美味しいじゃがいもを収穫するコツ
古くから国民に愛されている「じゃがいも」ですが、最近はスーパー等で購入するだけではなく、じゃがいもの家庭栽培が流行っております。今回は、家庭栽培をやる際に知識として蓄えておきたい、じゃがいもの収穫時期の見極め方、目安、じゃがいもの栽培方法等を詳しくまとめました。
栽培方法・植え付け時期に気をつける
じゃがいもは、ナス科ナス属の多年草の植物で、地下に多数の地下茎を伸ばし肥大して芋(じゃがいも)となります。じゃがいもはデンプンが主成分ですが、ビタミンB1・C・食物繊維なども多く含まれています。
そんなじゃがいもを家庭栽培するとなると、気を付けなくてはいけない事が沢山あります。普段何気なくスーパーマーケットや八百屋などで買って食べているじゃがいもを、いざ自分で作ろうとすると収穫時期の見極め方等、栽培方法が意外と難しいのです。
特にじゃがいもは地中に出来る作物なので、栽培が初めての方にとっては、収穫時期の目安が大変分かりにくい特徴があります。まずはじゃがいもを栽培するにあたり、気を付けるポイントについて知っていきましょう。
追肥・土寄せに気をつける
追肥とは、追加で与える肥料のことをいいます。じゃがいもを育てる上で不足している肥料を補うために使い、追肥をするとより作物が育ちやすくなります。まずじゃがいもを育てるためには、じゃがいもに適した土作りをし元肥をします。
じゃがいもは弱酸性の土地で育てる必要がありますので、元肥料をする際は、土壌をアルカリ性に近づける石灰肥料をやり過ぎないよう気を付けましょう。元肥料だけでもじゃがいもは育ちますが、小さいじゃがいもになってしまう等、失敗をしてしまう可能性が高くなります。
じゃがいもに追肥をすることにより、大きく立派なじゃがいもを栽培することが出来るでしょう。追肥のタイミングは、育った根が横に伸びてきた時期がベストです。追肥の方法は、伸びてきた根の先に置き肥をします。
じゃがいもを栽培する際、土寄せが不足していると失敗の原因になりますので注意が必要です。土寄せとは、植物が少し育ってから根に土をかけてやることをいいます。じゃがいもは地中の浅い場所に根が張るので、放っておくと地表にじゃがいもが露出してしまいます。
じゃがいもは太陽にあたると収穫の際、緑色に変色している事が多くなります。緑色の部分はソラニンという有毒物質なので、その部分を作ってしまう事は失敗に繋がります。そのため土寄せをしっかりと行い、地平面から15センチ位高く盛り上げた高畝にしておきましょう。
以上のことより、じゃがいも栽培の際に追肥を怠ってしまう事、土寄せが不足していた事は、失敗のもととなりますので、じゃがいもを植え付けた後も忘れないよう念頭において下さい。追肥をする時期もあわせて注意をしてください。
タネイモを使うと大きなじゃがいもが育つ
じゃがいも収穫の際、サイズが小さい事を避けるためにはタネイモを使う事をおすすめ致します。タネイモは、農林水産省の検査機関の検査に合格し品質がきちんと保証されています。じゃがいもが小さい理由の一つは、種から育てた事があげられます。
種から育てるじゃがいもは、成長が遅い特徴があります。せっかくだから種からじゃがいもを育てて収穫したいという気持ちがあるかと思いますが、大きなじゃがいもを収穫するためには、タネイモを使ってみましょう。
スーパーマーケット等で売られているじゃがいもではなく、合格証の付いた種イモを購入する事をおすすめ致します。初心者が失敗しないためのタネイモの選ぶ方法は、切らずにそのまま植えられる程小さなタネイモを選ぶことです。
正しい間引きで大きなじゃがいもが育つ
じゃがいもは、一株から芽が5本から6本同時に出てきます。タネイモを植えてから3週間位経過し、5センチ程芽が伸びてきた時期に間引き(芽かき)をして下さい。間引きをしていない場合や間引きが中途半端の場合、じゃがいもが小さい理由となります。
元気なじゃがいもの芽を抜くことに対し抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、間引きをしないと栄養が分散してしまい、じゃがいもが大きくならない原因になります。元気な芽を1本から2本以外は間引きして下さい。
間引きは、タネイモが抜けないように残す芽の根元を抑えながら抜くようにしましょう。成育の良い芽を残し、残りを根元から引き抜くことです。あえて間引きをせず、大小様々なじゃがいもを収穫する楽しみもありますが、大きなじゃがいも収穫を目指すためには間引きは必要です。
収穫時期・タイミングを見極める
じゃがいもの収穫時期・タイミングを見極める事について、初心者が収穫時期の目安を見極めるのは難しいのですが、良いじゃがいもを収穫するためには見極めは大切です。じゃがいもを収穫する時期の見極め方法は、花や葉の状態を観察する事です。
じゃがいもの花が咲いたタイミングが収穫時期と思っている方、それは勘違いです。じゃがいもの収穫時期・見極め方法の詳細については後程記述しますが、収穫時期がずれると失敗に繋がりますので見極められるようにしましょう。
因みにじゃがいもの花は養分が取られてしまうので、花を見つけたら摘んでおいた方が良いでしょう。花が咲いた時期は収穫のタイミングではありませんが、花が出たら摘むと覚えておいてください。大きなじゃがいもを作るために必要な作業です。
じゃがいもの収穫時期と植え付け
続いてはじゃがいもの収穫時期と植え付け時期についてです。収穫時期は、より良いじゃがいもを作れるかどうかが決まる一つの要因となります。覚えておきたい収穫時期の目安と植え付け時期の目安を確認していきましょう。
植え付けから100日が収穫の目安
じゃがいも収穫時期について葉や茎の状態を確認する方法をお伝えしましたが、それ以外の方法もあります。それは日数の目安です。じゃがいもは植え付けから100日位で収穫時期を迎える事が多いです。
しかしながら日数の目安は地域ごとの気候や栽培方法によっても異なりますので、あくまで目安程度と考えておいて、基本的には葉や茎の状態を見て収穫時期を見極める事をおすすめいたします。
春じゃがの収穫時期・植え付け時期
春じゃがいもの栽培は、寒さの残る2月から4月中旬までが植え付けの時期で、収穫の時期は5月から6月にかけてとなります。寒い時期にタネイモを用意するので腐りにくく、この時期タネイモの販売も多いです。
春じゃがいもの収穫は、梅雨に入る前に行う事を忘れないようにしてください。収穫が遅れてしまうと、じゃがいもに水分が多く含まれ腐りやすくなってしまうので注意してください。また表面についた傷から菌が入って腐ってしまうこともあります。
春じゃがいもの栽培は暖かい気候の中作業ができることもあり、秋じゃがいもと比較して初心者向けと言われているので、初めてじゃがいもの栽培をすることになった場合には、春じゃがいもから始めてみてはいかがでしょうか。
秋じゃがの収穫時期・植え付け時期
秋じゃがいもは、夏から秋にかけて栽培する作物です。植え付けの時期は暑さが残る9月頃で、春じゃがいもと同様に、植え付けから3ヶ月程の11月から12月にかけて収穫が出来ます。
春じゃがいもと比較し、秋じゃがいもは収穫の量は少ないのですが、お芋のデンプン価が高く、ホクホクするのが特徴で、美味しいです。
じゃがいもの収穫時期のタイミングの見極め方
じゃがいもの収穫時期のタイミングと見極め方について、詳しくお伝えします。上記で植え付けから100日程度で収穫の目安とお話をしましたが、それは地域柄・栽培方法によって差が出てきてしまうので確実ではありません。確実な収穫時期は下記の通りです。
葉・茎が枯れてきたタイミングで収穫する
一般的にじゃがいもの葉・茎が枯れてきたタイミングが収穫時期と言われています。しかしながら、じゃがいもは花が枯れた以降も成長はしているので、ベストのタイミングは、花が枯れてから少し後です。
地上の茎や葉が枯れ始めるタイミングが、収穫時期が訪れたことを知らせる目安なので見逃さないように日頃から観察するようにしましょう。見えている部分がどんどん枯れていく姿を見て不安になるかもしれませんが、収穫時期を待ちましょう。
尚、新じゃがの場合は収穫時期が異なります。新じゃがは薄い皮ごと食べられる水分の多いじゃがいもです。新じゃがは、地上部分の茎や葉が枯れだす前に収穫が必要となりますので、間違いないようにご注意ください。
花が咲いている時期は収穫を見送ろう
じゃがいもの花が咲いたタイミングは、じゃがいもが成長途中の時期となります。そのため花が咲いた時点での収穫では、まだ時期が早過ぎます。そのためその時期は収穫はせず見送り、前述した通り花が枯れた少し後がベストな収穫時期の目安となります。
晴天が続いた後が収穫におすすめ
じゃがいもの収穫は、晴天が続いた後がおすすめです。理想としては、土が十分に乾き、晴天が2日から3日以上続いた後の収穫が最も望ましいです。何故なら土が湿っていると、傷ついた芋の表面に菌が入ってしまう可能性があるからです。
しかしながら、晴天が続かないこともあるでしょう。晴れている日を待ち続けていると収穫時期を逃してしまい、じゃがいもを腐らせてしまうこともあるため、そういう時は曇りであっても収穫をしてください。
春じゃがいもの場合、特に6月頃は例年降水量が増えてきますので、早めの収穫をおすすめいたします。尚じゃがいもを収穫した後も2週間から3週間、風通しの良い場所に広げて表面を乾かすようにしてください。
雨天は収穫に向かない
じゃがいもの収穫は雨天を避けましょう。理由は、雨で濡れた状態だと腐りやすいため、保存が効かなくなってしまうからです。従って雨の日やその翌日は適していません。
雨天時、じゃがいもの葉・茎の状態を確認し収穫のタイミングだとしても、万全の状態ではありませんのでご注意ください。雨の翌日がたとえ晴れていても、やめて下さい。
じゃがいもの収穫方法
じゃがいもの収穫方法についてのお話です。じゃがいもの収穫は、芋掘りの様に単純に引っ張って抜くものではありません。じゃがいもは意外と傷付きやすいので、収穫をする時には十分に注意する必要があります。
収穫する際にじゃがいもを傷を付けてしまうと保存をするときに悪い影響を及ぼしてしまいます。従いまして、じゃがいもに傷を付けずに収穫をする必要がありますので、上手に収穫をするためのコツを知ることが大事です。
特に家族で家庭栽培を行っている場合、お子様が何も知らずに収穫をし、傷を付けてしまう危険性があります。そのため、お子様と一緒にじゃがいもを収穫する際には、親御さんがしっかりと収穫方法を教えてあげる事をおすすめいたします。
周辺から掘り始める
じゃがいもを収穫する時は、最初からじゃがいもピンポイントからではなく、周りの土から掘り始めましょう。何故かと言うと、直接株本の真下から掘り始めるとじゃがいもを傷つけてしまう場合があるからです。
前述した通り、じゃがいもは傷付きやすいので、時間が掛かって少し面倒に思うかもしれませんが、周辺の土から掘っていくことが基本となります。株から見て周辺20cmから30cm辺りを掘り起こすようにして下さい。
わざわざ測る必要はありませんが、大体の目安で30cmと覚えておきましょう。じゃがいもを掘り起こす時、スコップを使う人も多いかと思いますが、慣れていない方など初心者は、スコップではなく手で掘る方法でも良いです。
手で掘るのがおすすめ
何度もお伝えしていますが、じゃがいもを掘る時に気を付けたい事は、じゃがいもを傷付けないことです。スコップを使うと、誤ってじゃがいもを傷付けてしまう可能性がありますので、素手で掘るのがおすすめです。直接手で土を触った方が確実な掘り方とも言われています。
芋づる式に収穫する
芋づる式とは、上記でお伝えした株の周辺の土から掘っていく方法の事を言います。周りの土から掘った後は、株の根元からじゃがいもを引き抜いてください。この方法ですと沢山のじゃがいもを収穫することが出来ておすすめです。収穫した後も、土の中に残りのじゃがいもが無いか確認しましょう。
じゃがいもの保存方法
じゃがいもを収穫したら、腐ってダメなじゃがいもや、小さいサイズ(2cmから3cm)のじゃがいもを取り除く作業をします。小さいサイズでも食べられると思いきや、生育不良のじゃがいもには毒素が含まれている場合があるので要注意です。保存方法は下記の通りです。
日の当たらない冷暗所で保管する
じゃがいもを保存する時は、日の当たらない冷暗所が適しています。風通しの良い常温の場所で保存しましょう。日が当たる場所にじゃがいもを置いてしまうと有害成分のソラニンが生まれてしまうので、それは絶対に避けたいです。
せっかく良いタイミングでじゃがいもを収穫しても、日に当ててしまうとダメージを加えることになるので要注意です。またじゃがいもと一緒にりんごを入れておくと発芽を抑える効果があるのでおすすめです。
じゃがいもは、適切な状態で保存することで持ちが大変良くなりますので、保存方法は重要です。大体2ヶ月から3ヶ月は保存が可能と言われているので、じゃがいも栽培を行う前にしっかりと正しい保存方法を覚えておきましょう。
冷蔵庫の野菜室がおすすめ
じゃがいもを保存をする時に適した温度は5度から15度程です。夏場などはこれよりも暑くなってしまうかと思うので、その際は冷蔵庫で保存する事をおすすめ致します。ただ温度が低過ぎるとじゃがいもの水分が抜けてしまうので注意が必要です。
冷蔵庫の中は乾燥しており温度が下がり過ぎてしまうため、じゃがいもを冷蔵庫の中に入れて保存をする際には、必ず野菜室に入れて保存するようにしましょう。また新聞紙やダンボール紙を使い乾燥を防ぐようにしてください。
尚、新じゃがの場合は水分量が多いので、冷蔵庫での保存及び長期保存にもおすすめ出来ません。収穫をしたら、なるべく早めに食べるように心掛けましょう。乾燥をすると水分が逃げやすくなるのでご注意ください。
冷凍保存をしたいなら加熱処理をする
じゃがいもは冷凍保存にはあまり向いておりません。しかし冷凍保存をすることになった場合には加熱処理をしてから保存をするようにしましょう。じゃがいもに加熱をすると、色や鮮度が落ちにくくなるのでおすすめです。
冷凍保存で注意したい事は、乾燥とアクリルアミドを発生しやすくしてしまう低すぎる温度です。生のじゃがいもを冷凍してしまうと体に悪い成分が生まれてしまうため、そのまま冷凍しないように気を付けましょう。
尚、冷凍庫での保存期間の目安は1ヶ月程です。そこまで長く持ちません。冷蔵保存の場合は2ヶ月、常温の場合は2ヶ月から3ヶ月程です。じゃがいもは温度さえ気にすれば冷凍保存をしなくても大丈夫な作物という事を覚えておきましょう。
マッシュポテトがおすすめ
じゃがいもを加熱して冷凍保存をする場合の調理方法は、マッシュポテトがおすすめです。何故ならマッシュポテトは水分が抜けることも少なく長期保存に適しているからです。沢山作り置きしても困らないおかずではないでしょうか。
マッシュポテトの作り方はシンプルです。じゃがいもの皮を剥き、小さめにカットをし茹で、じゃがいもを細かく潰したら牛乳とバターを加えてください。冷凍保存する際には、多めに作っておくと便利でしょう。
マッシュポテトを冷凍保存する時は、一回分ごとサランラップに包んで小分けにして冷凍する事をおすすめいたします。そうすれば使用する分のみ電子レンジで解凍できて便利です。コロッケ用のマッシュポテトでも良いでしょう。
じゃがいもの収穫後の保存の注意点
最後にじゃがいもを収穫した後、保存する時の注意点をまとめました。立派なじゃがいもを収穫するだけが栽培ではありません。収穫後、じゃがいもを正しく保存をしないと、せっかくの美味しいじゃがいもが台無しになってしまうので、下記のことに注意をするようにしてください。
じゃがいもは収穫したてが美味しい
他の作物でも共通していることかと思いますが、じゃがいもは収穫したてが一番の食べ頃で美味しいです。特にじゃがいもは収穫後、追熱する作物では無いからです。収穫したばかりの状態は、本来のじゃがいもの香りがしてより一層美味しく食べられるでしょう。
温度が低い状態で保管するのはおすすめしない
前述した通り、じゃがいもを保存する時に適した温度は5度から15度程です。それ以上高くても低くても適しておりません。温度が低過ぎるとじゃがいもから毒素が出てしまう可能性が高くなるので、温度には十分気をつけて保管をしましょう。
日に当たると芽が出てしまう
じゃがいもは、日にあたると芽が出てしまう特徴があります。10度から20程の温度で2週間から3週間位、日光にあてていると芽が出ます。じゃがいもの芽は、有毒成分が入っているので十分注意をする必要があります。
じゃがいもの芽は、小さいお子様やご年配の方が食べると重症化してしまう可能性がありますので、じゃがいもに芽が出てしまった場合には、調理する時に必ず包丁などで芽を取り除いてから食べるようにしてください。
芽を出さないようにするコツは、日光をあてず温度を低温に保つことが重要になります。それさえ守っていれば、常温でも長期間保存することができるので、じゃがいもは持ちが良くて美味しく便利な作物です。
乾燥すると美味しさが逃げる
じゃがいもは水分の塊なので、保存をする時には水分を守ることが重要になります。じゃがいもが乾燥してしまうと皮がシワシワになってしまいます。
じゃがいもが乾燥すると美味しさも半減してしまうので、乾燥させてしまう事は避けるようにしてください。乾燥を防ぐためには、やはり適温を守ることが大切です。
じゃがいもは葉・茎で収穫のタイミングを見極めよう
いかがでしたか。今回は、じゃがいもの収穫時期の目安や見極め方などを詳しく解説致しました。じゃがいもを収穫する時期の見極めは、初心者にはなかなか難しいかもしれませんが、一度目が上手くいかなくても、何度も繰り返し美味しいじゃがいもを作りましょう。