畳にも種類があるって知ってましたか?
畳と聞くと多くの人が縁の付いた畳や、最近人気の琉球畳を思い浮かべるかもしれませんが、実は畳の種類はこれに留まらず、畳に使用されている素材や土台の違いなどからその種類は多岐に渡ります。そんな畳の種類について詳しくご紹介します。
畳の種類
畳には、一般的に広く使用されている縁の付いたものから、床の間用に作られる畳までいくつかの種類が存在します。そんな畳の種類を縁あり畳、縁なし畳、床の間とその他の4種類にわけてご紹介。よく見かける馴染みのある畳もあれば、初めてその名前を聞くような畳もあるかもしれません。
縁あり畳
最初にご紹介する畳の種類は縁あり畳です。昭和から平成に建てられた住宅の和室で1番多く目にすることができる畳で、旅館の客室や飲食店のお座敷席にもよく使われています。畳と聞くとこれと言ってもいいほど広く一般に普及しています。
縁あり畳は、畳の端っこが畳縁(たたみべり)と呼ばれる布で装飾されているのが特徴です。縁のある畳は古くから使われていて、昔は使用できる畳縁の柄が身分によって異なっていたとのこと。
最近では様々なテイストの畳縁があり、古めかしい雰囲気の昔からある畳縁に加え、可愛らしい柄や色合いを用いたおしゃれな畳縁も増えています。
また、畳縁は畳に華やかな要素をプラスするだけでなく、畳の劣化を防ぐ役割も果たしているため、長期間品質の良い状態を保つことができるのもこの畳の種類の特徴です。
縁なし畳
続いてご紹介する畳の種類は縁なし畳です。縁なし畳は、前述した畳縁の付いた縁あり畳とは反対に、畳縁で端が囲まれていない畳のことを指します。近年おしゃれな畳として人気のある琉球畳もこの縁なし畳の1つです。
縁なし畳は畳縁がないぶん、縁あり畳に比べてその強度に頼りないところはあるものの、和のテイストのみならず様々なスタイルの部屋にマッチするのが特徴。材料の価格が高いことや、複雑な加工技術が必要なことから値段は縁あり畳よりも高い傾向にあります。
床の間
床の間は、畳の部屋にある一段高くなったこじんまりとしたスペースで、住宅の和室や旅館の客室で見たことがある人も多いかもしれません。一見畳敷きの簡易ベッドのようにも見えますが、生け花や掛け軸などの芸術品を飾るスペースになっています。
そんな床の間の畳はそのサイズに合わせて作られているのが特徴です。前述したような縁あり、縁なし畳のような一般的な畳はある程度のサイズが決まっていて、それに合わせて部屋に何枚畳を敷く必要があるかを決めます。
一方床の間の畳は、床の間のサイズにぴったり合わせて畳の土台となる板と表面の畳を裁断するため、床の間にぴったり収まるオーダーメイドのような仕上がりになるようです。
その他
その他の畳には、フローリング用薄畳、和紙畳、カラー畳などの種類があります。フローリング用薄畳はユニット畳とも呼ばれ、カーペットのようにフローリングの上に敷くことができる畳です。
移動や出し入れが簡単にできるのが特徴で、夏には涼しく過ごせるこのフローリング用薄畳を敷き、冬には暖かく過ごせるホットカーペットに取り替えることもできます。
和紙畳は、素材に和紙を使用したおしゃれな見た目の畳です。ベージュに緑が混ざったような一般的な畳の色とは異なる発色をしているのが特徴で、変色の心配がほとんどなく、ダニやカビが発生しにくいのもポイントです。
カラー畳は、畳の素材を染めたもののことを指します。ピンクや黄、水色などいずれもきれいな発色をした畳が揃っています。
畳の種類【畳表】
続いては、畳表(たたみおもて)の種類をご紹介します。耳慣れない言葉かもしれませんが、畳表とは畳の表面部分のことを指します。
畳表は、主にイグサと呼ばれる茎の高さが1メートルにもなる多年生の植物を素材にして製造されています。そんな畳表の種類は1つではなく、イグサの生産地やそもそもの素材の違いによって4種類程度に分けることが可能です。
国産表
最初にご紹介する畳表の種類は国産表です。国産表は、日本国内で生産されたイグサを素材にして作られた畳表のことを指します。この国産表の1番の特徴は品質が高いことです。そもそも日本国内で生産されるイグサは、産地によって多少の差はあるものの、一般的に高品質と言われています。
そのため畳表も見た目がきれいな仕上がりになり、イグサの爽やかな香りも畳表から漂ってきます。また、丈夫で長持ちするため長く愛用できるのもポイントです。ただ、品質が良いぶん下記でご紹介する他の種類と比べると値段は高い傾向にあります。
中国表
続いてご紹介する畳表の種類は中国表です。中国表は中国で栽培されたイグサを素材に、中国で加工された畳表のことを言います。この中国表の1番の特徴は、日本で手に入る中国製の製品の多くがそうであるように、上述した国産表よりも値段が安いことです。
しかし値段が安いぶん、国産表よりも品質が劣る点がいくつかあります。例えば、強度があまり高くなく表面が変形しやすいことや、購入の時点で畳表が多少傷んでいることなどが挙げられます。
これは、中国産のイグサが国産のイグサよりも未熟な状態で収穫されることや、輸出時のカビの発生を防ぐために過度の乾燥をさせることなどに要因があるようです。そんな少々難点の多い中国表ですが、近年は以前に比べて品質の向上があるようです。
琉球表
琉球表は、縁なし畳の1つである琉球畳に使用されている畳表です。琉球表は上述した国産表、中国表と同じようにイグサを使用していますが、その素材となる植物と産地がそれらとは異なります。
琉球表には、カヤツリグサ科に属する七島藺(しちとうい)と呼ばれるイグサを使用しており、このイグサは主に大分県の杵築市(きつきし)などで栽培されています。
この七島藺を使った琉球表の特徴は、火気に強く耐久性にとても優れていることです。そのため、昔から道場の畳として使われることも多いようです。
化学表
最後にご紹介する畳表の種類は化学表です。上記3種類はイグサを使用していましたが、化学表は素材に和紙や樹脂を使って畳のように作られているため、言わばおしゃれな畳風の畳表になります。先にご紹介した和紙畳も、この化学表を使って作られている畳です。
化学表の1番の特徴は手入れが楽なこと。例えば、防水性に優れているため万が一畳の上に水分をこぼしてしまっても、畳に染み込むことなくさっと拭き取ることができるため安心です。
また、日に焼けて色が変わってしまう心配もほとんどなく、ダニやカビも発生しにくいため、アレルギー持ちの人やこまめな掃除やお手入れができない人でも、気軽に畳のある生活を楽しむことができそうです。
畳の種類【畳床】
続いてご紹介するのは、畳床(たたみどこ)と呼ばれる部分です。畳床は、畳表の土台となっている板のようなものを指します。畳が持つ厚みは、畳表によるものではなくこの畳床の厚みです。
そんな畳床は元となる素材を圧縮して作られていて、その素材の違いによって種類が分けられています。ここでは一般的に使用されているわら床、サンドイッチ畳床、畳ボードの3種類の畳床を詳しくご紹介します。
わら床
1つ目にご紹介するのはわら床と呼ばれる畳床です。わら床は、お米を収穫した後の稲を乾燥させることでできるわらを、圧縮して作った天然素材の畳床です。
古くから使用されていて、天然素材ながらも最も機能性に優れている畳床と言われています。畳床は土台としての役割だけでなく、畳の機能面を左右するパーツでもあります。
例えば、わら床は湿度調節機能に優れているため通風が良く畳床に湿気がこもりにくくなっています。それによって畳床が湿気で腐ることを防ぎ、結果的に畳床を長持ちさせることが可能です。また、わら床は防音性や断熱性にも特化しているのが特徴です。
サンドイッチ畳床
2つ目にご紹介する畳床の種類はサンドイッチ畳床です。サンドイッチ畳床は上記でご紹介したわら床と、ポリスチレンフォームと呼ばれる発泡プラスチックの両方を使用した畳床です。ポリスチレンフォームを、わら床が両側からサンドイッチのように挟んでいる構造からこの名で呼ばれています。
この畳床の特徴はわら床よりも重量が軽く、またある程度の品質の良さを保ちながらも値段が安いことです。そのため、現在世に出回っている畳の半分以上がこのサンドイッチ畳床と言われています。
しかし一方で、わら床に比べ湿度調節機能に劣るせいかあまり長持ちしないことや、畳の上に座ったり寝っ転がったりした際の畳の感触が硬いといった難点も挙げられます。
畳ボード
3つ目にご紹介する畳床は畳ボード、もしくは建材床と呼ばれるものです。畳ボードは、木材を原料にして作られた薄い板のボードを何枚か重ねて形成されています。解体された建築物の木材を再利用し作られた畳ボードもあることから、最近では地球環境に優しい素材としても注目されているようです。
そんな畳ボード自体にもいくつかの種類があります。一般的なのは、上記でご紹介したポリエチレンフォームを畳ボードでサンドイッチのように組み合わせた3層型です。
また、サンドイッチはせずに畳ボードの下にポリスチレンフォームを組み合わせた2層型や、数枚の畳ボードを組み合わせ、全て畳ボードだけで構成されたボード型などの種類もあります。
畳ボードは大量生産が可能なため値段が比較的安価ではあるものの、耐久性や湿度調節機能などの機能面ではわら床に大きく劣る部分があるようです。
畳の種類と選び方
ここまでは畳の種類について詳しくお伝えしてきましたが、ここからはいよいよ畳の選び方についてご紹介します。様々な種類がありすぎてどのように選べばよいか迷っている人でも大丈夫。値段、おしゃれさ、素材、サイズの点から選ぶ際のポイントをお伝えしていきます。
値段で選ぶなら
まずは値段を最優先した畳の選び方をご紹介します。上記で畳表は国産表、中国表、琉球表、化学表の4種類あるとお伝えしましたが、イグサにこだわって選ぶ場合は、中国表を使用した畳が全体的に値段が安い傾向にあるようです。
琉球表は一畳か半畳かのサイズの違いによって値段が変わりますが、いずれのサイズの場合でも中国表より高い値段設定になっています。また、同じ畳表を使用している場合でも、畳床の種類の違いによって値段も大きく変わります。
一般的に畳ボードを使用した畳が1番リーズナブルな価格設定になっていて、反対にわら床を使用したものが1番高価になっているようです。そのため、最も値段を抑えられる畳の種類は、中国表と畳ボードを使用したものと言えます。
おしゃれさで選ぶなら
最近は、縁なし畳やカラフルな色で染色されたカラー畳などがあり、畳のバリエーションが豊かになっているため、おしゃれを重視して畳を選ぶことも可能になっています。おしゃれな畳として根強い人気を持っているのが琉球畳です。
琉球畳は洋室に合わせることで、和モダンな雰囲気漂うおしゃれな空間を作り出すことができます。最近では、和紙や樹脂を使用し色付けされた化学表の琉球畳もあるため、普通の色の琉球畳と、ピンクや黒などで染色された琉球畳を交互に床に敷き詰めて配置するのもおしゃれです。
また化学表を使用したカラー畳には、パステルカラーで色付けされたものや、市松模様に畳表が編まれたおしゃれなデザインのものもあります。純和風な趣とはひと味違う雰囲気でおしゃれな空間を演出できそうです。
素材で選ぶなら
畳を素材中心で選ぶ場合は、何に1番重点を置いて選ぶのかということがポイントになります。例えば、畳に柔らかな座り心地や寝心地を求めるのであれば、畳床はわら床が適しています。わら床は手や足で畳を押した際、柔らかな弾力が返ってくる特徴を持っているからです。
反対に畳ボードの場合はその硬さがデメリットの1つでもあるため、畳にほどよい柔らかな心地を求めている人にはおすすめできません。
また、畳はお手入れが面倒だから簡単に管理できるものが良いという人は、畳表を化学表にするのがおすすめです。化学表は他の畳表に比べてカビやダニが発生しにくく、太陽の光による日焼けや汚れにも強いためこまめなお手入れが必要ありません。
さらに、畳床もダニが発生しにくい畳ボードを選ぶことで、畳の土台と表面の両方からダニの発生を抑えることができ、ハウスダストアレルギー体質の人でも安心です。
サイズも確認しよう!
最後は、デザインや素材選びに集中してしまい何かと忘れがちな畳のサイズについてお伝えします。実は畳は1畳のサイズが地域によって異なります。
西日本では主に京間と呼ばれそのサイズは95.5cm×191cm、東海地方では91cm×182cmの中京間と呼ばれるサイズ、東日本では88cm×176cmの江戸間が一般的です。
またこれに加えて、団地間と呼ばれる85cm×170cmの団地の部屋に合わせたサイズのものもあります。購入後サイズが合わないということがないよう、事前にしっかり確認しておきましょう。
畳は種類と特徴を知ったうえで選ぼう!
畳には豊富な種類があることを知っていただけたかのではないでしょうか。それぞれの特徴を理解していれば、理想の畳を選ぶことができるはずです。爽やかで涼やかな心地を与えてくれる畳で日々の生活をより豊かにしてください。