会社の登記簿謄本とは
登記簿謄本とは会社などの情報が記載されている文書で、不動産や商業、法人など色々なジャンルで必要となります。以前は紙で管理されていましたが、現在では電子で管理するようになっています。登記簿謄本は様々な手続きを行う際に必要となりますが、今回は会社での登記簿について用途や取り方、登記事項証明書との違いなどを詳しく解説しましょう。
登記簿を法務局がコピーし認証したもののこと
登記簿謄本は一言でいうと「登記簿のコピー」です。登記簿は法務局で管理されており、その登記簿をコピーして認証されたもののことを登記簿謄本と言います。実際には登記簿謄本という書類は存在しておらず、過去に紙で管理されていた時の名残としてその名前が残っています。
登記簿謄本の種類
登記簿謄本には3つの種類があります。商号などに関する登記(商業登記)と土地などの不動産に関する登記(不動産登記)、会社の情報に関する登記(法人登記)です。
さらに商業登記は商号登記や未成年登記、不動産登記は権利に関する登記や表示に関する登記、法人登記は合同会社登記や株式会社登記など、それぞれの登記でも目的によってさらに細かく種類分けされます。
会社の登記簿謄本と登記事項証明書との違い
登記簿謄本の他にも「登記事項証明書」と呼ばれるものがあります。登記事項証明書とは、ネットから取得した登記簿のデータのことを指します。今までは登記簿が必要な時には法務局まで行き、登記簿のコピー(登記簿謄本)を取得する必要がありましたが、現在はデータ化されているのでネット上から閲覧出来るようになっています。
証明する内容などは同じ
「登記簿謄本」と「登記事項証明書」は名前は違いますが、証明する内容に違いはありません。以前は紙で管理されていたため「登記簿謄本」と呼ばれていましたが、現在は登記簿はデータ化してネット上で閲覧できるので「登記事項証明書」と呼ばれています。そのため、現在登記簿を取得する際は正確には「登記事項証明書」を申請することになります。
会社の登記簿謄本はどんな時に必要?
では、会社で登記簿謄本が必要となるのは、どんな時なのでしょうか。主に会社の登記を変更するときや決算を申告するとき、融資を受けるとき、補助金の申請をしたいときに登記簿謄本が必要となります。それぞれの用途ごとに、なぜ登記簿謄本が必要なのかをこれから解説しましょう。
登記を変更するとき
まず、登記簿謄本は会社の登記を変更するときに必要となります。会社の新たな事業展開のために事業の目的を追加したり役員の変更、または発行可能株式を変更するときなどに登記の変更を行います。
登記の変更手続き中は登記を確認することができません。そのため、登記を変更するときには過去の登記簿謄本を取得し、変更箇所やその他内容に修正はないかをチェックします。
決算申告をするとき
会社は法人税を納税する時に決算申告を行い、申告時には会社の本店の所在地や資本金の金額、発行可能株式数など会社に関する正確な情報が必要となります。登記簿と申告書に違いが無いか確認をするために、担当税理士から登記簿謄本の提出を求められることがあります。
担当税理士が前回決算申告時と同じ人であれば、担当者によっては提出が省略されることもあります。しかし、担当者が変更になった場合や登記簿の内容に変更があった場合には提出が必要です。
融資を受けるとき
会社が金融機関から融資を受けるときにも登記簿謄本が必要です。会社が融資を受ける際には多くの書類が必要となりますが、登記簿謄本は会社が正しい情報を申告しているかどうかを確認するために使用されます。また、登記簿謄本でこれまでの会社役員の異動などについても不審な点がないか確認されます。
会社が融資を受けるときには金融機関への登記簿の提出が必要となるので、データではなく紙で登記簿を準備する必要があります。
補助金の申請をしたいとき
国や自治体に対して会社が補助金を申請するときにも、登記簿謄本が必要となります。会社が補助金を申請するときには、先程紹介した金融機関に融資を申し込むときと同様に様々な書類が必要です。
なお、登記簿謄本が必要になる際には「発行から3ヶ月以内のもの」など、発行期限があるので注意しましょう。
会社の登記簿謄本の取り方
会社で登記簿謄本が必要になったとき、どのようにして取得すればよいのでしょうか。続いては、登記簿謄本の取り方について解説します。登記簿謄本の取り方には、登記所の窓口で請求をする取り方とオンライン上で請求する取り方の2種類あります。それぞれの取り方について詳しくみていきましょう。
登記所の窓口にて請求書を提出する場合
登記所で登記簿謄本を請求する際には、登記簿謄本を取得したい会社の本社を管轄している登記所もしくは商業・法人登記情報交換システムを利用して最寄りの登記所で請求を行うことができます。
登記所とは、「法務局や地方法務局、その支局または出張所の総称」のことを指します。法務局の管轄については法務局のホームページにて確認することができます。
オンライン上で請求する場合
登記所とは別にオンライン上からも登記簿謄本を請求することが可能です。オンライン上で請求する場合は、「登記・供託オンライン申請システム」を利用します。このシステムを利用する際には事前に申請者情報登録が必要となります。
オンライン上で登記簿謄本を申請し手数料を納付することで、指定の場所(自宅や会社など)への郵送もしくは最寄りの登記所や法務局証明サービスセンターで受け取ることができます。
登記所の窓口で請求する場合は取扱い時間が平日の午前8時30分~午後5時15分までとなりますが、オンライン上だと平日の午前8時30分~午後9時まで請求可能なので、昼間は仕事で登記所まで行けないという人に特に便利な請求方法です。
会社の登記簿謄本を取る際の記入内容と必要な物
続いて、会社が登記簿謄本を請求する時に申請書に記載をする必要事項と、請求に必要なものを解説します。登記簿謄本の申請書には請求する人・会社の名前や住所はもちろんのこと、法人番号などの記載も必要です。また、登記簿謄本を請求する際には所定の手数料の支払いも必要となります。
名前や住所・登記簿を取得したい法人の法人等番号
会社が登記簿謄本を請求する際に申請書に記載が必要な項目は会社の名前と住所、請求する人の名前・住所、本店の住所、会社の法人番号、必要な証明書の種類、必要部数などです。会社の法人番号は、国税庁の法人番号公表サイトで取得することができます。
なお、証明書発行請求機が設置されている登記所であれば、申請書の記入をしなくても請求機を操作するだけで登記事項証明書等交付申請書を作成することが可能です。
もしオンライン上で申請する場合には申請用総合ソフトのダウンロードが必要となり、そのソフトを利用して記入・申請をします。
手数料が必要
登記簿謄本の申請時には、手数料を支払わないといけません。手数料は取得方法によって違い、窓口で申請する場合は600円、オンラインで申請して郵送で受け取る場合は500円、オンラインで申請して最寄りの登記所や法務局証明サービスセンターで受け取る場合は480円です。
手数料は収入印紙を申請書に貼りつけて納付する方法の他にも、インターネットバンキングやモバイルバンキング、Pay-easyに対応したATMで支払いができます。
登記簿謄本の閲覧をしたい場合
登記簿謄本を取得したい場合は、登記所の窓口で取得する方法とオンライン上で申請をして郵送もしくは最寄りの登記所や法務局証明サービスセンターで受け取る方法を用いて登記簿謄本を取得します。もし、閲覧だけをしたい場合は「登記情報提供サービス」を利用すると登記簿謄本を閲覧することが可能です。
「登記情報提供サービス」が利用できる
「登記情報提供サービス」とは、登記所が保有している登記情報をインターネット上で閲覧できるサービスです。所有者事項(不動産の所有者のみ記載)と全部事項(登記記録の全てが記載)をPDFでパソコンにダウンロードすることができます。
登記情報提供サービスを利用できるのは平日の午前8時30分~午後9時までで、手数料として所有者事項のみ閲覧の場合は1通あたり144円、全部事項の場合は334円が必要となりクレジットカード払いが可能です。
登記簿謄本は会社などの情報が記載された公の書類
登記簿謄本とは会社などの情報が記載されている文書で、会社が融資を受けたり補助金を申請するとき、さらに決算を申告するときなど様々な場面で必要となります。
登記簿謄本が必要なときには登記所の窓口もしくはオンライン上から申請することが可能です。閲覧だけでいい場合は、登記情報提供サービスを利用すればネット上からPDFデータをダウンロードできるので是非活用してみてください。