扉・ドアの種類と開き方【開き戸】
扉・ドアの種類には開き戸と引き戸があります。開き戸はドアノブをもって、押したり引くことでドアが回転するように開きます。開き戸は片側開きと両側開きがあります。
家や部屋の広さや扉・ドアの向きや取り付け方によってせっかく作った扉が、開かない、開けても通りずらいなど意味がない場合もあります。また、家の雰囲気に合わないこともあります。扉やドアを選ぶときは、家や部屋にあった形や開き方を選ぶことが大切です。
まず初めに、扉・ドアの種類で良く利用されている、開き戸についてご紹介しましょう。開き戸の開き方を考えた特徴や、メリットやデメリット、家の雰囲気にあっているかなどをお話しましょう。
片開き戸のメリット
片開き戸は住宅の玄関やトイレ、洋室、集合住宅の玄関でも利用されます。片開き戸は右、または左端のちょうど腰の位置にドアノブがあり、押したり引いて開きます。
片開き戸の一番のメリットは遮断性・気密性の高さです。隙間を作らずに設置すると、音や光をなどしっかり遮ることができます。一般住宅の玄関だけでなく、病院のX線室や手術室、防音が必要な音楽室、映画館など外部への影響を与えたくない場所で利用されます。
片開き戸はしっかりと施錠することで簡単にドアを外すことが難しいため、防犯効果が高いことが一番のメリットです。狭い玄関やトイレの幅でも、片開き戸は扉の幅と人が立ってドアを開けるスペースがあれば、利用することができます。それが片開き戸のメリットです。
片開き戸のデメリット
片開き戸は、開け放つことが難しい作りです。ストッパーを利用して、開け放つことはできますが、強風で急に扉が閉まってしまう危険もあります。
気密性が高い分、ドアを閉め切ってしまうと風が入らないため、通気性が悪いというデメリットもあります。そこで、玄関ドアの中には、変形の両開き戸の親子ドアという種類があります。片側を狭く小さく開けることができる扉になります。
親子ドアは、玄関として開ける戸と非対称の形で、反対側に幅15cmほどの小さな戸を開けて風を室内に取り込むことができるようになっています。狭く小さい扉で、風通しや大きな荷物を運びこむ時だけ、開くようになっています。
扉・ドアの種類と開き方【引き戸・吊り戸】
引き戸や吊り戸は、和風建築や部屋の間仕切りで利用されることがあります。和室の扉や押し入れの襖、障子戸などにも利用される引き戸は開き戸と、戸の開き方が違います。
吊り戸は、上から戸を固定して引くことで扉を開け閉めします。床の上に戸が少し浮いているため、滑るように戸を開けることができます。床にレールがないためバリアフリーとなり、高齢者が躓く心配を減らすことができます。
和洋折衷の日本家屋では、玄関や洋室、トイレは片開き戸を利用していますが、ベランダや庭に出る、ガラスのサッシは引き戸という家が多くあります。それでは、引き戸にはどんな種類があるのでしょうか。それぞれの開き方やメリット、デメリットのご紹介です
片引き戸のメリット
片引き戸は、戸を引いた分が部屋の開口部になります。片引き戸は引いた戸が、壁に重なるため壁の外側に物を置いても開けることができます。
引き戸は簡単に戸が外せるため、素人でも戸の修繕や掃除が簡単にできるというメリットがあります。また、戸を外すと、戸の幅いっぱいに開口部が取れるため邪魔にならず、大きな物の出し入れがしやすい、という特徴もあります。
引き戸を片引きすることで、引いた戸と壁が重なり、スッキリと収まるため戸が邪魔に感じないというメリットもあります。また、片開き戸と違い、戸を全開で開け放っても強風で戸が閉まることはありません。風と通しが良いというメリットもあります。
片引き戸のデメリット
片引き戸は引いた戸を重ねるための、場所を確保する必要があります。そのため、トイレのドアのように、幅が狭い場所では使うことはできません。
引き戸は必ず、引いた戸を重ねるだけの壁のスペースが必要になるというデメリットがあります。戸が1枚90cmくらいですので、戸を設置する場所の幅としてその2倍が必要です。また戸と壁の隙間が空いているとすき間風が入る時があります。
また、簡単に戸を外せるため、昔ながらの木製の引き込み戸を外側との出入り口で見かけることはほとんどなくなりました。ガラスサッシのような気密性の高い戸でも、防犯上の不安があることがデメリットになります。夜間や外出時は必ず雨戸を閉めましょう。
引き違い戸のメリット
引き違い戸は、二枚の戸を左右どちらにも開け閉めをすることができます。和風の家の玄関や押し入れ、部屋からベランダや庭に出る、ガラスサッシの戸も引き違い戸です
引き違い戸は左右どちらも開けることができることが最大のメリットです。右側に人や物があれば左側を、左側に邪魔なものがあれば右側を開けることができます。通気性を考える時、玄関や部屋の作りで、左右のどちらかを開けて、空気の流れを変えることができます。
木造家屋の部屋や住宅の引き違い戸は、通気性が良いため、風通しが良く涼しいこともメリットになります。開け放つと、開放感もあり、和風旅館や日本の家屋では、部屋の仕切りや押し入れ、庭に出る戸に引き違い戸を利用していることもあります
引き違い戸のデメリット
引き違い戸は2枚の戸を左右に引くため、必ず2枚分のスペースが必要にになります。そのため、細長い入り口や幅が狭い場所では利用できません。
また、引き違い戸は、左右どちらも開いてしまう分、防犯上の注意が必要というデメリットがあります。一般的な家のベランダや庭に出るためのガラスサッシには、カッターで切れないような強化ガラスを使ったり、二重ロックのクレセント錠の利用が増えています。
木造家屋の引き違い戸は、開放感があることが特徴的であるため、通気性が良い分遮断性や防音性、気密性が低くなります。そこで、夜間や留守の時、災害時などは、雨戸などを閉めることで防犯や防災をすることが必要になります。
引き分け戸のメリット
引き分け戸は、両引き戸とも言われます。引き分け戸は戸を左右に引いて開く戸になります。和室の広間や洋室にも利用されることがあります。
引き分け戸は、幅が広い部屋の入り口を左右に開くことで、一般的な戸の2倍の広さの開口部を得ることができます。引き分けた戸を両サイドの壁に重ねる引き分け戸と、同じ戸と重ねる引き違い戸と合わせた戸があります。
引き分け戸のメリットは、開口部が広いことですが、和室の間にある4枚の襖を外すと、2つの部屋を1つの広い部屋として利用することができます。外に出るガラス戸も、引き分け戸にすると、広く開けることができて、外の風や空気を充分に取り入れることができます。
引き分け戸のデメリット
引き分け戸は、中心で2枚の戸がピッタリと合うようになるのが特徴です。襖や木造の戸は、2枚の戸の間にすき間が空くこともあります。そのため、遮断性が低いのが特徴です。
遮断性が低いため、部屋通しの防音効果や防寒効果も低くなります。また、防犯性も低いため、外側から入ることができるガラスサッシなどではあまり利用されません。引き違い戸と違い、2枚の戸が左右に開くため施錠も2か所必要です。
また、一番のデメリットは両サイドの戸を、左右に引いて開くため、戸4枚分の幅を必要とします。集合住宅や一般的な戸建て住宅で、引き分け戸を設置する幅を取ることは難しくなります。そのため広い部屋や家以外では、利用することはほとんどありません。
扉・ドアの種類と開き方【折れ戸】
折れ戸は戸を折り畳むことで開き、折り畳んだ戸を伸ばすことで閉めるという開き方が特徴の扉です。木製やアルミフレームと樹脂素材の戸があります。
折れ戸の幅には普通の戸の1/3や1/2のものがあります。幅を変えることで、狭いスペースなどで利用することができます。そのため、玄関や部屋の扉よりも、洋室のクローゼットや洗面所・浴室のドアに利用されることが良くあります。
浴室の扉はアルミフレームに樹脂素材で作られています。軽くて掃除がしやすいのが特徴です。クローゼットで利用される戸は木製ですが下にレールがなく吊り戸になっているものもあり、軽くて開け閉めしやすくなっています。
両折れ戸のメリット
両折れ戸の開き方は、左右に戸を折り畳みます。普通の戸よりも幅の狭い戸を複数枚使って、一枚の扉にするのが特徴です。
両折れ戸は、両側に折り畳むことで戸を開くため、狭いスペースで広く開口部を取ることができるメリットがあります。普通の戸の1/3幅のものなら、折り畳んだ戸のスペースも普通の戸の1/3幅で、壁に重ねることができます。
一枚一枚の戸が小さく軽いというメリットもあります。クローゼットの戸や、洋室の間仕切りなどに利用されることもあります。子どもが小さい時は1部屋で、成長したら部屋を仕切って間の壁の一部を両折れ戸にし、2部屋に分けるという家もあります。
両折れ戸のデメリット
両折れ戸は、折れ戸2枚分のスペースがある場所で利用されます。そのため狭いクローゼットや浴室の入り口では利用できません。
両折れ戸は、クローゼットのように広い開口部が必要な時に利用されます。折れ戸一枚一枚が畳まれるため、それぞれに蝶番がついています。場所によってはホコリやカビが付着しやすくなります。
両折れ戸のデメリットは戸一枚一枚が軽いため、家の外側との入り口で使うには弱くなります。遮断性も低く、外部の音や熱を伝えやすくなります。とくに、軽い木製の両折れ戸はレールも必要としません。そのため、室内での出入り口や仕切りとして利用されます。
片折れ戸のメリット
片折れ戸は、1枚の折り畳み式の戸を片側に畳む開き方で、部屋の出入りを可能にします。両折れ戸よりも狭いスペースで開け閉めができます。
片折れ戸は、バスルームへの出入り戸によく利用されます。アルミフレームと樹脂製で、掃除しやすいのが特徴です。素材が軽いため力を入れることなく開け閉めできます。クローゼットで利用される時も、吊り戸が多いため、楽に開け閉めできることがメリットです。
防水性の高いポリプロピレン樹脂の素材を使った片折れ戸は、バスルームの入り口に使っても、カビにくいというメリットがあります。狭いスペースでの開閉が容易なため、狭い脱衣所に洗濯機や洗面台などを置いても、充分に開け閉めすることができます。
片折れ戸のデメリット
片折れ戸は軽い分、防犯や防音面には向かないような戸になっています。そのため、屋外との出入り口で利用されることはありません。
片折れ戸はレールがないものが多く、華奢な作りをしているため、屋外との出入り口のドアには向いていないというデメリットがあります。隙間もできるため、湿気を逃がしたいバスルームには最適ですが、プライバシーを守るための部屋のドアには不向きになります。
折れ戸は1枚の戸が2~3枚繋ぎで作られているため、折り畳まれる場所にホコリが溜まったり、カビが生えることもあります。とくに浴室の片折れ戸は湿気も多いため、頻繫に拭き掃除をすることが大切です。
扉・ドアの種類の選び方
扉・ドア・戸といってもたくさんの種類があります。それぞれがメリット・デメリットと色々な特徴を持っています。
家を建てたり、リフォームをする時、私たちはつい戸の形やデザイン、色に目が行ってしまいます。しかし、大切なことは扉をつけた時の実用性です。せっかくおしゃれな扉をつけても、使い勝手が悪い扉は開かずの扉になってしまいます。
そこで、扉やドアを選ぶときは戸を設置する家や部屋の特徴や、広さとのバランスが重要になります。戸を選ぶときは、デザインや色だけでなく、戸の開き方・大きさ・メリット・デメリット・特徴をしっかりと考えて、選択するようにしましょう。
玄関が明るくなるか考える
屋外と屋内を隔てる玄関の扉は、防犯や防災上重要なものになります。だからといって、頑丈過ぎて重すぎたり暗い扉は、玄関も暗くなってしまいます。
玄関は、その家の顔と言われています。家人が利用する時はもちろん、他人が利用する時にも、重要な場所になります。そこで、玄関の扉を選ぶときは、外側から見た扉と、家の中の扉の両方にあっている、明るい雰囲気を作るものを選びましょう。
また、安心して家の中で過ごせるためにも、防犯面でもトリプルロックなどしっかりとして、それでいて玄関を明るくする、扉を選びましょう。色も白や黒、茶色と色々ありますが、家の外壁の塗装に合ったものを選ぶと良いでしょう。
扉の特徴が自分に合っているか考える
家を建てたり、リフォームをした後、扉はあなたの特徴にあっているでしょうか。また、家の中の雰囲気にあっているでしょうか。
どんなに機能性が高い玄関でも、家の雰囲気にあっていなければ、素敵な家もだいなしです。玄関が自分の好みの扉であるかも含めて、選ぶようにしましょう。さらに、自分の好みだけでなく、家人の好み、住む家や部屋の雰囲気にあった扉を選びましょう。
防犯面に不安があるといっても、純和風の家なら木目調の引き違い戸を玄関に利用することもあります。洋風モダンの家なら、黒い玄関を持ってくるという家もあります。玄関の扉は、家の顔であると考えて選んでみると良いかもしれません。
断熱性や耐久性を考える
玄関は防犯の他にも、風雨や豪雪なども考えて選ぶ必要があります。そのため、北海道や沖縄など、地方によって玄関のドアにもそれぞれの特徴があります。
例えば、豪雪地帯では玄関が二重扉になっている家が多くあります。玄関の中にさらにスペースがあり、もう一枚玄関を置くことで、雪や寒さから家の中を守っています。玄関を高い位置に作るという地方もあります。
家を建てる地域の気候や風土、防災にも注意して、耐熱性・断熱性・耐久性のある扉を選ぶようにします。特に、台風が多い土地や豪雪がある地域の場合は、二重玄関や玄関の位置を高くするなど、扉以外にも注意することが大切です。
扉・ドアのリフォームの注意点
ドアをリフォームする時、最も重要になるのが現状の玄関とサイズがあっているか、というポイントです。とくに自分でリフォームする時は気を付けましょう。
玄関といっても、マンションや団地と純日本家屋では、幅に大きな違いが出ます。いくら気に入ったドアでも、サイズが合わないと、玄関そのものを変えなければなりません。ドアの取り換えでは済まなくなってしまいます。
また、玄関のドアだけを変えるのか、外壁も変えるのかも重要になります。外壁が現状のドアとあっている場合、新しい玄関も現状のドアと似たような色を選ぶことがベストになります。しかし、外壁の塗装やサイディング工事もする場合は、一緒に合わせて選びましょう。
色・デザインを用途によって種類を決める
玄関の壁、家の壁と全体のイメージと玄関ドアの色、デザインは一緒に合わせて選びましょう。服と同じで単体では良くてもコーディネートしたら合わないこともあります。
壁と玄関ドア、部屋とドアをバラバラに選ぶと、アンバランスになってしまうことがあります。そこで、できるだけ壁や塀の色や形とドアや戸を合わせてみましょう。そして和室や洋室、トイレなどどこで使うかによって、種類や色・デザインも変えていきましょう。
玄関や部屋のドアに何を求めるのかによっても選択するものが異なります。遮断性が高いものにするのか、通気性が良いものにするのか、それとも遮光性が高いものにするのか、用途によっても違います。色やデザインの他にも、自分が必要とする機能も考えましょう。
予算を最初に決める
家は決して安い買い物ではありません。自分でできるDIYの浴室のドアで2万円、格安の玄関ドア本体でも5万円前後はかかります。
プロの人にしっかりとリフォームしてもらうと、さらに人件費や出張費、工事費もかかります。DIYに自信がない場合は、防音や防寒、防犯を考えると自分での設置は難しくなります。やはりプロに任せたいものです。
他にも、壁の塗装を同時に変えたり、バリアフリー化など玄関や入り口の幅そのものが変わると、数百万円になることもあります。まずは、リフォームする目的を考え、予算を決めてその中から希望のドアを選びましょう。
必ず実物を確認する
玄関をリフォームする時、カタログなどで決めてしまうことがあります。しかし、リフォーム会社や住宅メーカーでは、必ずショールームがあります。
どれほど映像技術が進歩していても、光の当たり方などで実物と写真や映像が違うことはよくあります。また、映像では機能面の確認ができません。戸を選ぶときは、必ず実物を自分の目で見て、選ぶようにしましょう。
形は実物を見て選んだけれど、色は色見本で選ぶことが良くあります。しかし、実際につけてみると大きさの違いでイメージと違う、壁から浮いて見えるということもあります。ショールームになければ、違う形で同じ色の実物大のドアを見せてもらって下さい。
扉・ドアの種類はライフスタイルによって選ぶべき
注文住宅を建てる時やリフォームをする時に大切なものが戸や扉です。簡単に変えることができないからこそ、自分の部屋や家の玄関は、自分で選びたいものです。
扉・ドアの種類はライフスタイルによって、様々です。和風の落ち着いた雰囲気が好きな人、モダンな洋風の家に住みたい人、可愛いメルヘンチックな家が好みの人とそれぞれです。家は自分のライフスタイルに合ったものを選びます。
家を選ぶときに、自分のライフスタイルを考えて選ぶなら、玄関や部屋の扉やドアも同じです。家の壁やインテリアだけでなく、玄関の選択にも自分のライフスタイルが現れます。ぜひ、自分が納得できる玄関や部屋の扉を選んでみましょう。