無能な働き者ってどんな人のこと?
複数の人物が寄り合うのが会社や組織です。その数だけ、各々の考え方や能力には差があり、レベルも違います。それは分かっていながら、仕事の進捗が遅い、あるいはミスばかり繰り返すなど、職場で使えない人物を見てイライラすることがありませんか?
彼らを「無能な働き者」という表現をすることがあります。無能な働き者をそのまま放置しておくと、職場はマイナスな状態に陥ることは理解できるはずです。そこで今回は、無能な働き者についての特徴や対処法などを中心にご紹介する特集です。
無能な働き者という言葉の由来
無能な働き者は、正しい判断力がないにもかかわらず、自分勝手な推測で言動してしまう人物だという考えが次第に広まっていきました。
意外とあらゆる職場に存在する、この無能な働き者という言葉の発祥・ルーツ、そして基本的な概念はどのようなものなのでしょうか?さらに無能な働き者について、深く見てまいりましょう。
ドイツの組織論が由来
無能な働き者という表現は、第一次大戦で敗退したドイツ軍の立て直しを図ったハンス・フォン・ゼークト将軍が提唱した「組織論」の中の言葉です。
無能な働き者という表現を含めたいくつかの用語を、同期の軍人であるクルト・フォン・ハンマーシュタイン=エクヴォルトが副官へと語ったことで、さらに広まったとされています。
4つの分類がある
ハンス将軍の組織論の中では、軍人など働く者のタイプは大きく4つに分類できて、それぞれに相応しい役割が当てはまると述べられています。
それらは有能な怠け者、有能な働き者、無能な怠け者、無能な働き者とされています。ではこれらの各キーワードの特徴と、それらが実際に職場でどう該当するのかをご紹介します。
有能な怠け者
有能な怠け者の特徴は、仕事内の非効率なことや複雑な業務から解放されたいと考えています。そのため、いかにして簡単でラクに行なえ、かつ成果が出るようになるのか、その方法を徹底的に考え抜くタイプの人物です。
とても合理的な考えでスマートな感覚を携えています。ただし根本的にラクをしたいという怠け者なので自ら動かず、職場の人間をうまく利用し、指示を出しマネジメントする方法を知っています。的確な判断力や実行力もあるので指令的役割の人物になります。
有能な働き者
無能な働き者と共通な「働き者」に一致しながら、有能な働き者はとても優れた人物です。主な特徴は、自ら率先して仕事をし効率よく仕上げます。しかも一人でも上手にこなしてしまうので、とても能力が高い人物です。
判断力や行動力も高いので、ある一定のポジションで指示を与えることもありますが、本音では自分が現場に立って、誰かをサポートするほうが好きなタイプです。
例えば秘書やアシスタントなどは、有能な働き者の典型といえます。どちらかといえば先頭に立つリーダーというよりも、二番手、三番手といった副将のような役割を好むのも特徴の一つです。
無能な怠け者
無能な怠け者という響きが最悪なように思われがちです。しかしハンス将軍の理論では、無能な働き者よりも無能な怠け者のほうが、まだましだと唱えています。無能な怠け者は、サボることや就労時間が過ぎることばかり考え、プロセスの合理化などの革新的なことなど決して考えません。
判断力も行動力も持ちえていないのも特徴です。ところが、無能な働き者と比べて優れた点が唯一あります。それは、率先して業務を行わない分、与えられた仕事を黙々とこなし、そこに疑問すら持たない人物だということです。
仕事をもらえることは有難いという捉え方をした、受け身で依存心の高い性格です。それはかえって組織にとって扱いやすいスタッフになってくれるため、意外にも健全な関係性が保てるのです。
無能な働き者
無能な怠け者タイプは、組織にとって有害な存在とされています。正しい判断力や行動力もないまま、安易に行動していまし、かえって余計な仕事を増やし、混乱や面倒を組織内に持ち込んでしまうからです。
無能な働き者が一人で困っている分には救いようがあります。しかし、無能な働き者の怖い点は、関係のない同僚や上司など職場全体を巻き込んで、大きなダメージを与えかねないことです。
無能な働き者は罪悪感がない
無能な働き者のやっかいな点は、罪悪感がなく性格も生真面目な人が多く、自分なりには一生懸命やっているつもりになっていることです。人柄は良くても、仕事上の会話が噛み合わないといった現象もあり得ます。
もし自分の職場や関係各所に、無能な働き者らしき人物がいると思われるのなら、早めに何かしらの対処法を考えて実践することをおすすめします。
組織で使えるタイプとは?
有能な怠け者と有能な働き者は、どちらも判断力があって優秀な上司向きです。ただし、怠けるか働くことが好きかによりけりなので、任せられないミッションもあり、有能な怠け者は司令官タイプであり有能な働き者は参謀タイプに分かれます。
また、無能な怠け者は判断力に乏しく自ら動けないことから、命令を忠実に聞く兵士としてピッタリです。実は職場や組織内ではしっかり機能してくれるというのが組織論の中での見解です。
一番厄介だとされる
一方、無能な働き者である場合、仕事への正しい対処法や適切な判断ができないにもかかわらず、自分の勝手な思い込みで行動や発言をしてしまいがちです。実は無能な働き者こそ、職場や組織にとって一番危険な存在になってしまうのです。
そのため無能な働き者は、厄介で必要のないタイプということになります。無能な働き者をそのまま放置しておくと、企業にとってダメージが広がりやすくなりますので、何かしらの方法を措置し、対処法を確立する必要性があります。
無能な働き者の特徴
ハンス将軍の組織論では4つのタイプに分類され、有能か無能か、働き者か怠け者かで、4つのマトリックスが成立します。
中でも無能な働き者という響きは、働き者なので良いのではないかと解釈されやすく、それが一番の元凶にもなっています。では、無能な働き者の主な特徴を見てまいりましょう。
上司のいうことを聞かない
無能な働き者が犯しやすいミスには、上司の言うことを素直に聞き入れず、余計な考えで進行してしまう場合があります。例えば、経験が豊富な古株な社員の中には、特に無能な働き者タイプが存在します。
常に企業の方針やシステムは、バージョンアップしています。上司からの新し方針に対しても、無能な働き者は、自分の勘や経験ばかりを重視しすぎて、時代の流れに乗れないことが原因となります。
無能な働き者にならないためには、最新情報に興味を持ち、少しづつでも取り入れることが大切な方法です。
自分勝手に動いてしまう人
無能な働き者の特徴には、自分勝手な憶測で言動をしがちという点があげられます。有能か無能かで分ければ、もちろん有能な人材が好まれることは言うまでもありません。しかし組織全体からみれば、無能でも、むしろ怠け者ののほうが使いようであるということになります。
下手に無能な働き者だと、適切に仕事の成果を出せないというデメリットが生まれます。なにごとも自分勝手で、的を得ていないからです。
余計な仕事を増やしてしまう
無能な働き者が職場に及ぼす影響の一つは、余計な仕事を増やしてしまうというデメリットがあります。大切な業務だというのに、間違った判断や不要な行動をした結果、誰かがその尻拭いしたり、コストや時間の負担が掛ってしまう恐れもあります。
無能な働き者は、判断能力が乏しいことがその原因とされていて、先天的なのか後天的なのかは個人差もあるため一概には言いきれません。世の中には性格上、正しい判断能力ができない人物がいることも確かなのです。
長時間残業になりがち
無能な働き者は、余計な仕事を増やしてしまうため、本当なら必要のなかった仕事の分量を増やしてしまいがちです。そのため、自ら残業時間も超過しやすいという特徴があります。
無能な働き者が自分一人で抱えるだけならまだしも、場合によっては、職場全体にも迷惑をかけてしまうことがあります。万が一周囲に影響が及ぶようなら、何かしら残業の対処法を考える必要性が出てきます。
ものごとが中途半端になりがち
無能な働き者の場合、仕事の効率が悪くてなかなかはかどりません。しかも考え方が独りよがりになっているため、確実な成果を上げることが難しい人物です。
無能な働き者は、満足な結果を得ることができなくなると、中途半端なところで止めてしまうということもままなりません。また、無能な働き者には気移りが激しい一面もあり、できもしないのにタスクを増やして、どれも終えることができないという状態に陥りやすいといえます。
無能な働き者への対処法
無能な働き者は、性格が必ずしも悪いわけではなく、自分なりに一生懸命です。しかしそれが、かえって辛い印象を与えます。
無能な働き者を相手にせず、無視し続けることができればいいのですが、組織の中ではそうもいきません。やはり、無能な働き者へは、何らかの対処法を促すことが重要です。そこでここでは、無能な働き者がいる場合の効果的な対処法をご紹介します。
ホウレンソウを徹底させる
無能な働き者への対処法として、まずは社会人の基本とされる「ホウレンソウ」について、ルールを徹底させる方法が効果的です。ホウレンソウとは報告、連絡、相談の頭文字を取って称しています。
職場のルールとして、勝手な行動を許さない雰囲気作りをしておき、ホウレンソウを習慣化させてみましょう。無能な働き者ほど自尊心が強くて生真面目です。そこでチーム全体のよってホウレンソウを徹底させて、だれもが同じ方法で包括しておくことがポイントです。
自分の管理下に置く
無能な働き者に対しては、上司の管理下へ常に置いておく方法も重要です。同じ組織内で無能な働き者を暴走させてしまうことは、その組織全体へのダメージになりかねません。
無能な働き者の行動を最小限なところで抑えておくためには、歯止めをかける最適な対処法がなくてはなりません。そのためにも手の届く範囲で監視下に置くことです。
ちょっとでも怪しい言動があれば、逐一チェックできるような体制を、上司を中心に周辺スタッフとも連携しておくことは良い対処法の一つです。
適度にほめつつ注意する
無能な働き者の特徴は、自分のやっていることが正しいと思い込んでいて、それ以外のことに目が向いていません。そこで上司として接するためには、当人に現状をしっかりと認識してもらうことが大切です。
この点は良いのでさらに続けてほしい、でも、この点はいまいちなので改善が必要だというように、できるだけ具体的な指摘と激励を同じ分量でしてあげることです。
間違っても、悪い点ばかりに目を向けて注意しないことです。適度にほめて適度に指摘するように心がけましょう。
無能な働き者が有能になる方法
先述の内容を見て、もしかしたら自分は無能な働き者かもしれないと、ショックを受けている方がいるかもしれません。
自分への周囲の扱い方が何となく似ていると思われたのなら、その状態から脱却するよう試みてみましょう。無能から有能な働き者へと進化を遂げることで、あなたの人生も激変することでしょう。
職場での謙虚さを持つ
無能な働き者になってしまうのは、物事をワンマンで考えてしまう特徴が原因となります。自分の価値基準だけで世の中を見ているから、自分勝手な言動になります。まずはそうならないために、自分を客観視してみましょう。
組織は複数のスタッフが集まって成立することは言うまでもありません。その中で公平に仲間とうまくやっていくには、常に謙虚なマインドを保つ姿勢が欠かせません。勝手な行動をする前に、一度思いとどまりながら、自分は謙虚な姿勢かどうかを確かめてください。
責任転嫁しない
無能な働き者の特徴には、自分のことしか見えていないという点があり、しかも無意識に働いてしまいます。そのため、自分が犯したミスだとしても、それ外部の仕業だとすり替えてみたり、誤魔化そうとする癖があります。
まずは与えられた仕事に関しては、自分が責任者であることを自覚し、失敗やミスをしないためにも、常に確認事項をチェックしながら進行しましょう。もし方法や方向性で判らないことが発生したら、必ず上司や同僚に聞いて、意見を素直に聞き入れる習慣を持つことです。
自分ごととして捉える
これも先述した内容と関連しますが、自分の担当する分野や仕事は、最終的に自分の責任であることは言うまでもありません。ただし、単独でプレイすることはご法度です。会社や組織としての正しい方法が何かを常に確認しながら業務に向かいましょう。
あくまでもあなたは、会社の代表としてその仕事をしています。自分だけの個人の仕事ではないわけです。周囲の仲間も納得する最善な成果を上げることを考え、少しでも判らないことは、必ず聞いて回りましょう。
上司に指示を受けるようにする
もし自分が、無能な働き者だという自覚が芽生えてしまったのであれば、とにかく「単独プレイをしない」というルールを自分なりに決めてしまうほうがよいでしょう。
多少は面倒かもしれませんが、逐一、仕事の進捗状況は、自分の上司に報告し続けるという方法が無難です。組織としては、成果を出してもらうこと以上に、無駄なミスを省きたいというのも本音の部分で考えています。
有能な働き者にはいきなり成長することは不可能です。しかし、少なくとも以前よりもミスや失敗が減っていったとなれば、それは組織にとっても大きな意味をもたらします。
無理をせず、まずはミスをしない自分へと方向変換させることです。上司の指示を忠実に守り、終わったら確認を怠らないという習慣はそのために行います。
無能な働き者と呼ばれないようにしよう!
働き方のタイプには4つあることが、今回お分かりになったはずです。中でも、無能な働き者は、組織にとって足手まといになりかねないというのが現実です。当人はいたって生真面目に行おうとしていながら、それが全部裏目に出てしまった結果です。
もし職場にそのような人物がいるとしたら、とにかく無視せず、途中経過を必ず確認するようにしましょう。その度に良い点や悪い点をチェックして促す環境にすることが大切です。
また、自分が無能な働き者ではないかと疑わしいのであれば、今回の内容をぜひ参考にして、少しづつでも改善していきましょう。