日本人が働きすぎる理由は?海外と比較するとどうなの?
日本人が働きすぎると言われてしまう理由と原因は高度経済成長期に関係があるようです。この記事では、現在まで悪しき習慣として残っている仕事に対する日本人の価値観や働き方、労働時間を海外と比較して違いについて紹介します。
働きすぎの日本人が理想とする働き方についてもまとめました。この記事をきっかけに、自分の働き方について今一度考えてみてはいかがでしょうか。
日本人は働きすぎ?その理由・原因
日本人は働きすぎ?その理由・原因として、この記事では2つの項目をピックアップしました。まずは、日本人が働きすぎと言われてしまう原因と理由について見ていきましょう。ここからは、日本人は働きすぎ?その理由・原因について紹介します。
高度経済成長期の働き方が残っている
日本人が働きすぎる理由・原因は、高度経済成長期(昭和29年12月から昭和48年11月までの約19年間)の働き方が残っているからです。高度経済成長期を支えた日本人の働き方には、「年功序列」「正社員至上主義」「終身雇用制度」などが挙げられます。
日本企業の悪しき習慣も影響
「年功序列」「正社員至上主義」「終身雇用制度」などの働き方は今の時代にも残っており、日本企業の悪しき習慣として影響を及ぼしていることが、日本人が働きすぎる理由・原因となっています。
「年功序列」とは、勤続年数や年齢を基準として出世する人事制度のことです。社員は同じ会社に長く勤務するほど給料が増えるメリットがあり、会社は退職者を減らすことができるメリットがあります。
バブル崩壊後は雇用形態が変化し、正社員をリストラして安い賃金で雇うことができる派遣雇用者の採用が増えました。このことにより、年功序列制度はバランスを崩し崩壊を迎えました。
「正社員至上主義」とは、正社員を雇用することが会社にとって最もよい雇用形態であるという考え方です。このことにより、会社は人手不足でも雇用が難しいというデメリットが生まれていました。
正社員は労働時間や休日が決められているため、その規定通りに働くことができない女性や中高年齢層などが働けなくなったことは、「中年ニート」という言葉を生んだ理由・原因となっています。
「終身雇用制度」とは日本特有の制度で、正社員を定年まで雇用する制度です。法律や規則などで決められているものではなく、習慣として受け継がれてきた制度です。ただし、バブル崩壊とともに正社員を雇用することが難しくなり、この制度は現代では神話となっています。
日本人は働きすぎ?仕事に対する価値観
日本人は働きすぎ?仕事に対する価値観として、この記事では2つの項目をピックアップしました。時代の移り変わりとともに、日本人の働き方は変化してきています。そして、仕事に対する価値観も徐々に変わってきてはいます。
それでも、未だに根強く残っている悪しき価値観により、悩みつつ働き続けている日本人は多くいます。ここからは、日本人は働きすぎ?仕事に対する価値観について紹介します。
我慢や苦労は当たり前
日本人は、仕事に対して我慢することや苦労することは当たり前という価値観が定着しています。特に、年齢が上がるほどこの価値観を当たり前と思っている傾向が高いです。そのような価値観を持っている上司の下で働く部下は、指示に従わざる負えない状況になってしまいます。
仕事を休むことは悪
日本人は仕事を第一優先する傾向があります。家庭より仕事、プライベートより仕事が大切という価値観が根強く残っています。
仕事を休むことは「悪」という価値観が根強いため、ケガをしたり病気になってもできる限り働き続ける傾向があります。また、残業することを当たり前と思っている傾向があるため、定時に帰る時には周囲に気を使い「すみません、お先に失礼します」など謝ってから退社する場合もあるようです。
有給を消化しずらい雰囲気もあり、結局消化しきれずに消滅してしまうことも珍しくありません。育児休暇となると更に取りずらく、結果仕事を辞めざる負えなくなったり、産後すぐに仕事に復帰しなければいけない辛い現状が、現在も残っている会社が多くあります。
日本人は働きすぎ?海外との価値観を比較
日本人は海外の人と比較して働きすぎなのでしょうか。この記事では日本と海外との価値観を比較するために「ヨーロッパ」と「アメリカ」と2つの国をピックアップしました。
それぞれの国と日本との価値観を比較してみましょう。ここからは、日本人は働きすぎ?海外との価値観を比較について紹介します。
ヨーロッパの仕事に対する価値観
ヨーロッパの人たちは、仕事優先の日本人と違い、プライベートを優先します。プライベートのスケジュールを第一に考え、仕事を効率よくこなしています。
例えば、子供や家族、恋人との時間を大切にしたい、趣味の時間を長くとりたいなどの理由で、出社する日数を減らすことができます。
本来1週間で5日出社するところを4日に減らし、残りの1日はリモートワークでこなすことも可能です。ヨーロッパの会社は柔軟性があり、働く人の希望に応じてくれます。自分の担当する仕事を期日までにしっかりこなせれば、スケジューリングや働き方などは自由に決めることができます。
また、ヨーロッパでは決められた労働時間内で仕事をこなす効率性を重視しているため、残業することは評価に値しません。日本よりも働きやすい環境が整えられており、仕事とプライベートを両立する価値観が特徴です。
アメリカの仕事に対す価値観
アメリカでは、1度決めたことに対して後から変更したり修正することは好まれず、「決定事項」を尊重します。そのため、皆が納得するまで時間をかけ、徹底的に議論を重ねます。そして、決定した事は絶対に守るという特徴があります。
日本ではオールマイティーに働ける人材が求められる傾向がありますが、アメリカでは特化する技術を持つ専門性が重視されます。
そして、自分の担当の仕事内容がはっきり決められており、それ以上のことに関しては担当外としてこなす義務はありません。上司から担当外の仕事を命じられた場合は、契約違反となる場合も珍しくありません。
日本人は働きすぎ?海外との働き方を比較
日本人と海外の人とは、働き方にどのような違いがあるのでしょうか。この記事では日本人と海外の人との働き方を比較するために「ドイツ人」と「アメリカ人」の2つの国の人をピックアップしました。
また、日本と海外の労働時間の違いについても注目します。ここからは、日本人は働きすぎ?海外との働き方・労働時間を比較について紹介します。
ドイツ人の働き方
ドイツは、労働生産性が高い国として有名です。労働生産性とは、労働者1人あたりまたは1時間あたりに産出できる成果を数値に表したものです。1人の労働者につき、どのくらいの利益を得ることができるかを数値で判断することができます。
「労働生産性=産出(Output)÷投入(Input)」と算出されます。労働者のスキルアップや業務効率化、経営効率を改善することにより、数値は上昇します。
生産労働制が高いと言っても、残業がないわけではありません。それどころか、ヨーロッパ内で比較すると、ドイツは残業が多い国に該当します。
具体的な数値で表すと、ドイツの残業時間は20時間から30時間(2000年~2013年)、平均すると約25時間です。労働時間が厳しく定められているドイツでは、残業時間が長いことに対して注意喚起されているようです。
では、日本の残業時間は何時間でしょうか。Vorkersの調査によると、約47時間という結果が出たようです。労働基準法では上限45時間と定められているため、守られていないことが分かります。
ドイツが日本より残業時間が短く労働生産性が高い理由は、仕事の役割分担がしっかり行われているということです。日本では担当の仕事が曖昧で責任者が定まらないこともありますが、ドイツでは仕事が遅れた時に原因追及がしやすいため、効率的にこなすことができます。
ドイツでは、現場で仕事が行き詰った時の責任はマネジメントにあり、改善が見られなければ左遷されることもあるようです。
アメリカ人の働き方
アメリカも労働生産性が高い国に含まれます。アメリカ人は働き方を決める決定権は自分にあるという考え方なので、日本の政府が進めている「働き方改革」に対して理解ができないようです。
アメリカ人の働き方の特徴は、自分の意見をしっかり持っており、役職などに関わらず主張することです。日本では上司に意見しずらい雰囲気がありますが、アメリカでは平等に意見を交わします。
自分の意見をしっかり伝え皆で議論することにより、納得できる答えを導き出すことができます。そして、後で変更するといった時間のロスがなくなり、結果的に効率的に仕事をこなすことができます。
また、アメリカ人は与えられた仕事をお給料分だけしっかりこなす働き方が特徴です。10割の仕事をこなすことが当たり前で、それ以上働くことはありません。仕事量が増えた場合は、日本のように配置転換したり残業を増やすことはせず、新たに雇用して対応します。
日本のように一生同じ会社に尽くす働き方とは違い、アメリカ人はより自分を評価してくれる会社に転職を繰り返すことは当たり前です。会社を辞める時も、スパッと見切りをつけるようです。
ただし、有給休暇については日本のように取りずらい雰囲気があるようです。アメリカでは景気が好調とは言えず、人件費が安い国への工場移転が増えています。そのため、職を失う人が多くなり、人手不足により有給を取りずらい環境が生まれているようです。
日本と海外の労働時間の違いは?
OECDのデータによる1人当たり平均年間総実労働時間を国別に紹介します。まず、日本の1人当たり平均年間総実労働時間は、2000年は1853時間、2005年は1802時間、2010年は1754時間、2015年は1734時間と減少傾向にあります。
アメリカの1人当たり平均年間総実労働時間は、2000年は1836時間、2005年は1800時間、2010年は1786時間、2015年は1795時間です。減少傾向にありますが、日本人の労働時間と比較すると長いことが分かります。
ドイツの1人当たり平均年間総実労働時間は、2000年は1442時間、2005年は1324時間、2010年は1310時間、2015年は1304時間です。ドイツも減少傾向にありますが、日本と比較すると年間約400時間も労働時間が少ないことが分かります。
他にも、イギリス、フランス、イタリアなどのヨーロッパはいずれも日本より労働時間が少なく、ニュージーランドは2015年で1754時間、韓国は2015年で2071時間と多いことが分かっています。
働きすぎの日本人が理想とする働き方は?
働きすぎの日本人が理想とする働き方として、この記事では3つの項目をピックアップしました。働きすぎと言われる日本人は、果たしてどのような働き方を理想と考えているのでしょうか。
考え方は人それぞれですが、今度の働き方を考える上で参考になるでしょう。ここからは、働きすぎの日本人が理想とする働き方は?について紹介します。
好きなことを仕事にする
自分の好きなことでお給料をもらえれば最高に幸せなことと考える人は多いでしょう。寝ても覚めても好きなことだけを考えていれば成り立つ仕事は、理想の働き方かもしれません。
ただし、実際に働いてみて後悔する人も少なくないようです。好きだったことが仕事にしたことで好きでなくなる場合もあるため、慎重に考える必要があるでしょう。
得意なことを仕事にする
好きなことより自分が得意なことを仕事にする人もいます。自分の得意分野を仕事にすることで、能力を存分に発揮することができるでしょう。
好きなことが必ずしも得意なこととは限りませんが、仕事にすることで得意になることもあるでしょう。また、好きではないけど得意なことを仕事にしたことで、好きになることもあります。
「好き」と「得意」のどちらを選ぶかはあなた次第です。どちらにせよ、自分が納得するまでじっくり考えることをおすすめします。
フリーランスで働く
フリーランスとは、決まった会社や組織などに属せず、自分のの能力を活かして自由に働く人のことをいいます。日本では、自由業とも呼ばれています。自分で請け負いたい仕事を選んだり業務体制を決めることができますが、収入は不安定になる可能性もあります。
日本人の働き方は少しずつ変わってきている
日本人は働きすぎといわれており、英語の辞書には過労死のことを「Karoshi」と載せています。海外からは日本人の働き方が理解できないほど労働時間が長いですが、紹介したOECDのデータを見ても少しずつ変わってきていることが分かります。
現在の働き方に疑問を感じている人、また当たり前のように残業している人は、この機に一度再考してみてはいかがでしょうか。