革靴のつま先などにできた傷を自分で補修するには?
革靴はちょっと擦れただけでも目立つ傷になってしまいます。歩いているときにちょっとした不注意で固いものにつま先が擦れたり、歩くときに両方の靴同志が当たって内側が擦れたりと、意外とすぐに傷がつきやすいものです。
特に革靴の場合はつま先に傷ができることが多く、そしてここが一番目立つところでもあります。革靴に傷がついたらすぐにでも補修して元に戻したいものです。
でも、この程度の傷なら靴屋に持って行くのは手間だしもったいない、何とか自分で補修することはできないか、そう考えたことのある人も少なくないはずです。ここではそんな人のために自分で補修できる、しかも意外と簡単にできる方法について紹介します。
革靴にできる傷の種類
傷のついた革靴を補修するためにはまず、革靴の傷にはどんな種類があるのか、そしてそれらの傷を種類や程度に分ける必要があります。傷の種類や傷の程度によって、補修の仕方も違ってくるので、その傷がどんな種類で、どの程度の傷かを分類するところから始めます。
浅い擦り傷
普段革靴を履いていると一番よくできるのがこの「浅い擦り傷」です。これは革靴を履いて歩いているときに、ちょっとどこかにぶつけたり、革靴特有の、歩いているときに左右の靴同志が擦れたりした時にできるものです。
ちょっとした傷ですが、特につま先にできた傷はツヤツヤの革靴では余計に目立つので自分自身でもテンションが下がってしまいます。ただ、この革靴にできた浅い擦り傷は傷の程度も浅いため、補修もごく簡単にできます。
深い擦り傷
革靴の深い擦り傷は浅い擦り傷のように革の表面だけが擦れているのとは違って、革の表面が削れてしまい、ガサガサした状態になることを指します。これも革靴のつま先部分に多くできる傷です。
これは革自体が削れているので、補修の方法も浅い擦り傷の時よりもうひと手間必要になってきますが、この補修方法もさほど難しいものではありません。
へこみ
へこみは擦れた傷とは違って、何かを足元に落としたりしたときにできた革靴特有のくぼみのことです。主に革靴の形を保つために入っている固い芯のあるつま先の方によくできます。甲の付近は柔らかい材質の革だけなので、あまりこのへこみができることはありません。
えぐれ
えぐれの場合は革靴を履いていて、何かに強くぶつかったり擦れたりしたときに、革の表面だけにできる傷とは違って、革そのものの一部が剥がれたような状態を指します。これも革靴で歩いているときに、つま先をぶつけてできる場合が多いようです。
えぐれのようにひどくなった革靴の傷は、自分では補修できないのではないかとお思いでしょうが、革靴のえぐれも自分で簡単に補修できるのです。
コバ(アウトソール側面)の傷
「こば」といってもピンとこない人もいるでしょうか。コバとは靴底(アウトソール)の側面のことを指す言葉です。地面に一番近い場所なので、傷も一番つきやすいところです。
ここに傷がついていると、いくら革の部分を磨いてピカピカにしていても、シルエットがきれいに見えません。しかし、多くの人は毎日履くものだから、これくらいの傷は仕方がないとあきらめていて、傷があるままで履いています。これも自分で簡単に補修できます。
革靴の傷の簡単な補修・手入れ方法①浅い擦り傷
まずは革靴の場合、つま先にできやすい浅い擦り傷です。ちょっとしたことですぐにできる傷なので、お出かけ前に気がついたような場合でもすぐに補修できるような簡単な方法がおすすめです。
必要な材料も最小限で済むので、もし傷がついた場合の補修のために革靴を買ったときにそのお店で同じ色の補修材を一緒に買って用意しておくのも良いでしょう。
用意するもの
ホコリ取りの馬毛ブラシ、補色用クリーム、クリームを塗布するためのベネトレイトブラシ、拭き取り用のクロスなどが必要です。馬毛ブラシは先が柔らかく、デリケートな革靴の表面を傷つけず、優しくホコリを取ってくれるのでおすすめです。
補色用クリームは補修する革靴の色とできる限り近い色を選びます。拭き取り用のクロスは布でも良いですが、革靴に傷がつかないような、柔らかい布を使うようにしてください。
補修・手入れの手順
補修作業を行う前に、まずは革靴の表面についているホコリやゴミを馬毛ブラシで払い落します。革靴全体をブラッシングするような感じで馬毛ブラシで優しく払っていきます。
次に傷のついている場所にクリームを塗ります。クリームをベネトレイトブラシに少量つけて、傷のある個所にしっかりと塗り込みます。あとはクロスや布でクリームを拭き取って完了です。
補修・手入れのポイント
クリームの色でちょっと注意したいポイントは、実際の革靴の色よりも少し明るめの色をお選ぶことです。クリームを塗ったあと、革に馴染んでくると少し暗い色になるので、明るめのものを選んだ方が、馴染んだあとの革靴との色合いがしっくりします。
浅い擦り傷はつま先にできやすいので、スーツのスラックスを履いていても、つま先部分は相手にもよく見え、気になるところです。補修方法が簡単であることが分かったので、気がついたらすぐにでも補修するのが良いでしょう。
革靴の傷の簡単な補修・手入れ方法②深い擦り傷
革靴の深い擦り傷の補修は浅い擦り傷の補修よりもうひと手間必要になります。深い擦り傷の場合は擦れた部分の革が削れているので、これをまず平らにするためにサンドペーパーで磨くところから始まります。
サンドペーパーで磨いてしまうと、その部分の色まで剥げてしまうため、浅い擦り傷のようにクリームだけでは元に戻りません。そのあたりの手順について、詳しく解説していきます。
用意するもの
浅い擦り傷の補修方法と同じく、ホコリやゴミと払い落とすために馬毛ブラシを準備します。次に削れて凹凸のできた部分を平らにするためにサンドペーパーを2種類準備します。革靴の補修に限らず、サンドペーパーを使う時は2つの工程を必要とします。
1番目は240番くらいのサンドペーパーで傷の部分を粗削りし平らにします。続けて粗削りでできたスジを消すのに目の細かい400番くらいのサンドペーパーで仕上げします。この2つの工程のためにサンドペーパーは2種類必要です。
削った時に出るカスなどをきれいに落とすためのクリーナは、革靴用のものが出ています。次に削って色落ちした部分に色を塗るアドカラーで、革靴と同じか似た色にするため、一般的な革靴の色である黒や茶色の他に、微調整用に青色や黄色など準備しておくとよいでしょう。
補修・手入れの手順
まずは浅い擦り傷の補修と同じように、馬毛ブラシで革靴のホコリやゴミを取り除き、補修する場所の周りをきれいにしておきます。
次に用意するもののところで概略を説明した通り、サンドペーパーで粗削り、仕上げ削りの順に表面を凹凸がなくなるように削り平坦にします。ここで出た削りカスはクリーナーできれいに落としておきます。
最後に革靴の色と同じように調合したアドカラーを、削った部分に塗り、しばらく待って乾いたら補修完了です。アドカラーは思ったよりも革靴のもともとの艶と合っているので、補修後も違和感はありません。
補修・手入れのポイント
革靴の深い擦り傷の補修では、サンドペーパーで削ったり、アドカラーの色を調節したりと、ちょっと難易度は上がるかもしれませんが、何度かやっていくうちに簡単に感じるようになります。
革靴の場合、このような擦り傷ができることは結構多いので、その都度靴屋さんに持って行くより自分で補修する方が簡単で安く済みます。通常の傷であれば違和感なく補修できます。
特にサンドペーパーで革靴を削るというのは、はじめは躊躇してしまうかもしれませんが、アドカラーの色さえうまく調合できれば、元の通りの革靴が復活します。
ポイントはサンドペーパーで革靴を削った時に出るカスなどを、クリーナーできれいに取り除いておくことです。カスなどが残っていると、アドカラーを塗った時にその部分に突起が出来てしまいます。
革靴の傷の簡単な補修・手入れ方法③へこみ
へこみ傷は革靴の一番目立つつま先にできやすいのですが、自分では補修できないとしている記事もいくつかあります。しかし、自分でやる補修の方法は意外と簡単です。道具も大したものは揃えなくても良いので、ぜひ自分で補修することに挑戦してみてください。
用意するもの
基本的には直接革靴のへこみ部分をたたいて直すというやり方です。そのために必要な道具はハンマーです。これは特に指定はありません。家にあるもの、なければ100均のものでも構いません。
ハンマーでへこみ部分をたたくと革靴が変形する恐れがあるので、形を崩さないため革靴の中に入れておくシューズキーパーを準備します。あとはへこみ部分の革を柔らかくするために濡らしておく水を用意しておきます。
補修・手入れの手順
まず靴をたたいた時に革靴が変形するのを防ぐ目的で、シューズキーパーを革靴の中に入れておきます。次に革を柔らかくするためにたたく場所に水を数滴かけておきます。これで準備完了です。あとはハンマーで革靴のへこみ部分をたたいてへこみをなくします。
へこみが取れにくい場合には、革靴の内側から指を入れて押すと直る場合があります。また、ハンマーでたたいたことによってたたき傷が出来たら、前に紹介した擦り傷の補修と同じ要領で、クリームを塗るなどして傷をなくしてください。
革靴の傷の簡単な補修・手入れ方法④えぐれ
革靴で誤って何かを蹴ったような場合、つま先部分がえぐれてしまって、自分では補修できないと思われがちですが、ある程度のえぐれであれば自分でも補修することができます。ただし、自分では補修が難しいほどの大きなえぐれであれば、補修専門の店にお願いした方が良いかもしれません。
用意するもの
革靴のえぐれには、アドベースというえぐれ部分をパテのように埋めるためのクリームが必要です。この他に必要なものはサンドペーパーやアドカラーなど、深い擦り傷で使ったのと同じものです。ただし、えぐれの補修で使うサンドペーパーは粗削りの必要がないので400番くらいのものだけです。
補修・手入れの手順
まずアドベースを筆にとり、えぐれ傷の部分を埋めるように塗ります。アドベースを塗り込んだらしばらく置き、完全に乾かします。アドベースがえぐれ部分からはみ出た場合は、塗り広げないようにティッシュなどで拭き取ります。
乾燥したらアドベースの部分をサンドペーパーで削り、凹凸がないように平坦にします。この時できるだけえぐれ箇所の周りまで削って傷をつけないように注意して削ります。
削り終わって凹凸がなくなったらクリーナーで削りカスやゴミを拭き取ります。あとは深い擦り傷の補修のところで説明したように、アドカラーを革靴と同じ色に調合したものを塗れば補修完了です。
補修・手入れのポイント
手順のところでも説明しましたが、アドベースは完全に乾いてからサンドペーパーで平坦に削ります。また、アドベースを塗った筆とアドカラーを塗る筆は出来れば2本用意した方が良いでしょう。
傷の範囲を広げないようにするために、サンドペーパーで削るときはできるだけ周りを一緒に削ってしまわない方が、補修後の違和感が少なくなります。
革靴の傷の簡単な補修・手入れ方法⑤コバの傷
革靴で歩いていると、コバの部分には気がつかないうちに傷がついていることが多く、その都度補修店に持って行くのも手間な上に費用もかかります。そんなコバの傷を自分で補修できる方法を紹介します。
もともとの材質が硬めなので、通常は擦り傷程度のものが多いので、補修の方法も今まで紹介した補修方法に比べると一番簡単かもしれません。
用意するもの
用意するのは靴用の色付きクリームとそれを塗り込んだり拭き取るための布だけです。これだけで、普段気になるコバ部分の傷もあっという間に補修できるので、知っていれば、早くやってけいたのにと多くの人が考えてしまうでしょう。
補修・手入れの手順
用意するものが靴用の色付きクリームと塗り込み、拭き取りの布だけというだけあって、コバ部分の補修手順も2ステップと、手順として紹介するまでもありません。
布を指に巻き付けて、そこに色付きクリームを取り、これをコバの傷部分に塗り込みます。あとは余分についたクリームを布で拭き取れば、補修完了です。コバ部分の傷がなくなると、革靴そのものが新品のようによみがえります。
お気に入りの革靴の傷を自分で補修してみよう!
革靴は特に外回りをするサラリーマンにとっては必需品です。それだけにいろいろな傷もつきやすく、簡単に補修できればと考えている人も多いことでしょう。
ここに紹介したいろいろな種類の傷に対する補修方法はどれもさほど難しいものではないことがお分かりいただけたでしょう。
自宅で自分で気軽に補修ができれば、いつもピカピカの傷のない革靴を履くことができて、気分も明るくなるのではないでしょうか。