一人暮らしの平均の食費
大学進学や就職・転職を機に、一人暮らしを始める人も多いでしょう。一人暮らしを始めると、実家で暮らしているうちはわからなかった「お金の使い方」に頭を悩ませる人も少なくありません。
一人暮らしにかかる基本的な費用は、①家賃、②水道光熱費、③通信費、④生活雑費、⑤食費が挙げられるでしょう。このうち、家賃や水道光熱費、通信費は「固定費」として、節約する際に大きく変動させることが簡単ではありません。
そこで、一人暮らしを始めて「お金を貯めるために節約をしたい」と考えた時に最も効果が出やすいものが「食費」だと言えるでしょう。今回は、一人暮らしにかかる平均的な食費について解説するとともに、一人暮らしの食費の節約方法や自炊のおすすめ食材などについて見ていきます。
①大学生・社会人
まず、大学生と社会人の一人暮らしの場合の平均的な食費を比べてみましょう。大学生は比較的時間の自由があり、積極的に自炊をする人も少なくありません。一方で、社会人になると、仕事のある日にはなかなか自炊の時間を取ることができなかったり、仕事上の付き合いで外食が増えたりすることで、食費がかさむ傾向があります。
具体的な一人暮らしの食費の平均金額を見ていくと、大学生が約2万5,000円である一方で、社会人では約4万円となっています。つまり、大学生と社会人とでは、1ヶ月で1万5,000円ほど変わることになります。
確かに、社会人では収入も増えるため、1ヶ月1万5,000円という金額はあまり大きな差とは言えないかもしれません。しかし、年間で考えれば18万円もの違いとなります。後でも触れますが、自炊と外食のバランスが節約には重要になると言えます。
②自炊派・外食派
それでは自炊派と外食派では、平均的な食費にはどの程度の差があるのでしょうか。自炊と外食の割合によっても平均的な食費は変わりますが、ここでは3食全てが自炊の場合と、3食全てが外食の場合で比較していきます。
1日3食のうち全てが自炊の場合、1か月の平均的な食費は約1万5,000円です。一方で、1日3食のうち全てが外食の場合、1ヶ月の平均的な食費は約5万円ほどと言われています。食材費やどのような場所で外食するかによっても異なりますが、決して小さくない金額差があるようです。
このように、自炊と外食では1ヶ月の平均的な食費が3万5,000円も変わります。年間で考えると、42万円も変わるとなると、一人暮らしの食費を節約する場合は、どの程度自炊ができるかどうかがカギになると言えるでしょう。
③男性・女性
それでは、男性と女性とでは一人暮らしの場合にかかる平均的な食費は変わるのでしょうか。男性と女性では一般的に、食べる量が変わるため、必然的にかかる食費も変わります。
実際の金額を見てみると、一人暮らし男性の平均的な食費は1ヶ月約4万円、女性では約3万円と言われています。また、男性と女性とでは、食費のかけ方が異なります。男性は比較的夕食に食費をかけ、女性では昼食に食費をかける傾向があります。
昼食と夕食ではかかる費用も異なります。外食の場合の昼食・夕食の平均予算を見てもそれは明らかです。昼食(外食)では1,000円以下を予算とする一方で、夕食(外食)では2,000円以下を予算としています。このことから考えても、夕食にお金をかける傾向のある男性の平均食費が高くなるのは当然かもしれません。
まずは自分の食費を把握しよう
このように、一人暮らし世帯の生活状況によって、かかる食費は大きく異なります。自炊が多いのか、外食が多いのか、外食のときはどのようなところに行くのかなど、1食にかかる食費は人それぞれです。
もちろん男性・女性にかかわらず、自分が朝食・昼食・夕食のどれに最も食費をかけてしまうのか、3食それぞれにかかる食費がいくらなのかを把握することが、食費節約の第一歩と言えます。
一人暮らしの理想の食費
このように、一人暮らし世帯の平均的な食費は、どのような生活をしているのかが大きく影響をしていました。
節約を考える場合、もっとも手をつけやすいものが食費であり、「どの程度の食費であれば理想的なのか」を知ることは、食費節約の目安となります。そこでここでは、一人暮らしの場合の理想の食費について説明します。
手取りの15%程が理想
一人暮らしの場合の理想の食費は、手取りのうちの約15%と言われています。つまり、手取り月給が18万円であれば、2万7,000円が理想の食費と言えます。1ヶ月の理想の食費がわかれば、1日にかけることのできる食費がわかります。
2万7,000円を30日で割ると、1日当たりの食費は900円となります。つまり、朝食・昼食・夕食の全てを外食でまかなってしまうと、900円で収めることは難しくなります。そのため、どれだけ自炊をすることができるかが、一人暮らしの食費節約には重要になります。
食費節約のためにまずやること
ここまで、一人暮らしの平均的な食費と理想の食費金額について見てきました。食費の節約をする際には、まず理想の食費金額に近づけていく必要がありますが、そのためにはまず自分がいくら食費として使っているかを知る必要があります。
そこで、いきなり食費の節約を始めるのではなく、まず1か月間にかかっている食費を書き出しましょう。朝食・昼食・夕食で、それぞれいくらかかっているのか、飲み物代としていくらかかっているのかを把握します。
その上で、理想の食費(手取りの15%)にするには、どこを節約することが最もストレスがかからないのかを考えましょう。強いストレスのかかる節約は長続きしません。また、男性と女性とでは食生活も変わりますので、自分に合った食費節約術を考えましょう。
一人暮らしの食費の節約術
このように、一人暮らしの場合の理想の食費は手取りの15%程度でした。大学生や働き始めた新卒の人であれば、手取りも少ないため、必然と食費にかけることのできる金額は少なくなります。そのほかにも、より節約したいという人にとっても、食費の節約術は気になるポイントでしょう。
そこでここからは、一人暮らしの食費の節約術について見ていきます。節約ポイントは以下の5つです。簡単にまとめれば、自炊を増やして無駄遣いを減らすということになります。具体的に見ていきましょう。
節約①自炊を積極的に行う
先ほど、平均的な食費を比較した際にも触れましたが、3食外食する場合と3食自炊をする場合ではかかる食費が大きく変わりました。そのため、食費の節約には「自炊」が大きなカギを握ります。
一人暮らしの食費を節約したい場合は、積極的に自炊をするようにしましょう。ランチ代にお金がかかっている人は手作りのお弁当の割合を増やし、飲み会などによって食費がかさんでいる人は飲み会に出る回数を減らし、自炊回数を増やすことで大きく節約することが可能になります。
節約②飲み物・お弁当の持参
意外と見落としがちなのが「飲み物・お弁当」です。特に飲み物は1回にかかる金額があまり高くない分つい購入してしまいがちですが、長期的な目線で見ると大きな出費となっています。
100円のペットボトルを週に5日間、1ヶ月購入すると2,000円の出費となります。これを1年間続ければ2万4,000円の出費です。つまり、自宅から飲み物を持参するだけで2万円以上の食費を節約することができます。
また、昼食に関しても同じです。平日5日間の昼食を500円の外食で済ませたとすると、1週間に2,500円、1ヶ月に1万円、1年間に12万円の出費となります。平日のうち半分をお弁当にするだけでも、6万円の食費節約となります。
小さな出費の見直しが重要
飲み物もお弁当も、1日で見ると大きな金額ではありませんが、1週間・1ヶ月・1年という単位で見ると、数万円単位の節約が可能になります。
毎日でなくても、1週間のうちの数日だけ、自宅から飲み物やお弁当を持っていくだけでも大きな節約につながります。いきなり「毎日お弁当を作ろう」と意気込むと長続きさせることが難しいので、まずはできる範囲の節約から始めることをおすすめします。
節約③お菓子は我慢
これは特に女性に当てはまるかもしれません。お菓子を購入する回数を可能な限り減らすことで食費節約につながります。今やお菓子はコンビニなどで手軽に購入することができます。また、お菓子1つ当たりの金額も100円程度となっているため、コンビニに立ち寄った際につい購入してしまうことも少なくありません。
「あまりお菓子にお金を使っている気はしない」という人も、実は1ヶ月単位で見ると数千円もの出費になっていることもあります。まずは、1ヶ月当たりにお菓子に使っている金額を知ることから節約を始めましょう。
節約④お酒を飲まない
これは、男性・女性問わずお酒好きの人には辛い節約かもしれません。簡単に言えば、居酒屋に行く回数を減らすだけでも大きな節約となります。
「仕事帰りに一杯だけ…」と居酒屋に立ち寄った際に、実際に一杯で済むことはまれでしょう。ついお酒やおつまみがすすみ、大きな出費となってしまいます。特にアルコールを摂取すると、判断能力もにぶるため、ついお金を使いすぎてしまう人も少なくありません。
そこで、一人暮らしの食費を節約したい場合は、「お酒を飲まない」または「お酒を飲むなら自宅で飲む」ことをおすすめします。スーパーなどでまとめ買いできるお酒は、お店で飲むよりも格安で購入することができます。
節約⑤コンビニよりスーパー
節約ポイント5つ目は、コンビニではなくスーパーを利用することです。コンビニとスーパーでは、圧倒的にスーパーの方が安く販売されています。また、まとめて購入することで買い物頻度を減らすことも可能です。
無駄遣いは「買い物ついで」という気持ちで購入してしまうことで起こることも多いため、スーパーで食材をまとめて購入することで、買い物に行く回数を減らし、結果として無駄遣いを減らすことが食費節約につながることもあります。
一人暮らしの食費を健康的に抑える食材
ここまで見てきたように、ひとり暮らしで食費を節約したい場合は、自炊がカギをにぎります。ですが、初めて一人暮らしを始めた人のなかには、あまり料理をしたことがないという人もいるでしょう。
一般的には、一人暮らしをしている男性の約半数・女性の約30%の人が「ほとんど自炊をしていない」とも言われています。そこでここでは、自炊をしながら健康的に食費節約できるおすすめ食材を紹介します。これから食費節約のためにも自炊を始めたいという人は、ぜひ参考にしてください。
①おから
おすすめ食材の1つ目は「おから」です。大豆から豆乳を絞ったあとに残るものが「おから」です。そのため、非常にヘルシーかつ栄養価の高い食材で、また購入できる値段も格安なので、健康的な節約料理にはうってつけの食材です。
卯の花のような煮物料理だけではなく、コロッケやハンバーグに入れてかさましすることもできます。お菓子作りにも活用することができるので、手作りお菓子で食費節約効果を高めることも可能です。
②ツナ缶
ツナ缶は非常に手軽な値段で購入でき、かつ長期保存も可能な万能食材です。また、和・洋・中と、料理の種類を問わず活用できるだけではなく、ツナ缶をパスタやごはんなど炭水化物の上にのせるだけでも一品料理となるので、料理初心者の人にも扱いやすい食材と言えるでしょう。
③豆腐
豆腐も1パック100円程度で購入することができる、節約の強い味方です。大豆からできているので栄養価も高く、特に女性は積極的に摂取したい食材でしょう。
豆腐はおかずとしてだけではなく、炭水化物の代わりにもなります。特に仕事柄、夜遅くに夕食を食べる社会人の人は、主食をごはんや麺から豆腐に代えるだけで、手軽にダイエットすることもできます。洸った意味でも、男性・女性問わず、節約や健康のためにもぜひ活用したい食材と言えるでしょう。
④冷凍うどん
冷凍うどんは、お米を炊くのも面倒くさい時に重宝する食材です。5食160円ほどから購入することができ、1食当たり30円ほどになります。外食でうどんを食べようと思うと安くても500円ほどはかかることを考えれば、非常に節約になります。
冷凍庫で保存することができるため、長期保存が可能です。そのため、節約を考えるならば、1セットは常備しておきたい食材です。
⑤豆苗・かいわれ大根
豆苗やかいわれ大根の良いところは、手軽な値段で購入できるだけではなく、根の部分を水につけておくと2~3回ほど再収穫することができる点です。
また、食費を節約しようとすると、どんぶりやパスタ・うどんなどの炭水化物がメインになっていまい、野菜の摂取がおろそかになり、栄養が偏る傾向にあります。手軽に栄養価の高い野菜を摂取できるのも魅力と言えるでしょう。
⑥もやし
もやしは1袋50円以下で購入することができます。かさまし食材としても有名なもやしですが、栄養価としても食物繊維やビタミンB、ビタミンCなどが豊富だと言われています。
とはいえ、もやしは水分も多く含んでいるため、そのほかの食材と一緒に摂取するようにするようにしましょう。
⑦たまご
食費節約おすすめ食材はたまごです。たまごも手軽な値段で購入できるだけではなく、非常に栄養価の高い食材です。卵かけご飯やチャーハンなどの主食としても、目玉焼きや卵焼きなどのおかずとしても活躍する卵は、冷蔵庫に常備しておきたい食材です。ただし、賞味期限が比較的短い点に注意しましょう。
⑧魚肉ソーセージ
食費節約おすすめ食材、最後は「魚肉ソーセージ」です。魚肉ソーセージは普通のソーセージと比べて、高たんぱく・低カロリーと、非常に栄養価の高い食材です。
高たんぱく・低カロリーは筋トレのお供にも最適な食材です。塩分には注意しなければなりませんが、筋肉をつけたい男性には強い味方になってくれる食材でしょう。
一人暮らしの自炊無しでの食費節約
なかには、自炊が得意でない人や、仕事が忙しすぎて自炊ができない人もいるでしょう。先ほども見てきたように、実際に一人暮らしの男性の約半数・女性の約3割がほとんど自炊をしていないというデータもあります。そこで、このような場合の一人暮らしの食費節約術を見ていきましょう。
①お米は自分で炊く
自炊ができないほとんどが「調理」を原因としています。そのため、調理が不要な「お米」を自分で炊くだけでも食費節約になります。
例えば、コンビニでお弁当を買おうと思えば、500円以上かかることも珍しくありませんが、ごはんは自宅から持参して、おかずだけをコンビニで買う場合は約半額程度に抑えることが可能になります。
②レトルト食品
さらに、調理ができない時の強い味方が「レトルト食品」です。レトルトカレーだけでなく、今では「あとはフライパンで温めるだけ」という商品や一人暮らしの人のためのレトルト食品も少なくありません。こういった食品を上手に活用することで、手軽に様々な食材を摂取できます。
また、レトルト食品はある程度長期保存が可能なことも多いので、常備しておけば「今日は家に何もないから外食で」という事態を防ぐこともできます。
③冷凍食品
自炊なしで食費節約をする場合のもう1つの強い味方が「冷凍食品」です。電子レンジで温めるだけで簡単に調理できるのが冷凍食品です。
今では様々なおかずや主食が販売されており、手軽な価格帯も食費節約にはうってつけです。お弁当などのおかずとしても便利な冷凍食品は、上手に活用することで、食費節約の後押しとなります。
一人暮らしの食費節約の注意点
ここまで、一人暮らしの食費節約術について見てきました。様々な食費節約術がありますが、節約は長く続けてこそ効果があります。
そこでここでは、一人暮らしの食費を節約する上で、注意するべきポイント3つを解説していきます。この3つのポイントは、長く節約を続けていく上で非常に重要なポイントと言えるでしょう。
①栄養バランス
まず1つ目が「栄養バランス」です。男性・女性問わず、節約をしようとすると、食事そのものを抜いてしまったり、炭水化物ばかりを食べてしまったりすることもあるでしょう。しかし、これでは栄養バランスが崩れてしまいます。
栄養バランスが崩れると体調が悪くなり、生活習慣病になったり、病気にかかったりします。すると、食費節約以上の医療費がかかることになります。これでは本末転倒と言えるでしょう。
一人暮らしの場合は、どのような食生活にするのか自分次第でいくらでも変えられてしまいます。食費を節約しても、栄養バランスは崩れないように、野菜や大豆など健康に良い食品を積極的に摂取するようにしましょう。
②過度な節約は付き合いを無くす
過度な節約は、付き合いにも影響を及ぼすことがあります。先ほども見てきたように、外食が少ない方が食費節約には効果的です。しかし、社会人になると必要な「お付き合い」も存在します。こういったものを角に断ってしまうと、仕事に支障が出てくる場合もあるでしょう。
そのため、やりすぎた節約は避け、自分のできる範囲で長期的に節約していくことが非常に重要になると言えるでしょう。ある程度の余裕を持たせた予算を組むことも視野に入れましょう。
③我慢からの反動
最後の注意ポイントは「我慢をしすぎない」という点です。何度もお伝えしている通り、我慢をしすぎることは反動を生んでしまいます。反動による無駄遣いは、それまでの節約を無駄にしてしまいます。
そのため、過度に我慢することなくある程度余裕を持たせることが重要となります。あくまで長期的に節約することが最も節約には効果的であることを忘れないようにしましょう。
一人暮らしの食費は健康的な食材で節約しよう
このように、一人暮らしの食費を節約するには、まず、自分が今どのように食費を使っているのかを知ることが大切です。男性・女性によっても食費の使い方が異なるため、自分に合った食費節約術を取り入れることが、長期的な食費節約には重要です。
無理な我慢や節約は避け、健康的な食材を活用して、健康的に一人暮らしの食費を節約していきましょう。