秘書検定の難易度・合格率
これから就職や転職を考えている方の中には、「秘書検定」を受験しようと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、社内に秘書検定を持っているという社員の方がたくさんいらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
よく耳にする秘書検定ですが、「秘書検定とはどのような資格なのか」「秘書検定の種類や出題範囲はどのようなものなのか」また「秘書検定試験の難易度や対策」などはあまり知らない方も多いのではなないでしょうか。
今回は、知っていそうで良く知らない秘書検定全般について、詳しく説明していきます。最後まで読み進めていただければ、秘書検定が会社で役立つものであるとご理解いただけるはずです。
秘書検定は『公益財団法人実務技能検定協会』が行っている検定試験で、全国の主要都市で年3回開催されています。社会人の基本として身に着けておくべき常識などを、「秘書技能」として能力を試す検定試験です。
1回の試験に5万人前後が受験する人気の検定が秘書検定で、秘書検定の為の勉強をする過程で得られる社会人としての基礎力だけでなく、感じのよさなどの振舞いなども習得できることもメリットとして挙げられます。
秘書検定は「3級、2級、準1級、1級」の4種類が設けられ、3級と2級は筆記試験のみ。準1級と1級は筆記試験と面接が行われます。
3級の難易度・合格率
秘書検定3級は、基礎的なビジネスマナーが問われる級です。言葉遣い、身だしなみ、人に好印象を与える対応、上司が効率よく仕事を遂行するために秘書はどのような配慮が必要かなど、ビジネスの基本や秘書としての基礎力が問われます。
秘書検定3級で求められるのは、秘書になるための適性と最低限の知識を確認する内容に留められていますので、テキストや後ほど紹介する勉強法を事前にこなしておけば、決して難易度は高くはありません。
なお、秘書検定3級の合格率(2018年11月実施回)についても参考までに紹介しておきましょう。秘書検定3級を受験した人数が13,175名。そのうち合格したのが7,321名。合格率は55.6%ということになります。
2級の難易度・合格率
秘書検定2級は、秘書業務遂行にあたり必要な知識に加え、技能が求められる級です。3級で求められる基礎力は当然として、上司の手助けを適切に遂行するため、業務の優先順位を考えて業務効率を上げるための能力も必要とされます。
なお、秘書検定2級は、受験者数がもっとも多い人気の高い級です。3級の出題内容に加え、敬語や接遇用語などの使い方などが問われます。
ただし、筆記試験のみなので難易度はそこまで高くありません。テキストを読む、後ほど紹介する勉強法に取組むなど、3級と同じ勉強法で準備しておくことで合格率を上げることができるでしょう。
なお、秘書検定2級の合格率については(2018年11月開催回)、受験者数が27,212名と秘書検定3級の受験者数の倍近くになっています。合格者は15,143名。合格率は55.6%となっており、合格率は3級の合格率と同程度になっています。
準1級の難易度・合格率
秘書検定準1級は、上司からの相談に応える能力に加え、後輩指導力も求められるようになります。また、準1級からは面接試験が加わり「人柄の表現力」も審査対象になるなど、判断力と対応力を兼ね備えた中堅秘書像が準1級のレベルです。
秘書検定は、準1級から面接試験が追加されることにより難易度が格段に上がります。筆記試験の解答方法も、3級や2級までは選択式が多かったのに対し、準1級では記述式が5割を占めるようになることからこちらも難易度が上がります。
面接試験は、筆記試験合格者のみに受験資格が与えられるのですが、面接試験の問題や課題については試験当日まで発表されないため、難易度は更に高くなっています。
その様な秘書検定準1級の合格率については、受験者数が4,829名と大幅に減り、その中で合格者は1,957名。合格率は40.5%となっています(2018年11月開催回)。3級や2級と比較すると合格率は10%程低くなるなど、難易度の高さが伺えます。
1級の難易度・合格率
秘書検定の中で最も難しいのが1級です。秘書検定1級に求められるのは、上司の仕事内容を理解し、上司が円滑に仕事を進められるよう、先読みをして行動する能力が求められます。常に上司が動きやすいようにサポートする上級秘書の能力が求められます。
秘書検定1級では、秘書に求められる職務を十分に理解していることに加え、高度な専門的知識と技能も求められます。筆記試験でも選択問題はゼロになり、すべて記述式で回答する方式になることで、難易度は跳ね上がっています。
このように高難易度の秘書検定1級ですが、2018年11月開催回での合格率は22.1%となっています。かなり難易度の高い準1級の合格率が約40%程でしたので、その更に半分ほどの合格率です。1級の難易度の高さが感じられる数字です。
なお、受験者数は1,073名。合格者はわずか237名でした。この級を受験しようと考えているほどの受験者の中での合格率が20%前後ということで、難易度の高さが想像できるのではないでしょうか。
秘書検定の問題内容・試験方式
秘書検定の種類(3級~1級)と、各級に求められる技能、そして難易度や合格率について紹介しました。秘書検定に求められることの、おおよそのところはご理解いただけたでしょうか。
では次に、秘書検定の問題内容や試験方法について改めて整理しておきましょう。先ほど紹介した内容と重複する部分もありますが、再確認してください。
まず、秘書検定の出題範囲はについて紹介します。秘書検定には理論分野と実技分野の2分野があり、出題範囲は「理論分野」3項目、「実技分野」2項目の計5項目です。どちらの分野でも60%以上正当することが合格基準です。
理論分野は、秘書業務を行うための資質や職務知識、一般知識が問われる分野です。秘書として備えておくべき要件や人柄、職務知識、社会常識に経営知識などの一般知識の分野です。
実技分野は、マナー・接遇技能が問われる分野です。人間関係や言葉遣い、ビジネスマナー、接遇業務などが出題範囲となります。
3級・2級は筆記のみ
先ほども少し紹介しましたが、秘書検定試験は3級および2級は筆記試験のみで行われます。各級の試験問題の出題範囲は先ほど紹介した内容です。
3級も2級も、全体の9割がマークシートによる選択問題、残りの1割が記述問題という構成になっています。ほとんどがマークシート形式の問題なので、ある程度の記憶で対応できることからも難易度はそこまで高くないと言えます。
準1級・1級から面接試験があり難易度が上がる
秘書検定試験は、準1級そして1級になることで難易度が跳ね上がることは先ほど紹介した通りです。3級や2級はマークシート中心の問題でしたが、筆記問題の構成も大きく異なります。それぞれの構成についても紹介しておきましょう。
準1級の筆記試験は「マークシート5割、記述問題5割」です。筆記問題の比率が一気に上がることで難易度が上がります。筆記試験合格者は面接試験に臨み、面接は「簡単なロールプレイング」を3人1組で約10分間行います。
最高難易度の1級においては「筆記試験はすべて記述問題」です。選択式は1問も無いという難易度の高さです。筆記試験合格者は「高度なロールプレイング」を2人1組で約15分間行います。試験方式の違いからも難易度の違いが伺えます。
秘書検定の独学の勉強法
秘書検定は3級から1級までありますが、全ての級を独学で合格することは可能なのでしょうか。また、どの様な勉強法で勉強すればよいのでしょうか。秘書検定を独学で勉強する場合のメリットやデメリット、費用や時間について確認しましょう。
独学のメリットは何と言っても費用が掛からないこと。テキストは必要になりますが、テキスト代だけしかお金がかからず、通学時間等もなく、自分のペース、勉強法で勉強できることがメリットとして挙げられます。
デメリットは、すべてを自分で決めなければならないこと。勉強法、勉強時間、進行管理なども全て自分ひとりです。費用の目安は、テキスト2冊購入した場合で3,000円~4,000円程。受験費用が別途3,800円かかります。
2級に合格するための勉強時間は約20~70時間ほど。1日30~60分勉強した場合で2ヶ月~3ヶ月ほどの時間が必要になります。では独学では、具体的にどの様な勉強法で勉強すれば良いのでしょうか。簡単に勉強法を紹介しましょう。
問題集を解く
独学の勉強法でまずやらなければいけないのは、問題集を繰り返し読み込むことです。問題を解き続けて苦手な場所を把握しましょう。そして、わからなかった問題の解説をしっかりと読み込みましょう。
知らない用語が出てきますが、問題集を解いて慣れることも大事です。3級と2級は、秘書の基本業務やビジネスマナーが身についているかが審査基準です。
3級と2級の試験は、約9割がマークシートの選択問題です。迷わせるような選択肢が多く出題されますので、独学の場合は問題集で慣れておく必要があります。その対策として有効な勉強法が問題集を繰り返し解くことなのです。
過去問を解く
続いての独学での勉強法は、過去問題集を1冊買い、その1冊を完璧にするまで解き続けるという勉強法です。秘書検定試験に限らず、過去問題集は何回も繰り返して説き続けることが有効です。もちろん、間違えた箇所の解説をしっかり読むことがセットです。
1冊の過去問題集を、完璧に覚えるまで解き直し続けることで合格できるレベルになっています。特に3級や2級の場合はマークシート方式が大半なので、用語等も一字一句間違えずに覚えていなくても正当を選択することは可能です。
テキスト(問題集)1冊、過去問題集1冊の合計2冊を買い、今紹介した勉強法を行うことで、独学でも秘書検定3級と2級には十分合格できる実力をつけることが可能です。
面接の模擬練習をする
一方で、この勉強法だけでは合格しにくいのが秘書検定準1級と1級です。筆記試験以外に面接試験があるためです。
面接試験は2人1組のロールプレイング形式で行われ、報告や応対に対する質疑応答が行われます。その為、自宅等で1人で練習するのが難しいのです。
準1級以降の合格を目指すなら、過去問題をよく復習した上で、模擬面接のある資格取得講座などを受講するがおすすめです。独学でも合格は可能ですが、面接試験の流れの確認、模擬面接を経験しておいた方が安心です。
秘書検定のおすすめの参考書
秘書検定合格のためには、面接の模擬練習を除いては独学でも合格可能であることを紹介しました。ここでは、秘書検定3級~1級それぞれの勉強に適したおすすめの参考書を紹介します。
これらの参考書を用い、先ほどの勉強法を取り入れていいただければ、難易度がそこまで高くない3級や2級には合格することができるでしょう。
秘書検定の合格率は大よそ40~50%(3級~準1級)前後ですので、そこまで難易度が高いわけではありません。その割には就職活動での面接などでは評価をえられるなど、メリットは大きい資格です。独学でも頑張って取得を目指しましょう。
3級のおすすめの参考書
秘書検定3級受験にあたってのおすすめの参考書は『秘書検定集中講義3級/実務技能検定協会』です。全領域を29に分けた1レッスン完結型の参考書です。
「CHALLENGE実問題」は実際に出題された問題を掲載していて、「POINT出題CHECK」5択の中でひっかかりやすいものをピックアップして解説してくれています。
問題集でおすすめなのが、同じく『秘書検定3級実問題集/実務技能検定協会』で、検定協会が責任編集した過去問題集です。最新の過去問が6回分収録されていて、巻末には「要点整理」もついています。この1冊を完璧にするようにしましょう。
2級のおすすめの参考書
秘書検定2級のおすすめ参考書も3級と同じく『秘書検定集中講義2級/実務技能検定協会』と『秘書検定2級実問題集/実務技能検定協会』になりますが、他にもおすすめの参考書を紹介します。
『秘書検定2級パーフェクトマスター/秘書検定公式受験参考書』『カラー改訂版出る順問題集・秘書検定2級に面白いほど受かる本』。15年以上のベストセラーで、フルカラーなので見やすく取り組みやすくなっています。
『秘書検定クイックマスター2級・改訂新版』は、見開きで構成されており、各項目の重要部分に「キーフレーズ」が掲載されわかりやすくなっています。出題頻度の高い問題を暗記しやすいような工夫がされていて、短時間で合格を目指せるテキストです。
準1級のおすすめの参考書
秘書検定準1級の勉強法も、基本は3級や2級と一緒です。実務技能検定協会のオフィシャル参考書と過去問題集がおすすめです。そのほかの参考書では『秘書検定準1級過去問題集』が挙げられます。
『秘書検定集中講義準1級/実務技能検定協会』等で勉強を進めていると、覚えるのが大変で時間が足りないと焦ってしまうことがありますので、とにかく自分の苦手な部分を重点的に読み込むようにしましょう。
また、準1級に限らず活用できるのが『過去問ドットコム』。webで149の選択問題を解くことができます。解答の下に『解説』もついているので、解き方のポイントとコツを理解しながら進められます。
なお『過去問ドットコム』は新規登録(ログイン)して使用することをおすすめします。149問を一気に解いてしまうのであれば良いのですが、途中で辞めた場合は、ログインしていないと次も1問目からのスタートになってしまうからです。
ログインしていれば、途中で中断しても次回に続きから始められるので便利です。出勤時に電車の中で勉強し、昼休みにその続き、帰宅の電車の中で終わらせる、という様な効率的な勉強法を採用することが可能になります。
1級のおすすめの参考書
テキストに関しては、これまでに紹介してきたテキストの1級版で勉強を進めていただければ問題ありません。1級のおすすめ参考書においては、準1級で紹介できなかった面接対応の為の参考書を紹介しておきましょう。
おすすめは『秘書検定1級面接合格マニュアル(DVD)/実務技能検定協会』です。実際の試験に即した応対を動画で紹介してくれるDVDです。準1級版も販売されています。準1級版では「あいさつ」「報告」「状況対応」を徹底分析、シミュレーションしています。
1級版では「どのようなことも丁寧か」「きちんとしているか」を具体的に解説しています。いずれも映像で面接試験合格のポイントが容易に理解できるようになっています。示される事例は数例だけなので、他のシチュエーションへの応用は必要です。
秘書検定を通信教育で勉強する方法
ここまでは、秘書検定を主に独学で合格するための勉強法やおすすめの参考書を紹介してきました。もちろん秘書検定合格を狙うにあたっては、独学以外にも通信教育を活用したり、資格取得の専門学校に通うという手段もあります。
ここからは通信教育や専門学校で合格を目指す場合のメリットとデメリット、そして気になる費用についても紹介します。独学、通信教育、専門学校とそれぞれにメリットとデメリットがありますし、費用も大きく違います。
どの方法が自分にとって最も合っているのか、ご自身の性格や経済状況、時間的な余裕などを含めて検討し、どの勉強法であっても合格を目指して勉強し続けるようにしましょう。
通信教育のメリット
通信教育で秘書検定合格を目指すメリットは、講師が作成したテキストが準備されていることと、試験までのカリキュラムが組まれていることです。それに沿って勉強することで資格取得できるということです。
疑問に思ったことを講師に質問できるのが独学と最も異なる点で、複数の級を同時に勉強することも可能で、1度の試験で2つの級を同時取得することも可能なので、級別にテキストを買うようりは効率が良さそうです。
通信教育のデメリット
通信教育で勉強することのデメリットは、カリキュラムのゴールが試験日になっているため、スケジュール通りに勉強が進まないと試験に間に合わない可能性が出てくることです。
また、3級や2級を社会人が受験する場合は、会社勤めの経験で一定の知識を有しているとした場合、テキストだけでも十分合格する実力がある可能性があり受講費用が無駄になってしまうかもしれません。
なお、通信教育に掛かる費用の目安としては3~4万円程度を見てください。テレビCMで有名な「ユーキャン」では、秘書検定3級、2級、準1級講座が35,000円。「日建学院」の「秘書検定3級、2級、準1級筆記試験対策Web」で27,000円となっています。
勉強時間(受講期間)は、大抵4ヶ月程度に設定されています。1日1時間の勉強でも、月20時間以上になるので、実際には4ヶ月かからない方もいるかもしれません。
秘書検定を通学で勉強する方法
最後に専門学校等に通学して合格を目指すケースを紹介しましょう。まずは、費用的な面と時間的な面を確認してみましょう。
通学に掛かる費用は、週1授業で約4~5万円が目安です。加えて教室までの交通費が発生することも考えておきましょう。
学習期間は平均で3~4ヶ月、短くて2ヶ月ほどです。1回あたりの授業は約4時間ほどで、秘書検定2級講座では5回の講座計20時間の学習時間になります。
通学のメリット
通学で勉強するメリットは、決められた時間に同じ目的をもった人と勉強することでモチベーション維持、向上がしやすいことです。資格取得は始めた時の気持ちを維持するのも難しいことがあるので、これは大きなメリットといえます。
目的意識も高くなり、独学よりもはかどることが多くなるかもしれません。また、講義の中で理解できなかったことをすぐに講師に質問することができるのも大きなメリットです。
特に、難易度が高い準1級や1級の受験希望者にとっては、すぐに質問できることに加え、面接対策が整っていることは他では得られないメリットであると言えます。独学で対策しにくい面接対策ができることで難易度を下げられる可能性が高まります。
通学のデメリット
通学のデメリットは、他の勉強法と比較して受講費用が高くなることです。また、メリットでもある時間、場所が決められていることも場合によってはデメリットになることがあります。
プライベートの用事や体調不良時に致し方なく欠席してしまうことがあること、通学の交通費や時間が発生してしまう点もデメリットといえるかもしれません。
学習期間の限度が定められていることがほとんどの為、期間内に終わらなかったり、スケジュールが合わなくなった、教室が遠くなったといった不都合が生じた時に、退校せざるを得なくなる可能性がある点もデメリットかもしれません。
秘書検定は級ごとに難易度が違う
いかがでしたか。これから秘書検定試験を受験される方は、どの級がどの程度の能力を求められるのか、その為の勉強法についてもご理解いただけたのではないでしょうか。
いくつかの勉強法を紹介しましたが、合格可能性が最も高いのは通学で勉強することです。通学では講師と対面で勉強できるため、実際の仕事の場面を想像しやすく理解が深まりやすい傾向があります。
1回で確実に合格したいなら通学や通信で確率を上げるのも1つの手段です。出題傾向やノウハウを講師が熟知していることでポイントが絞られた学習が可能です。
いずれにせよ秘書検定は、3級、2級と準1級、1級とで大きく難易度の違う資格です。自分のライフスタイルや性格に合わせた勉強方法を選択するのが良いでしょう。
秘書検定で身に付けた敬語、身だしなみなどのマナー、ビジネス知識や一般常識は、就職活動だけでなく社会人になっても間違いなく役に立つ知識です。秘書検定が提唱する「感じのよさ」は業界・業種を問わず、必要とする企業が多いのが実情です。