国民年金の受給額は?平均・最低・満額の推移・計算方法についてもご紹介

国民年金の受給額は?平均・最低・満額の推移・計算方法についてもご紹介

「老後のお金が心配」そんな方が「消えた老後2.000万問題」から増えてます。自分の国民年金受給額を正確に把握して老後に備える必要性が高まっています。そこで、国民年金受給額の最低・平均・満額の推移を詳しく説明、併せて計算方法をご紹介します。



記事の目次

  1. 1.国民年金・受給額の変動
  2. 2.国民年金・受給額の満額
  3. 3.国民年金・平均受給額
  4. 4.国民年金・受給額の最低推移
  5. 5.国民年金・受給額の計算方法
  6. 6.国民年金・受給額の上乗せとは
  7. 7.国民年金基金の運用成果の推移から将来に懸念あり
  8. 8.国民年金の受給額は加入期間で金額が変わる

国民年金・受給額の変動

Photo by Dick Thomas Johnson

国民年金の受給額は、毎年1月末頃に公表される前年の物価指数を参考に、翌年度の年金額が決定されます。つまり、その最低額や満額金額は毎年見直され変動しています。老後を迎えるにあたって国民年金額の推移や最低額、そして平均額などが自分事として大変気になるところです。ここでは、2019年度の国民年金受給額の変動について詳しく解説します。

各個人によって受給額に差が生じる

国民年金は加入期間に応じて受給額が変わります。40年間納付した場合に満額の支給となり、それ未満の場合は加入期間に準じて減額となります。但し、厚生年金に加入している期間は国民年金に加入していることになりますので安心です。このため、年金受給額は人によって異なり、国民年金だけのケースでは未支払の期間があれば受給額は下がります。

国民年金・受給額の満額

Photo by yookud

2019年度の年金額は、4年ぶりに僅かながら増え嬉しいところです。しかし、その増額分は僅か「0.1%」相当と低く、マクロ経済スライドの適用により物価上昇率の半分以下となっています。然るに、本年度の国民年金(老齢基礎年金)は満額で6万5,008円となり、国民年金のみの夫婦2人で計算すると月額で130,016円が満額となります。

ちなみに、標準的な額の厚生年金を夫が受給し、国民年金の満額を妻が受給する夫婦2人で、月額22万2千円が平均的な年金受給額となっています。持ち家で住宅ローンなどの返済が無ければ、生活できる金額ですが、そういう世帯は40%前後と言われています。

定められた期間の保険料を支払った場合

Photo bygeralt

国民年金の受給には、まず受給資格があることが必要です。最近まで、国民年金は受給資格期間が25年(300月)必要でしたが、2018年8月より受給資格期間は「10年(120月)」に短縮されました。この受給資格期間には、次のような期間も含まれます。

会社員または公務員で厚生年金に加入していた期間、または、サラリーマンの妻(3号被保険者)であった期間(昭和61年4月以降)。そして、自営業者や学生、無職、サラリーマンの妻であり国民年金を納めた期間。さらに、この期間中に国民年金の納付を免除をしてもらった期間が含まれます。

これらの受給資格期間が60歳時点で10年を満たしている人に対して、65歳から国民年金の受給が行われます。

国民年金・平均受給額

Photo bynattanan23

老後の生活設計をするうえで、受給者の人は実際どのくらいの金額を年金として受け取っているか知りたい、そんな方も多いハズです。ここでは、厚生労働省が公表している、最新の国民年金受給額(平均月額)の推移を解説します。

平成25年の国民年金のみの受給額は54,544円でした。それが2年後の平成27年には55,157円と増額されています。さらに2年後の平成29年には55,518円となり、国民年金の受給額は、平成26年を除いて微増の推移が続いています。

また、厚生年金を受給していない第1号被保険者の平均受給額も、平成25年の49,869円から平成29年の51,528円へと併せて微増が続いています。

①国民年金のみの場合

Photo bylouda2455

自営業の方など、国民年金のみの場合の平均受給額を見てみましょう。平成29年で例えると、次のようになります。自営業の方などは夫も妻も第1号被保険者なので、51,528円×2=103,056円が夫婦の平均受給額となります。

しかし、この受給額はあくまで「平均」で、国民年金のみの方でもしっかり納めていれば、もう少し受け取れます。いずれにしても、夫婦2人でこの受給額では不十分となってしまいます。

②厚生年金と合わせた場合

Photo bymohamed_hassan

次に、標準的な厚生年金を受給する世帯の平均月額はいくらか、計算してみました。厚生労働省が公表している、最新の厚生年金受給額の推移(平均月額)によると、減少傾向が顕著になっています。平成25年は145,596円でしたが、2年後の平成27年では145,305円、その2年後の平成29年には144,903円と厚生年金受給額の平均月額は減少しています。

ここでいう厚生年金は、私学共済や公務員以外の民間企業からの加入者になります。平均的な金額の厚生年金を受給する世帯で、受給額の平均月額は夫144,903円+妻55,518円(国民年金)=200,421円となります。

この額は国民年金のみ世帯の1,94倍、金額にして9万円ほどが厚生年金として上乗せされていることが解ります。

国民年金と厚生年金の違いを比較!貰える金額や両方払うことは出来る? | 副業・暮らし・キャリアに関するライフスタイルメディア
公的年金制度には、国民年金と厚生年金の2種類あることはご存知の方も多いでしょう。その国民年金と厚生年金を比較すると、貰える金額などの違いがあるのでしょうか。また、両方の年金を納めることはできるのでしょうか。国民年金と厚生年金の違いを比較し、解説します。

国民年金・受給額の最低推移

Photo bystevepb

国民年金は原則65歳から支給開始されますが、対象年齢になれば誰でも受給できるというわけではありません。国民年金を受給できるのは、保険料納付済期間と保険料免除期間、合算対象期間が最低10年以上ある人です。つまり、納付期間10年が最低年金額となります。

そして保険料免除期間とは、保険料の納付を免除または猶予された期間のこと。合算対象期間とはカラ期間とも呼ばれ、専業主婦や学生、海外在住など国民年金未加入の期間を指しています。

月ベース2万円に満たないことも

Photo by SUNG HSUAN WANG

国民年金の最低額は、2018年8月より導入された「10年短縮制度」により変わりました。そのため、現在の国民年金の受給資格期間は最低10年となりましたので、最低受給額を受け取るためには10年以上の加入が必要となります。現在は未納についての強制徴収の態勢も強化されていますので、一応10年は満額の国民年金保険料を支払った場合が最低額となります。

実際に計算してみますと、次のようになります。78万円(満額)×10年÷40年=19.5万円(年額):月額 16,250円。これは、月ベースにすれば2万円にも満たない支給額となり、この金額が現在の最低の年金受給額となっています。

国民年金・受給額の計算方法

Photo byjarmoluk

ここでは、国民年金の受給額はどのように決まるのか、計算方法を解説します。年金額は年度ごとに見直されているので、今年度(2019年4月~2020年3月)の場合について説明します。受給額は保険料を「免除・猶予」された期間があるか無いかで計算式が変わります。

まずは、ご自分の国民年金保険料の納付状況を「ねんきん定期便」などで確認しましょう。保険料免除期間が無い場合の計算式は次のようになります。老齢基礎年金額=780,100円(平成31年度の満額)× 保険料納付月数 ÷ 480(満額月数)。

例えば、 保険料納付が35年(420月)の人は、780,100円(平成31年度の満額)×420月÷480=685,600円(年額):月額57,100円となります。

加入期間・免除や猶予期間で変化

Photo byAlexas_Fotos

国民年金受給額すなわち老齢基礎年金額は、「加入期間」、「免除期間」そして「猶予期間」で変化することは解りました。ここでは、その計算式を詳しく説明します。


保険料免除期間がある場合の計算式は、老齢基礎年金額(国民年金)=780,100円(満額)×(次の5つの金額の合計)÷480(満額月数)です。①保険料納付月数、②保険料全額免除月数×8分の4、③保険料4分の1納付月数×8分の5、④保険料半額納付月数×8分の6、⑤保険料4分の3納付月数×8分の7、これらを合算した金額で求めます。

また、合算対象期間(カラ期間)は受給資格期間には反映されますが、受給額には加算されませんので注意が必要です。この①~⑤までの金額を正確に把握するのは難しので、対象の人は最寄りの年金事務所で事前に確認することが重要です。

国民年金・受給額の上乗せとは

Photo bymarimari1101

自営業者や現在フリーターの方は、将来もらえる国民年金の額はとても少ないので、これだけでは生活できません。まだまだ先の事だからと思っていても、その推移から不安は募るばかりですね。満額とは成らずも少しでも増やしたいのが心情でしょう。そこで、将来もらえる国民年金受給額を上乗せする方法を紹介します。

加入期間によって年金額が増加

Photo bynattanan23

将来もらえる国民年金の受給額を上乗せするには、次の2つの方法があります。国民年金保険料の他に「付加保険料」を上乗せして納める方法と「国民年金基金」に加入する方法です。 もちろん加入期間が増えれば上乗せ額も増えていきます。次に、それぞれ詳しく説明してまいります。

その① 国民年期保険料の他に「付加保険料」を上乗せして納める

Photo bynattanan23

国民年金の付加保険料を納めることで、将来の年金を増やすことが出来ます。平成31年度の国民年金保険料は月額16,410円ですが、さらに月額400円の付加保険料を納める方法です。但し、利用できる人は「国民年金第1号被保険者」「任意加入被保険者」の人で、65歳以上は不可となります。申し込みは市区役所及び町村役場の窓口で行います。

付加保険料を払って上乗せられる付加年金額の計算式は、200円×「付加保険料納付月数」です。例えば、付加保険料を30年間納めた場合、月々老齢基礎年金に上乗せされる金額は6,000円となります。これは2年間で元が取れる金額なのでたいへん有効です。

その② 国民年金基金に加入する

Photo bypaulbr75

国民年金基金とは、国民年金に上乗せして加入できる公的年金制度で、国民年金受給者の老後保障を目的として設けられています。この制度により国民年金基金の加入者は、厚生年金と同様に将来もらえる年金を「2階建て」に出来るという仕組みです。

また、国民年金基金は掛け金が全額所得控除となり、節税対策としてもとても有効です。例えば、課税される所得が400万円、国民年金基金の掛け金が年額30万円とすると、約9万円が所得・住民税から軽減できます。

国民年金基金の詳細

Photo by stevendepolo

国民年金基金の目的は、会社員や公務員の厚生年金のように国民年金に上乗せする年金で個人事業主やフリーランスなど、国民年金第1号被保険者のみが加入することが出来る制度です。つまり、厚生年金相当の2階建て部分を補う年金です。

国民年金基金には「地域型基金」と「職能型基金」の2種類があります。「地域型基金」とは47都道府県に設立されていて、同一の都道府県に住所があれば加入することが出来ます。「職能型基金」とは弁護士や医師など25種類の職業ごとに加入できる基金です。そして、どちらか一方の基金のみ加入が可能です。

国民年金基金の加入方法は、口数制となっています。年金額や給付の期間などいくつかの型があり、自分で選択することができます。最初の1口目だけは終身年金のA型・B型から選択し、さらに上乗せの為の2口目からは給付期間の異なる7種類から選択することになります。

国民年金基金の運用成果の推移から将来に懸念あり

Photo by chidorian

国民年金・受給額の上乗せ方法として紹介した国民年金基金は、「確定給付」が一番の特徴で基金へ加入した時点で、将来もらえる年金額は確定しています。これは加入する側としては安心でありがたい制度です。

しかし、確定給付型の年金制度は現在のように低金利の状態が長期間続いていると、予定していた運用益が確保できなくなってしまいます。結果、高い利率で約束した年金を支払う資金が不足する可能性を含んでいます。

実際、同じような「厚生年金基金」が同様な理由により積み立て不足額が発生し、制度廃止へと向かっていることを考えると国民年金基金の将来も検証する必要があります。

国民年金基金が加入者に約束している予定利率は下がり続けている

Photo bygeralt

国民年金基金が加入者に約束している予定利率の推移を見てみると、1991年は5.5%でした。9年後の2000年には4%へ下がり、その4年後の2004年では1.75%へ大きく下がりました。それ以来は1%台の後半で推移を続け、データのある2014年では1.5%まで下がり続けているのが現状です。

国民年金基金が約束している予定利率表は、このように下がり続けていて、その運営に苦労している状況がよくわかります。加入側からすると同じ掛け金を納めても、もらえるお金が少なくなっいる推移から、加入の魅力は小さくなっています。

さまざまな制度利用でリスクを分散

Photo bygeralt

また、重要な財務状況を確認すると2014年度で、純資産額が4.1兆円なのに対して年金支払額は4.6兆円、なんと5,200億円が積み立て不足となっています。いずれの数字を見ても運営は盤石とは言い難い状況です。

国民年金基金に加入の一辺倒ではなく、「個人型確定拠出年金」や「小規模企業共済」など、いろいろな制度を併用してリスクを分散することが重要です。

少額の投資にて、ちょっとだけ国民年金が増えればいいのであれば「付加年金」、貰える年齢は固定されているが運用の透明性が肝心と思うなら「個人型確定拠出年金」、年金よりもいろいろな自由度が欲しい人は「小規模企業共済」を検討されると良いでしょう。

国民年金の受給額は加入期間で金額が変わる

Photo by Taiwan Presidential Office

総務省が発表する「家計調査報告」によると、高齢夫婦の1ヵ月の支出は約26万円とされています。国民年金だけでは暮らしていけません。国民年金を少しでも上乗せしないと老後の生活が悲惨なことになっしまいます。そうならないために、今から、そして自分に合った制度を選んで将来に備えるようにしましょう。

ノビー
ライター

ノビー

定年退職後フリーのライターを選択、現在に至ります。生活の知恵/不動産関連/金融、各種契約仕様/車/ゴルフなどが得意なジャンルです。日々精進を心掛けています。

関連するまとめ

人気の記事