色々使えるシリコングリスをご紹介!
シリコングリスをご存知でしょうか。グリスという言葉ひと言であれば何となく聞いたことがあるかもしれません。しかし、シリコングリスと特定されると、一体どのようなグリスなのか分かりません。シリコングリスはどのような時に使用し、どんな種類や特徴があるのかを紹介していきます。
シリコングリスの特徴
シリコングリスの特徴を紹介していきます。シリコングリスは、機械の駆動部分などに塗布されているシリコンを配合した化学製品です。動きを滑らかにするので、パーツ同士がかみ合う部分で効果があります。
シリコンはケイ素と酸素が結びつき、そこへ有機物を加えた化学合成樹脂になります。無機質と有機質を兼ね備えたハイブリットな化学合成樹脂です。注目すべき点は耐熱耐寒に優れており、紫外線にも強く撥水性も兼ね備えた特徴であることです。
精密機器分野や繊維部門、建築や化粧品など幅広い分野で使用されており、私たちの生活に密に関わっている人工の化学物になります。
シリコンオイルから作る
シリコングリスはシリコンオイルから作られます。シリコンオイルはグリスにするための元となるオイルです。シリコンオイルに各種添加剤を加え、金属石けんなどの増ちょう剤を配合してできあがります。
オイルは鉱物油と合成油に大別され、シリコンオイルは合成油になります。合成油は鉱物油では対応できない環境下でも耐えることができます。増ちょう剤は石けん系と非石けん系に分けられます。増ちょう剤はシリコンオイルを半固形状にするための重要な物質になります。
増ちょう剤の種類と特徴
増ちょう剤は石けん系と非石けん系に大別されます。増ちょう剤はシリコンオイルをグリス状の半固形にするための重要な物質です。
石けい系では、アルミニウムコンプレックス石けんを増ちょう剤で配合していると、耐熱性や耐水性に優れており、グリスの粘度性も安定します。同じく石けん系の、バリウムコンプレックス石けんの増ちょう剤も同等の性能になります。
非石けん系では、PTFEを増ちょう剤で配合していると耐熱耐水、粘度安定性の全てにおいて非常に優れているシリコングリスといえます。配合されている増ちょう剤の特徴を知っていれば、多様なシリコングリスを選ぶ際の判断基準になります。
潤滑油として使う
機械内部の様々なパーツは直接触れ合うと摩耗したり、異音が生じる場合があります。シリコングリスは、機械の駆動部やパーツ同士の動きをスムーズにするための潤滑油で効果を発揮します。
シリコングリスはいわば、パーツ同士を取り持つ仲介者です。金属同士がかみ合って生じる金属粉を抑え、変形による異音や駆動不良を防ぐ役割があります。ゴム場合は、膨張や縮小など劣化を抑える働きがあります。
パーツは湿気や光によっても劣化や腐食が起きやすい特性があります。そのような環境下からパーツ同士を保護し、潤滑油として役割を果たすのがシリコングリスとなります。
耐熱性が高い
シリコングリスは耐熱性に優れています。例えば、機械の回転を助けるベアリングという部品があります。ベアリングは様々な機械の中に組み込まれている部品で、機械産業のコメと呼ばれています。
ベアリングは機械内部の見えない部分において、高温な環境下にさらされることが多いのが特徴です。このような部品に欠かせないのがシリコングリスになります。シリコングリスは部品同士を潤滑する役割があり、尚且つ耐熱性に優れているので機械の熱暴走も防ぐ役割を果たしています。
使用上の注意
シリコングリスは機械の潤滑な稼働に不可欠です。しかし、正しい使い方で使用しなければ本来の性能を発揮できないばかりか、大きな機械トラブルの原因にもなります。どのような点を注意し、使用すればよいかいくつかポイントを説明します。
触るな危険
シリコングリスを使用する場合、素手では作業しないようにしましょう。シリコングリスには製品の種類によって溶解度が高い化合物を使用している場合があります。
そのため、直接皮膚についてしまうと炎症を起こしたりする可能性があります。シリコングリスを使用する際は、密着性が高く作業がしやすい薄手のゴム手袋を付けて、可能であればプラスチックの保護メガネもあると万全です。
混ぜるな危険
シリコングリスは配合されている成分が異なる商品が多数存在しています。増ちょう剤は石けん系と非石けん系で分かれていたりするためです。
異なる成分のシリコングリスを混ぜて使用すると、本来発揮できる性能とは異なり、機械を故障させてしまう可能性もあります。補充するときは同じ種類のシリコングリスにし、種類を変更する場合は総入れ替えが望ましいです。
異物混入
シリコングリスの容器フタはしっかり閉めておきましょう。作業現場では環境によって様々なものが空気中に舞っています。金属粉や小さいネジなどのパーツ、窓から入ってくる微粒の砂などです。
これら異物が混入したシリコングリスを使用してしまうと、特徴である潤滑油としての機能低下だけではなく、機械内部のパーツの損傷もしくは機械全体の故障へと繋がる可能性があります。
塗布量に注意
シリコングリスの塗布量に注意してください。潤滑をよくするためにより多く塗布すればよいという訳ではありません。規定量より多く塗布してしまうとパーツ同士がうまくかみ合わず、動作不良や故障を引き起こす可能性があるからです。
シリコングリスの使い方
シリコングリスは様々な状況下で使用用途があり、汎用性が広く仕事上だけではなく日常生活においても役に立つ潤滑油になります。どのようなシチュエーションにおいて役立つか使い方を含めて紹介していきましょう。
バイク修理に
シリコングリスはバイク修理に欠かせないアイテムになります。バイクには多種多様なパーツが組み込まれています。金属製のものであったり、樹脂製やゴムなど様々です。それぞれのパーツに合ったシリコングリスが必要になります。
また、バイクは安心安全に走行するために、日々のメンテナンスや修理が必要です。その場合にもシリコングリスが大いに役立つのです。バイクに必要なグリスの種類を挙げると、シリコングリスやモリブデングリス、チェーングリスやカッパーグリスなどになります。
ブレーキキャリパーのピストン部分
バイクのブレーキキャリパーのメンテや修理には、シリコングリスがおすすめです。ブレーキキャリパーとは、ブレーキパッドをディスクに押し付け、バイクを停止させるための重要なパーツです。
ブレーキキャリパーのピストン部分がゴム製のため、シリコングリスが大いに役立ちます。使い方ですが、ピストン部分に直接塗布するやり方になります。ゴム手袋をしてまんべんなく塗り込むようにしましょう。
バイクはスピードがかなり出るので、しっかり停止させるにはブレーキの駆動は重要です。シリコングリスを使用し安全に走行できるようにしましょう。
ブレーキパッドピン
バイクのブレーキパッドピンにもシリコングリスが必要です。ブレーキパッドピンはブレーキパッドを固定する重要なパーツの1つです。特に劣化が激しい部品になりますので、シリコングリスによるメンテナンスは定期的におこないましょう。
シリコングリスの使い方ですが、ピストン部と同様になります。パッドピンに均等に塗布するようにしましょう。
ブレーキパッドの裏部分
バイクのメンテと修理において、ブレーキパッドの裏部分にもシリコングリスが必要になります。ブレーキを掛けた際に異音がする場合は、シリコングリス不足が懸念されます。
使い方で注目するべきところは、ブレーキパッドの裏は金属同士が接触する部分ということです。そのためシリコングリスの量には十分注意して塗布するようにしましょう。
ブレーキのマスターシリンダー
ブレーキのマスターシリンダーにもシリコングリスが必要になります。バイクのブレーキ部におけるマスターシリンダーは、ブレーキを握るそばに付いている筒状のパーツです。
レバーを握るとマスターシリンダーに油圧が掛かりブレーキキャリパーに力が伝わる仕組みです。オーバーホールできない場合は、マスターシリンダーの隙間にスプレーで塗布してください。ブレーキを数回握ってマスターシリンダーに行きわたるようにしましょう。
時計修理に
時計の修理にもシリコングリスは役立ちます。時計にはゴムパッキンという部品が使われています。ゴムパッキンは時計の中にホコリやゴミ、外気や汗による湿気を防ぐ大事な役割を果たしています。
時計のゴムパッキンが劣化してしまうと、ホコリやゴミが侵入しパーツを巻き込み故障をしたり、湿気で文字盤が見えにくくなる可能性があります。このようなトラブルを防ぐために、ゴムパッキンにはシリコングリスを塗布する必要があるわけです。
使い方としては、綿棒にシリコングリスと塗ってからゴムパッキンへ塗布する方がよいでしょう。時計は精密機械なので、金属同士で塗布するのではなく、柔らかい綿棒などでおこなうと傷が付かずに済みます。
万年筆に
万年筆のメンテや修理にもシリコングリスは使用できます。万年筆にはピストン部分があり、滑りが悪くなるとインクが出にくくなったり、文字が擦れてしまいます。このようなトラブルを回避するためにシリコングリスを使用しましょう。
万年筆はプラスチック樹脂が使われているため、石油系が含まれているシリコングリスを使用すると溶けてしまう可能性があります。万年筆用のシリコングリスがあるので、修理やメンテナンスを行うときは注意してください。
釣り道具に
釣り道具のメンテや修理にもシリコングリスは必要です。ロッドのガイドに塗布をすれば、キャストの飛距離があがります。ガイドを通過するラインとの摩擦が減るためです。
海風に晒されるとロッドやリールは錆びやすくなります。自宅に戻ったら洗浄し、シリコングリスを吹きかけると錆び防止にも繋がります。リールにシリコングリスをしようするとラインのバックラッシュにも効果があるのでおすすめします。
使い方でもうひとつおすすめなのが、疑似餌であるルアーやジグにシリコングリスを使用することです。錆び防止になるので水洗いしたあとに軽く吹きかけてください。但し、ロッドのつなぎ目にはシリコングリスを塗布しないでください。キャスト時にロッドが抜けてしまう可能性があるからです。
自作パソコンに
自作パソコンにシリコングリスは不可欠です。なぜなら、パソコンの心臓部であるCPUを冷却するCPUクーラーとの接触部に必要だからです。
シリコングリスを塗布することによってCPUとCPUクーラーの隙間が埋まります。CPUがしっかり冷却されないと、熱がたまりパソコンの電源が落ちたり、CPUが故障してしまう可能性があります。シリコングリスはそのようなトラブルを防止する役割を果たしています。
使い方としては、CPU専用のシリコングリスは小型の注射器タイプの製品が多いです。そのためCPUの隙間にあてがって押し込むようにグリスを注いでください。
シリコングリスのタイプの種類
シリコングリスには2種類のタイプがあります。ペーストタイプとスプレータイプです。それぞれ用途によって使い分けをすれば、より効率的に効果を発揮することができます。ペーストタイプとスプレータイプそれぞれの利点を紹介します。
ペーストタイプ
ペーストタイプのシリコングリスの利点は、垂れないことです。パーツによっては垂直に取り付けてある場合があります。そのようなパーツの取り付け位置においては、ペーストタイプのシリコングリスを使用すれば下に垂れることなく、潤滑油としての効果を発揮してくれます。
スプレータイプ
スプレータイプのシリコングリスの利点は、狭い隙間に直接塗布できることです。指先が入らない狭い場所においても、スプレータイプのシリコングリスであれば塗布することができます。スプレー缶の先に脱着式のストローを取り付けることができるからです。
もう一つの利点としては、均一にしかも広範囲に塗布することができる点です。ペーストタイプですと広い範囲に塗布する場合は、場所によって厚みの違いができてしまいます。しかしスプレーであれば噴射する量がおなじため、広い範囲に均一に塗布することができます。
シリコングリスのおすすめ商品
シリコングリスは色々なメーカーから、様々な製品が販売されています。それぞれ素晴らしい性能をもっています。今回はその中でも特におすすめの商品を紹介していきます。どのような種類と特徴があるのか、使い方なども踏まえてご案内します。
デイトナ DAYTONA 万能グリス
デイトナの万能グリスはペースタイプで、その名の通り万能グリスになります。バイクのスイングアームのベアリングであったり、自転車のブレーキやクラッチレバーにおすすめできます。チューブタイプなので適量を出すことができ、潤滑性が要求される箇所にしっかりと塗布することが可能です。
ガレージ・ゼロ 極圧グリーススプレー
ガレージ・ゼロ 極圧グリーススプレーはノズルが収納式になっているので、ノズル先を無くす心配もありません。門扉やドアの蝶番など狭い部分にもしっかりと塗布することができるのでおすすめします。増ちょう剤にウレアを使用しているので、耐水性能が特に優れている一品になります。
Thermal Grizzly Kryonaut 1g
Thermal Grizzly Kryonaut 1gはドイツメーカーのおすすめグリスになります。このグリスは自作パソコンでCPUに使用するのに適しています。特にCPUを定格の最高値を上回る、オーバークロックで駆動させるのに効果を発揮するグリスです。
KURE シリコングリースメイト
KUREシリコングリースメイトは、バイクのブレーキキャリパーのピストンやディスクブレーキのOリングのメンテナンスにおすすめのグリスになります。潤滑と浸透性に優れており、揮発も高いので瞬間的な使い方で効果を発揮します。
AINEX Arctic Silver シルバーグリス
AINEXArcticSilverシルバーグリスはCPUとCPUクーラーの隙間に塗り、熱伝導率を高めるおすすめグリスになります。超微粒子の純銀が含まれていて、純度は99.9%以上です。小型の注射器タイプになっていますが、粘度が高めなのでプラスチックのスプーンを使用して塗布するとうまく塗ることができます。
シリコングリスは潤滑油におすすめ!
シリコングリスは様々な用途で活躍する潤滑油です。バイクのブレーキのメンテナンスや時計の修理、自作パソコンでも使用できます。シリコングリスは耐熱耐寒性に優れており、過酷な条件であっても効果を持続することができるのでおすすめです。
シリコングリスにはペーストタイプとスプレータイプの種類があり、それぞれ特徴や利点があります。十分な効果を発揮させるために、使用する場所や用途に応じて使い方を変えていきましょう。