燻製チーズにおすすめの種類
チーズにはいろいろな種類があります。それぞれの味や香りの特徴からそのチーズに合った料理に使われます。燻製用のチーズにも適している種類のチーズとそうでない種類のチーズがあります。
代表的なチーズの種類とその特徴について紹介します。また、その中で燻製にしやすいチーズの種類はどれかについても解説します。
プロセスチーズ
プロセスチーズは燻製に一番適したチーズです。その理由はプロセスチーズは一度加熱されていて、熱を加えてもピザなどに使っているチーズと違い、糸を引くように伸びたりしません。
スーパーなどで手軽に手に入るのですが、燻製に使うプロセスチーズはブロック状のものがおすすめです。最近はすでにスライスカットされているものが多く、ブロック状のチーズを置いていない店がたくさんあって、手に入りにくくなっています。
プロセスチーズかどうかを確認するには、箱の裏側を見て、プロセスチーズと書いてあれば問題ありません。ブロックがない場合には6Pチーズなどある程度の大きさのあるチーズにしましょう。
ナチュラルチーズ
プロセスチーズは乳酸発酵させたあとに熱処理をして再び固めたものですが、熱処理をしていない状態のものがナチュラルチーズです。
ナチュラルチーズも燻製にできますが、プロセスチーズよりも熱で溶けやすいのでアルミホイルで包んで燻製するのがベストです。特にスライスされたものは端の方から溶け出していくので、そのままでは端が溶けてしまって、べったりと底についてしまいます。
カマンベルチーズ
カマンベールチーズは表面を白カビで覆われたチーズです。ナチュラルチーズなので、熟成するにつれて柔らかくなります。燻製にすることはできますが、熱で溶けてしまうため、これもアルミホイルで包んで燻製します。
燻製チーズにおすすめのチップ
燻製で大切なものの一つにスモークチップがあります。燻製は食材を煙でいぶして作りますが、このいぶすための煙がスモークチップの種類によって違ってきます。
いろいろな料理やお酒に合う香り付けをするために、スモークチップにはたくさんの種類があります。ここでは代表的なスモークチップの種類について解説します。
サクラ
燻製を作るのに一番ポピュラーな種類です。香りが強めなので、ちょっとクセのあるマトンなどの肉類には特におすすめですが、その他にも魚、その他いろいろな食材に広く使われています。燻製初心者はまずサクラから始めると良いでしょう。
リンゴ
リンゴの原木を使ったチップの特徴はマイルドな香りでサクラに続いてポピュラーなチップです。おすすめの食材は淡白な白身魚や鶏肉などです。サクラのように強い香りが苦手な人には、やわらかな香りのリンゴのチップがおすすめです。
ウイスキーオーク
長年使われたウィスキー樽のナラ材のチップで、とても良い香りが特徴です。ホワイトオークとも呼ばれるこのチップはクセのない、ほのかな洋酒の香りが特賞です。この香りを楽しむために、おすすめの食材は淡白な鶏肉や白身魚です。
ほうじ茶+ザラメ
これまで紹介した材木のチップとは違いますが、ほうじ茶を使った燻製もまた簡単にできておすすめです。ほうじ茶と砂糖で作る燻製チーズのレシピは次の通りです。
蓋で密閉できる鍋の底にほうじ茶と砂糖(ザラメがおすすめ)を敷き、その上にアルミホイルの皿を作り、一旦強火で煙が出るまで温めます。
煙が出始めたら弱火にして準備しておいたチーズをはじめ、いろいろな燻製用食材を入れて蓋をして約15分で完成です。専用の燻製器でなくても簡単にできるので、チャレンジしてみてはいかがでしょう。
初心者向けの簡単な燻製チーズの作り方
テレビで観るお店の燻製は大きな専用の燻製器を使って作っています。しかし、アウトドア用品のコーナーに行くと、燻製を作るための専用の燻製器が割とお手頃の値段で売られています。
実際に専用の燻製器を使えば、初心者の方でも意外に簡単に自家製の燻製を作ることができます。そこで初心者の方向けに、燻製の定番であるチーズを使った燻製の作り方について紹介します。
チーズを乾燥させる
燻製にする材料は水分、特に表面の水分は禁物です。せっかく煙でいぶしても表面に水分があると、材料に馴染まず香りがつきにくくなります。
チーズの場合、多くは冷蔵庫で保存しているので、冷蔵庫から出してすぐに使おうとすると、表面に露がつきます。まずはこの表面の水分を取って、それ以上水分がつかないように常温まで乾燥させます。
燻製器(スモーカー)をセットする
チーズを乾燥させている間に燻製器をセットします。燻製器にチップを敷き、強火で煙が出始めるまで温めます。直接チップを鍋に敷くのが嫌な場合はアルミホイルを敷いて、その上にチップを置くと良いでしょう。煙が出始めたら準備完了です。
専用器具以外でもOK
はじめから専用の燻製器を買うのはちょっとと迷っている人には、専用の燻製器でなくても、蓋がきっちりできる鍋などがあれば代用できます。基本的には専用の燻製器の作り方と同じなので、この先の説明を読み進めてもらって問題ありません。
代用となるのは大きめの中華鍋やフライパンなどがおすすめです。ただし、どちらもきっちりすき間なくできる蓋が必要です。それ以外でも、蓋ができる鍋類なら問題ありません。まずはこれらの鍋で挑戦してみてください。
クッキングシートなどにチーズを乗せる
煙が出始めたら、その上に網を乗せてクッキングシートを敷きます。乾燥させておいたチーズをクッキングシートの上に置き、蓋をして待ちます。クッキングシートは無くても構いませんが、チーズの種類や火加減によって溶けることもあるので、念のため敷いて置くことをおすすめします。
燻製中チーズ表面の水分を拭く
あらかじめチーズは乾燥させましたが、熱を加えることによって内側から水分が染み出て来ることがあります。時々蓋を開けてチェックし、水滴がついているようであればキッチンペーパーで拭き取ります。こうすることで煙がまんべんなくチーズにあたり、均等に色づいて香りも定着します。
好みの色づきまで燻製する
概ね10分くらいすると、チーズの色が茶褐色に変化してきますが、好みの色が人によって違うので、濃い方が良いという人はさらに蓋をしていぶしてください。初心者の方は何度かやってみて、自分の好みを見つけると良いでしょう。
以上、燻製チーズの作り方について紹介しましたが、燻製づくりは煙でいぶすため、室内では臭いが部屋中について、なかなか取れません。そのため、ベランダや近くの空き地などにカセットコンロを持ち出して作るようにする方が良いでしょう。
一晩寝かせた燻製チーズもおすすめ
出来上がったチーズの燻製はまず、暖かいうちに食べてみてください。表面が乾燥して中がクリーミーな、お店で買った燻製チーズでは味わえない、自分で作ったからこその燻製チーズです。
また、これをいったん冷ましたら一晩冷蔵庫に入れます。そうすれば濃厚な香りがさらに強くなり、出来たてとは違った味わいがあります。通常、チーズが苦手という人でも、燻製チーズならOKという人も多いようです。
ただし、そのまま冷蔵庫に入れておくと、庫内に臭いが充満するので、臭いを遮断できる密閉容器に入れるか、ラップに包んで保存することをおすすめします。
燻製チーズの注意点
燻製チーズの作り方について紹介しましたが、作る上で注意したいことがいくつかあります。美味しい燻製チーズを作るために注意すべき点を挙げておきます。これさえ注意しておけば、失敗のない燻製チーズ作りが簡単にできます。
溶けやすいチーズもある
はじめにチーズの種類を紹介しましたが、プロセスチーズのように熱で溶けにくい種類のチーズもありますが、一般的には熱で溶けてしまいます。特にとろけるチーズのように、とろけることで美味しいとされているチーズは燻製には不向きです。
どのようなチーズが燻製に適しているのかを知ることも大切ですが、アルミホイルで包んで燻製にすることで、また違った種類の燻製チーズを作ることもできるので、慣れてきたら溶けやすいチーズの燻製にも挑戦してみるのもいいかもしれません。
燻製中に水分をマメに水分を拭く必要がある
燻製の作り方のところでも触れましたが、燻製は表面に水分があると上手くいぶせずに、色ムラが出来たり、香りが十分につかなかったりします。
そのため燻製途中には、水分が中から染み出たりしていないかをチェックし、水分がついている場合はクッキングペーパーなどで表面を軽く抑えるようにして、こまめに拭き取ってください。
煮込み料理に使えば酸味が気にならない
燻製チーズの作り方のところで「乾燥」させることが大切と説明しましたが、これはいぶした煙が均等にチーズにつかないだけでなく、実は酸味が出る原因にもなるのです。
チーズを燻製にしたけど、何故か酸味があるという方は、この「乾燥」が十分ではなかったからです。しかし、作ってしまった燻製チーズは今更どうしようもないとあきらめてはいませんか。
じつはこの酸味のある燻製チーズ、煮込み料理に使えば酸味はそれほど気にならなくなります。もしも出来立てを食べたときに酸味を感じるようであれば、1日置くと熟成されて、酸味が消えることがあります。それでも気になる場合には煮込み料理で試してみてください。
消費期限は冷蔵庫で1週間以内
もともと燻製は冷蔵庫など無かった時代に保存食として考えられたものです。燻製は煙でいぶすことで表面の菌がほぼ死滅し、腐りにくくなるので長期保存ができます。
とは言ってもやはり美味しく食べられるのには期限があり、冷蔵庫で保存していても1週間くらいで食べてしまうのが良いでしょう。
自家製燻製チーズのアレンジレシピ
燻製チーズはそのままでも十分美味しく、酒のつまみに最高ですが、燻製にした香りをいろんな料理に生かすことで、さらに料理の味わいや香りを引き立たせます。ここではそれほど手のかからない、簡単な燻製のアレンジレシピをいくつか紹介します。
茹で燻製チーズ
「茹で燻製チーズ」といっても、燻製チーズを鍋でグツグツ茹でる訳ではありません。器に入れた熱湯に5~6分袋に入れた状態で入れておくだけなので、レシピというほどの手間はありません。
燻製チーズの作り方のところで紹介した出来立ての美味しさとまではいきませんが、熱によって中がトロッとした食感は口に入れたときの燻製の香りと合わせて、格別の美味しさになります。とても簡単なので、一度試してみてはいかがですか。
燻製チーズとリンゴのミルフィーユ
燻製チーズとリンゴのミルフィーユです。レシピは簡単なのに、リンゴのシャキシャキ感とそれを包み込むような燻製チーズが絶妙の美味しい前菜です。
5mmほどにスライスしたリンゴに同じく5mm程度にスライスした燻製チーズをはさみ込むだけの簡単レシピです。リンゴは皮を剥かずに使います。簡単なのに見た目の鮮やかさもあって、パーティーなどの1品としても料理に花が咲きます。
燻製クリームチーズとはんぺんのサンド
クリームチーズ(サワークリーム)はただ燻製器で燻製するだけでは溶けてしまいますが、はんぺんでサンドした状態で燻製すると簡単にできます。そのレシピを紹介します。
まずはんぺんを横に切っておきます。次にクリームチーズとマスタードをボウルで混ぜ合わせ、それをはんぺんに塗って適当な大きさに切ります。だいたい9等分くらいがおすすめです。
燻製の方法は火にかけたままいぶすのではなく、網を置いた状態で火にかけ、煙が出てきたらそのまま5分程度加熱した後、いったん火を止めてから材料を入れ、約20分そのまま余熱でいぶします。火にかけると溶けてしまうので注意が必要です。
あとは1時間くらい放置して冷ませば完成です。お酒を飲む方にはビールやワイン、日本酒とよく合うので、飲み過ぎに注意しましょう。
燻製チーズのソテー
まずソースの作り方ですが、アンチョビをみじん切りにし、フライパンにオリーブオイル、すりおろしたニンニク、アンチョビを入れて火を通します。
別のフライパンでバターを敷き、燻製チーズ1つを中火で焦げ目がつく程度に両面焼きます。あとはチーズを皿に盛って、先ほどのソースをかければ出来上がりです。
燻製チーズのパスタ
カルボナーラのチーズを燻製チーズにすることで、お店で食べる本格カルボナーラに近い味わいになります。作り方のレシピは通常のカルボナーラとほぼ同じです。
パスタは少し硬めに茹で、茹でている間にフライパンで茹で汁おたま1.5杯分とコンソメの粉末小さじ2分の1、それと細かく切ったスモークチーズを入れて、焦げ付きに気をつけながらチーズを溶かしていきます。
茹で上がったパスタをフライパンに入れてパスタをソースと混ぜ合わせます。茹で汁がなくなってきたら牛乳をおたま1杯分程度入れて約20秒、パスタに絡ませるように混ぜ合わせます。最後にブラックペッパーを香り付けにふりかけて完成です。
燻製チーズは簡単で美味しくアレンジしやすい
燻製チーズの作り方からアレンジレシピまでを紹介しましたが、いかがだったでしょうか。自分で作った燻製チーズは買ってきたものよりも絶対美味しいので、ぜひ一度挑戦してみてください。
また、燻製チーズは簡単にアレンジしやすいので、上で紹介したアレンジレシピ以外にも自分なりのアレンジ料理を作ってみてはいかがでしょうか。