学生は国民年金が免除になる?納付特例の仕組みや手続きをわかりやすく紹介!

学生は国民年金が免除になる?納付特例の仕組みや手続きをわかりやすく紹介!

20歳を過ぎた学生には国民年金保険料は大きな負担です。そのため、学生納付特例制度で国民年金保険料が免除になりますが、その特例の仕組みや免除申請の手続きがよく分からない、そんな声を多く聞きます。そこで、学生納付特例制度の仕組みや手続き方法を詳しくご紹介します。

記事の目次

  1. 1.国民年金の支払い・学生は免除される
  2. 2.国民年金の学生納付特例制度の仕組み
  3. 3.国民年金の学生納付特例制度のメリット
  4. 4.国民年金の学生納付特例制度のデメリット
  5. 5.学生納付特例を利用せず親が国民年金を払うのもいい
  6. 6.国民年金の学生納付特例制度の申請手続き
  7. 7.国民年金の学生納付特例制度や免除される制度を利用しよう

国民年金の支払い・学生は免除される

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日本に住む20歳以上から60歳未満までの全員に、国民年金の加入が義務付けられ国民年金保険料の支払いが発生します。しかし、学生は社会人と違い安定収入がありません。そのため「学生年金納付特例制度」を利用することで、国民年金保険料の免除を受けられます。

この記事では、学生年金納付特例制度はどんな仕組みで対象者の条件はどうなのか。その制度のメリットやデメリットは何があるのか。そして、申請の方法や卒業後にはどう対処したらいいかなどを、詳しく解説します。

支払い義務はあるが免除される場合もある

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学生を含めて20歳になる誕生月の前月に日本年金機構から「国民年金被保険者資格取得届書」が郵送されてきます。まずは、お住まいの年金事務所、区役所、市役所、町村役場に提出して、国民年金の被保険者となりましょう。

国民年金保険料の支払い義務は20歳以上の誰にでも発生します。学生年金納付特特例制度を利用することで「支払い義務が免除される」ことではありませんので注意してください。つまり「国民年金保険料を払わなくていい」という免除ではなく、「支払い義務のある国民年金保険料を卒業後まで先延ばし後払いする」という猶予になるのです。

国民年金の学生納付特例制度の仕組み

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国民年金の学生納付特例制度の仕組みを簡単に表現すると「学生の期間中は年金保険料の支払いを免除して待ってあげます。その代わり将来に満額の国民年金を受け取るなら、学生の間に収めなかった国民年金保険料は、卒業後に社会人になってから納めてください」ということです。

ですので、学生期間中の国民年金年金保険料の支払いを、卒業後の社会人になるまで猶予する仕組みと理解してください。

学生納付特例制度の対象

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国民年金の学生納付特例制度の申請が出来る学生は、本人の所得が一定額以下が対象となります。なお、家族の人の所得の多寡は問われません。一定金額以下とは「118万円」ですが「収入-必要経費=所得」を指していますので、実際の収入金額ではありませんので間違えないようにしましょう。

そして、対象になる学生とは大学(大学院)、短大、高等学校、高等専門学校、専修学校、特別支援学校に在学、もちろん通信課程や夜間、定時制の学生も含まれます。ほとんどの学生の人が対象となり、保険料の猶予が可能となります。

加えて、各種学校(私立は都道府県知事の認可校に限定)の修業年限が1年以上の過程に在学している。また、一部の日本国内にある外国大学の日本分校(文科省が個別に指定した課程)に在学する学生も学生納付特例制度の対象となり年金保険料の支払いが猶予されます。

支払いの猶予を受けられる

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国民年金の学生納付特例制度を利用して、国民年金の保険料の支払いを猶予できることは解りました。先述した通り、これは「猶予」であって「免除」とは違うこともしっかり理解しておきましょう。猶予対象者の申請により受けられる制度ですが、学生納付特例制度の事務代行をしてくれる学校もあります。学校の窓口に問い合わせてみるといいでしょう。

学生納付特例で免除された期間について

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国民年金の学生納付特例制度を利用して、年金の支払いを猶予してもらう期間の制限はありません。就職してから学び直したいと思い専門学校へ通い学生になって、一時的に収入が無くなった場合でも、年齢に関係なく申請を利用できます。

ただし、この猶予制度を利用している期間は国民年金の加入期間には反映されますが、年金支給額には反映されないデメリットもあります。大切なことなので覚えておきましょう。

学生納付特例制度はどの程度まで免除される?

国民年金の学生納付特例制度は、本人が希望する期間を「毎年申請」する必要があります。また、平成26年4月からは「申請する時点から2年と1ヵ月前までさかのぼれる」ようになり、使い勝手が高まっています。

そのため「学生納付特例申請を忘れていた」「学生納付特例申請を諦めていた」そんな学生でも、令和元年7月に国民年金の学生納付特例の申請をすれば、平成29年6月までさかのぼって申請が可能となりまので、そんな人は直ちに検討することをおすすめします。

国民年金の学生納付特例制度のメリット

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国民年金の学生納付特例制度を利用するメリットは次の通りです。①収入の無い学生期間中に国民年金保険料が猶予され負担しなくて済む②将来の国民年金を受け取るための受給資格期間にカウントされる③社会人になって追納する保険料は全額社会保険料控除の対象となり所得・住民税が安くなる。

これらがメリットです。特に学生納付特例制度を利用すれば、将来の国民年金を受け取るための「受給資格期間にカウントされる」ことがとても重要になります。

老齢基礎年金を受け取るための有利

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国民年金の老齢基礎年金を受け取るためには、国民年金保険料の納付期間が最低でも10年以上が必要です。さらに将来、満額の老齢基礎年金を受け取るためには40年の納付済期間が必要となります。ですので、学生納付特例を受けていた期間は将来の老齢基礎年金を受け取るための「受給資格期間」にカウントされますので断然有利となります。

ただし、受給資格期間にはカウントされますが、年金額の計算にはカウントされないデメリットがありますので注意が必要です。そのため、現在学生でも、将来に満額の老齢基礎年金を受け取るためには猶予していた国民年金保険料を後払いする必要があります。

これを「追納」といい、これにも「10年以内」に後払いするという制約があるので注意してください。将来に満額の老齢基礎年金を受け取るには、大切な事となります。

障害基礎年金を受け取ることができる

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そして、学生納付特例を受けて最も重要で最大のメリットが「障害基礎年金」を受け取れることです。なぜなら、国民年金の保険料を猶予され払わずも「加入扱い」になり、そのため、在学中に病気や不慮の事故で障害を負った場合に障害基礎年金を満額で受け取れるからです。年齢に関係なく、万一不慮の事故は誰にでも起こる可能性があります。

つまり、学生納付特例の恩恵で対象資格があり、障害基礎年金を受給することが出来るのです。この特例の手続きをせず年金を未納のままにしていると、万が一の時に障害年金を受給できません。ですので、国民年金の学生納付特例の手続きは確実にしておきましょう。

住民税・所得税が減額に

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「学生納付特例制度」は猶予が主な目的で、それ自体に税制面での控除はありません。ですが、卒業後に就職して所得を得るようになってから、学生納付特例期間に猶予されていた保険料をさかのぼって追納することによって、それが社会保険料控除の対象となります。

つまり、国民年金保険料を追納するとその全額が社会保険料控除の対象となり、所得税や住民税などの課税対象額から控除され節税につながります。ただし、自分で確定申告をしなければ控除の対象にはならないので、年金事務所からの国民年金保険料の控除証明書と会社からの源泉徴収票、身分証明書と印鑑を持って税務署へ申告時期に出向く必要があります。

国民年金の学生納付特例制度のデメリット

学生納付特例には、学生の間は国民年金保険料を猶予され払わなくて済むメリットがありますが、一方で次のようなデメリットがあります①将来の老齢基礎年金が減額される②追納する時に国民年金保険料が高くなることがある。これらのデメリットは是非とも避けたいところで、将来の老齢基礎年金が減額されるデメリットを避けるために次の方法があります。

就職して収入を得られるようになってから猶予分を追納する。ただし、追納できる期間は猶予されてから10年間です。年金を受け取る頃は、これが主な収入源となるので少しでも多く貰いたいところですので、デメリットを避けるためにも放置せず追納をおすすめします。

老齢基礎年金額には反映されない

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老後(65歳)に受け取れることが出来る老齢基礎年金は国民年金保険料の納付済期間が最低でも10年以上、そして満額の老齢基礎年金を受け取るには40年の納付済期間が必要となることは先述した通りです。ここでは、学生納付特例の老齢基礎年金額に対するデメリットを解説します。

学生納付特例を利用している学生の間は、国民年金保険料の支払いは猶予されているため納付済にはなりません。あくまで「年金受給資格期間」にカウントされるだけとなり、老齢基礎年金の金額に反映されることはありません。

ですので、老齢基礎年金の金額に反映させるためには、卒業後に猶予された保険料を納める追納が条件となります。

卒業後に年金を追納する場合は加算

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卒業後に猶予されていた国民年金保険料を追納する場合、一律に免除保険料に加算されるわけではありません。追納金額は学生納付特例期間と認められた期間の翌年度から起算して、3年目以降に追納する場合に加算されます。つまり、学生の間に猶予承認を受けた当時の国民年金保険料額に、経過期間に応じた加算額が上乗せられるデメリットということです。

国民年金保険料の追納には納付書が必要となります。納付する際には居住地を管轄する年金事務所で問い合わせして、追納申込書を入手してから追納することになります。また、問い合わせと同時に追納金額についても確認するようにしましょう。

免除を受ける方が最終的な支払が多い時がある

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国民年金の学生納付特例を利用し学生の間は保険料猶予を受けて卒業後に追納する場合、猶予申請の翌年から3年目以内なら支払額の加算額はありません。逆に3年目以降になると加算額が値上がりしますので最終的な支払額は多くなり大きなデメリットとなります。

日本年金機構HPの資料によると平成28年度に追納する場合、6年前の国民年金保険料の支払い月額は+410円、10年前の支払い月額は+940円となります。追納可能期限10年前分の支払い額は、当時の保険料より年間保険料は11,280円加算され、2年分ですと22,560円の加算になってしまいます。卒業後の早めに追納することをおすすめします。

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学生納付特例を利用せず親が国民年金を払うのもいい

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国民年金の学生納付特例で保険料を免除された期間は、国民年金の受給期間に参入されます。しかし学生納付特例で猶予された期間は、卒業後に追納しない場合には年金額に反映されません。

そして、学生納付特例の承認を受けた翌年から起算して3年目以降の追納では、保険料額が加算されて大きな負担となります。併せて現在でも年々保険料は値上がりを続けています。

節税効果を比較する

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こんな将来の負担増を考えると学生納付特例制度を利用せず、今のうちに親が立て替えで払うのもいいのではないでしょうか。節税面でみても学生の子供が払うより親が払う方が、その効果は高くなります。また、卒業後の数年の低い所得では節税効果も少ないケースが殆どとなり、値上がり続ける年金保険料のデメリットからも検討する価値は高いはずです。

親の節税効果はどのくらいかと言いますと、課税所得が300万円の場合で取得・住民税を合わせて4万円弱、500万円の場合で6万円弱となります。夫婦で楽しい温泉旅行が出来るくらいの金額が節税できます。

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国民年金の学生納付特例制度の申請手続き

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国民年金の学生納付特例制度の申請手続きは、難しいものではありません。学生が20歳になって届く「国民年金被保険者資格取得届書」の中に、学生納付特例申請書や学生納付特例内容の説明文が入っています。そして必要事項を記載し、居住している役所へ提出すれば手続きは完了となります。

学生納付特例制を申請する場所

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国民年金の学生納付特例制度を申請し手続きをする場所は、住民票のある市区町村の国民年金の年金課の窓口、または、最寄りの年金事務所となります。その際は学生納付特例申請書の記載内容が正しいか、事前に確認してから持参してください。その他学校側で申請手続き事務を代行してくれる場合もあるので、確認してみましょう。

学生納付特例制の必要書類

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国民年金の学生納付特例制度の手続きに必要書類は「国民年金保険料学生納付特例制申請書」「年金手帳」「学生証または在学証明書」が必要です。学生納付特例申請書は日本年金機構のHPから申請書をダウンロードすることもできます。

また、20歳になったばかりで年金手帳を持っていない人は、身分証明書(運転免許証、パスポート、マイナンバー票)などを持参するようにしてください。もしマイナンバーの番号を記載する欄がありますが、わからない場合は窓口の担当者が対応してくれます。

そして、2年目以降も手続きが必要になりますが、ハガキを返送するだけになりますので以後の手続きは簡単です。

2・3ヶ月後に審査結果が郵送される

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国民年金の学生納付特例制度の申請後、承認結果は日本年金機構から概ね2~3ヵ月後に審査結果が送付されます。国民年金に加入すると約1ヵ月後には保険料の納付書が先行して送付されます。また、審査期間中に保険料の催促状が送付される場合もありますが、双方とも納付しないでください。

国民年金の学生納付特例制度や免除される制度を利用しよう

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国民年金法には、老齢基礎年金の他に「障害基礎年金」や「遺族基礎年期」といった制度があります。これらは、不慮の事故などで障害の状態になったり、万が一死亡した場合など、本人や遺族に支給される制度です。学生納付特例の期間は支給要件を満たすことになりますので、必ず申請するようにしましょう。

ノビー
ライター

ノビー

定年退職後フリーのライターを選択、現在に至ります。生活の知恵/不動産関連/金融、各種契約仕様/車/ゴルフなどが得意なジャンルです。日々精進を心掛けています。

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