ミントの種類と特徴
ミントの爽やかな香りは、昔から人気です。ミントはガムや歯磨き粉などのフレーバーに使われてきました。また、アロマテラピーでもよく利用され、心と身体をすっきりさせる効果があります。料理に使われるハーブとしても有名です。
ミントティーなどお茶にする使い方もできます。ミントは品種同士の交配が簡単にできる植物です。ミントの原種は20種類から40種類と言われています。
交配が重ねられ、今では数えきれないほどのミントの種類があります。ミントの種類と、葉や香りの特徴をまとめてみました。
種類①スペアミント
ミントの種類には大きく分けて「スペアミント系」と「ペパーミント系」があります。スペアミントはほんのり甘い香りがするミントです。
「ミドリハッカ」や「カーリーミント」といった呼び名で知られ、ペパーミントより以前からハーブとして用いられてきました。
スペアミントの名前の由来は、葉っぱの形状が槍の先のように見えることから「spear」の言葉が付けられました。使い方としては、紅茶やお菓子に添えたり、歯磨き粉やガムのフレーバーといったものになっています。
種類②ペパーミント
ペパーミントは、スペアミントとウォーターミントを交配させて生まれたミントです。「セイヨウハッカ」とも「コショウハッカ」とも呼ばれています。香りが強いことが一番の特徴と言えるでしょう。殺菌作用、防虫効果にとても優れているので、野菜や花と一緒に植える育て方をするコンパニオンプランツとしても栽培されているミントです。
種類③アップルミント
アップルミントは名称の通り、林檎とミントを合わせたような香りがするミントです。別名に「マルバハッカ」「ウーリーミント」といった呼び名もあります。葉っぱは産毛が生えており、丸形をしています。背丈は大きめで、60センチから100センチぐらいの大きさに育ちます。白や淡いピンクの、穂の形をした花を咲かせる特徴があります。
種類④パイナップルミント
パイナップルミントは、アップルミントの交配種です。パイナップルミントは、やわらかい毛の生えた丸い葉っぱを持ち、その葉に周囲を囲むように白やクリーム色の斑紋が入っている点が特徴と言えます。名称の通り、パイナップルのような香りをほんのりとさせています。魚料理やハーブティーに使えるような育て方をするのにおすすめのミントです。
種類⑤ウォーターミント
ウォーターミントはヨーロッパ、北アメリカ、アジアといった北半球の広範囲に分布しているミントです。ウォーターミントの由来は、水の多い沼地に生えることから来ています。
日本では「沼薄荷」や「水薄荷」とも呼ばれています。ペパーミントはこのウォーターミントから生まれました。香りが強い点が特徴で、サラダや香辛料に使うような育て方におすすめのミントです。
種類⑥ペニーロイヤルミント
ペニーロイヤルミントは、ペパーミントよりも強い香りを持つミントです。和名を「目草薄荷」と言います。背の高さは10センチから40センチと低く、丸い葉をしており、茎が横にどんどん伸びる特徴があります。
害虫を除ける効果が強いため、グラウンドカバーとしての育て方をするのもおすすめです。さらにヨーロッパでは虫除けとして、ベッドの側に置く習慣があります。
種類⑦ニホンハッカ
ニホンハッカは単に「ハッカ」とも呼ばれるミントです。別名「ジャパニーズミント」「和種薄荷」とも呼ばれます。香りの特徴はメントールが豊富で、それでいながらバランスの良い香りをしています。
背の高さは50センチから60センチほどになります。葉が特徴的なギザギザの卵型をしています。淡い紫色の小さな花が、葉の付け根に固まって咲くのも特徴です。
種類⑧ヒメハッカ
ヒメハッカは、日本に自生するミントの1種です。開拓時代の北海道で発見されました。1つ1つの株は小さめにまとまっていますが、精油を多く抽出できるミントとしてもおすすめです。
葉が細かいのが特徴で、香りの柔らかなスペアミントよりもマイルドな香りをしています。最近では自生している姿はなかなか見ることはできません。
食用などに使うような人工的な育て方をされているケースがほとんどです。環境省のレッドリストに、準絶滅危惧種に指定されているミントです。
ミントの分類と見分け方
ハッカ族のミントは自然交配が起こりやすい植物です。厳密に種類を区別するのは難しいのがミントです。しかし、その特性を考えると、私たちが日常的に使うことができるミントは大きく分けて、スペアミント系かペパーミント系に分類されます。
この2種類のミントの見分け方はどうすればいいのでしょうか?また、簡単な見分け方はあるのでしょうか?スペアミントとペパーミントの見分け方を把握しておくと、料理、飲み物の他、その他の用法で使う時に応用できるというメリットがあります。
スペアミント・ペパーミントの見分け方
それではミントの見分け方について見ていきましょう。スペアミントとペパーミントの見分け方は慣れれば簡単と言えるでしょう。まず葉の形を見ての見分け方です。スペアミントは葉先が尖っていて、葉全体も少しギザギザしています。
葉脈も薄いといった特徴があります。いっぽうでペパーミントはスペアミントと比較して綺麗な葉の形をしています。葉脈が深い点も、見分け方の大きなヒントとなります。
さらに香りによる見分け方もあります。スペアミントのほうが香りが繊細で、ペパーミントは香りが強いです。ペパーミントはメントールが主成分ですが、スペアミントはカルボンとリモネンが主成分という見分け方ができます。
和種ハッカ系は改良で生まれた
ミントはスペアミントとペパーミントに大きく2分されると先述しましたが、これに和製ハッカを加えることもできます。和製ハッカは大正時代から独自に改良を重ねた育て方をされていったミントです。
見分け方として、ペパーミントを超えるメントールの香りという特徴を挙げることができるでしょう。風味からも見分け方ができます。和製ハッカは強い爽快感があり、クールミントという別名が付けられたのも納得の風味と言えるでしょう。
ミントの使い方の決め方
ミントにはさまざまな、おすすめの使い方があります。ミントは香りによって見分け方ができます。違いは香りにあると言っていいでしょう。
香りの違いによって、おすすめの使い方は変わります。個体差もありますが、香りの強さだけで判断するなら、和製ハッカがいちばん香りが強く、次がペパーミントで、その次がスペアミントです。
もっと香りが薄いのがその他のミントであると覚えるとよいでしょう。ではミントの種類によってどのような使い方がおすすめなのでしょうか?以下にそれぞれのおすすめな使いかを見ていきます。
ミントの効果・効能
ミントにはさまざまな種類があります。その効能は種類によって違うと言われています。ミントの使い方を決めるためには、まずミントを選ぶ必要があります。ミントの基本性能は同じです。栄養成分も同じです。違いはその保有量です。
どのミントでも、ある程度の効果は期待できます。しかし、よりよい効果を期待するなら、効能成分の保有量の多いミントを選ぶことをおすすめします。
味や香りで使い方が違う
ミントの味や香りの違いは、そのミントに含まれる成分の違いと言えるでしょう。ペパーミントは爽やかな清涼感のある香りがします。風味も比較的、刺激的と言うことができるでしょう。
いっぽうスペアミントは清涼感がやや弱く、青臭い香りがします。その反面、ほのかな甘みが感じられます。さらに乾燥したミントはスカスカした感じがあります。
生の葉にはほのかな甘みがあります。味や香りが違う理由は、以下に述べるメントールとカルボンといった成分の違いによると言えるでしょう。
メントール
ミントの清涼感を左右する成分が、メントールです。メントールの成分が多いミントは、和製ハッカやペパーミントです。そのため和製ハッカやペパーミントはガムや歯磨き粉によく使用されています。メントールには防腐作用、殺菌作用、鎮静作用があります。薬用として利用されるミントのほとんどがペパーミントと言われています。
カルボン
カルボンという成分は、スペアミントに多く含まれている香気成分です。メントールと比べると、清涼感が弱く、青臭さを感じさせます。さらにほのかな甘みがあります。メントールと違い、穏やかな香りのため、料理にも合わせやすいという特徴があります。お酒やお菓子には、スペアミントが選ばれています。
その他の成分
ミントに含まれる成分は、メントールとカルボンだけではありません。その他、精油成分、フラボノイド、タンニン、ミントポリフェノールなどの成分が含まれています。
精油成分は皮膚に浸透して、身体をすっきりさせてくれる働きがあります。また、ミントポリフェノールには鼻の粘膜の腫れを抑える働きがあり、花粉症の症状がある人には、春先に特にうれしい効能と言えるでしょう。
ミントのアロマテラピー効果
ミントの精油はアロマテラピーでもよく使用されています。主にペパーミントの精油が使われます。フレッシュで爽やかな香りが特徴的で、少し辛みがあると言われています。心への効能として、活力と元気を与えてくれる精油だと言えるでしょう。
すっきりした香りが集中力を高めてくれて、新しいひらめきも得られるでしょう。身体への効能は鎮痛作用、抗菌作用、消炎作用、消化器官調整作用、解熱作用、発汗作用、抗ヒスタミン作用があります。
さらに抗アレルギー作用、筋肉弛緩作用、体温調整作用など、さまざまな効能があります。肌に塗った時の効能としては、皮膚の炎症を抑える効果があります。日焼け後の肌の炎症の改善に効果があると言われています。
肌の引き締め作用もあります。髪への効果は、デオドラント作用と収れん作用があります。その他、精油を使って歯肉炎を改善させたり、ゴキブリを寄せ付けないといった効果もあります。
精油のおすすめの使い方としては、芳香浴、沐浴などの他、キャリアオイルに混ぜてボディケアをしたり、ハンドケアをしたりすると効果的です。ヘアケアやスキンケアにも効果があるとされています。
ミントの精油を使う上での注意点
ミントの精油は、とても強力な作用があります。そのため、妊娠中の女性、あるいは授乳中の女性は使用を避けましょう。また刺激の強さから、てんかん症や高血圧の人も避けることをおすすめします。発熱時や心臓に疾患がある人も使わないほうがいいでしょう。さらに幼児にも刺激が強過ぎるので、使用させないようにしましょう。
香りの相性がいいブレンド
アロマテラピーでは、数種類の精油を混ぜて、さらに良い香りを楽しんだり、効能に相乗効果を上げたりすることができます。ミントは清涼感を出してくれる精油です。
ミントの精油と香りの相性がいい精油は、ハーブ系や柑橘系の香りの精油と言われています。ハーブ系ならクラリセージ、セージ、ローズマリーと相性がいいと言われています。
柑橘系は全般に相性がよく、フローラル系ならラベンダーの精油、樹木系ならユーカリの精油と一緒に使うと効果が上がると言われています。また、身体への効能をアップさせるためのブレンド法もあります。
肩こりにはペパーミントにブラックスプルース、ラベンダーを混ぜると効果があると言われています。乗り物酔いにはペパーミントにプチグレンとレモンを混ぜると効果的と言われています。
ミントの料理での使い方
ミントは料理にも利用されています。まず、ミントの風味が甘みとの相性が良いため、お菓子に多く利用されています。また、ハーブの一種として、野菜料理や肉料理にも使用されています。さらに、飲み物としてはハーブティーが有名です。
ハーブティーの効能として、殺菌作用、鎮静作用、さらには眠気覚ましにもなるというおすすめの飲み物になります。さらに、生の葉を使うのか、乾燥した葉を使うのかで、料理への取入れ方は変わってきます。
生のミントの使い方
ミントの生の葉は、悪臭成分や苦み成分も含まれています。したがって大量に使用することはおすすめできません。少量をサラダに加えたり、ケーキやアイスクリームに添えたりします。また、生の葉はソースの香りづけにも利用されています。
また、バターに加えてミントバターにしたり、ゼリーに加えてミントゼリーにしたりする食べ方もおすすめです。
さらに、生の葉をつぶしてホイップクリームやチョコレートムースに混ぜるのも、美味しい食べ方です。シャーベットに加えたり、トマトの上に散らしたりする食べ方もおすすめです。
乾燥したミントの使い方
次に乾燥した葉の用途について見ていきましょう。西欧ではマトンやラムなどのくせの強い臭いをした肉の料理に乾燥ミントは使用されます。カクテルや甘い飲み物にも、乾燥させたミントはよく合うでしょう。
ミントの清涼感は甘味ともよく合います。そのためドロップ、キャンディ、ゼリーといった菓子類にも使われます。この場合は乾燥したものではなく、エッセンシャルが安いという理由でよく使われています。
ミントの飲み物での使い方
ミントと言えば、その清涼感でひんやりとしたイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし温かい飲み物でも、その爽やかさで人気があるハーブでもあります。ミントティーはハーブティーの代表とも言える飲み物でしょう。さらにはカクテルに用いられたり、温かいミルクの風味付けにしたりといった用途もおすすめです。
ハーブティの作り方
生の葉でミントティーを作る場合、葉をちぎっておくと色や香りがよく出ます。ミントの生の葉を5枝分ティーポットに入れ、熱湯200ccを注ぎ、5分待ちます。
カップに入れれば出来上がりです。氷を入れるとアイスミントティーができます。ミントの葉の青臭さが気になる人は、砂糖を入れることをおすすめします。また、レモンやはちみつを入れても美味しいミントティーが楽しめます。
ハーブティにおすすめのミント
基本は自分の好きなミントでミントティーを楽しむのが一番でしょう。フレッシュハーブティーにするには、柔らかな清涼感を持つスペアミントがおすすめです。さらにアップルミントは甘くまろやかな林檎の風味を楽しむことができるでしょう。また1種類だけでなく、レモングラスやカモミールといったハーブと混ぜて飲むのもおすすめの飲み方です。
モヒートへの使い方
モヒートはスペアミントを使った、キューバの人気の飲み物です。テイストは辛口で、ロングタイプのカクテルです。作り方も簡単です。まずライムとミントと砂糖をグラスに入れます。ペストルでそれらを潰し、氷を入れ、ホワイトラム30ミリリットルを注ぎます。ソーダでアップして、ミントを飾って出来上がりです。
ミントミルクへの使い方
ミントを使った飲み物で、ミントミルクをご存じですか?ミントミルクは寒い日に飲むと、身体が温まる美味しい飲み物です。これも作り方は簡単です。耐熱コップにミントの葉を入れて、その上から、温めた牛乳を注ぎ入れます。あとは砂糖を加えるだけです。少し甘目のミントミルクが美味しいとおすすめです。
ミントのその他の使い方
ミントにはさまざまな楽しみ方があります。食べ物に加えても美味しいですし、ミントティーにして飲んでも爽快感が得られます。カクテルやミントミルクもおすすめです。また庭を飾る緑の役割も果たしてくれます。これ以外に、ミントには大きな力があります。それは害虫を家に寄せ付けないという効果です。
害虫駆除・殺菌効果の製品に使われる
温かい季節になってくると、ゴキブリや蚊、ハエ、紙魚(シミ)といった害虫に元気が出てきます。そんな時にはハーブなどの鉢を置くことが有効だと言われています。人間にとっては気持ちのいい香りでも、害虫は大嫌いな香りというものがあります。
その1つがミントです。ミントに含まれているメントールが害虫に対する忌避効果を持っていると言われています。害虫を家に出さないためといったミントの育て方もあるということを覚えておきましょう。
ミントの育て方
ミントは乾燥しても生の葉でも利用できる、便利なハーブです。ミントを家で育てると、必要な分だけいつでも新鮮なミントを収穫できます。ミントの育て方は難しいのでしょうか?ハーブ類はミントに限らず、育て方の簡単な植物です。葉や花を楽しむだけでなく、香りも楽しめ、食用にもできてしまう、便利なミントの育て方を見ていきましょう。
入手方法
ミントは育て方が簡単な植物です。種を蒔く育て方もあります。しかし増やすことが簡単にできるので、苗からの育て方をするのが一般的と言えるでしょう。育てている苗から種を採ることもできますが、同じミントをもう1株欲しい場合は、挿し木や水挿しなどの育て方で増やすことがおすすめです。
植え方
ミントは鉢植えと地植え、どちらがおすすめと言えるのでしょうか?ミントは強い植物なので、地植えにすると地下茎で繁殖する繁殖力がとても強い植物です。地下と地上両方からすごい勢いで増えていきます。その点は注意が必要と言えるでしょう。
空きスペースがたくさんあって、グラウンドカバーに植えたいという時にはおすすめです。限られたスペースで育てたいと考えている人は鉢植えをおすすめします。1つの鉢に1つの種類にしておかないと、地下茎が増えるので、植え替えの時に大変になってしまいます。
水やり・肥料
次に水やりと肥料について見ていきましょう。地植えの場合、根付いた後は水やりの必要はありません。鉢植えの場合は土が乾いたら、たっぷり水を与えて乾燥を防ぐ育て方をしましょう。また地植えの場合、肥料はいりません。鉢植えの場合も、初春に置き肥を少し上げるだけで充分だと言われています。
ミントを育てる注意点
生長力の強い植物なため、ミントは植えっぱなしにしておくと根が回りやすくなります。1年から2年に1度の植え替えをおすすめします。増やしたくない場合は株を整理して、同じ鉢に植え替える育て方をしましょう。
病害虫を見つけたら、割りばしやピンセットで摘まんで取りましょう。摘まむことができない場合は、その部分の葉や茎といっしょに切ってしまいましょう。
ミントは種類によって特徴や使い方が違う
ひと口にミントと言っても、数多くの種類があります。さらに、種類によって使い方は変わってきます。ミントの鉢を持っていると、食事にも飲み物にも虫除けにもなる、とても便利なハーブです。
生のミントでミントティーを楽しんだり、乾燥させて料理に使ったり、いろいろな使い方ができます。精油を利用すれば、身体の不調を改善したり、気分がすっきりしたりします。あなたの気に入ったミントを手に入れて、幅広く楽しみましょう。