国民年金の第3号被保険者とは何?条件やメリット・デメッリットなどまとめ!

国民年金の第3号被保険者とは何?条件やメリット・デメッリットなどまとめ!

いつの時代も国民の関心が高い年金ですが、今回は「国民年金第3号被保険者」を取り上げます。「国民年金第3号被保険者」とはどのような人が対象になるのでしょうか。加入条件やそのメリット・ディメリットなども解説しますので参考にしてください。

記事の目次

  1. 1.国民年金・第3号被保険者とは
  2. 2.国民年金・第3号被保険者の加入条件
  3. 3.国民年金・第3号被保険者のメリット
  4. 4.国民年金・第3号被保険者のデメリット
  5. 5.国民年金・130万円の壁
  6. 6.国民年金・第3号被保険者の手続き方法
  7. 7.国民年金・保険料と受け取る年金額は
  8. 8.国民年金の第3号被保険者は保険料が優遇

国民年金・第3号被保険者とは

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20歳以上60歳未満の日本国民全員は「国民年金」に強制的に加入する必要があります。このため、「国民年金」は「基礎年金」とも呼ばれています。いわゆる年金の一階部分です。

「国民年金」とは別に「厚生年金」という制度があります。これは「国民年金」に上乗せされる年金で、いわゆる年金の二階部分にあたります。「厚生年金」の加入者は会社員などのサラリーマンと一部の個人事業者です。

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年金にはいわゆる三階部分として企業年金がありますが、こちらは「国民年金」や「厚生年金」のような公的年金ではなく、私企業が選択的に設ける私的年金です。

「国民年金」の加入者には三種類の分類があります。それぞれ、「第1号被保険者」「第2号被保険者」「第3号被保険者」とよびます。それぞれ条件がありますが、今回スポットをあてるのは、このうち「第3号被保険者」です。

第2号被保険者に扶養される配偶者

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まずは、「国民年金」加入者の三つの分類を見てみましょう。「第1号被保険者」には20歳以上60歳未満の「2号被保険者」「第3号被保険者」でない者という条件があります。自営業者・農業者、学生、無職の人などがこれに該当します。

「第2号被保険者」には会社員や公務員など「厚生年金」に加入する者という条件があります。「厚生年金」の加入者は自動的に「国民年金」の「第2号被保険者」になるのです。

今回着目する「第3号被保険者」とは、この「第2号被保険者」に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者のことです。いわゆるサラリーマンの配偶者で、イメージとしては専業主婦です。

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国民年金・第3号被保険者の加入条件

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年金制度の概要と「国民年金」加入者の全体像が理解できたところで、次に「国民年金3号被保険者」の加入条件を見てみましょう。ザックリとしたイメージは専業主婦ですが、後で見るように「第3号被保険者」には一定のメリット・ディメリットがありますので、どのような人が「第3号被保険者」になれるのか条件が細かく決まっています。

①配偶者が厚生年金に加入

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「第3号被保険者」の配偶者は「厚生年金」に加入していなくてはいけないという条件があります。「厚生年金」に加入している者の配偶者でなければ「第3号被保険者」になれないのです。以前、公務員は「厚生年金」とは別の「共済年金」に加入していましたが、平成27年に「共済年金」は「厚生年金」に一本化されました。

公務員を含めて一般のサラリーマンは「厚生年金」に加入していますので、普通のサラリーマンの配偶者であれば、この条件は自然にクリアできます。

②年収が一定以下

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「第3号被保険者」が働いてはいけないということはありませんが、年収の上限条件が決められています。原則として年収は130万円未満に抑える必要があります。いわゆる「130万円の壁」です。この年収には通勤手当なども含まれますので、注意が必要です。

年収130万円未満という条件は、過去の実績ではありません。前年の1月から12月までの収入の合計ではないのです。今後の収入見込みが130万円未満かどうかで判断されます。

もう一つ年収条件で注意が必要なのは、「扶養している配偶者の収入の半分未満」という条件がついていることです。つまり、年収が130万円未満であっても配偶者の年収が「第3号被保険者」になろうとする者の2倍以上ないと「第3号被保険者」になれないのです。

③年齢20歳以上60歳未満

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最後は年齢条件です。「第3号被保険者」になるためには20歳以上60歳未満である必要があります。ただし、60歳以上になっても「国民年金」に加入し続けることは可能です。60歳から65歳までの間は任意加入という制度があって、保険料を納めて将来の年金額を増やすことができます。

一つ非常に重要な注意点があります。例え60歳未満であっても、厚生年金に加入していた配偶者が65歳になると、「第3号被保険者」は「第1号被保険者」に切り替わります。配偶者が65歳になるとその配偶者は「第2号被保険者」の条件から外れるからです。

一見理不尽に思われますが、「第3号被保険者」の条件に「第2号被保険者に扶養されている者」があったことを思い出してください。この場合、年金事務所や市役所などで切り替えの手続きが必要になります。

国民年金・第3号被保険者のメリット

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「第3号被保険者」になるためには幾つかの条件がありました。それは「第3号被保険者」になることによってメリット・ディメリットが発生するためです。最大のメリットはなんといっても保険料を納付する必要がないことです。保険料を払わなくても将来年金を受け取ることができるのですから、こんなありがたいことはありません。

①保険料を払ったことになる

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「第3号被保険者」は国民年金の保険料を支払う必要がありません。よく配偶者が代わりに支払っているので「第3号被保険者」本人は支払わなくてもよいといわれていますが、厳密には正しくありません。なぜなら、扶養者である配偶者の支払う保険料は「第3号被保険者」がいてもいなくても変わらないからです。

「第3号被保険者」本人が保険料を支払わなくてもよい正しい理由は、「第3号被保険者」の配偶者である「第2号被保険者」の加入する組織が、集めた保険金の一部を「第3号被保険者」分の保険料として、基礎年金拠出金の形で負担しているからです。

配偶者が支払った保険料の一部が基礎年金拠出金に使われていますので、配偶者が「第3号被保険者」の代わりに支払っているというのは完全に誤りではありませんが、「保険料を支払ったことになっている」が正しい理解といえます。

②離婚の時に3号分割が利用可能

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「第3号被保険者」であることのメリットとして忘れていけないのが離婚した際に発生するメリットです。夫婦といえども国民年金の被保険者としてはそれぞれ独立した存在です。したがって離婚した場合はそれぞれの年金を将来受け取ると考えるのが自然です。

しかしながら、「第3号被保険者」は国民年金だけの加入なのに対して、その配偶者は必ず「第2号被保険者」ですから、国民年金と厚生年金両方の加入者になり、将来受け取る年金に格差が生じます。

「3号分割」というのは、この格差を埋めるための制度です。平成20年5月1日以降に離婚し、「第3号被保険者」から請求があった場合は、平成20年4月以降の配偶者の厚生年金を夫婦で折半するという制度です。「第2号被保険者」として配偶者が納付する保険料は夫婦が共同して納めているという考え方です。

国民年金・第3号被保険者のデメリット

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「第3号被保険者」には保険料を支払わなくてもよいという大きなメリットがありました。では、「第3号被保険者」になることは良いことだけなのでしょうか。残念ながら「第3号被保険者」になることによるディメリットもあります。

「第3号被保険者」になるかどうかということは、配偶者の扶養に入るかどうかということです。メリット・ディメリットや自分のライフスタイルなども考えて、慎重に決めましょう。

①将来もらう年金が少ない

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当然ですが、「第3号被保険者」になると加入できる公的な年金制度は国民年金だけです。「第2号被保険者」のように二階部分である厚生年金を持てないというディメリットがあるのです。国民年金だけではとても生活できませんので、このディメリットは大きいといえます。

保険料の未納期間があると、これよりさらに年金額が下がります。個人的に将来に備えたい人には国民年金にプラスしてもらえる、個人型確定拠出年金の活用を検討することをお勧めします。個人型確定拠出年金は私的年金ですが、法に基づくもので税制上の様々な優遇措置がありますので、「第3号被保険者」のディメリットを補うことができます。

②希望の働き方に戻れなくなる可能性

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結婚して、出産・子育てが始まると、現実的には仕事との両立が難しくなります。仕事から完全にリタイヤする気はなくて、子育ての間一時的に仕事をやめて「第2号被保険者」として配偶者の扶養に入る場合が結構多く見られます。

ところが子育ても一段落して、さて仕事に復帰しようとしても実際は難しい面があります。仕事から離れていたブランクは予想以上に大きいものです。肉体的にも精神的に相当な覚悟が必要になります。なにより専業主婦に慣れてしまい腰が重くなることは決して非難できません。容易に元の仕事に復帰できないというディメリットがあるのです。

国民年金・130万円の壁

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年収が130万円を超えると「第3号被保険者」の要件から外れることになりますので、「第1号被保険者」か「第2号被保険者」として国民年に加入する必要が出てきます。当然そうなると「第3号被保険者」としての恩恵がなくなり、保険料を自分で払う必要があります。

つまり、それまでより余計に働いて年収が130万円を超えたとしても、保険料の支払いが始まりますので、場合によっては実質的な手取額が以前より少なくなる可能性があります。年収が130万円を超えるとこのような不都合が起こる可能性があり、いわゆる「130万円の壁」問題が発生し、ディメリットが大きくなるのです。

国民年金だけ考えた場合、おおよそ年収が150万円を超えないとこのディメリットが解消されません。実際には健康保険の問題もありますので、事情はさらに複雑になります。パートなどで家計を支える場合、この「130万円の壁」を慎重に検討することが重要です。

国民年金・第3号被保険者の手続き方法

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「第3号被保険者」には大きなメリットがありますがディメリットもありました。では「3号被保険者」になるためにはどのようにすればよいのでしょうか。次に「第3号被保険者」になるための手続きについて見てみましょう。やむをえず「第3号被保険者」から外れなくてはならなくなる場合もありますので、併せて見てみましょう。

配偶者の勤務先に届け出を行う

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「第3号被保険者」になろうとする場合、必ず「第2号被保険者」の配偶者が存在します。その配偶者はどこかの事業所などに勤めているはずです。「第3号被保険者」になる場合には、その配偶者の勤務先に届出ることになります。

届出には本人の基礎年金番号が必要になりますので、年金手帳などで確認しておきましょう。配偶者の勤務先は届出に基づいて、もよりの年金事務所に手続きをします。

配偶者が65歳になったときの手続き

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「第3号被保険者」の配偶者が65歳の誕生日を迎えると、「第3号被保険者」はその要件を満たさなくなりますので、「第3号被保険者」から「第1号被保険者」に切り替える必要が生じます。このため、本人が年金事務所若しくは市役所などで所定の切り替え手続きをする必要があります。

国民年金・第3号被保険者の手続きを忘れたら

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「第3号被保険者」になるときは、配偶者が勤務する会社などを通じて手続きが行われますので、手続きを忘れることはまずありません。こちらが忘れていても会社の福利・厚生担当から何らかの連絡があるはずです。

問題となるのは年収が130万円を超えたり、配偶者が65歳になって「第3号被保険者」の要件を満たさなくなった場合です。その際、何も手続きを行わなければ年金記録上は「第3号被保険者」のままになってしまいます。この場合保険料は誰からも支払われませんので、未納期間になってしまいます。

この期間のことを「不整合期間」といいます。手続きが2年間行われなければ、遡って保険料を納めることができなくなり、将来受け取る年金額や場合によっては年金受給資格にも影響が出るというディメリットがありますので、キチンと手続きすることが重要です。

国民年金・保険料と受け取る年金額は

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国民年金の加入者には「第1号被保険者」「第2号被保険者」「第3号被保険者」がありました。では、それぞれが納入する保険料や受け取る年金額はどうなるのでしょうか。

まず、受け取る年金額ですが、これは加入被保険者の種類で全く変わりません。基本的には加入期間で機械的に計算が行われます。受け取る年金額は変動しますが、平成31年4月時点で満額の場合780,100円です。

国民年金の保険料は加入種類ごとに変わります。「第1号被保険者」の場合令和元年度は16,410円/月です。「第2号被保険者」の場合は厚生年金保険料として徴収されます。厚生年金保険料は標準報酬月額によって段階的に変動し、事業者との折半になります。「第3号被保険者」の場合はこれまで見てきたように、「保険証を払ったこと」になります。

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国民年金の第3号被保険者は保険料が優遇

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年金はいつの時代も国民の関心を集める重要なテーマです。老後に豊かな人生を送るためには年金は欠かせないからです。一方で時代とともに我々のライフスタイルも変わり、国民の人口構成も変化していきます。

国民年金の「第3号被保険者」に関する制度は専業主婦が一般的だった時代に作られたものです。現代においては、むしろ専業主婦の方が希(まれ)でこの制度そのものの妥当性も問われるようになっています。

確かに「第3号被保険者」は保険料を納付しなくても将来年金が受け取れるという面では魅力的ですが、自分のライフスタイルや価値感に照らして本当にそれでよいのか、メリット・ディメリットを含めて今一度夫婦でよく話し合うことが必要かもしれません。

土居
ライター

土居

公務員、大学教員をリタイヤ後ライターをやり始めました。これまでの山歩きと日帰り温泉に加えて、今は孫と過ごすことが楽しい毎日です。ビジネスや経済関係に強いと自負していますが、最近はエンタメや生活関連のような柔らかいものにもチャレンジしています。宜しくお願いします

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