結婚式の祝辞(主賓挨拶)について
結婚式の祝辞は、招待客のうち一番格の高い「主賓」という立場の方が行います。招待客の代表という形での挨拶となりますので、やはり上司などの地位の高い方にお願いすることが多いようですが、同僚や友人である場合もあります。
結婚式の祝辞のあとは乾杯の挨拶という流れになりますが、これには2つのケースがあります。祝辞と乾杯の挨拶を別々の方にお願いするケースと、祝辞と乾杯の挨拶が同じ方であるケースです。
祝辞と乾杯の担当が別々
まず、結婚式の祝辞と乾杯の人が別々であるケースというのは、新郎新婦が主賓として招きたい方が一人ではなく二人以上である場合です。自分が祝辞を読む立場で、後ろに乾杯の挨拶の方が待機している状況ですので、長々とした祝辞は慎みましょう。
あまり結婚式の祝辞が長いと、乾杯の挨拶担当の方が時間を短くしようと気にしてしまうケースも多く、祝辞と乾杯の挨拶のバランスがよくなるように調整することが大事です。乾杯の挨拶を任せる方も、新郎新婦にとって大事な方なのです。
祝辞と乾杯の担当が同じ
結婚式の祝辞と乾杯を一人で行うケースであれば、心をこめた祝辞を長くなりすぎない程度に読み上げることができるので気が楽でしょう。しかし、一つ注意点があります。
それは結婚式の祝辞が終わってからの乾杯のタイミングです。乾杯に移るタイミングでは、式場の全ての人が乾杯のためのグラスを持って起立して待っている状態です。そのため、「乾杯!」という唱和の号令だけとシンプルにすると良いでしょう。
結婚式の祝辞の基本的な構成
主賓の祝辞の内容は、ただ自由にお祝いの言葉を述べればいいというものではありません。できれば結婚式の祝辞に相応しい構成のもと、新郎新婦やご両親、両親族が心から喜ぶ内容になるように考えていきましょう。
もちろん、一番大切なのは新郎新婦を祝福する気持ちです。その内容を祝辞としてしっかり構成に沿い作成して読み上げれば、新郎新婦だけではなくご両親や両親族にも気持ちが伝わります。
お祝いの挨拶
構成のはじめに来るのは、まずは新郎新婦への「お祝いの挨拶」です。こちらは、ほぼ定型文になります。変えられる余地はあまりないので、「お祝いの挨拶」を定型文として結婚式の祝辞に組み込みましょう。
例文としては「○○くん(新郎)、○○さん(新婦)、この度はご結婚おめでとうございます。ご両家、並びにご親族の皆様におかれましても、心よりお祝い申し上げます」といった形です。
自己紹介
「お祝いの挨拶」の次に来るのは、結婚式の祝辞をする自分の「自己紹介」です。祝辞を読む前に司会から軽く紹介があるため「ただ今ご紹介に預かりました」を出だしにしましょう。
既に司会から紹介された内容とかぶることはあるかもしれませんが、簡潔に新郎や新婦との関係と自分のフルネーム、そして会社や部署名などを伝えます。
例文としては「ただいまご紹介に預かりました新郎○○くんの上司、××会社の●●と申します。」などです。この時点ではまだ新郎新婦並びにご両親は立っている状態なので、「どうぞおかけください」と着席を促しましょう。
具体的なエピソード
定型文の多い結婚式の祝辞の中で、最も主賓自身の言葉で話せる部分が「具体的なエピソード」です。新郎新婦の人柄や普段の様子を伝え、自分との関係性をアピールすることもできます。
特に他の人が知らないような新郎新婦の意外な一面のエピソードの紹介は参列客が喜ぶでしょう。もちろんエピソードの内容は新郎新婦を褒める内容に限ります。あとで詳しく解説いたしますが、積極的にポジティブな言葉を選びましょう。
簡単な例文としては「〇〇くんが私の職場に赴任されてから数年が経ちますが、赴任直後からすぐに持ち前の吸収能力を発揮し人、一倍の努力を続けたことで業績に繋げていきました」といったものですが、新郎新婦との関係や立場でバリエーションは様々です。
はなむけの言葉
結婚式の「祝辞」というだけに、ここでいう「はなむけの言葉」とは結婚へのお祝いの言葉です。新郎新婦のこれからをの幸せを思ってのお祝いの言葉を心を込めて伝えましょう。
例文としては「これから二人で助け合い、慈しみ愛ながら笑顔のあふれる素敵な家庭を築いていってください。お二人の末永い幸せをお祈り申し上げます」といったものです。
締め
最後は言葉通り「締め」です。無難なのは「長くなりましたが」を出だしにすることです。そしてしっかり終わるということを意識して「これを持ちましてお祝いの言葉とかえさせていただきます」と続けます。
最後はもちろん、新郎新婦へ向けて呼びかけます。例文としては「〇〇くん(新郎)、〇〇さん(新婦)、本日は誠におめでとうございます」です。この「締め」の流れも概ね変えずに定型文として決めておいて良いでしょう。
結婚式の祝辞の例文
それでは、構成がわかったところ具体的な結婚式の祝辞の例文をみていきましょう。祝辞は主賓の立場や新郎新婦との関係性により内容が異なります。基本的な構成は同じものとして、上司、友人、同僚など立場の違いでも例文は若干異なります。
ただ、主賓の結婚式の祝辞というのはどの立場からでも参列者の代表であることは間違いありません。そのため、あまりにかしこまった例文通りではなくとも、あなたらしい新郎新婦を想う気持ちを込めた内容であれば大丈夫です。
上司の場合
一番「主賓」として結婚式の祝辞を依頼を頼まれることが多いのは、やはり「上司」という立場です。基本は先ほどご説明した通りですが、上司という立場上「具体的なエピソード」には新郎新婦の職場での仕事ぶりや人柄についてのエピソードを盛り込みましょう。
新郎の上司の場合の例文です。「○○くん(新郎)、○○さん(新婦)、この度はご結婚おめでとうございます。ご両家、並びにご親族の皆様におかれましても、心よりお祝い申し上げます」
「ただいまご紹介に預かりました新郎○○くんの上司、××会社の●●と申します。ご指名を賜りましたので、僭越ではございますが一言ご挨拶をさせて頂きたいと思います。 新郎新婦、並びにご両親もどうぞご着席ください」
「○○くん(新郎)が私の部署に配属されてから5年が経ちます。赴任当初は前の部署とのやり方の違いに戸惑うこともあるようでしたが、持ち前のコミュニケーション能力と努力を継続できる才能をいかんなく発揮し、周りから急速に吸収してすぐに主戦力として活躍してくれるようになりました」
「中でも、○○くん(新郎)のプレゼン能力の高さには目をみはるものがあり、内容もわかりやすく社内での評価も大変高く安心して任せられる頼もしい存在です。また、彼の面倒見の良さや兄貴分のような人柄も後輩に慕われています」
「これから二人で助け合い、慈しみあいながら素敵な家庭を築いていってください。お二人の末永い幸せを心よりお祈り申し上げます」
「長くなりましたが、これを持ちましてお祝いの言葉とかえさせていただきます。〇〇くん(新郎)、〇〇さん(新婦)、本日は誠におめでとうございます」
友人の場合
友人の場合の結婚式の祝辞は構成に沿いつつもあまり硬くなりすぎず、多少カジュアルにしても良いでしょう。新婦の友人の立場での例文です。「○○さん(新郎)、○○さん(新婦)、おふたり並びにご両家の皆様、この度はご結婚おめでとうございます!どうぞおかけください」
「本日はおめでたい席にお招き頂き、誠にありがとうございます。只今ご紹介いただきました○○(新婦)さんの✕✕高校の友人の●●と申します。ここからは○○さん(新婦)をいつもの呼び方で呼ばせていただければと思います」
「○○ちゃん(新婦)と私は高校1年生の頃、バレー部に入部してからの長い付き合いになります。まさか○○ちゃん(新婦)の結婚式をこの目で見られる日が来るとは、あの頃には思いもしませんでした」
「なぜなら、当時○○ちゃん(新婦)は、人一番バレーに対する愛情が深く練習熱心でまっすぐ部活に打ち込んでいたからです。少し前に○○さん(新郎)を紹介してもらいましたが、○○さん(新郎)も高校時代の部活はバレー部だったと伺い深く納得しました」
「私からみると○○ちゃん(新婦)と○○(新郎)さんはそのひたむきさとまっすぐに物事へ接する姿勢がとても良く似ています。この二人なら笑顔あふれる家庭になるだろうと確信しています」
「長くなりましたが、これを持ちまして私からのお祝いの言葉とさせていただきます。○○さん(新郎)、○○ちゃん(新婦)、幸せになってください!本日は本当におめでとうございます。これからのお二人の末永い幸せを願います」
同僚の場合
同僚の結婚式の祝辞の例文については、やや上司よりのビジネスマナーがしっかりとした構成がいいでしょう。ただし、新郎新婦とは友人のような関係性の方も多いと思いますので、思い出のエピソードなどでは新郎新婦の意外な一面など様々な角度からの内容が盛り込めます。
会社の同僚の立場の例文としては「○○くん(新郎)、○○さん(新婦)、並びにご両家の皆様、本日は誠におめでとうございます。 この善き日にご招待いただきましたことを心から感謝申し上げます」
「新郎新婦のお二人、並びにご両親もどうぞおかけください。私はただいまご紹介に預かりました新郎○○くんと同じ✕✕会社の同期入社の●●と申します」
「本日は同期代表、また社内サークルのスキー同好会の代表として僭越ながら私からご挨拶をさせて頂いております。私と○○くん(新郎)は同期入社の友人、ライバル、スキー仲間として絆を深めていきました」
「そのため、○○くん(新郎)が新婦の○○さんに片思いをしている頃から存じております。皆様もご存知の通り、○○くん(新郎)と新婦の○○さんも同僚です」
「この二人が営業と事務と畑違いでありながらも急速に仲良くなったというのは、我がスキー愛好会の後押しによるものです。私も友人として新婦の○○さんに、私からみた○○くん(新郎)の頼りになる人柄や、仕事熱心さをアピールしました!」
「すぐに二人はお似合いのカップルとして公認の仲になり、周りからこのような晴れがましい日が来ることを望まれていたので、今日この場にいられることに一層の喜びを感じます」
「長くなりましたが、二人のこれからの幸せを願いこれを持ちましてお祝いの言葉に代えさせていただきます。〇〇くん(新郎)、〇〇さん(新婦)、本日は誠におめでとうございます!」
結婚式の祝辞のマナー
結婚式の主賓の祝辞というものは、もちろん新郎新婦を祝福する気持ちや内容を盛り込むことが大事ですが、抑えておくべきマナーも把握すべきです。これから主賓としての祝辞に欠かせないポイントを挙げていきます。
ポイントを抑られた祝辞は、結婚式の進行をスムーズなものとし、新郎新婦や参列客の皆が満足してくれるはずです。「マナー」だからとかしこまるのではなく、結婚式を円滑にする「礼儀」として捉えると良いでしょう。
着席を促す
結婚式の進行上、司会から主賓が紹介されている時から新郎新婦とご両親は起立した状態のまま祝辞を聞いています。そのため、お祝いの言葉を終えたあとか、遅くても自己紹介を終えるまでに新郎新婦やご両親に着席を促しましょう。
ここは定型文で「どうぞご着席ください」か「どうぞおかけください」のどちらかで大丈夫です。大事なのは流れです。できるだけ早めのタイミングで着席を促して下さい。
二人を立てる言葉を選ぶ
結婚式の祝辞ですので、当然ですが新郎新婦をたてた言葉を選ぶ必要があります。主賓の祝辞の時間は限られており、できれば簡潔であっても新郎新婦の人柄や気質がわかる相応しい言葉を選びたいものです。
結婚式の祝辞の前に司会より新郎新婦の簡単な紹介があるケースでは、祝辞と言葉がかぶることも見受けられます。心配でしたら、あらかじめ司会と打ち合わせをしてお互いが使う新郎新婦をたてる言葉の確認をしておくとよいでしょう。
過去の暴露話はしない
もちろん、主賓しか知らない過去の新郎新婦のエピソードを祝辞に加えるのは問題ありません。しかし、内容が新郎新婦の失敗談や過去の恋愛話なら話は別で、結婚式では絶対に避けるべきです。例え新郎新婦の許可があっても両家や親族にとって不快になるかもわかりません。
特に、過去の恋愛話にいたっては言語道断です。特に新郎新婦の友人が結婚式に出席しているため、関係者にとっては生々しくナイーブな内容です。結婚式というおめでたい場や祝辞に相応しい内容ではないため絶対に避けるべきです。
自分の話は多くて2割
あくまで結婚式の祝辞は新郎新婦をたて、二人の人柄やエピソードを参列客に紹介するためのものです。確かに主賓の自己紹介や新郎新婦との関係性の説明は必要ですが、2割までと心得ましょう。
二人のエピソード上に自分がからむのならともかく、たまに上司という立場で自己紹介自体が長くなりすぎる方も見受けられます。会社の業績などはカットしてもいい内容です。祝辞の中身は厳選してください。
忌み言葉・重ね言葉はNG
結婚式独特のマナーですが「忌み言葉」と「重ね言葉」という、祝辞には使ってはならない言葉があります。特に「忌み言葉」というのは「不幸や別れを連想させる言葉」であり厳禁です。うっかり使ってしまわないようしっかり確認しましょう。
「忙しい」「落ちる」「焦る」「壊れる」「離れる」「悲しむ」「諦める」「最後」「涙」「負ける」「病気」「冷える」「消える」「失う」「薄い」「終わる」「捨てる」「去る」などネガティブな言葉は全て避けてください。
また気をつけたいのは「重ね言葉」です。「再婚を連想させる」ということでNGとされているのですが、ポジティブな意味であっても同様です。祝辞を作成した際には何度も見直して、重ね言葉が含まれていないかチェックしましょう。
「ますます」「わざわざ」「重々」「くれぐれも」「たびたび」「時々」「日々」「みるみる」「いろいろ」「しばしば」「ますます」「毎日毎日」があたりますが、内容の善し悪しには関わらないということに注意してください。
カンペを見てもOK
結婚式の祝辞というのは大変な重役ですので、緊張するのも無理がありません。それは例え上司であっても同様でしょう。確かに祝辞でカンペを持つ方は多くありません。しかし、マナーとしては問題ないとされています。
緊張のあまり頭が真っ白になり内容が飛んでしまったり、結婚式の雰囲気が悪くなったりするよりはカンペを用意して、結婚式を和やかでスムーズなものになるようにするのも祝辞の約目です。
時間は2~5分が目安
結婚式の祝辞に求められるマナーには時間もあります。結婚式の進行上では祝辞が長すぎるというのはあまり喜ばしいことではありませんが、それでは相応しい長さとはどれぐらいでしょうか?長すぎず短すぎずという理想的な時間は3分が適切と言われています。
しかし、喋り方や内容により幅はでるものなので、練習した上で2~5分内に収められるよう祝辞を作成しましょう。1分で読める文字数は200~300字と言われますので、文字数からすると400字詰め原稿用紙1枚から2枚ほどです。
結婚式の祝辞におすすめのエピソード
結婚式の祝辞に新郎新婦の具体的なエピソードは欠かせません。新郎新婦の人柄や普段の二人など、両親や両家の親族が喜び、安心できる内容が相応しいでしょう。もちろん、新郎新婦に喜んでもらえるという観点が一番大事です。
結婚式の祝辞としてふさわしいおすすめのエピソードの探し方をご紹介します。新郎新婦に当てはまるものがないか参考にしてください。
普段の新郎新婦とギャップがあるエピソード
新郎新婦に関わる全ての人が出席する結婚式では、参列者それぞれが知る新郎新婦像というものがあります。家族や親族は会社や職場での姿を知らず、職場の同僚や上司はプライベートの姿を知りません。
そのため、新郎新婦の普段の姿とギャップが有る一面のエピソードは、参列者の興味を強く引き祝辞のエピソードとしても見つけやすい内容です。
普段の二人の趣味などはギャップのあるエピソードをみつけやすいでしょう。例えば「普段は大人しくて真面目な新婦の趣味はプロレス観戦」であったり「会社では男らしいと周りから頼られている新郎の趣味はスイーツ店めぐり」などです。
優しさ・強さのアピール
そして、新郎新婦の人柄を表すのには具体的な「優しさ」や「強さ」のエピソードがおすすめです。新郎新婦と常日頃接する職場の上司や同僚、プライベートでの交流がある友人。それぞれの立場から垣間見れるエピソードがあります。
例えば新婦が後輩のフォローのたびに人知れず上司に謝りにいったという優しさが強調されるエピソードや、新郎が取引先に2度断られた案件を粘り強く3度目でもぎ取ったという強さあふれるエピソードなど、印象的なものが一つや二つみつかるはずです。
親族に向けた職場のエピソード
親族にとって特に関心があるエピソードは新郎新婦での職場での仕事ぶりでしょう。社会的立場や人望、そして上司や同僚からの評価というのは、両家の親族が注目するところでもあります。
現代日本において親族から特に注目されるのは「新郎の会社」や「新郎の職場での立場や仕事ぶり」です。結婚というのは両家、親族に関わる一大事です。新郎が新婦にとって、二人の今後の家庭が安定するものになるかなどを確認したいことでしょう。
特に上司という立場であれば、しっかりとしたエピソードをみつけてあげたいところです。新入社員時代からの成長ぶりや現在の活躍などです。同僚の立場でも、会社での業績や人望についても触れるといいでしょう。
結婚式の祝辞はマナーを守ってシンプルに!
主賓として結婚式の祝辞を読むからには、新郎新婦はもちろん友人や両家の家族や親族など、参列者全員に喜んでもらえるものにしたいですよね。覚えるべきマナーや守るべき時間などがありつつも、きちんと抑えた上で作られた祝辞は皆の心を打つはずです。ただし、結婚式を最高のものにすべくシンプルな祝辞を心がけましょう!