国民年金をクレジットカード払いにするとお得
「国民年金」の加入スタイルには幾つかありますが、20歳以上60歳未満の日本人は全員「国民年金」に加入する必要があります。
サラリーマンや専業主婦の場合は、基本的に特別なことがない限り自分が直接「国民年金」の保険料を納付する必要はありませんが、学生や自営業者、農業従事者などは送られてくる納付書に基づいて「国民年金」保険料を自ら納付しなくてはいけません。
ポイントが貯まるなどメリットが多い
「国民年金」保険料を納付する一般的な方法には、口座振替、現金払い、「クレジットカード利用」の三つの方法があります。それぞれメリット・デメリットがありますが、今回は「クレジットカード利用」に着目し、「国民年金」保険料の支払いに「クレジットカード」を利用する際の具体的なメリット・デメリットなどを見ていきます。
世はキャッシュレスの時代です。欧米に比べて我が国の場合、クレジットカードの利用が必ずしも進んでいない現実がありますが、これからはクレジットカードなどの利用が進むとされています。これを期に「国民年金」の「クレジットカード利用」も検討してみましょう。
国民年金をクレジットカードで払うメリット
「国民年金」保険料を「クレジットカード」払いにすると、様々なメリットがあります。「クレジットカード」のポイントが貯まることは勿論ですが、それ以外にも現金払いに慣れていると気づかない利便性があります。
「国民年金」保険料の支払いを「クレジットカード利用」に変えると、事務の繁雑さなどのデメリットを勘案しても、これまでずいぶん損をしていたことに改めて気づかされるかもしれません。
クレジットカードのポイントやマイルが貯まる
「国民年金」保険料を「クレジットカード」で支払う最大のメリットは、いうまでもなく「クレジットカード」会社のポイントが付加されることです。
付加されるポイントは利用する「クレジットカード」によって様々ですが、「国民年金」保険料の支払額に応じて間違いなく何パーセントかのポイントが付加されていきます。
当然ですが「国民年金」の保険料は継続的に支払われ、場合によっては家族の分も含まれますので、「塵(ちり)も積もれば何とか」で貯まるポイントの総額はバカにならないものになるはずです。
「国民年金」保険料の支払いに使う「クレジットカード」によっては、ポイントではなくマイルの形で付加されるものもありますが、この記事ではマイルも含めてポイントと表現します。
自宅で簡単に支払える
「クレジットカード」を利用しなければ、「国民年金」の保険料はATM、コンビニ、金融機関の窓口に「国民年金」保険料の納付書と現金を持参して支払うことになります。わざわざ貴重な時間をやりくりして足を運ぶ必要があるのです。
田舎の場合はまだしも、都会であればATMや窓口が混雑している可能性があります。タイミングが悪ければ「国民年金」保険料の支払いに長時間待たされることも起こりえます。
気をつけなればいけないのは、納付額が30万円を超える場合コンビニでは取り扱いができないことです。その場合はどうしても「国民年金」保険料の支払いはATMや金融機関を利用しなくてはいけません。大金を持って行列に並ぶのは気持ちの悪いものです。
支払猶予が伸びる
「クレジットカード」による「国民年金」保険料の支払いには手数料がかかりません。ということは、金利なしで支払いを後ろに延ばせるということになります。「クレジットカード」で「国民年金」保険料を支払うと、まずはカード会社が立て替えて保険料を納付してくれるのです。
「クレジットカード」によって異なりますが、一定の日に締め切られた立て替え払い分が、翌月の然るべき日に銀行口座からカード会社に引き落とされるのです。つまり、通常であれば一ヶ月程度金利なしで、「国民年金」保険料の支払いを伸ばすことができます。
支払い忘れ防止
一度「国民年金」保険料の支払いを「クレジットカード」に変更しておけば、以後継続してカード払いになりますので、納品書が届いているのに払い込みを忘れるということがありません。「国民年金」保険料の納付が滞ると、延滞金が発生したり督促状が届いたりと、手続き上も面倒です。
前納制度をお得に使える
「国民年金」保険料の支払いは原則として翌月の月払いですが、「国民年金」保険料には前納制度が用意されています。まとめて先払いすると保険料が割り引かれるのです。口座振替による割引が最も多く、現金払いと「クレジット利用」の割引額は同額です。現金で払うよりもポイントが付く「クレジットカード利用」がお得なのはいうまでもありません。
前納制度を使った国民年金の料金
「国民年金」保険料の前納制度を使うとどれ位割引のメリットがあるのでしょうか。「国民年金」保険料の割引額は前納する期間によって異なります。それでは、口座振替と現金払い・「クレジットカード利用」の二つに分けて令和元年度の実際の「国民年金」保険料の割引額を見てみましょう。
<口座振替の場合>
前納期間 | 一回あたりの納付額 | 割引額 | 2年換算割引額 |
2年前納 | 379,640円 | 15,760円 | ー |
1年前納 | 192,790円 | 4,130円 | 8,260円 |
半年前納 | 97,340円 | 1,120円 | 4,480円 |
当月末納付 | 16,360円 | 50円 | 1,200円 |
翌月末納付 | 16,410円 | なし | なし |
<現金払い・クレジットカード利用の場合>
前納期間 | 一回あたりの納付額 | 割引額 | 2年換算割引額 |
2年前納 | 380,880円 | 14,520円 | ー |
1年前納 | 193,420円 | 3,500円 | 7,000円 |
半年前納 | 97,660円 | 8,00円 | 3,200円 |
当月末納付 | 16,410円 | なし | なし |
翌月末納付 | 16,410円 | なし | なし |
国民年金をクレジットカードで払うデメリット
「国民年金」を「クレジットカード利用」で納付した場合はポイント付与という大きなメリットがありました。では、「国民年金」保険料の「クレジットカード利用」はいいことだけなのでしょうか。残念ながらデメリットもあります。手続きの煩雑さだけではなく、見逃しがちなデメリットもありますので気をつけましょう。
申請種類の提出が必要
「国民年金」を「クレジットカード」で支払う場合は、所定の様式で申請し審査を受ける必要があります。ただ、「国民年金」保険料の納付書と「クレジットカード」があればよいというものではないのです。当然申請したら必ず審査に受かるという保証はありません。
さらに厄介なのは、申請書には使用する「クレジットカード」の名義人の署名が必要なことです。同居していない家族名義の「クレジットカード」を使いたい場合、郵送で書類をやりとりする必要があり、結構面倒です。しかも、使用する「クレジットカード」の名義人が納付者の配偶者以外の場合は、年金事務所からの同意確認に対応しなくてはいけません。
このような事務手続きの煩雑さは「国民年金」保険料を「クレジットカード」で支払う際の大きなデメリットといえます。
キャッシュフローが厳しくなる
「国民年金」を「クレジットカード」で納付する場合、どうしても割引のメリットがある前納制度を利用したくなります。「クレジットカード」で納付する場合は手元にキャッシュがなくても支払うことができますから、どうしてもその傾向が強くなりがちなのです。
でも、当たり前ですが「クレジットカード」で「国民年金」の保険料を支払った場合は後日請求がきます。割引額の大きい2年前納の場合だと、40万円近い額が一度に引き落とされることになります。生活をしていると様々なイベントが発生し、まとまった額の出費が必要になることがあります。
このようなイベントと「国民年金」保険料の「クレジットカード」支払いが重なった場合、キャッシュフローがピンチに陥ってしまうというデメリットがあります。家計全体の支払い計画をしっかり検討して判断するようにしましょう。
分割払い・リボ払いは不可能
「国民年金」保険料を「クレジットカード」で支払う場合特に気をつけておきたいことがあります。それは、通常の「クレジットカード」の支払いで利用することがある分割払いやリボ払いができないというデメリットがあることです。「国民年金」保険料の「クレジットカード」払いは1回払いしか対応していないのです。
「クレジットカード」にはリボ払い専用のカードがあります。もし、そのようなリボ払い専用の「クレジットカード」しか持っていないのであれば、新たに別の「クレジットカード」を作るか、コンビニなどでの現金払いを検討する必要があります。
「クレジットカード」のリボ払いは便利な仕組みですが、多用すると家計の圧迫につながる可能性があります。「国民年金」保険料の「クレジットカード」支払いにリボ払いが利用できないことは、健全な家計のやりくり上むしろ親切という見方もできます。
国民年金をクレジットカードで払う手続き
「国民年金」保険料を「クレジットカード」で支払うメリット・デメリットまで見てきました。それでは次に具体的に「国民年金」保険料の支払いに「クレジットカード」を利用する場合の手続きの流れを見ていきましょう。どのような「クレジットカード」が利用できるのでしょうか。申請書にはどのような内容を記述する必要があるのでしょうか。
国民年金の支払いに使えるクレジットカード一覧
「国民年金」保険料の納付に使える「クレジットカード」については、さほど気にする必要はありません。基本的にどのようなカードでも利用可能と考えて差し支えありません。
具体的なお薦め「クレジットカード」は特にありませんが、ポイントの貯まりやすさなどを考慮して普段使っている「クレジットカード」から適当なものを選びましょう。参考のため、以下によく見られる「クレジットカード」を順不同に一覧にしています。
JCB |
VISA |
MasterCard |
AMEX |
Diners |
イオンカード |
NCB商連 |
OC |
オリコカード |
セゾンカード |
ジャックスカード |
東急カード |
トヨタファイナンス |
日専連 |
三井住友カード |
三菱UFJニコス |
UCS |
ライフカード |
楽天カード |
UCカード |
申請書類の記入項目
「国民年金」保険料を「クレジットカード」で納付するためには、事前に「国民年金保険料クレジットカード納付申出書」を提出し、審査を受ける必要があります。申出書には以下の項目を記載する必要があります。事前に「年金手帳」と「クレジットカード」を手元に準備しておきます。
基礎年金番号 |
生年月日 |
被保険者氏名 |
電話番号 |
クレジットカード番号 |
クレジットカード有効期限 |
クレジットカード名義人氏名 |
クレジットカード名義人署名 |
被保険者との続柄 |
納付方法 |
クレジットカード会社の種類 |
提出先と提出完了の連絡
「国民年金保険料クレジットカード納付届出書」に必要事項を記入できたら、最寄りの年金事務所に持参します。持参する時間が取れない場合は郵送でも大丈夫です。届出書を提出したら数週間で「国民年金保険料クレジットカード納付のお知らせ」が届きます。これが届いたら手続き完了です。後は自動的にカードから支払われます。
前納制度の完了は約1か月必要
「国民年金」保険料をお得な前納制度で納入する場合には、申込期限に注意が必要です。2年前納、1年前納、4月~9月分の半年前納の場合は、毎年2月末が締め切りになります。10月~3月分の半年前納の場合は、毎年8月末までに申し込みが必要です。手続きには約1ヶ月かかります。
国民年金をコンビニで支払う手続き
「国民年金」保険料は郵便局やコンビニでも支払うことができます。郵便局やコンビニで支払う場合、通常は現金で支払うことになりますが、コンビニの「セブンイレブン」と「ミニストップ」ではカードを使った「国民年金」保険料の支払いが可能です。それぞれコンビニで使う特定のカードに「クレジットカード」からチャージしておくのです。
セブンイレブンはnanaco支払いがおすすめ
コンビニの「セブンイレブン」といえば「nanacoカード」ですが、「セブンイレブン」ではこの「nanacoカード」を使って「国民年金」保険料の支払いができます。事前に「クレジットカード」から「nanacoカード」にチャージしておけば、実質的に「クレジットカード」を使ってコンビニで「国民年金」保険料の納付が可能になるのです。
気をつけたいのは、使える「クレジットカード」が決まっていますので、事前の確認が必要なことです。また、使える「クレジットカード」の中にもポイントが付くカードとそうでないカードがありますので、これも事前の確認が必要です。
ミニストップはWAON支払がおすすめ
コンビニの「ミニストップ」の場合に使うカードは「WAONカード」です。考え方は同じコンビニである「セブンイレブン」の「nanacoカード」と同じですが、使う「クレジットカード」は「JALカード」になります。ポイントの代わりにJALのマイルが付加されます。
「JALカード」にも、使えるカードとそうでないカードがありますので、事前に確認しておきましょう。また、「JALカード」から「WAONカード」にチャージする際、事前の紐つけ(関連付け)が必要になります。すこし面倒ですが、一度やっておけば大丈夫です。
国民年金をクレジットカードで払う注意点
ポイントが付くという大きなメリットがある「クレジットカード」による「国民年金」保険料の支払いですが、注意すべきポイントが幾つかあります。もし、「国民年金保険料クレジットカード納付申出書」による手続きが問題なく完了しない場合は、コンビニなどでの現金払いで「国民年金」保険料を納付する必要がでてくる可能性もあります。
クレジットカードの利用限度額を超えていないか
当然ですが、利用限度額を超えて「クレジットカード」を利用することはできません。うっかりしていると、「国民年金」保険料の支払時に利用限度額を超えてしまう可能性もあります。この場合は「クレジットカード」による「国民年金」保険料の支払いが完了できませんので、改めて納付書と現金でコンビニなどで納付することになります。
クレジットカードの有効期限が切れていないか
「クレジットカード」には有効期限があります。有効期限が切れた「クレジットカード」は基本的に使えないのですが、大抵の場合問題になることはありません。一般的に、カード会社から新しい有効期限の「クレジットカード」が再発行されるからです。
「国民年金」保険料の支払時に有効期限が超えていても、通常の場合特に手続きは必要ありません。カード会社から年金事務所の方に新しいカードの有効期限が通知されます。
クレジットカード情報に変更がないか
結婚で氏名が変わったりして、「クレジットカード」に記載されている情報に変化が生じることがあります。そのままではカードの有効性が確認できませんので、別途変更届出書の提出が必要になります。事務手続きに時間を要して期限までに手続きが完了しない場合には、現金によってコンビニなどで「国民年金」保険料を納付する必要がでてきます。
国民年金のクレジットカード支払いをやめたい
一度「国民年金」保険料の支払いを「クレジットカード」にした後でも、現金払いや口座振替に戻すことは可能です。その場合は「国民年金保険料クレジットカード納付辞退申出書」を最寄りの年金事務所に提出することになります。事務手続きには一定の期間が必要になりますので、余裕を持って早めの手続きを心がけましょう。
国民年金の電子納付
最後に電子納付という新しい「国民年金」保険料の納付方法をご紹介します。比較的デメリットの少ない、今後増える可能性が高い納付方法です。
「国民年金」の保険料はパソコンやスマホを使ってインターネットバンキングで納付することができます。近年は忙しいサラリーマンを中心にインターネットバンキングが一般的になりつつあります。「国民年金」の保険料もこのインターネットバンキングを使えば、いつでも・何処でも支払いが可能になります。
電子納付は「クレジットカード」による納付のキャッシュレスというメリットを持ちながら、「クレジットカード」納付が持つ手続きの煩雑さというデメリットがないという特徴があります。
Pay-easyでの納付
「国民年金」保険料の電子納付は「Pay-easy(ペイジー)」を利用します。納付書に記載されている「収納機関番号」「納付番号」「確認番号」を「Pay-easy」対応のインターネットバンキング画面に入力するだけで納付できます。
納付に手数料はかかりませんが、領収書が発行されないというデメリットがあります。また、納付書発行当日は利用することはできません。「Pay-easy」による納付はATMでもできますが、コンビニに設置されてる複数の金融機関に対応したATMは利用できませんので、注意が必要です。
国民年金をクレジットカードで支払うのは簡単でお得
世界的にはやや遅ればせながらですが、日本も本格的にキャッシュレスの時代に突入しようとしています。「クレジットカード」はキャッシュレス時代の有効なツールの一つです。毎月の現金払いが習慣になっている「国民年金」保険料の支払いにも、この際「クレジットカード」の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
「国民年金」保険料の「クレジットカード」払いにはポイント付与という大きなメリットもあります。デメリットも十分勘案しつつ、納付方法を再検討してみましょう。