ります。この体の伸ばし方には猫によって、また暑さによってさまざまなバリエーションがあります。
お腹を上にして伸び切ったり、また家の中では冷たい場所である玄関のタイルにお腹をぺったりくっつけ寝る時もあります。猫にとって心地良く過ごしやすい温度は20°〜22°とも言われています。
具合が悪い時の寝方は?
寝方・寝相でわかる気温・健康状態で、具合が悪い時の猫の寝方はどんなポーズか見てみましょう。猫が具合が悪い時は、いつもの寝場所を選びません。違う場所で眠ります。これは間違いなく、具合が悪いサインですので、飼い主さんだったら「おかしい」と気づいてあげて下さい。
そして寒い時に丸くなった寝方のように、この場合は丸くと言うよりうずくまるという表現が当てはまるでしょう。いつもと違う場所で丸くなっていたら、具合が悪いサインです。
猫の寝方・寝相の名前を覚えよう!
猫の気持ちやその時の温度、猫の具合まで分かる猫の寝方・寝相には、実はそれぞれ名前がついています。あなたも聞いたことのある名前から、初めて聞く名前があって驚くかも知れません。猫のボディ・ランゲージであるそれぞれの寝方・寝相の形についている名前を覚えましょう!
へそ天
「猫の寝方・寝相の名前を覚えよう!」に、まず「へそ天」の呼び名があります。別名「仰向け寝」で、このポーズで眠っている時は、すっかり身を任せて安心しきっていると言う気持ちを表しています。つまり最高にリラックスしていると言うボディ・ランゲージです。
猫にとってお腹は急所なのに見せて寝ていると言うことは、まわりのシチュエーションに安心し、そばにいる人を信頼していることを意味しています。
香箱座り
「猫の寝方・寝相の名前を覚えよう!」で次に「香箱(こうばこ)座り」があります。四足動物の猫が前足後足を体の中にたくし込んで座っている姿を「香箱座り」と呼びます。
「香箱座り」は英語圏では「Catloaf(パンの塊に例えて)」、「meatloaf」とも呼ばれます。「香箱座り」は、また「箱座り」「香箱を組む」「香箱を作る」とも言われています。香箱とは、香木や勲香料を入れる蓋つきの箱で、長い形や四角に近い形があり、猫はどちらの形にもなれます。
この「香箱座り」のポーズで眠っている姿は、すぐに動き出す準備をしているわけではないので、比較的落ち着いた気分の時に見られる寝方・寝相と言えます。けれど意外に後足がすぐに踏み出せるので、とっさの状況にも反応できるともされます。
しり向け寝
「猫の寝方・寝相の名前を覚えよう!」に、「しり向け寝」があります。このポーズの寝方だと背後から襲われた時身を守れません。つまり飼い主にお尻を向けて寝ている時は、人を完全に信頼しきって安心していることを意味します。「この人なら大丈夫」と言うボディ・ランゲージです。
アンモニャイト
「猫の寝方・寝相の名前を覚えよう!」に「アンモニャイト」があります。「アンモニャイト」と言う可愛い名前は、アンモナイトが猫訛りを起こした言い方ですが、そのポーズの形がアンモナイトに似ているからです。
アンモナイトとは恐竜時代以前の古代に生息していた巻貝で化石として見ることができます。あなたは猫がアンモニャイトの形で眠っているのをきっと見たことがあるでしょう。
アンモニャイトと名付けられた、この猫の丸くなった寝方のポーズに心が癒される方も多いでしょう。けれどこのアンモニャイト・ポーズの形の眠り方には理由があります。それは、このポーズが寒い時に良く見かけることと関係しています。
猫のふさふさの毛皮からは、想像できないかも知れませんが、猫は冷え性です。先祖が反砂漠地帯だったため、寒さに弱いと言われています。手足やシッポ、お腹や顔を体の中にたくし込むようにしているのは、それらの部位が冷えているので暖めようと丸くなっているのです。
ごめん寝
「猫の寝方・寝相の名前を覚えよう!」の猫の寝相のポーズに「ごめん寝」があります。猫がまるで「ごめんなさい」と言っているように床に顔をつけて寝る姿のことです。
この寝相になってしまうのは、光が眩しい時や、たまたまこの寝相の時にそのまま顔が床につく程眠り込んでしまった場合です。信頼する飼い主さんがそばにいる時を意味する場合が多いと言えます。
この他にも「スフィンクス座り(前足を突き出し後足を体にしまう)」「寄り添い寝(なついた人にぴったりくっつく)」、「ばってん寝(両前足で顔を隠す)」「猫団子(猫どうしくっついて)」などの猫の眠る時の呼び名もあります。みな猫のボディ・ランゲージと言えるでしょう。
ちなみに「猫転送装置」と呼ばれるものがあります。床にロープなどで丸く輪を作ると、箱の中を好む猫の習性で猫はこの輪の中に入ろうとします。少し前にSNSなどで人気になりました。
猫の寝方・寝相から気持ちを理解しよう!
猫好きの方にとって、猫の仕草のバリエーションはどんな時も愛らしく思えるでしょう。そして猫の寝方・寝相から猫の気持ちや健康を知り、暑い時・寒い時にどうしてあげたら良いかも分かりました。猫のボディ・ランゲージを知ることで猫も信頼してくれ、猫とのコミュニケーションも豊かになります。