サーキュレーターを使えば電気代が節約できる!
エアコンは夏には冷房、冬には暖房として、年間を通じて室内の温度を調節するための電気器具です。そのエアコンを作動するときに、サーキュレーターを同時に併用すると電気代が節約できると言われています。
サーキュレーターも電気器具で電気を使うはずです。2台の電気器具を使えば当然2台分の電気代がかかるのに、エアコンと同時に使うと電気代が節約できるのはなぜでしょう。節約できる理由や、サーキュレーターの構造と機能などを、これから徹底的に解明してみましょう。
サーキュレーターって?
そもそもサーキュレーターとは一体どんな装置なのでしょう。サーキュレーターは送風機ともいい、扇風機と同じように風を送る電気器具ですが、特に直進性の風を送ることに特化したものをサーキュレーターと呼びます。
大型のものでは、トンネルの換気用に設置されている送風機もサーキュレーターの一種ですが、一般的には家庭用や業務用の送風機をサーキュレーターと言います。
それでは、一般的なサーキュレーターはどのような構造や機能があり、扇風機とはどこが違うのでしょう。構造と機能の特徴や、エアコンと併用すると電気代が節約できる理由なども合わせて紹介します。
室内の空気を循環させる装置
サーキュレーターの構造は、ファンをモーターで回転させ風を送る装置で、モーターに羽が付いていて回転することで風を送ります。基本的な構造は扇風機とほとんど変わりません。
空気を循環させる装置には、天井で大きな羽がゆっくりと回転するシーリングファンがありますが、一般的には置き型で小型のもので空気を循環させる装置をサーキュレーターと言います。
またサーキュレーターは扇風機より背が低く、ファンも小さめの構造のものが多く、高さ調節ができないのが一般的ですが、直進的に風を送る性能に優れているのが特徴です。
つまりサーキュレーターは、風で涼をとることより室内の空気を循環させることにを目的とした装置です。また風を真上にも送ることができるのも特徴の一つです。
エアコンと併用すれば電気代が安くなる
では、何故エアコンと併用することで電気代を節約できるのでしょう。電気代は電気を使った量(kWh)で計算されます。通常エアコンの設定温度を、夏場の冷房の場合1℃高くすれば約70W、冬場の暖房で1℃下げれば約53W消費電力を抑えることができます。
エアコンの暖房で暖ためられた空気は軽いので室内の上の方にたまります。逆に冷房の冷気は重いので下にたまります。
サーキュレーターは温度差のある室内の空気を、混ぜ合わせ循環させることで体感温度を冷房時では涼しく、暖房時では暖かくできるので、エアコンの設定温度を暖房では低く冷房では高くしても快適に感じられます。
サーキュレーターの消費電力は約20W前後なので、エアコンの設定温度を1℃変えた場合は冷房では70W̠-20W=50W、暖房では53W̠-20W=33W、消費電力を減らせるので電気代が安くなるのです。
扇風機との違い
扇風機は、夏場など暑い季節に風で体感温度を下げ、涼をとる電気器具です。そのために人に風が当たる位置を調節できるように高さを変えることができ、室内に多人数扇風機いる場合には、それぞれの人に風が当たるように首振り装置がついています。
このように様々な機能が付いていてファンも大きいので、全体のサイズが大きく重くなり機能が多いので価格もサーキュレーターより高くなります。また扇風機は夏場に活躍する器具ですが、サーキュレーターは冬場にも活躍します。
扇風機の消費電力は約20W前後とサーキュレーターと変わりなく、エアコンと併用して室内の空気を循環させる効果もあります。しかし、サーキュレーターより大型のため設置場所を適切な場所に移動するのには少々不便です。
扇風機は夏場でエアコンでそこまで部屋を涼しくする必要がなく、夜も快適に眠りたいという場合に向いています。つまり扇風機は風で涼をとりたいときに使用する器具で、サーキュレーターは室内の空気を循環させることに特化しているところが両者の違いです。
サーキュレーター自体の電気代
電力の自由化により、電力会社は個人で自由に選べます。電気代は電力会社により基準額はまちまちですが、どの電力会社でも一ヶ月に使った電気の量・消費電力によって算出する方法に変わりはありません。
そこで電気代の目安として、全国家庭電気製品公正取引協議会が発表している平均的電気代1kWh=27円をもとに計算してみます。もちろん契約している電力会社によって多少の誤差が出ることは頭に入れておいてください。
消費電力
消費電力とは、どこの家庭にも付いている電気メーターに表示される数字で、電気を使った量をkWhで表します。サーキュレーターの消費電力は1時間あたり最大消費電力は約20Wなので、27円×0.02kW=0.54円となります。機種によって違いがありますが、あくまで平均的な数値だと思ってください。
また、風の強さを弱めれば消費電力は減ります。サーキュレーターの中には、DCモーターを使ったものや、エコタイプの機種もあるので、これらを選べばさらに電気代を節約できます。
一ヶ月あたりの電気代
サーキュレーターの一ヶ月あたりの電気代を計算するには、先ほどの1時間あたりの電気代の目安0.54円に、1日の使用時間をかけて、さらに30倍すれば一ヶ月の電気代を算出することができます。
例えば1日8時間稼働する場合は0.54円×8時間=4.32円、一ヶ月では4.32円×30日=129.6円となります。季節やその日の気温により稼働時間には違いが出ますが、おおよそ使用する時間を想定して平均時間で電気代を計算してみてください。
サーキュレーターとエアコンを併用したときの電気代比較
エアコン自体の電気代は、エアコンの能力や性能、ワット数の大きさ、外気の温度、使った年数や新旧タイプによって消費電力がまちまちなので、一概にサーキュレーターとの比較を出すことができません。
例えば500Wで稼働すれば、1時間あたり消費電力0.5kW×27円=13.5円ですが、500Wで稼働するという条件が、前述のようにまちまちなので比較するのが難しくなります。
そこで、単独使用の場合とサーキュレーターとエアコンを併用したときの電気代を比較するために、エアコンが室内の気温を1℃上下させるために消費電力が何%変わるのか、それにより電気代がどう変わるかで比較してみましょう。
エアコンのみの場合の電気代
エアコン自体の電気代は、サーキュレーターと同様に1時間あたりの消費電力に1日の稼働時間をかけて、30倍すれば一ヶ月の電気代が算出できます。しかしサーキュレーターの場合は消費電力は一定ですが、エアコンの場合は外気の気温の変化、設定温度、部屋の大きさなどにより消費電力が変化します。
単純計算すると1時間あたりの電気代は、11円〜27円とかなり幅が広くなります。1日8時間使用したとすると88円〜216円、一ヶ月に換算すると2,640円〜6,480円と2倍以上の誤差が出てしまいます。
つまりエアコンの電気代は、機種の違い、気温の違い、使用時間によってかなり違いがあります。そこで電気代を比較するためにエアコンの設定温度によりどのくらい消費電力に差があるかを比較してみましょう。
環境庁の調べでは、夏場の冷房使用時のエアコンの設定温度を1℃上げることで約13%の消費電力を削減することができます。平均的なエアコン能力で単純計算すると13%は約70Wにあたります。
8時間稼働した時には0.56kWh消費電力を減らすことになり、電気代では27円×0.56kWh=15.12円安くなります。一ヶ月では15.12円×30日=453.6円削減できます。
暖房の設定温度を1℃下げた場合の消費電力の削減率は、約10%(53W)なので8時間稼働のエアコンの電気代は27円×0.424kWh=11.45円安くなり、一ヶ月では約343円削減できます。
併用した場合の電気代
サーキュレーターを併用した場合には、サーキュレーター自体も電力を消費するので当然電気代がかかります。併用した場合には電気代はどうなるのか比較してみましょう。
サーキュレーターを併用すると、室内の下にたまる冷気を循環させるので体感温度が下がり、冷房時に環境庁が推薦する28℃よりエアコンの設定温度を1℃上げても充分涼しくなります。それだけ電気代を節約できエコにもつながります。
1日8時間併用で計算するとサーキュレーターの電気代は4.32円で、1日に節約できる電気代はエアコンの節約金額15.12円からサーキュレーターの電気代4.32円を差し引いた10.8円が安くなる計算になります。一ヶ月では324円エアコンの単独使用と比較すると安くすることができます。
また冬場の暖房時にもサーキュレーターを併用すれば、設定温度を1℃下げても充分暖かいので、8時間稼働の消費電力の約10%(53W)削減したエアコンの電気代11.45円ー4.32円(サーキュレーターの電気代)=7.13円削減になります。一ヶ月では約214円エアコンの単独使用と比較して安くなります。
エアコンの能力(ワット数)が高い機種では、ワット数が低いものに比較すれば電気代の削減率はさらに大きくなります。また設定温度を2℃上下すれば2倍の削減ができます。
一ヶ月では比較の金額が小さいけれど、年間にすれば積み重ねで大きくなります。ぜひサーキュレータとの併用を上手に利用して電気代を節約してください。
サーキュレーターで電気代を節約するコツ
ここまで、エアコンとサーキュレーターを併用することで、電気代を節約できることを説明してきましたが、サーキュレーターの使い方によって、さらに電気代を節約するコツがあります。
サーキュレーターは、扇風機のように風に当たることで涼をとるのではなく、室内の空気を循環させる装置です。夏場の冷房エアコンの冷気は室内の下の方に、冬場の暖かい空気は部屋の上の方にたまります。
サーキュレーターによって上下の空気を循環させ、室内の温度をできるだけ均一にすることで、体感温度を調節してエアコンの消費電力を減らし電気代を節約します。
室内の空気の温度を循環させ、適切な温度にするためには冷房時と暖房時では、サーキュレーターの置き場所や風向き、風量を工夫することで、さらに効率よくエアコンの消費電力を減らし電気代を節約できるのです。
置き場所を考える
冷房を使用する場合は、サーキュレーターはエアコンの下付近に置き、床と平行に風を送るようにすると、エアコンから下に下がってくる冷気を拡散させ効果的に室内を快適な涼しさに保ちます。
冬場の暖房の場合には、暖かい空気は上の天井の方にたまるので、サーキュレーターはエアコンから離れた場所に置き、天井に向けて風を送ることで、上にたまった空気をかき混ぜることができ、部屋全体を温められます。
つまりサーキュレーターの置き場所や風向きを考えることで、エアコンの設定温度を夏場は高く冬場は低くすることができ、消費電力を抑え電気代を節約することができます。
風量を調整する
サーキュレーターには風量を調節するスイッチがついています。機種によって違いはありますが、強と弱の2種類のものや、強・中・弱の3段に切り替えられるものがあります。
風量により消費電力は違います。前にサーキュレーターの消費電力は約20W前後と紹介しましたが、これは風量の平均的数値です。強・中・弱の3段の機種の場合、弱で14W、中で24W、強で32W前後の消費電力に差があり、強と弱では2倍以上の差があります。
サーキュレーターで空気を循環させるためには、強い風の必要はありません。弱モードでも充分空気を循環させる効果があるので、消費電力を減らし電気代を安くできます。つまり風量を調節するのも電気代を節約するコツになります。
電気料金プラン
電力が自由化されているので、今は電力会社や料金プランが自由に選べるようになっています。家庭により夏場に電力を多く使用する人、冬場に多い人、昼間はほとんど自宅にいない人、昼夜ともに在宅が多い人と生活環境はまちまちです。
生活環境に合わせた電気料金プランが各種揃っています。電気料金プランが自分に合っていないと余計な電気代を支払っていることになります。ネットで簡単に無料で自分に合ったプランがシュミレーションできます。場合によっては5%〜15%電気代を削減できます。
電力会社と電気料金プランの見直しは、エアコンの電気代だけでなく、家庭全体の電気代を削減することにつながるので、ぜひ検討してみるのも良いでしょう。
サーキュレーターを使って電気代を節約しよう!
夏場の冷房や冬場の暖房で、エアコンの電気代が多くなり悩む方が多いのではないでしょうか。そんな方のために、エアコンとサーキュレーターを併用することで電気代を節約できることを紹介しました。
しかもサーキュレーターは数千円で購入できる器具です。また色々な工夫でさらに電気代の負担を下げるコツなども紹介してきました。これらの記事を参考にしてサーキュレーターを上手に使って、エコにもつながる電気代を節約しましょう。