年金は何歳からもらえるのか!支払い時期や一番受け取りがお得なのは?

年金は何歳からもらえるのか!支払い時期や一番受け取りがお得なのは?

人生100年時代を迎え長生きリスクが拡大しています。老後の生活費の基盤である年金、それは何歳からいくら貰えて、何歳からもらうのが一番お得なのか、その把握は老後の生活設計をする上で重要です。この記事では、様々な年金のお得な受け取り方を詳しく解説しています。

記事の目次

  1. 1.年金は何歳からもらえるのか
  2. 2.年金をいくらもらえるのか計算
  3. 3.年金を夫婦でお得に受給するために
  4. 4.特別厚生年金受給者の加給年金は何歳から
  5. 5.配偶者に先立たれた場合の年金
  6. 6.熟年離婚した場合の年金
  7. 7.年金は支払い方法で何歳からもらうとお得なのか異なる

年金は何歳からもらえるのか

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現在の公的年金がもらえるのは何歳からというと「国民年金」「厚生年金」ともに65歳からの受給となります。尚、厚生年金については暫定的に60歳前半で「特別老齢厚生年金」がもらえる世代の人もいます。公的年金は支給開始年齢の65歳を境にして前後5年間、繰り上げて受け取ることも、逆に繰り下げて受け取ることもできます。

受給開始が65歳に引き上げ

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公的年金は数年前まで60歳から受給出来ました。現在は国の厳しい財政状況を理由に65歳に引き上げられています。しかし、引き上げにあたっては「この日から一斉に」とはいかぬため、現在でも受給年齢を引き上げている途中です。男性の場合は2013年度~2025年度にかけて、女性の場合は2013年度~2030年度にかけて段階的に引き上げが施行されます。

併せて、平成30年度より国民年金の受給資格の取得期間が短縮されました。今までは保険料を払う期間は300月(25年間)以上必要でしたが、現在では保険料を払う期間を120月(10年間)以上で受給資格が得られるようになりました。

受給時期を何歳からか希望可能

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国民年金も厚生年金もそれぞれ65歳の前後5年間を限度に受給年齢を繰り下げたり、繰り上げたりすることが可能と前述しました。つまり、早く年金をもらう年齢は60歳(繰り上げ)から月単位で可能となり、逆に遅くもらう年齢は満70歳が限度(繰り下げ)になります。尚、厚生年金も70歳まで払うことが可能です。

この期間内であれば、自分の都合に合わせた受給開始時期を「何歳から」と希望することが可能となります。ここで、繰り上げや繰り下げをすると年金額がいくらになり、何歳からいくらぐらいお得になるかがポイントとなります。

繰り下げるともらえる年金が少ない?

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国民年金も厚生年金も受給年齢を繰り下げるごとに支給額は増額されます。その金額はいくらかというと1ヵ月で0.7%、1年間の繰り下げで8.4%の増額となります。つまり、5年間の上限まで繰り下げ70歳から受給する場合、いくら増えるかというと42%増額された支給額を受給できます。ただし、満70歳を超えたら支給額の増加幅は42%以上にはなりません。

年金をいくらもらえるのか計算

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老齢基礎年金は20歳~60歳までの40年間保険料を払うことで満額の支給額となります。今年度はいくらかというと780,096円です。この年金額の計算式は次の通り「780,096円(2019年度)×保険料納付済月数÷480ヵ月=年間にもらえる年金額」。つまり、保険料を払う期間に比例しての受給額となります。尚、年金額の計算式は全て月単位で行います。

例えば、自営業をしていて立ち上げの時に資金繰りが大変で、5年間保険料を払うことが出来なかった場合は「780,096円×420ヵ月÷480ヵ月=682,584円」となります。未納期間がある人は将来の年金額がいくらになるか、ここで試算するといいでしょう。

年金を何歳からもらうかで受給金額が変わる

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年金は65歳からの受給開始となりますが何かしらの理由で早く、又は、遅くもらいたい場合は申請をすれば受給年齢の変更は可能です。早めると減額され遅くすると増額になり、65歳を境に前後5年間の範囲で可能とは前述した通りです。例えば、60歳からなら▲30%、70歳からは+42%の受給額となり、減額率は月0.5%、増額率は月0.7%が適用されます。

老齢基礎年金を繰り下げ受給する場合

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日本人の平均寿命は「男性80歳、女性86歳」となっていますので、そこまで生きると仮定すると受給年齢を繰り下げた方が「得」という事になります。なぜなら繰り上げ時の年金累計額が65歳から受給した場合の累計額を追い越すのには16年8ヵ月必要、繰り下げ時は11年10ヵ月です。そのため男女ともに80歳まで生きた場合は繰り上げは「損」となります。

繰り下げ請求時の年齢と増額率の例

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老齢基礎年金を繰り下げした場合の増額率は月0.7%です。受給年齢別にいくら増えるかというと、その増額率は66歳で8.4%、67歳で16.8%となり、68歳で25.2%、69歳で33.6%、70歳で上限の年間42.0%になります。受給開始が60歳からと70歳からの人がいずれも90歳まで生きた場合、その21年間の受給額の差はなんと1,164万円にも上ります。

70歳から受給した場合

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70歳から老齢基礎年金を繰り下げ受給した場合、現在の年金額(年間780,096円)で計算すると70歳からの受給額は780,096円×1.42%=年間1,107,736円となります。いくら増えたかというと年間で327,640円、月額で27,303円の増額になります。標準的な厚生年金額も70歳まで繰り下げると213万円となり、年額320万円の魅力ある年金額になります。

また、老齢基礎年金の繰り下げ制度を利用して70歳から年金受給を始めた人の総支給額が、65歳から受給した人より多くなるのは81歳からとなります。それは男性の平均寿命(80歳)とほぼ同じなので、繰り下げ受給は長生きに自信がある人には有利な選択となります。

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年金を夫婦でお得に受給するために

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年金受給は夫婦で考えると工夫できる幅を大きく広げられます。夫が60歳を過ぎても厚生年金を払う職場で働くなら「夫の繰り上げは損、妻の繰り上げが得」、夫が厚生年金受給者なら「年下の妻ほど得になる」、また、標準的な受給夫婦なら「夫は〇歳から妻は〇歳からがお得」などをよく耳にします。ここでは、いくら増やせるかお得な受給方法を紹介します。

在職老齢年金制度と年金の関係に気をつける

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定年延長や生活費工面などで、60歳を過ぎても厚生年金保険料を払う働き方を選び、年金をもらうには注意が必要です。65歳未満の人は「給料と年金の合計額」が28万円を超えると年金の一部がカットされます。(65歳超は47万円以上)この制度が「在職老齢年金制度」と呼ばれるもので、給料と年金との関係には年金額の減額もあるので気をつけましょう。

障害年金と年金の繰り上げ受給は相性が悪い

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障害年金とは年金加入中に生じた病気や怪我等で、働けなくなった場合に受給できる公的保険給付です。障害者には大切な給付ですが、障害基礎年金は65歳以降に障害状態になった場合は支給されない規定になっています。そのため、老齢年金を繰り上げ支給を受けた人は、この規定上では65歳に達した者とみなされ障害年金が支給されない場合があります。

加給年金をもらうためには繰り下げ受給はNG

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年金の繰り下げにもデメリットがあります。年金記事には、そのメリットばかりが目につきますが年金を繰り下げた場合「加給年金」の手当ても一緒に止まってしまいます。加給年金とは、65歳時に配偶者や18歳未満までの子供がいる人がもらえる手当で本来もらえる年金に加算されます。いわば「年金版家族手当」と言っていいでしょう。

この手当の金額(平成31年度)はいくらかというと、配偶者は年額390,100円、対象となる子供は1人目2人目までが年額224,500円(1人に付き)、子供3人目からは年額74,800円(1人に付き)となり本来の年金にプラスされます。

この加給年金が支給開始される年齢は65歳から「夫・妻双方」の配偶者に適用されます。しかし、配偶者が保険料を払う期間が240月以上ある場合は、老齢厚生年金を受給できるときは支給停止になります。繰り下げは配偶者との年齢差をよく考慮してから選択しましょう。

夫婦の場合はそれぞれ何歳から受け取るべきか

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自分の寿命は短いと思っている人は多いですが、より考慮しなくてはならないのは病気よりも長生きの対応です。長生きのリスクに備えるために夫婦の「老老年金」は受給開始時期が重要な問題となります。複雑な年金制度から最良な受給の仕方は難問も、夫が元サラリーマンで妻が専業主婦の場合「夫65歳、妻70歳」からもらうのが最もお得とされています。

継続雇用の義務化で65歳まで厚生年金を払う働き方は今や常識になりました。その期間は年金をもらわず障害年金の適用条件を温存。女性の平均寿命は87歳なので、妻は4割増の70歳から受給開始し82歳で65歳からの受給額の元が取れて、その後はお得になり合理的です。

特別厚生年金受給者の加給年金は何歳から

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昭和24年4月2日以降生まれの男性や昭和29年4月2日以降生まれの女性は、60歳代の前半から特別支給の老齢基礎年金が受け取れることになっています。(何歳からは、生年月日と性別で変わります)ここで疑問になるのが「現在62歳、来年から特別支給の老齢厚生年金をもらえるが、年下妻の加給年金ももらえるのか」という人は多いのではないでしょうか。

結論から言うと、加給年金は65歳になるまでもらえません。それは特別支給の老齢厚生年金でもらえるのは「報酬比例部分」のみで全額の支給でないことだからです。ただし、障害者や厚生年金加入期間44年以上(長期加入者特例)の人には適用されます。

配偶者に先立たれた場合の年金

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夫婦の将来の生活を考える時、どちらか一方が先立った後の暮らしも考えておく必要があります。生活費の支えになるのはやはり公的年金の「遺族年金」です。これは「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2つがあります。自営業者など国民年金を払う人が亡くなった場合に、18歳未満の子供のいる配偶者か子ども自身がもらえるのが遺族基礎年金です。

また、会社員など厚生年金保険料を払う人が無くなった場合は、その配偶者は子供の有無にかかわらず再婚しない限り生涯もらい続けられます。この年金は受給者の97%を女性が占め、18歳未満の子供がいれば子の遺族基礎年金も同時に受け取れて生活の支えとなります。

未亡人は何歳からの年金受給がお得か

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夫に先立たれた妻が60歳代前半で自身の特別老齢厚生年金の受給ができるようになると、遺族年金か老齢年金か、どちらかを選択することになります。この時に遺族厚生年金が100万円の場合は、中高齢寡婦加算585,100円が足され158万円になります。妻自身の会社員期間は一般的に短いため、特別老齢年金が50万円の場合は108万円と圧倒的に低くなります。

こうなると、妻自身の特別支給の老齢厚生年金を受給年齢で受け取るより、65歳まで遺族厚生年金+中高齢寡婦加算で受給を続けた方がお得になります。したがって、厚生年金加入期間があり特別老齢厚生年金の受給資格がある未亡人は、65歳からもらうのが賢明です。

老齢基礎年金と遺族厚生年金を受け取る方法

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遺族年金を受給した妻が65歳を迎えると年金の内訳が変わります。65歳になると中高齢寡婦加算はなくなり、代わりに妻自身の老齢基礎年金を遺族厚生年金と併せて受け取るようになります。ここで年金額が心配になります。しかし、妻が老齢基礎年金の保険料の納付済期間が満額(480月)の3/4以上あれば手取り年金額の減額にはなりません。

例えば、遺族厚生年金が100万円+中高齢寡婦加算は定額の58万円=158万円。その妻が65歳になって老齢基礎年金を受給開始した場合、遺族厚生年金+老齢基礎年金(満額)78万円=178万円となります。保険料の納付済期間が360月以上あれば手取り減はありません。

熟年離婚した場合の年金

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長い結婚生活から疲れ定年退職後はべったりの夫にうんざり、そんな事から「熟年離婚」が増えています。離婚を考る時に気になるのはやはり離婚後のお金。そのため、夫の厚生年金を分割して妻に支給する「年金分割制度」を利用します。この制度は離婚後、元夫婦が婚姻中に支払った年金保険料の金額に応じて、双方が受け取る年金受給額を調整する制度です。

ただし、配偶者が加入していた年金の中でも「婚姻期間中に支払った年金保険料の部分」が対象となるため、もらえる年金額が半分ずつになる事ではないので注意が必要です。また、年金分割は全ての年金が対象ではなく、種類が限られていますので注意してください。

離婚時に受け取れる年金について

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離婚時に受け取れる年金は配偶者の厚生年金のうち基礎年金を除いた部分、つまり厚生年金の二階部分の収入に応じて納める「報酬比例部分」のみです。年金分割制度を利用するには条件があるため注意が必要です。次の条件の全てに当てはまるケースのみ可能となります。

①配偶者が「厚生年金」に加入している②夫が加入している年金の「第3号被保険者」であり10年以上の加入期間がある③婚姻期間中の厚生年金記録(標準月額、標準賞与額)を用意できる④合意分割に合意した書類を用意できる(結婚が平成20年3月以前)。これらの条件に当てはまれば専業主婦ではなく、パートで働いていたとしても分割制度は利用できます。

加給年金の支給満了による離婚が多い

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離婚した後に問題になるのが、年金受給者となった妻の年金額の低さです。夫の厚生年金から妻が年金を受給できる手段として「振替加算制度」があります。前述の通り20年以上の厚生年金に加入している夫に扶養する妻がいる場合は加給年金が付きます。そして妻が65歳になると、その加給年金が妻の老齢基礎年金に加算される形になり、これが振替加算です。

一度、加給年金が振替加算となって妻名義の年金になると、その後に離婚になったとしても妻名義の加算分の年金は生涯受け取れます。しかし、振替加算となる前に離婚してしまうと、加給年金は支給停止され妻はその分をもらえ無くなる他に振替加算も無くなります。

これが、巷でよく耳にする「離婚するには65歳を過ぎてからの方が良い」と言われる理由なのです。ただし、振替加算額は少ないため、離婚するにあたっては年金分割の利用をおすすめします。

国民年金基金とは?メリット・デメリットや老後の受給額まで徹底調査! | 副業・暮らし・キャリアに関するライフスタイルメディア
国民年金基金とは誰もがCMやニュースでよく耳にしている制度ですが、実際に年金基金とはどんな制度なのかや加入することのメリットやデメリットを理解している方は少なく見受けられます。なので今回は知っているようで知らない国民年金基金についてご紹介します。

年金は支払い方法で何歳からもらうとお得なのか異なる

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最後に、「年金を受け取る」「各種の制度を利用する」、そのためには「自分で申請」をしないと受取れません。時期が来れば勝手に口座に振り込まれるなんて親切な制度になっていないので、くれぐれも気を付けてください。そして、年金事務所は何時も何処でも混雑していますので、予約を取って出向く事をおすすめします。

ノビー
ライター

ノビー

定年退職後フリーのライターを選択、現在に至ります。生活の知恵/不動産関連/金融、各種契約仕様/車/ゴルフなどが得意なジャンルです。日々精進を心掛けています。

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