定年後の再雇用制度まとめ!年金や給料・社会保険・助成金などはどうなる?

定年後の再雇用制度まとめ!年金や給料・社会保険・助成金などはどうなる?

「○○さん、今までお疲れさまでした。」あなたは会社を定年退職したあとどうしますか?もし定年後も再雇用で同じ会社で働きたい場合、年金、社会保険、給料、助成金の有無、雇用形態はどうなるなのでしょうか。今回は定年後の再雇用制度について紹介します。

記事の目次

  1. 1.定年後の再雇用制度とは
  2. 2.定年後の再雇用制度の手続き流れ
  3. 3.定年後の再雇用制度【給料】
  4. 4.定年後の再雇用制度【年金・社会保険】
  5. 5.定年後の再雇用制度【高年齢雇用継続給付金】
  6. 6.定年後の再雇用制度の仕組みを知っておこう

定年後の再雇用制度とは

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定年後の再雇用制度とは、その名の通り定年退職した会社に「再雇用」という形でまた勤務する制度のことです。現在は、定年後はのんびりと年金生活、という形ではなく、このように定年後も再雇用されて引き続き働く方が多いです。では、このように定年後も再雇用という形で働く方が増えた背景を見ていきましょう。

高年齢者雇用安定法により義務化

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昔は60歳で「今までお疲れ様でした」と定年退職して、老後の生活を楽しむという時代でした。しかし、現在は年金を十分に受け取ることができないため、60歳を過ぎても職を求めたり、パートやアルバイトに出ている人が非常に多いです。そこで、この「高年齢者雇用安定法」の「再雇用制度」は、高年齢労働者にとって強い味方となってくれます。

再雇用制度を一言で言うと、定年後に同じ会社で再雇用されてから65歳までの生活の保障を図る制度です。65歳というのは国民年金が受給開始になる年齢です。再雇用制度は、定年後から65歳までの収入が安定するようにサポートするもの、と考えて良いでしょう。

それでは、定年後に再雇用という形でまた同じ会社で働きたい、という場合はどのようにしたら良いのかどうかを次の項で紹介していきます。

退職後に再度会社と雇用契約する

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定年退職が近づいてきたら、総務部に連絡して定年後に再雇用という形で勤務することは可能かどうかを相談しましょう。もし再雇用となった場合は様々な手続きが必要となってきますので、定年後も働きたいという場合は、早めに総務部に連絡しましょう。具体的な手続きについては後程紹介します。

会社は雇用形態をパートなどに変更可能

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再雇用となった場合、定年後の雇用形態については契約社員やパート等、様々な形に変更可能です。基本的には再雇用となる人の希望を確認して雇用形態を決定します。ただし、60歳を過ぎてから厚生年金を受給することになるため、その兼ね合いも考えて契約社員かパートか、雇用形態を選ぶことを推奨します。この厚生年金との関係については後程紹介します。

中小企業には最大160万円助成金支給

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こちらは「中小企業定年引上げ等奨励金」と言います。中小企業ですと、人手不足で退職したくてもなかなか退職することができないというケースが多いです。そこで、定年を65歳以上に引き上げるか、定年制を廃止するか、希望者は全員70歳以上まで継続雇用ができる制度を導入することによって、会社は最大160万円の助成金を受け取ることが可能です。

その他の助成金①「高年齢者職域拡大助成金」

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こちらはどの会社も対象となります。高年齢労働者が活躍できる職域の拡大、高年齢労働者の労働条件等雇用管理の整備等の計画を立て、その計画が認定されてから2年以内に、定年の引き上げや廃止と職域拡大の両方を実施した会社に、最大500万円助成金が支給されるという制度です。

その他の助成金②高年齢者雇用開発特別奨励金

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こちらも、どの会社も対象となります。ハローワークの紹介で、65歳以上の失業者を週20時間以上の勤務という労働条件でパート等で1年以上雇用した会社に、大企業は30万円~50万円、中小企業は60万円~90万円の奨励金が支給されます。65歳以上の方がこれまでの経験を活かして、また社会で働くことができるよう支援する制度です。

勤務延長制度との違い

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「勤務延長制度」は、定年の年齢に達しても退職することなく、定年後も給料等同様の条件で雇用が続く制度です。退職金は退職した際に受け取ることになります。一方、再雇用制度は一度会社を定年「退職」してから再雇用の形をとるため、定年退職時に退職金を受け取ることになり、再雇用後は雇用条件が変更になります。間違えないように気を付けましょう。

定年後の再雇用制度の手続き流れ

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では、実際に定年後に再雇用となった場合、どのような手続きが必要なのでしょうか。会社側と再雇用になる方本人の手続きとしては、必要に応じて社会保険の加入のし直しと、再雇用後の雇用契約を交わすことの二点が必要となります。それでは、1つずつ紹介していきます。

①健康保険資格取得届けの提出

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前述したように、定年後に再雇用として勤務する場合は、一度定年「退職」をすることになるため、社会保険も一度資格喪失の手続きを取ります。ですので、定年前の健康保険証を会社の総務部に返却してください。定年後、週の労働時間が30時間以上を超える場合は、また新たに社会保険に加入することになり、健康保険証が新しくなります。

②健康保険資格取得の処理

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社会保険の資格取得の手続きを行った後、再雇用者本人の元に新しい保険証が届くまでに2~3週間かかります。そのため、病院にかかる予定がある場合は、総務部に連絡して「健康保険資格取得証明書」を発行してもらって、病院で保険証の代わりにこの証明書を提示してください。

③雇用契約書を再度作成

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再雇用になった場合、定年時から雇用形態、給料、就業時間、業務内容等といった契約内容が大幅に変わります。雇用形態、給料、就業時間、業務内容等そのため、新しい契約内容が記載された雇用契約書を作成して交わす必要があります。定年後再雇用になった場合の給料や業務内容等については、後程紹介します。

定年後の再雇用制度【給料】

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さて、定年後の給料はどうなるのでしょうか。定年時と契約内容が大幅に変わるため、給料も大幅に変わることはみなさんも想像つくでしょう。もちろん会社ごとに就業規則等があり、会社によって異なってくるとは思いますが、ここでは基本的に定年後の給料はどうなるかについて紹介します。

収入は定年時の50~70%

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定年後の給料は、基本的には定年前の50~70%となります。もしも定年時に役付になっていたり、月の給料が多かった方が、定年後の雇用形態が契約社員やパートになるのであれば、大幅に下がることになります。これでは生活が安定しないのではないかと思うかもしれませんが、給料が下がるのにはある理由があります。こちらは後程説明します。

収入が下がる場合は労働時間も減少

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また、労働時間についても、定年後は定年時よりも減少します。もちろん会社によって異なるとは思いますが、高齢労働者に無理のないように、なるべく残業をさせないようにしたりと配慮される傾向にあります。安定した収入を得るために再雇用でまた働いているのに体を壊してしまっては、元も子もありません。

仕事内容も定年時と同等ではない

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前述したように、再雇用後は高齢ですので、無理をしたら体調を崩してしまった、ということにもなりかねません。ですので、仕事内容も定年時と同等ではなくなります。再雇用後は定年時よりも仕事が減ったり、体に負担がかかるような仕事は少なくなる傾向にあります。繰り返しになりますが、体が一番大切です。

同一労働同一賃金が適用される

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現在、働き方改革が順次施行されていますが、そのうちの一つである「同一労働同一賃金」が2020年4月から(中小企業は2021年4月から)施行される予定です。この名称からしておおよそどういった制度なのかは見当はつくと思いますが、こちらの「同一労働同一賃金」は正規社員と契約社員やパート等の非正規社員との待遇の格差をなくすという制度です。

前述したように、定年後は非正規労働者となり、給料が減ってしまいます。ですが、こちらの同一労働同一賃金が施行されると、正規社員との待遇の格差がなくなります。ですので、定年後も頑張っているのになかなか評価されないということがなくなるのは朗報です。

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定年後の再雇用制度【年金・社会保険】

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さて、定年後に再雇用という形で引き続き同じ会社に勤務する方法と、その時の手続きや定年後の給料について紹介しましたが、実際に再雇用後の年金や社会保険についてはどうなるのでしょうか。この項では、年金の受給と社会保険についてどうなるのかを紹介していきます。特に年金についてはみなさんも気になる点なので、こちらでよく確認してください。

厚生年金が収入により減額される

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年金の制度には、「在職老齢年金」という給料と老齢厚生年金のバランスを取るという制度があります。もし、60歳を過ぎて老齢厚生年金を受給しながら厚生年金保険に加入した状態で働いて給料を得ると、給料を得ただけ年金が減額されます。ですので、厚生年金との兼ね合いを兼ねて雇用形態を検討すべきなのです。

65歳未満の方は、月の給料額と年金受給額の合計金額が28万円以下、65歳以上の方は47万円以下でおさまれば、年金の減額は免れます。先程述べた「給料が下がる理由」というのは年金が減額されないようにするためなのです。

年金が受給できなくなる場合もある?

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前述したように、「在職老齢年金」という給料と老齢厚生年金のバランスを取るという制度があるため、もし65歳未満の方は月の給料と年金の合計額が28万円以上、65歳以上の方は47万円以上をはるかに上回っていれば、年金の支給停止になることも起こりえます。年金の減額が心配な方は、60歳になる前に日本年金機構や会社の総務部に相談してみましょう。

社会保険は国民健康保険になる?

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前述した通り、定年後も週に30時間以上勤務するのであれば、社会保険に加入します。定年後の健康保険が国民健康保険になるのは、定年後の勤務時間が週30時間未満になる場合です。例えば、週2~3日のパートとしての勤務になると、1週間の勤務時間が30時間を超えないため、社会保険の加入要件を満たさず、国民健康保険に加入することになります。

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定年後の再雇用制度【高年齢雇用継続給付金】

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先程も紹介したように、定年後は定年時より給料の額が少なくなります。実は、このように60歳を過ぎてから給料の額が少なくなった人向けの給付金があります。この給付金を「高年齢雇用継続給付金」と言い、ハローワークから支給されます。最後に、こちらについて紹介します。

高年齢雇用継続給付金の概要

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高年齢雇用継続給付金とは、再雇用後の給料が60歳になる前の給料から75%未満に減少した場合に、ハローワークから給付される給付金です。簡単に言うと、定年前の給料と定年後の給料の差額分をハローワークから受け取ることができる、ということです。65歳になるまで受給することができます。

高年齢雇用継続給付金の受給要件

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高年齢雇用継続給付金の受給要件は二つあります。一つは前述した通り給料額が定年前より75%未満に減少していることです。ある月に、長時間の残業をして給料額が定年前の75%以上になってしまった場合は、給付金を支給しなくても十分だと判断され、支給対象外となってしまいます。くれぐれもご注意ください。

もう一つは、欠勤をしていないことです。欠勤があると、その分の給付金額が減額されてしまいます。極端な話をすると、病気やケガで長期欠勤となった場合は給付金を受け取ることができません。こちらも頭に入れておきましょう。

高年齢雇用継続給付金の手続き方法

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高年齢雇用継続給付金は、2ヶ月に1回、2ヶ月分まとめて請求します。総務部より「高年齢雇用継続給付金支給申請書」という白い用紙が届きますので、その用紙の一番下の部分にサインと捺印をして、総務部に提出してください。手続きの流れは会社によって異なる可能性がありますので、事前に確認するようにしてください。

高年齢雇用継続給付金の受給額

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申請から10日前後で、高年齢雇用継続給付金が指定した口座に振り込まれます。受給額は、その人の定年前の給料額や、定年前の給料額から何%給料額が減少しているかによって変わってきます。この減少が大きければ大きいほど、受給額が増えます。ただし、前述したように欠勤があると受給額が減額されますので、ご注意ください。

定年後の再雇用制度の仕組みを知っておこう

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今回は定年後の再雇用制度について紹介しました。再雇用で働く場合は、定年前よりも給料が下がります。また、給料額によっては年金が減額されることも懸念されます。しかし、高年齢雇用継続給付金制度もありますし、来年度より同一労働同一賃金も施行予定です。定年後も働きたい方は、どのように勤務するのがベストかを総務部に相談してみましょう。

棗-Natsume-
ライター

棗-Natsume-

WEBライター修行中の北海道札幌市在住アラサーです。よろしくお願い致します。

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