個人年金の税金はいくら?対策や控除・おすすめの受け取り方法まとめ!

個人年金の税金はいくら?対策や控除・おすすめの受け取り方法まとめ!

老後資金2000万円問題から、私的年金での老後後資金形成が注目されています。そのひとつが個人年金保険です。老後資金形成や掛金による税金節税というメリットの一方で、きちんと対策をしないと予想以上の税金がかかります。そこで、個人年金の税金対策を解説します!

記事の目次

  1. 1.個人年金の税金とは
  2. 2.個人年金とは?
  3. 3.個人年金の税金はいくらか
  4. 4.個人年金の税金控除の計算方法について
  5. 5.個人年金の税金控除の2年目の計算方法
  6. 6.個人年金をお得に受け取る対策
  7. 7.個人年金受取時に確定申告は必要か
  8. 8.個人年金に関するその他の税金
  9. 9.個人年金は契約者本人が受け取ったほうがお得

個人年金の税金とは

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先日ニュースになった「老後資金2000万円」問題ですが、それ以前からも公的年金制度に不安を感じている人も多いでしょう。とはいえ、老後資金を貯金だけでまかなうことは簡単ではないこともあり、その対策として様々な私的年金制度に注目する人も増えています。

公的年金(国民年金や厚生年金)以外に、老後資金のための貯蓄対策として挙げられるものに「iDeCo(イデコ)」や「国民年金基金」、「付加年金」などがあります。そのうちのひとつが「個人年金保険」です。

「国民年金基金」のように職業等による加入制限もなく、「iDeCo(イデコ)」のように掛金上限も決められておらず、生命保険や医療保険のように自らに適した金融商品から選択できることが、個人年金保険のメリットです。

個人年金を受け取るときには税金がかかる

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一方で、個人年金保険は私的年金制度であるために、税制上の優遇をあまり受けることができない点がデメリットです。支払う掛金(保険料)については、生命保険などと同様に所得控除の対象となりますが、老後になり個人年金を受け取るときには税制上の優遇がなく、税金を支払わなければなりません。

個人年金を受け取る際にかかる税金は、少ない方が嬉しいものです。そこでここでは、個人年金保険の税金について、いくらになるのかを知るための計算方法やお得に受け取るための対策方法、確定申告とそれに関わる源泉徴収についてなどを解説していきます。

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個人年金とは?

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個人年金にかかる税金について解説していく前に、そもそも「個人年金保険とは何か」についておさらいしていきます。

現在、国民年金基金やiDeCo(イデコ)、個人年金保険などといった公的年金制度に頼らない老後資金形成に注目が集まっているのは、公的年金制度に対する不安があるからです。そこでまず、公的年金制度について確認していきましょう。

強制的に加入する「公的年金制度」

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日本に居住している20歳以上の人は、強制的に「国民年金」に加入することになります。加入後は毎月保険料を支払い、65歳になると支払った国民年金保険料に応じて「老齢年金」を受け取ることができます。

現在は65歳から年金支給が開始されますが、支給開始年齢を60歳まで繰り上げたり、70歳までに繰り下げたりすることもできます。その分、支給される年金が減額されたり増額されたりします。

安易に年金支給開始年齢を繰り上げずに、「年金支給額が総額としていくらになるのか」を計算するようにしましょう。また、年金支給開始は65歳ですが、退職年齢は60歳となっていることもあり、その間の収入対策として個人年金保険に加入する人も少なくありません。

会社員は国民年金+厚生年金

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また会社員になると「厚生年金」にも加入することになります。毎月会社から支払われる給与は、額面給与から所得税・住民税だけでなく、厚生年金保険料を支払った状態で支給されます。この厚生年金の保険料には、国民年金の保険料も含まれているため、会社員は国民年金と厚生年金の両方の保険料を支払っていることになります。

一見、支払う保険料が多いことは不利であるようにも見えますが、その分将来受け取ることができる年金額も大きくなります。このように、職業による受給年金の差をなくすための制度として個人事業主が任意加入できる「国民年金基金」という制度もあります。

個人年金保険とは?そのメリットとは?

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国民年金や厚生年金の将来受取額に不安があるなどの場合、任意の私的年金に加入することになります。国民年金基金やiDeCO(イデコ)は、加入にあたり条件があったり、掛金上限が設定されていたりします。一方、個人年金保険の場合は、貯蓄性の高い保険商品となるため、職業などの制限がなくだれでも加入することができます。

また、様々な商品から選択することができるため、受取開始年齢や受け取り方式なども様々です。自分に合ったものを見つけることができることが個人年金保険のメリットと言えるでしょう。

個人年金保険のデメリットは「税金」

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一方で、私的年金制度であるため、税制上の優遇は公的年金制度に比べると手薄くなります。個人年金保険は、生命保険と同様に支払った掛金(保険料)は所得控除の対象となります。これは、国民年金基金やiDeCo(イデコ)でも同じです。

しかし、年金として受け取る際には注意が必要です。国民年金基金やiDeCo(イデコ)の場合は、年金として受け取る際にも控除対象となりますが、個人年金保険による年金の場合は控除対象となりません。そのため、一般的な給与や雑所得と同様に所得税や住民税の課税対象となります。

そのため、個人年金保険に加入する際には、年金を受け取る際にかかる税金が可能な限り少なくなるように、将来受け取る年金額やそれにかかる税金がいくらになるのかをしっかり把握して、お得な受け取り方を対策する必要があると言えます。

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個人年金の税金はいくらか

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それではここから、個人年金保険を年金として受け取る場合に、かかる税金がいくらになるのかを見ていきましょう。「税金がいくらかかるのか」は課税対象となる税金の種類によって異なりますが、これは「年金を受け取る人が誰になるのか」や「どのように年金を受け取るのか」によって決まります。

契約によってかかる税金が変わるため、よりお得に個人年金を受け取る対策を立てるには、どのように税金がかかるのかを知る必要があります。押さえるべきポイントは2つなので、しっかり理解するようにしましょう。

受取人によって税金が違う

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税金がいくらになるのかが決まるひとつの要素が「受取人」です。保険料を支払う人と年金として受け取る人が同一人物かどうかが重要になります。これは、個人年金を受け取る人によってその収入が「雑所得」になるか「贈与」になるかが変わるからです。

保険料を支払う人と年金として受け取る人が同一人物の場合にかかる税金は「所得税」になります。一方、保険料を支払う人と年金として受け取る人が同一人物ではない場合にかかる税金は、初年度が「相続税」、2年目以降が「所得税」となります。

所得税と贈与税は負担が大きく変わる

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後でも解説しますが、所得税と相続税ではかかる税金額が大きく変わります。なかには「保険契約では契約者も受取人も妻だが、実際に保険料を負担しているのは夫」という場合もありますが、この場合は保険料を支払う人と年金の受取人は「同一人物ではない」と判断され、贈与税がかかるので注意が必要です。

一括受取かどうか

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かかる税金がいくらになるのかを決定するもうひとつの要素は「年金の受け取り方」です。個人年金保険は契約によって年金の受け取り方が変わります。大きく分けると、毎年年金として受け取る「毎年受取」と、年金を一括で受け取る「一括受取」があります。

受取方法が変わると、所得種類も変わります。毎年受取の場合は雑所得になりますが、一括受取の場合は一時所得となります。一時所得の場合、特別控除も受けることができるためかかる税金は少なくなります。

個人年金の税金がいくらかは「受取人」と「受取方法」が重要

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このように、個人年金の受取人や受取方法によって所得種類が変わり、課税対象となる税金も変わります。かかる税金が変われば当然税率も異なるため、どのような場合にいくらの税金がかかり、いくらの個人年金を受け取ることができるのか、しっかりシュミレーションをしてお得に受け取る対策が重要です。

個人年金の税金控除の計算方法について

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見てきたように、個人年金保険は受取人や受取方法によってかかる税金の種類やいくらの税金がかかるのかが変わります。そこでここでは、個人年金を受け取る際にかかる税金の計算方法について見ていきましょう。

ここでは、保険料を支払う人と年金の受取人が同じかつ毎年受取の場合の「雑所得の計算方法」とそれにかかる「所得税の計算方法」・保険料を支払う人と年金の受取人が異なる場合にかかる「贈与税の計算方法」について詳しく解説していきます。

雑所得の計算方法

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個人年金を毎年受取で受け取っていく場合、その収入は「雑所得」となります。実は個人年金の年金収入すべてに税金がかかるわけではなく、その収入から必要経費を引いた分が「雑所得」としてカウントされ、その雑所得の金額に応じて税金がかかります。

つまり、「個人年金を毎年受取で受け取る場合にかかる税金がいくらになるのか」を知るためには、雑所得を求める必要があり、これには「必要経費」が必要になります。

雑所得を求めるための「必要経費」の計算方法

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雑所得を求めるのに欠かせない必要経費がいくらになるのかは、受け取る年金額に支払った保険料の合計金額を掛け、それを年金の総支給見込み額で割ることで求めることができます。

年金の総支給見込み額は、毎年受け取る年金額と受取期間を掛けることで求めることができます。例えば、受取年金額50万円の10年型確定個人年金保険であれば、「50万円×10年=500万円」が年金の総支給見込み額ということになります。

雑所得の計算例

では具体例を使いながら、雑所得の求め方を確認していきましょう。例えば、年金受取額60万円・10年確定型個人年金保険に加入しているAさんは、年間12万円の保険料を30年間支払いました。この時のAさんの必要経費は「(60万円×(12万円×30年間))÷(60万円×10年間)=36万円」となります。

必要経費がわかったら、雑所得を求めていきます。雑所得は「総収入金額-必要経費」でいくらになるかがわかります。Aさんの個人年金額は60万円なので、雑所得は「60万円-36万円=34万円」となります。

所得税の計算方法

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先ほどのように雑所得を求めたら、それにかかる所得税がいくらになるかがわかります。そもそも所得税には様々な控除があり、「所得-各種控除」で求められる金額に所得税がかかることになります。各種控除のうち、だれもが受けることができる控除が「基礎控除」です。基礎控除は38万円です。

Aさんの場合、雑所得は34万円になりますが、所得税には38万円分の基礎控除があるため、Aさんが個人年金の他に所得がなければ所得税はかからないということになります。一方で、個人年金以外に所得があれば、所得に応じた所得税がかかることになります。

贈与税の計算方法

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最後に、贈与税の計算方法について確認していきます。個人年金の受取に贈与税がかかるのは、保険料の支払った人と個人年金の受取人が異なる場合に贈与税がかかります。

贈与税は、年金を受け取るタイミングでこれから受け取ることができる年金についてかかります。この「これから受け取ることができる年金」とは、解約返戻金・一括受取年金額・予定利率などをもとに算出した金額のいずれかの最も大きな金額のものとなります。

贈与税の基礎控除額は110万円

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雑所得の計算には必要経費を引くことで、所得税を計算するには基礎控除を引くことで、税金のかかる課税分の収入金額がわかりました。譲与税がかかる課税分の収入を計算するには、基礎控除分110万円を引く必要があります。例えば、個人年金を一括受取金額が600万円だった場合、基礎控除額110万円を引いた490万円が課税対象の収入額となります。

贈与税の計算例

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贈与税は「(課税対象額×税率)-控除」によって求めることができます。先ほどの例で言えば、一括受取年金額600万円から110万円の基礎控除を引いた490万円が課税対象額でした。課税対象額が490万円の場合の税率および控除額は、30%・65万円になります。

つまり、「(490万円×30%)-65万円=82万円」がこの場合にかかる相続税となります。このように見ると、贈与税の負担が非常に大きくなることがわかります。このように負担が大きい贈与税を回避する対策としては、保険料負担者と年金受取人と同一にすることが重要になると言えます。

個人年金の税金控除の2年目の計算方法

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このように、個人年金の受取人や受取方法によって、かかる税金の種類や実際にいくらの税金がかかるのかが異なります。また、所得税と贈与税ではかかる税金額が大きく変わるため、個人年金保険に加入する前にどのような対策をすべきかを考えることが重要になります。

また、税金は年金を受け取る初年度だけではなく2年目以降にもかかります。では、2年目以降の税金がいくらになるかを求めるには、どのような計算をすればよいでしょうか。

所得税のみが対象

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個人年金の受け取りが開始となる初年度には、受取人によって「所得税」がかかる場合と「贈与税」がかかる場合とに分かれましたが、2年目以降については、所得税のみがかかるようになります。

個人年金の受取年金額は「雑所得」としてカウントされます。個人年金以外の収入と合わせた合計所得額に応じた所得税がかかることになります。なお、かかる所得税率は、「課税所得金額が195万円以下の場合は5%」、「課税所得金額330万円以下の場合は10%」、「課税所得金額が650万円以下の場合は20%」と言ったように、累進課税制となっています。

個人年金をお得に受け取る対策

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個人年金保険は商品や契約によって様々なので自分に合ったものを選ぶことができる一方で、私的年金制度であるために税制上の優遇を受けにくいという一面もあります。それが顕著に表れるのが年金として受け取るタイミングです。

せっかく保険料を支払っていたのであれば、できるだけ多く年金として受け取りたいものです。そこでここでは、個人年金をお得に受け取るための対策について解説していきます。

保険料負担者と年金受取人は同一にするとお得

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最も重要になる対策が、「保険料負担者と年金受取人を同一にしておくこと」です。なぜなら、保険料負担者と年金受取者が同一でない場合は「贈与」と見なされ、多額の贈与税がかかってしまうからです。

例えば、妻の分の個人年金保険料を夫が支払っていたとしましょう。この場合、妻が個人年金を受け取る際には同一世帯であっても相続税がかかります。そのため、世帯収入としては大幅に減少することになります。

贈与の場合、2年目も所得税がかかる

また、2年目以降にも所得税が発生するため、総額として支払うことになる税金額は保険料負担者と年金受取人が同一である場合よりも多くなります。すでに個人年金保険に加入しており、保険料負担者と年金受取人が別の契約になっている場合は、契約変更をするようにしましょう。そうすることで、それまでの年金受取分のみの贈与税負担で済みます。

毎年受け取ったほうがお得

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個人年金をお得に受け取る対策のもうひとつが「個人年金を毎年受取にする」ということです。個人年金保険には、個人年金を毎年受け取る「毎年受取」と一括で受け取る「一括受取」の2つの方式があります。

一括受取で個人年金を受け取ると「一時所得」と見なされ、受け取った個人年金から必要経費と特別控除50万円分を差し引いた金額が課税対象となります。毎年受取の場合は必要経費しか差し引くことができないため、特別控除を受けることのできる一括受取の方が一見するとお得なようにも見えます。

一見お得な「一括受取」の落とし穴

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基礎控除以外にも特別控除を受けることができるため、かかる税金が少なくなる一括受取は非常に魅力的に見えますが、注意しなければならないのは「年金受取の総額」です。

実は、一括受取にすると受け取ることのできる個人年金額が減額されてしまいます。つまり、毎年受取でかかる税金と一括受取の減額分を比べると、一括受取の減額分の方が大きくなるため、毎年受取で個人年金を受け取る方がお得であると言えます。

個人年金受取時に確定申告は必要か

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ここまで、個人年金にかかる税金がいくらになるかの計算や、個人年金をお得に受け取る対策について見てきました。税金がかかるとはいえ、老後資金形成のツールとしては魅力的な個人年金保険ですが、ここで気になるのが「個人年金を受け取るときに、確定申告は必要になるのか」ということでしょう。

確定申告の対象者

個人年金を受け取ったときに確定申告が必要になるのは、主に①給与所得者と②公的年金受給者の2種類です。受け取った個人年金の金額ではない点に注意が必要です。

特に、②公的年金受給者の場合は確定年金の対象となる条件が複数あります。年金受給額だけでなく源泉徴収などのポイントに注意しながら、以下で詳しく見ていきましょう。

給与所得がある場合

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確定申告が必要なパターンの1つ目が「給与所得者」です。現在の退職年齢は60歳となっており、多くの個人年金は60歳から支給が開始されるため、個人年金を受け取る際に給与所得者であることは少ないかもしれません。

しかしなかには、雇用延長や再就職などによって個人年金を受け取りながらも企業から給与を得ている場合もあるでしょう。このように、個人年金を受け取った際に給与所得・退職所得があり、給与・退職金以外の所得が20万円以上ある場合は、確定申告が必要になります。

雑所得や一時所得が20万円を超える場合は確定申告が必要

受け取る年金額が20万円以上でも、課税対象となる「雑所得」となると必要経費が差し引かれるため「雑所得として20万円以上」という条件に該当することはありません。

このように一般的な個人年金保険ではあまり問題になりませんが、高額な個人年金保険に加入していたり、個人年金以外にも、給与・公的年金ではない副収入が20万円以上ある場合には忘れずに確定申告するようにしましょう。

源泉徴収されていない公的年金の受取がある場合

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また、個人年金以外に公的年金を受け取っており、その公的年金額が400万円を超えている、または400万円以下で源泉徴収がされていない場合には、確定申告が必要になります。また、給与所得者と同様に、公的年金以外に個人年金等による雑所得が20万円以上ある場合も対象となります。

公的年金の源泉徴収票

公的年金の源泉徴収票は毎年1月中旬頃に発送されます。(2018年分は、2019年1月11日~18日に発送されました。)確定申告の時期は毎年2月中旬~3月中旬に行われるので、確定申告が必要な場合は源泉徴収票をなくさないように注意しましょう。

源泉徴収票をなくした場合

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万が一源泉徴収票をなくしてしまった場合は、再発行することが可能です。ただし、再送までには時間がかかるため、急を要する場合は年金事務所・年金相談センターで源泉徴収票の再申請をするようにしましょう。なお、源泉徴収票の内容は「ねんきんネット」でも確認することができます。

公的年金にも税金がかかる?

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公的年金でも、一定の場合で所得税を支払わなければなりません。所得税の課税対象となるのは「65歳未満かつ年金支給額が108万円以上」または「65歳以上かつ年金支給額が158万円以上」の場合です。これ以下の場合は、所得税などの源泉徴収はありません。

また、上記金額を超えていても「扶養親族等申告書」を提出している場合、「独身かつ65歳未満で、年金支給額9万円」または「独身かつ65歳以上で、年金支給額月額13.5万円」のときは所得税などが源泉徴収されません。

なお、障害年金や遺族年金は課税非対象のため、所得税などが源泉徴収されていません。そのため、源泉徴収票も送付されないことに注意しましょう。

確定申告不要制度

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このように、様々な場合で年金受給者でも確定申告が必要になることがありますが、確定申告はそもそも自分が該当しているのかを判断することも簡単ではありません。また、実際の手続きも複雑になっているため、年金受給者が確定申告をしなくても良い制度として「確定申告不要制度」が設けられています。

確定申告不要制度の条件

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1つ目が「公的年金の収入合計金額が400万円以下、かつそのすべてが源泉徴収の対象であること」です。この条件に当てはまるかどうかを判断するには、郵送される源泉徴収票の「支払金額欄」を確認します。この欄の金額が400万円以下であればこの条件を満たしていることになります。

もし複数から年金を受け取っており、公的年金等の源泉徴収票が複数枚ある場合は、そのすべての源泉徴収票の「支払金額欄」の合計金額が400万円以下であることが条件になります。

2つ目が「公的年金以外の収入による所得金額が20万円以下であること」です。こちらについては自ら計算しなければなりません。収入の所得種類分けや実際の計算方法は国税庁のホームページを参考にしたり、実際に税務署に相談すると良いでしょう。

確定申告をすると還付金がもらえることもある

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送られてきた公的年金等の源泉徴収票を見た時に、「源泉徴収税額」の欄に数字が記載されている場合、年金受給前に所得税があらかじめ差し引かれています。このとき、なかには本来であれば確定申告をする必要がない人でも確定申告をすることで、還付金(源泉徴収によって納めすぎになった税金分)を受け取ることができる場合があります。

医療費控除や社会保険料控除・生命保険控除など、様々な控除対象となっている場合は、確定申告が本来扶養であっても、した方がお得になります。こういった税金に対する対策をしっかり取ることで税金の過払いをなくすようにしましょう。

個人年金の確定申告が必要&不要なケースとは?書き方や還付金なども解説 | 副業・暮らし・キャリアに関するライフスタイルメディア
各個人がかけている個人年金にも確定申告が必要な場合があります。その個人年金の確定申告について,掘り下げて解説します。税金がかかる場合がある個人年金についても触れます。還付のある場合についてもふれています。参考にして下さい。

個人年金に関するその他の税金

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個人年金保険は、年金として受け取る際に雑所得として所得税がかかったり、贈与として贈与税がかかったりします。また、それ以外にも税金がかかることがあります。それが、個人年金保険の途中解約です。また、生命保険料控除を受けることで節税効果を高めることもできます。以下で詳しく解説していきます。

途中で解約した場合の税金

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ここでは税金がかかるパターンについて解説します。それが、個人年金保険を途中解約した場合です。個人年金保険を途中解約すると「解約返戻金(かいやくへんれいきん)」が戻ってきますが、この解約返戻金に税金がかかることがあります。保険料負担者と解約返戻金の受取人が同一の場合とそうでない場合でそれぞれ見てきましょう。

保険料負担者と解約返戻金受取人が同一の場合

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保険料負担者と解約返戻金の受取人が同一の場合、支払った保険料よりも解約返戻金の金額が大きくなる場合に所得税が課税されます。かかる所得税は2種類あり、「確定年金を5年以内に解約した場合」には源泉分離課税が20%かかりますが、それ以外の場合は一時所得としての課税対象となります。

個人年金保険は老後資金形成としての保険になるため、一般的に途中解約で支払った保険料よりも解約返戻金が多くなることはあまりないのが実情です。

保険料負担者と解約返戻金受取人が同一でない場合

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保険料負担者と解約返戻金の受取人が同一でない場合は、個人年金を受け取る際と同様に「贈与税」がかかります。先ほども見てきたように、贈与税の税率は非常に高く、負担が大きくなる傾向にあります。また、支払った保険料よりも解約返戻金が高くなることはあまりないことを加味しても、ここで贈与税が課税されるのは避けたいと言えます。

生命保険料控除を受ける場合

次に、かかる税金が少なくなるお得な対策を解説します。それが、個人年金保険の保険料による生命保険控除です。いつも支払う税金は、収入から様々な控除を引いた所得額にかかります。つまり、控除できる金額が大きくなるほど所得が少なくカウントされ、かかる税金も少なくなります。

個人年金保険の保険料は各種控除のうち「個人年金保険料控除」に該当します。支払った掛金が控除され、所得税が最大4万円、住民税が最大2万8000円控除されます。

個人年金保険料控除の対象

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個人年金保険料の対象となるには、4つの条件があります。①個人年金受取人が契約者(保険料負担者)またはその配偶者、②個人年金受取人が被保険者、③保険料の払込期間が10年以上、④個人年金の支払開始が60歳以上かつその期間が10年以上、となります。

個人年金保険料控除の対象に該当しない場合は、一般生命保険料控除の対象なる点に注意が必要です。

個人年金は契約者本人が受け取ったほうがお得

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老後資金2000万円問題を契機に、再度老後資金形成に注目が集まっています。公的年金制度だけでは不安を感じている人も少なくないでしょう。そこで活用できるのが個人年金保険でした。

個人年金保険は、保険料の支払期間には所得税の控除を受けることができ、また将来の老後資金を増やすことができる点が魅力でしたが、契約方法によっては贈与税などのかかる税金が高額になってしまい、結局「損をした」と感じてしまいかねません。そこで重要になるのが「個人年金をお得に受け取る対策」でした。

様々な商品・契約から自分に合ったものを選ぶことができるというメリットを活かして、老後資金を形成していきましょう!

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ライター

y01co

コーヒーと温泉が好きです。つい笑いを取ろうとしてしまうのがクセです。自由でゆったりとした毎日を送るため、日々奮闘中です。わかりやすく、学びある情報をお伝えできるようにがんばります!

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