電子レンジがWi-Fiの途切れる原因になることも!
ケーブル不要のWi-Fi接続は、家のどこにいてもネットに接続できるため、人気が高まっています。しかし、些細な干渉でWi-Fi接続が切れることも多いです。
特に台所で電子レンジを使ったとたん、それまで普通にWi-Fi接続していたスマートフォンやパソコン、テレビなどのWi-Fi接続が切れるという現象に悩んではいませんか?
そのため、電子レンジを使うとWi-Fi接続が切れると、家族から不満の声をきく主婦も多いです。確かに、電子レンジはWi-Fiの途切れる原因の一つであるのは事実です。しかし、なぜ電子レンジがWi-Fi接続に影響してしまうのでしょうか?
今回は、Wi-Fiの基本的な仕組みから、電子レンジがどのようにWi-Fiに干渉してしまうのかなど、Wi-Fiと電子レンジの関係についてみていきましょう。
Wi-Fiの仕組み
Wi-Fiはケーブルを必要としないため、持ち歩くことの多いスマートフォンはもちろん、ゲーム機やテレビの接続にも使われることが多いです。接続できる機器の数にも制限がないため、人気のネット接続方法となっています。
電子レンジがWi-Fiにどのように干渉するのか原因を解説する前に、まずはネット接続方法の一つである、Wi-Fiの基本的な仕組みについてみていきましょう。
無線LANの一種
Wi-Fiとは、無線LANの規格の一つです。実は無線LANが誕生したころはきちんとした規格が決まっていなかったため、接続できる機器が限定されており、非常に使い勝手が悪かったのです。
そこで、無線LANの規格を統一して、違うメーカーの無線LAN機器同士であっても、互換性によって接続可能なWi-Fi規格が生まれました。Wi-Fiマークが表示されている無線LAN機器同士ならば規格が一緒のため、何も気にせず接続が可能になります。
今ではほとんどの無線LAN機器にWi-Fiマークが表示されているため、Wi-Fiすなわち無線LANと思いがちですが、厳密にはWi-Fiは無線LANの規格の一つなのです。
電子レンジとの関係
基本的なWi-Fiの仕組みをみていきましたので、続いてはWi-Fiと電子レンジの関係についてご紹介しましょう。電子レンジの大半は、ネットとは無関係ですが、実はWi-Fiと電子レンジは意外なところで繋がりがあったのです。
それは、周波数です。電子レンジはマイクロ波と呼ばれる電磁波で食べ物を温めています。電子レンジで使われるマイクロ波の周波数は2.4GHz帯です。実は、Wi-Fiで使用しているマイクロ波の周波数も2.4GHz帯であることが多いのです。
Wi-Fiに電子レンジが影響するのか
一見するとなんの関連性もないWi-Fiと電子レンジですが、周波数が同じという共通点があることが分かりました。
しかし、例え周波数が同じであっても、本当に電子レンジがWi-Fiに影響するのか、疑問に思う方もいるでしょう。そこで、Wi-Fi遮断実験の例などをご紹介しながら、Wi-Fiと電子レンジの干渉についてみていきましょう。
Wi-Fi遮断実験の例
Wi-Fi遮断実験の例の一つをご紹介します。最初にスマートフォンにWi-Fiの強度測定アプリをインストールし、Wi-Fiルーターの隣において、強度を計測します。通常はWi-Fiルーターの隣で計測するため、最大値の100となります。
続いては、Wi-Fiルーターを電子レンジ内に入れて強度を測定し、強度がどれほど下がるのかを確認します。
結果からわかること
Wi-Fi遮断実験の結果、Wi-Fiルーターの隣において強度を測定したときには数値が100だったのに対し、電子レンジ内にWi-Fiルーターを設置したときには、数値は30と、一気に下がってしまいます。Wi-Fi遮断実験の結果から、電子レンジは実際にWi-Fiを遮断する効果があることが分かりました。
電子レンジがWi-Fiを遮断する原因
Wi-Fi遮断実験の例と結果から、電子レンジはWi-Fiに干渉し、遮断することが判明しました。しかし、現実にはWi-Fiルーターを電子レンジ内に入れて使用することはありませんし、電子レンジが置いてあるだけでWi-Fiが切れるわけではありません。
電子レンジはその他にもWi-Fiにどんな影響を与えているのでしょうか?続いては、電子レンジを使っているときにWi-Fiが切れる原因についてみていきましょう。
周波数帯が近くて干渉すること
ご紹介したように、電子レンジとWi-Fiは同じ周波数を使用しています。そして、Wi-Fiルーターに比べて、電子レンジは強力な電磁波を使っています。
そのため、電子レンジを使用していると、わずかに電磁波が外に漏れてしまいます。そして、Wi-Fiルーターと同じ周波数がぶつかり合い電波干渉するため、電波を受信する側であるWi-Fiルーターが途切れるのです。
電子レンジに電波干渉による影響はないのか?
電波干渉によってWi-Fiルーターが途切れることは多いですが、電子レンジには電波干渉による影響はないのでしょうか?結論からいうと、電子レンジには電波干渉による影響はありません。電子レンジは電磁波をキャッチする側ではなく、発生させる側なので、干渉による影響がないのです。
Wi-Fiが金属や水を含むものに弱いこと
電子レンジは電磁波を発生させており、使用中に電磁波がわずかながら放出されてしまいますが、全てが外に放出されてしまうわけではありません。電磁波は、金属と水分を含むものに吸収されやすいという性質を持っています。
そのため電子レンジ本体は、電磁波を通しにくい金属製で作られています。しかし、電子レンジの扉はガラスで、金属ではありません。ですがこのガラス部分をよく見てみると、クリアな窓ガラスと違って、網目状になっているのが分かります。
実はこの網目は金属で出来ており、電子レンジが発生させた電磁波をシャットアウトするように作られているのです。そのため、電子レンジを使用して強い電磁波が発生しても、人体に影響がでるほど漏れることはありません。
しかし、Wi-Fiルーターなどの周波数が同じ無線LANには、影響があるというわけです。電子レンジで使用している電磁波が金属と水分に弱いということは、Wi-Fiも金属と水分に弱いというわけです。
そのため、ご紹介したように動いていない電子レンジ内にWi-Fiルーターを入れただけで、Wi-Fiの強度が急激に落ちてしまったのです。Wi-Fiルーターの置き場所を決めるときには、金属や水分の多い場所は避けるようにしましょう。
電子レンジがWi-Fiを遮断するときの3つの対策
電子レンジがWi-Fiの途切れる原因になっている理由をご紹介してきました。快適なWi-Fi生活を送るためには、途切れる原因だけを知っていればいいのではなく、途切れさせないための対策を知る必要があります。
Wi-Fi使用中は電子レンジを使わない、というのも対策の一つではあります。しかし、いつでもこの対策が使えるかと言ったら、そうではありません。そこで、電子レンジもWi-Fiも快適に使える対策についてみていきましょう。
電子レンジとの距離を離す
電子レンジがWi-Fiを遮断するときの一つ目の対策は、電子レンジとの距離を離すという、物理的な対策です。
単純な対策ではありますが、効果はすぐに出ますし、費用や時間もそれほどかからないでしょう。電子レンジの方が大きくて重たいため、Wi-Fiルーターを移動させるようにしましょう。
Wi-Fiルーターを設置し直したときに、場所によっては、電波の距離が短くなって途切れることや、速度が不安定になることもあります。
移動させた先でWi-Fiの電波が弱くなってしまってはいけないので、Wi-Fi遮断実験でも使用した、Wi-Fi強度測定アプリを使い、一番Wi-Fiの電波が強い場所に設置するのがおすすめです。
また、Wi-Fiルーターをなるべく部屋の中央に置いたり、障害物の少ない場所に設置したり、電波がしっかりと接続機器に届くよう考えて設置することが大切です。
上下に高さのある一軒家の場合、二階にWi-Fiルーターを置いたら一階まで届かないというケースもあります。そういった時には、ルーターの中継器を購入するのもおすすめです。
ただしマンションなどの集合住宅の場合、自分の部屋の電子レンジをWi-Fiルーターから離したとしても、隣の部屋で電子レンジを使用していると、電波が干渉してWi-Fiが途切れる可能性もあります。
また、2.4GHz帯は使用頻度の高い周波数でもあり、電子レンジ以外でもコードレス電話機や無線カメラなども使っています。そのため、電子レンジを近くで使っていないのにWi-Fiが途切れる場合、その他の家電もチェックしてみましょう。
Wi-Fiルーター機器自体が原因の場合もある
それ以外にもWi-Fiが途切れる場合は、Wi-Fiの電波を飛ばすルーター自体に原因がある可能性があります。再起動してみたり、ファームウェアを最新版に更新してみたりすることで、症状が改善されることも多いため、試してみましょう。
Wi-Fiのチャンネルを調整する
電子レンジがWi-Fiを遮断するときの二つ目の対策は、Wi-Fiのチャンネルを調整することです。Wi-Fiに使われている2.4GHz帯は、10以上のチャンネルを持っており、その中の一つのチャンネルを使用しています。
そのため、電子レンジで使っているチャンネルとWi-Fiで使うチャンネルをずらすことで、電波干渉を避けられるケースもあります。
地道な作業になりますが、それぞれのチャンネルごとWi-Fi通信速度計測アプリなどを使って、一番電子レンジの干渉を受けにくいチャンネルを探し出します。そして、最も干渉を受けないチャンネルに変更しましょう。
チャンネルの変更はルーターの設定から行えますが、ルーターごとに設定方法が異なるため、取扱説明書などを確認してからチャンネルを変更しましょう。
5GHz帯のWi-Fiルーターに切り替える方法もおすすめ
電子レンジがWi-Fiを遮断するときの四つ目の対策は、5GHz帯のWi-Fiルーターを選ぶ対策です。ご紹介したように、Wi-Fiや電子レンジは、基本的に2.4GHz帯の周波数を利用しています。
2.4GHz帯は、通信できる距離が長いだけでなく、障害物にも強く、室内はもちろん、外でも使用が可能と、とても使いやすい周波数です。そのため、多くの製品に利用されている周波数でもあり、混雑や干渉がおこりやすいです。
そこで、Wi-Fiのもう一つの周波数規格である、5GHz帯に対応したルーターに切り替えることで、電波干渉をなくすという対策です。他の製品の使用が少ない周波数のため、電波干渉だけでなく、通信速度のアップにもつながります。
現在利用しているルーターが5GHz帯に対応していればそのまま切り替えるだけですみますが、対応していなければ、新しく5GHz帯に対応したルーターを購入する必要があります。
5GHz帯に対応したルーター製品だからといって効果になるわけではないため、安心してください。しかし、5GHz帯はデメリットがあることを忘れてはいけません。5GHz帯のデメリットとは、壁などの障害物に弱く、2.4GHz帯と比較すると通信距離も短くなります。
室内で使う場合は問題ありませんが、屋外の使用は禁止されています。室内で、ルーターと接続機器の距離が短く、障害物のない場合は5GHz帯を利用することで大きなメリットを得られます。
反対にルーターと接続機器のある部屋が分かれていたり、距離が遠かったりする場合には、2.4GHz帯のままの方が良い場合もあります。
また、ルーターを5GHz帯用に変更しても、パソコンやスマホなど接続する機器が5GHz帯に対応していなければ、5GHz帯を利用しやWi-Fiは使えません。ルーターの周波数は、Wi-Fiの利用環境や接続機器の対応状態によって選びましょう。
有線接続にする
電子レンジがWi-Fiを遮断するときの三つ目の対策は、有線接続にすることです。ケーブルで繋がっているため、無線よりも電波の干渉を受けにくいからです。
スマートフォンなどは有線接続に出来ませんが、テレビやパソコンなどは有線接続に簡単に切り替えることが可能です。Wi-Fiは基本的に、無線よりも有線の方が速度も速く安定する場合が多いです。
無線Wi-Fiの速度が遅いと感じていたら、有線接続に切り替えてみてもいいでしょう。有線接続はLANケーブルで接続するだけで設定が完了するため、無線接続よりも設定が簡単です。
また、LANケーブルで直接つながっているため、第三者が悪用する可能性も低く、安全性も高いです。ルーターと接続機器の距離が近く、LANケーブルで接続しても問題ない場合は、ぜひ有線接続を試してみましょう。
Wi-Fiの接続を見直すときは電子レンジも調べよう!
今回は、なぜ電子レンジがWi-Fiの途切れる原因になるのかや、途切れる場合の対策についてご紹介しました。電子レンジとWi-Fiは同じ2.4GHz帯の電波を利用しているため、同時に使用すると電波干渉により、受信側でありパワーの少ないWi-Fiが途切れるのです。
対策としては、物理的に電子レンジとWi-Fiの距離を離したり、電波が干渉しないようにWi-Fiのチャンネルを変更したり、Wi-Fiの周波数を電子レンジと異なる5GHz帯に切り替えるといった対策が有効になります。
電波干渉対策をしっかりと行い、電子レンジを使っていても快適なネットを楽しめるようにしましょう。