給湯器の種類や特徴・選び方を紹介!
家を建てる時、リフォームする時、給湯器やガス会社などは住宅メーカーにお任せしてしまいます。しかし、給湯器にも色々な種類があり、建て主が選ぶこともできます。
また、給湯器が故障した、ガス代が高い、環境のことを考えてなど様々な理由で、給湯器を取り換えることもあります。しかし、給湯器には様々な種類や、それぞれ異なる特徴があります。代表的なものはガス給湯器、石油給湯器、電気温水器、エコキュートなどです。
どんな給湯器を選ぶと良いかわからなと、どうしても住宅メーカーにお任せしてしまいます。自分で好みの給湯器を選びたい、家族の人数や家の雰囲気に合わせたものを選びたい人はどうしたらよいでしょう。そこで、給湯器を自分で選びたい人のために、種類や特徴をご紹介しましょう。
給湯器とは
昔はお湯を必要とするお風呂や冬の洗顔、食器洗いでは、やかんや鍋を使って湯を沸かしていました。その後、家庭用の湯沸かし器が普及し、湯の供給が楽になりました。
給湯器とは、水を湯に変えて供給する住宅設備器具のことです。現在では、ほとんどの家庭にこの給湯器があり、お風呂やシャワー、食器洗いがさらに手軽になっています。給湯器の中で、昭和に作られた湯沸かし器は、キッチンで洗いものなどに利用されていました。
その後、より良い給湯器が製造され、今ではシャワーやお風呂だけでなく、床暖房にも利用されています。さらに、環境を考えた器具や、常時お湯を供給できるものも増えています。色々な種類や機能から、おすすめの給湯器を選んでみましょう。
水をお湯に温めて供給する住宅設備機器
新しい住宅を建てる時、様々な住宅設備機器を取り付けます。住宅設備機器には、トイレやキッチン、浴室などの水道設備やガス、電気などの設備機器があります。
高層マンションでは、ベランダに洗濯物を干さないための乾燥室などを設けていることもあります。賃貸のアパートの中には、Wi-Fiを完備している部屋もあります。その中で、水をお湯に温めて、供給する住宅設備機器を給湯器といいます。
給湯器によってお風呂を沸かしたり、シャワーから適温のお湯が出たり、お湯で食器を洗うこともできます。近代的な住宅では、当然のように設置されている給湯器ですが、種類によって色々な特徴があり、選ぶことができます。
通常の給湯器の種類は4種類
給湯器の中には、薪や練炭を利用したボイラーもあります。しかし、薪や練炭は設備や材料など手に入れにくいという点から、ほとんどの家庭で利用することはありません。
家庭用の給湯器として利用されているのは、ガスを利用したガス給湯器、石油を利用した石油給湯器、電気を利用した電気温水器、そして環境を考えて電気を使う中でもヒートポンプを使うエコキュートがあります。給湯方法によって、給湯設備も違います。
また、給湯の速さや給湯力、設置場所の広さによっても選択肢は異なります。ライフスタイルに利用する地域や経済性、音や周辺への影響なども給湯器を選ぶ条件になります。代表的な4種類の中から、メリットデメリットを考えて、良いものを選んでみましょう。
給湯器の種類①ガス給湯器
給湯器の中で、一般的に利用されているのがガス給湯器です。ガス給湯器はガスで水を沸かすのでガスがあれば他は必要ないと思われますが、実は給湯器を動かすための電気も必要です。
ガスを燃料として水を沸かして湯を供給するのがガス給湯器です。しかし、その給湯器を動かしているのが電気です。そこで、停電になるとガス給湯器も利用することはできません。ガス給湯器は水道からの給湯だけでなく、浴槽への湯の供給もできます。
浴室では、給湯管を通して給湯された湯を使い、追い炊き管を使って浴槽にお湯が出るようになっています。他にも、配管を床下に通すことで、床暖房が可能となる給湯暖房熱源機があります。ガス給湯器は都市ガス、プロパンガスと両方で利用することができます。
おすすめポイント
給湯器の選び方で大切なことは、家族のライフスタイルに合ったものを選ぶことです。ガスの給湯器はシャワーや風呂の自動湯ハリ、追い炊き、暖房に利用することもできます。
家族が多い、共稼ぎで帰宅したらすぐに温かい風呂に入りたい、といった家庭が増えています。こういった家庭では、タイマーなどを使って自動湯ハリができるガス給湯器がおすすめです。また、ガス給湯器による床暖房を使うことで小さい子供がいる家庭も安心です。
ガス給湯器を使ったお風呂は、自動湯ハリの他に、自動追い炊きや保温、足し湯など全てオートで行うことができます。多忙で帰宅が遅い人でも、帰宅後すぐに最適なお風呂に入ることができます。お風呂好きな人には、より性能の高いガス給湯器をおすすめします。
選び方
ガス給湯器には、全自動タイプ(フルオート)と自動タイプ(オート)があります。似ているようですが、湯ハリ、追い炊き、足し湯ができるのは全自動タイプになります。
さらに、ガス給湯器には給湯量によって10号から16号、20号、24号、32号とあり、家の大きさやお湯を使う量での、給湯器の選び方もあります。大きいからよいと言わけではなく、家の大きさや使う量で合ったものを選ぶことがおすすめです。
キッチンとシャワーを同時に使うことがあれば16号以上、32号は洗面所も合わせても、十分に利用することができます。冬は水温が低く温まりにくいので、一回り大きなサイズを選ぶことがおすすめです。そこで、戸建て住宅の場合は24号、または32号を選びましょう。
給湯能力で選ぶ
給湯器は大きさによって給湯能力が違います。大きなサイズほどお湯の供給量が多く、キッチンや風呂、洗面所と他設備にお湯を供給することができます。
一人暮らしや高齢者の二人暮らしなど、少人数家庭ではあまりお湯を使うことがありません。そこで、給湯器の選び方では、家族構成や家の大きさで給湯サイズを選択肢に入れることをおすすめです。16号以上なら、キッチンと風呂のお湯の供給は可能なサイズになります。
しかし、気候によって水温も違い、冬場は水温が低いため、湯沸かしに時間がかかります。給湯を二か所で使うには、20号以上が必要になります。さらに、広い家の場合は、24号は必要です。大容量の32号なら、十分にキッチン、浴室、洗面所の三か所で一度に利用できます。
機能面で選ぶ
ガス給湯器では全自動のフルオートタイプと、自動のオートタイプがあります。オートタイプはお湯ハリ、自動追い炊き・保温までが自動運転となっています。
フルオートタイプになると、さらに自動沸き上げ、自動足し湯、追い炊き配管洗浄までを自動で行うことができます。オートタイプとフルオートタイプでは、普通に入浴するだけならさほど違いはありません。しかし、浴槽の掃除という点でフルオートタイプのほうが便利です。
大きな違いは、フルオートタイプは自動沸きあげや配管洗浄があることで、常にきれいなお湯に交換することが可能であることとです。費用も違います。家族の人数が多い家庭では、フルオートタイプが、少人数家庭や価格を抑えたい家庭ではオートタイプがおすすめです。
給湯器の種類②石油給湯器
石油給湯器は灯油をタンクに貯めて燃料とする給湯器です。燃料をマメに調達する必要があり、給湯器の中で、最もメリットデメリットが分かれる給湯器になります。
石油給湯器は給湯器の中でもパワフルで給湯能力が高いため、寒冷地など年間を通して、風呂の追い炊きや足し湯などお湯の需要が多い地域におすすめです。デメリットは、石油、つまり灯油を燃料とするため、家庭の灯油を切らしてしまうと、利用できないことです。
家庭では、法律で最大200リットル未満の灯油までという制限があります。また、灯油管理を個人で行うため、少なくなったタイミングで購入する必要があります。そこが、自動で送られてくるガスや電気の給湯器との一番の違いです。
おすすめポイント
石油給湯器の一番のおすすめポイントは、パワフルでたくさんのお湯を一度に供給することができることです。他の給湯器と比較し寿命が長く、壊れにくいところもおすすめです。
他の給湯器と違い、灯油の価格に左右されますが、ガスや電気と比較すると安く、コスパが良いのもおすすめです。そのため、都市ガスの供給が少ない、寒冷地の大家族では石油給湯器を使っている家庭が多いことも特徴です。
パワフルでお湯を持て余してしまうこともある石油給湯器ですが、近年省エネタイプの給湯器も増えています。高効率の石油給湯器は、環境にも配慮しお財布にも優しい、節約志向の人にもおすすめの給湯器になります。
選び方
石油給湯器を選ぶ時には、給湯方法、給湯能力、機能から選ぶ方法があります。給湯方法には、「直圧式」と「貯湯式」の2種類があります。給湯能力は2種類、機能は3種類あります。
給湯能力では3万キロカロリーと、4万キロカロリーの2種類があります。家族の人数などで選ぶことがおすすめです。機能では、フルオートタイプ(全自動)、オートタイプ(自動)、標準タイプ(手動)から選びましょう。
石油給湯器はパワフルという理由で選ぶことがあります。しかし、それ以外にもたくさんの種類があり、その中から適したものを選ぶことができます。それぞれ、ライフスタイルや家族構成、コストなどを考えて最適なものを選びましょう。
給湯能力で選ぶ
石油給湯器の給湯能力は3万キロカロリーと4万キロカロリーの2種類があります。しかし、この3万キロカロリーと4万キロカロリーの違いは、どのように考えれば良いのでしょうか。
給湯器本体の大きさや形では、ほとんど区別することはできませんが、カタログで調べることができます。ほぼ同じ見た目で共通部品も多く使われています。メーカーによっては、3万キロカロリーと4万キロカロリーの差を基盤だけで出力を調整しているものもあります。
詳細まで調べると、4万キロカロリーのみターボ給湯や、低温度出湯といった機能があり、定価にも数万円の差があります。給湯能力が高いほうが、同じ湯温にあげる時間は短時間で、一度に多くの湯を供給できるのも、4万キロカロリーの給湯器になり、寒冷期におすすめです。
機能面で選ぶ
石油給湯器も機能面での選び方もあります。石油給湯器では、給湯方式の「直圧式」「貯湯式」の二つから選び、さらに「全自動」「自動」「手動」の機能で選ぶことができます。
選び方としては、ガス給湯器とほぼ同じですが、手動は標準タイプになります。石油給湯器でも、全自動はスイッチ一つで自動足し湯、排水時の追い炊き配管内の自動洗浄機能があります。忙しい、家族人員数が多い家庭におすすめです。
標準タイプの石油給湯器は、貯湯式と直圧式では水圧が異なるため、給湯配管が老朽化していると漏水のリスクがあります。そこで、石油給湯器を交換する場合は、貯湯式の物を交換する場合は、同じ貯湯式に交換することをおすすめします。
給湯器の種類③電気温水器
電気温水器は、専用の配管スペース、タンクの設置場所がある集合住宅でよく利用されています。似たような給湯器にエコキュートがありますが、屋内設置タイプは電気温水器のみです。
そこで、屋内設置タイプの電気給湯器の選び方は、設置場所によっても異なってきます。また、災害時での復興率はインフラ整備の中で最も早く、電気はほぼ5日以内に復興し、1か月以上かかる都市ガスの1/5になります。電気温水器の一番のおすすめは災害に強い点です。
電気温水器は、ガスや石油と違い火を使わないため、排気がないため臭いや煙の発生もありません。CO2という点でも、エコで環境に優しい給湯器になります。電気温水器は、家の熱源を電気で統一する、オール電化の家庭にもおすすめです。
おすすめポイント
エネルギーの選び方で、全てを電気にすることで環境にも優しいオール電化の家庭も増えています。エネルギーを統一することで、お財布にも優しいのがおすすめです。
電気温水器の一番のポイントは、ガスや石油を使うことがないため、燃焼音や排ガスの異臭が気にならないことです。CO2排出という環境汚染を気にすることもなく利用することができます。災害時の復興も早く、貯水タンクに水をためておくと生活用水としても利用できます。
タンク容量によっては、たくさんの湯を供給することができます。そのため、集合住宅でも活用されています。しかし、タンク容量では供給する量が決まっているため、湯切れを起こすこともあります。また、タンクを設置する場所が必要なため、屋外のスペースが必要です。
選び方
電気温水器の選び方では、タンク容量、タンクの形、機能面を考える必要があります。タンク容量によっては設置場所のスペースが必要で、戸建ての住宅でも広さで違ってきます。
タンク容量によっては、供給する湯量が異なりシャンプーや蛇口の勢いが弱くなることもあります。機能別の選び方では、給湯専用タイプとと自動風呂給湯タイプがあります。また、給湯専用タイプでは、マイコン型とマイコンレス型があります。
タンクの形も丸形と角形があり、家の雰囲気に合わせて選びましょう。選び方にも色々あり、ライフスタイルや家の雰囲気、使う家の条件など様々なポイントから選ぶことができます。同じ電気温水器でも選び方は色々、使いやすいものを選ぶようにしましょう。
タンク容量で選ぶ
電気温水器では、タンク容量によって、一人暮らしのワンルームマンション用から7人家族の大家族対応まであります。タンクの容量は150リットルから550リットルまでになります。
タンク容量で、1回の使用量の目安も違ってきます。そこで、家族人員数を考えた選び方がおすすめです。しかし、タンク容量が多くなると、その分タンクも大きくなります。そこで、タンク容量だけではなく、標準圧力型、高圧力型といった機能面も合わせて選びましょう。
同じタンク容量、同じ大家族でも、家の作りによってもお湯の勢いが違ってしまいます。そこで、タンク容量と合わせて機能面、圧力型なども考慮しましょう。電気温水器を選ぶ時は、家の形や構造、人数と色々な条件を入れて考えて下さい。
機能面で選ぶ
電気温水器では、家の構造を考えた標準圧力型と高圧型があります。3階建てで3階にも洗面所やシャワーがある、二世帯住宅のような家は高圧型がおすすめです。
電気代を節約したい家庭では、通電開始時間を制御するマイコン型、電気代の節約にはなりませんがローコストで設置できるマイコンレス型があります。浴槽機能では、蛇口から浴槽へお湯をはる給湯専用タイプ、自動でお風呂を給湯する自動風呂給湯タイプがあります。
自動風呂給湯タイプでは、機能価格で、お湯ハリ機能を選ぶことができます。さらにお湯ハリの仕方でも、ダブル追い炊き、エコオートといった2つの機能があり、それぞれの家庭のライフスタイルや家族構成、家の構造で選ぶことができます。
給湯器の種類④エコキュート
エコキュートを商標名と思っている人がいますが、エコキュートとは自然冷媒ヒートポンプ式電気給湯器の総称になっています。現在では様々なメーカーで作られています。
エコキュートは、ヒートポンプの技術を利用し、空気の熱でお湯を沸かします。フロンガスを使わず、空気中に存在する二酸化炭素を利用し、オゾン層破壊や温暖ガス排出を抑えることができます。さらに、使用するエネルギーに対して、多くのエネルギーを供給することが可能です。
同じ使用エネルギーなら、エコキュートは他の給湯器の約3倍の熱エネルギーを作ることができます。夜間の電力を使うタイプでは、環境にも優しくランニングコストも抑えることができるため、色々な面デメリットの多い給湯器となります。
おすすめポイント
一番のおすすめポイントは、環境に優しいことです。少ない電気量で、同じ電気を使った温水器の3から5倍の湯量を供給することができます。
ガスや石油の給湯器は熱を生むために、CO2を排出しますが、エコキュートは逆にCO2をエネルギーとします。本来排出するCO2を使うことで、温室効果ガスやオゾン層の破壊と、環境問題を抱える地域では、最もおすすめしたい給湯器となります。
さらにエコキュートにガス式の良いところを加えた、エコワンという給湯器もあります。給湯器もどんどん新しく進化しています。給湯器は長期にわたって利用するものです。電気代の節約にも、環境にも優しいエコキュートは、色々な面デメリットが高い給湯器です。
選び方
エコキュートにも、省エネタイプをはじめたくさんの種類があります。エコキュートは学習機能があり、その家庭にあった湯量を判断し、必要量を沸かすことができます。
使い勝手もフルオートタイプ、セミオートタイプ、給湯専用もあり、ライフスタイルによって選ぶことができます。小さい子供から高齢者まで利用可能で、音声ガイダンス付き、双方向会話機能付きもあります。ユニバーサルデザインの浴室用など幅広い場所で利用可能です。
子供の誤操作を防ぐチャイルドロック機能など、エコキュートは多機能にわたって選ぶことができます。塩害に強いもの、低外気温でも操作ができるタイプなど、種類も多くエコキュートはどんどん進化する給湯器です。
家族の人数で選ぶ
お湯は一人暮らしでは、一人分しか使うことはありません。しかし、家族人員が増えると、一度にお風呂を入ったり洗い物をしたり、洗面所を使うこともあります。
一度に複数のお湯を使う大家族では、タンクの容量が大きいものや高い圧力、パワフルな給湯器が必要になります。エコキュートは薄型やコンパクトなもの、高圧タイプもあり、大容量を必要とする大家族でも場所を取らないタイプもあります。
二世帯住宅などで3階にバスルームを設置する場合は、高圧タイプや水道直圧タイプもあります。エコキュートには、300リットルから370リットル、460リットルといった容量があります。家族の人数やライフスタイルによって選びましょう。
設置地域別の選び方
給湯器は周辺の温度によって、消費する燃料や供給する水の量が異なります。暑い夏は少ない力でも十分なお湯を供給できますが、寒い冬は夏よりも一回り大きな給湯器が必要です。
日本は南北に長い国です。暑さが厳しい地域と、寒さが厳しい地域では、給湯器に必要な力も異なります。寒い地域では真冬になると、外付けの給湯器が凍結して動かなくなることもあります。そこで、低外気温でも作動可能な寒冷地タイプを選びましょう。
他にも、海が近い場所では錆や潮風に強い塩害タイプもあります。地域だけでなく、家の作りによっても選ぶことができるため、高圧タイプを選ぶこともできます。さらに、設置に関しては耐震強度も高めています。エコキュートの給湯器は国内どこでも利用できます。
給湯器の種類・特徴を把握して賢く選ぼう!
お湯を供給することができる給湯器ですが、たくさんの種類があることをご理解いただけたことでしょう。給湯器は種類や大きさによって、燃料や量が違います。
家族員数や家の大きさ、地域、ライフスタイルによってお湯を使う量や温度が違うように、選ぶ給湯器の種類も違ってきます。そこで、給湯器は利用する人のニーズに合ったものを購入し取り付けることをおすすめします。
そのためにも、給湯器を購入する前に、それぞれの特徴やメリット、デメリットを知ることが大切です。給湯器は、種類や特徴を把握して、ライフスタイルや家庭のニーズに合った、最も使いやすいものを選びましょう。