職業訓練とは
職業訓練とは、就職に役立つ知識やスキルを基本的には無料で習得することのできる公的な制度です。病気や家庭の事情などといった何らかの理由により、高校や大学卒業後にすぐに職に就くことが出来なかった人々や、一回は就職することができたが、やはり何らかの理由により離職・退職する必要があり、長年仕事の場を離れていた人々の訓練制度です。
職業訓練には大きく分けて2種類あり、失業保険を受給しながら職業訓練を受けることができる「公共職業訓練」という制度と、失業保険を受給できない求職者を主な対象とする「求職者支援訓練」に分かれます。
申し込みをする際にはハローワークへ行って申し込み手続きを行います。その後、書類選考が行われ、筆記試験と面接を受け、職業訓練を受ける事が出来るか判断されます。職業訓練の合否の結果は、履歴書や筆記試験の結果も判断材料になりますが、特に面接によって左右されるといっても過言ではない程、面接の内容が重要視される傾向があります。
今回は、職業訓練の面接に合格しやすいポイントを、面接の内容だけではなく、履歴書の書き方や、当日の面接の際に着るべき服装など、あらゆる観点から徹底解説します。
知識・技術の取得の為に国が提供する制度
職業訓練は公的制度であるが故、知識・技術の取得の為に国が提供する制度で、国民の税金によって賄われています。これは当然、国としても失業者の数を減らし、より多くの知識・技術を身に着けた正規雇用社員の増加を見込んで、日本の経済を少しでも良くしようという理由から導入された制度です。
ここで勘違いしてはならないのが、「精神疾患を患って可哀想だから」、あるいは「親がシングルマザーという悪い環境下で育ち、可哀想だから」という、所謂「社会的弱者」に片っ端から手当てを支給し、職を紹介するという制度ではないという事です。
職業訓練制度は、「仕事をして自立したい」という向上心のある人に対し、国が提供している制度なので、やる気があり、就職する意欲のある人が合格し易い傾向になっています。
職業訓練の実績
ここで、2017年に厚生労働省から発表されている、職業訓練の実績について、少し説明します。職業訓練には様々な施設があり、それぞれ異なった失業・離職理由により、どのような施設で訓練するのかが決められます。施設は、離職者・学卒者・在職者向け高齢・障害・求職者向けに多くの施設があり2017年時点で全国で約250もの施設があります。
実績は、離職者訓練の受講者数は約15万人いて、就職成功率は約71%、学卒者訓練の受講者数は約18,000人いて就職成功率は約93%と、比較的高い実績を残しています。
職業訓練の面接に合格しやすい人
職業訓練の情報を知り、是非自分もこの制度を利用したいと考える方は少なくないと考えられますが、職業訓練は応募した全ての人が利用できる制度ではなく、先述のように書類選考や面接があります。書類選考は比較的通り易いと言われていますが、面接の段階で不合格になってしまう方が比較的多い為、職業訓練の面接に合格しやすいコツを紹介します。
職業訓練の面接に合格しやすい人の特徴として、「しっかりとした履歴書の書き方が出来ている人」、「当日の面接の際の、服装がしっかりしている人」また、「当日の面接の際に、志望動機や今後の目標などの質問に対し、しっかりと答えることが出来る人」などが挙げられます。
就職する意欲
先述の通り、職業訓練制度は国民の血税によって運営されている為、面接に於いて明らかに就職する意欲が見られない応募者は面接に合格するのは難しいと言えるでしょう。かといって、無暗に「仕事がしたい」というアピールをするのも良い方法とは言えません。そこで、どのような伝え方が最も効果的なのかを説明します。
職業訓練の面接の面接に於いて大切なのは、何故、職業訓練制度を受けたくて、何故、仕事がしたいという気持ちになったのか、という理由を明確に伝える事です。また、それらの理由を伝える際の話し方・伝え方も、長い間仕事に就いていなかった人は、コミュニケーション不足により面接で上手く説明できない可能性もあるので練習がすることが必要です。
これは一般企業の就職の際にも言える事ですが、面接の際に普通の人はほぼ皆緊張すると言っていいでしょう。しかし繰り返し面接の練習を行うことにより、それらの不安を多少は払拭することが出来ます。
面接の練習の際に、重要なのは第3者に協力してもらい、極力当日の本番の面接に近い設定でロールプレイ方式で繰り返し練習をすることが重要だと言えるでしょう。
企業面接に受かりそうか
職業訓練の面接の採用合格ポイントは、ほぼ一般企業と変わらないので、もし身近に一般企業の面接の経験者などがいれば、そのような知り合いの体験談や、本番の面接に於いて重要なポイントをアドバイスしてもらうことも非常に参考になると言えるでしょう。身近にそのような知り合いがいなければ、面接のコツやポイントに関する本などを参考にしましょう。
職業訓練の面接で質問されること
当時に職業訓練の面接で質問されそうなことを、予め想定して面接の練習をすることも成功への近道だといえます。一般企業でも、余程特殊な会社でない限り、面接の際の質問内容はある程度限られているため、質問内容を予め想定することは比較的容易いと言えるでしょう。
また、職業訓練の採用試験の際に、面接の結果が合格出来るかどうかの一番のポイントになる可能性が高い為、当日の面接については特に注力して臨むべきだと言えます。
職業訓練集の求職活動について
面接官から訊かれる質問の一つとして、「現在の求職活動状況」が考えられます。この質問に対し、真剣に働く気がある求職者であれば、既に現在身に着けているある程度のスキルで、どこかの企業への就職が出来る可能性がある為「求職活動は常に行っている」ということをアピールするのは重要なポイントだと言えるでしょう。
先述の通り、就職訓練のあらゆる資金は国が提供している為、職業訓練で働いている公務員は、求職者の職業訓練を終了した後の就職率を下げないように、の一定のノルマが課せれている為、少しでも働く意欲を見せないと、面接で不採用になってしまう可能性があります。
その為求職者は、「現在は心身ともに休める為に、求職活動は一旦中止して、職業訓練でスキルを身に着けた上で再開しようと考えています。」のような回答はしてはいけません。
これまでの求職活動状況
求職活動状況をしていると答えた場合、どのような求職活動状況を今までしてきたのかも質問として聞かれる可能性が高いと言えるでしょう。この際も、面接官は求職者に本当に働く気があるのかという点に、着目しています。従って、出来るだけ誠意を持って具体的に回答することが非常に重要です。
この質問の回答例としては「ハローワークに定期的に通ってアドバイスを貰いながら求職活動状況をおこなっていました。」などが考えられます。
更に具体的に回答をするとしたら、「リクナビNEXTやマイナビエージェントなどの中途採用に特化したネットの求人媒体に登録して、自分のスキルに見合った職がないのか常に探しています。しかし未だ自分のスキルが不十分な為、今回職業訓練に応募してスキルを身に着けようと思いました。」のような回答が適切だと言えるでしょう。
前職を退職した理由
前職を退職した理由も聞かれる可能性の高い質問の一つだと言えるでしょう。この質問に対し、避けなければならないのが、ネガティブは退職理由です。例えば、「残業があまりにも多くつかれたから。」または、「上司や同僚との人間関係が上手くいかなくて辛くて退職した。」といった回答は、不採用になる可能性が高くなってしまうと言えます。
再就職先が、残業が少ない会社とは限りませんし、上司や同僚などとの人間関係は自分の努力によっていくらでも改善できる力がないと社会人として長く一つの会社に勤めるのは困難だと言えます。従って、このような質問にはなるべく、前向きで、ポジティブな回答をするように心掛けましょう。
例として「非常にやりがいがある仕事で、一生懸命働いていたのですが、業界のマーケットでの需要が著しく低下と共に会社の業績も悪化し、将来が不安になり、職業訓練で新しいスキルを身に着けることによって新しい分野で活躍しようと思ったからです。」のような回答が、自然で好印象を与える事が出来る可能性が高いと言えるでしょう。
職業訓練の志望動機
志望動機に関しては、職業訓練のみならず一般の企業面接に於いても必ずと言って良いほど訊かれる質問の一つです。このような質問に対しては、職業訓練の制度を活用するにあたり、最終目的は「就職すること」ですので、きちんと職業訓練制度のどの様な点に惹かれ、志望しようと思ったのかを的確に使える必要があります。
例として「様々な形で求人活動をしている中で、〇〇という職種に興味を持ち、〇〇の業界で働きたいという気持ちが強くあります。そこで〇〇の業界のことを自分なりに色々と調べた結果、この職業訓練で○○の業界で必要な専門的なスキルが得られることを知り、中途採用で即戦力として活躍できるように、この訓練を志望致しました」などが挙げられます。
重要なのは、今現在求職活動を行っており、自分が就きたい希望の職種も見つかっているが、業種で即戦力として働くに至るまでのスキルが無い為、職業訓練でそのスキルを身に着けたい、という明確な志望動機を説明することです。
自己PR
自己PRも志望動機と同様に、必ずと言って良いほど訊かれる質問の一つだと言えます。職業訓練の面接に於いて「真面目さ」と「やる気」をアピールすることが最も重要です。職業訓練とはその名称の通り「訓練」なので、時には辛い思いをしたりすることも十分考えられるので、それに対応できる「忍耐強さ」も同時にアピールするのも良いでしょう。
また、面接の中で、職業訓練では様々な異なった環境の人々や、異なった年齢の人々と一緒に訓練するケースが多いので「コミュニケーション能力」についてもアピールすると好印象を与える事が出来ると言えます。
職業訓練の面接時の履歴書の重要ポイント
次に、職業訓練の面接時の履歴書の重要ポイントについて説明します。先ず、基本的な事として、丁寧に書くことを心掛けましょう。例え字が下手で、字を書くのが得意でなくても「一生懸命書いた」という気持ちは必ず面接官に伝わります。従って、どんなに時間が掛かってもよいので「一生懸命努力して書いた」という事が伝わるような書き方をしましょう。
面接に志望動機は最も大切
履歴書の中で、やはり最も重要視されるであろう項目は「志望動機」です。この志望動機の欄の大きさに関しては履歴書のフォーマットによって、それぞれ異なりますが、志望動機の欄の枠を全て埋めるように、「職業訓練をどうしても受けたい」ということが強く訴求出来るように、出来るだけ沢山の志望動機を履歴書に書くように心掛けましょう。
履歴書に書く「志望動機」の内容は、先述の面接で話す内容のようなもので問題ありません。履歴書の書き方のポイントは「何故、職業訓練を受けたいのか」、「何故、他の求職活動では物足りないのか」また、「何故、そのスキルが必要なのか」を明確に記すことです。
枠いっぱいに見やすく丁寧に書く
市販の履歴書の志望動機の欄は比較的、枠が小さいものが多く売られています。これは、現在の就職活動の形態が昔と異なり、Web上でのエントリーシート・Web履歴書の応募が一般的になってきているからだと考えられます。従って、その履歴書の小さな枠全体を埋めるように、見やすく丁寧に志望動機を書くように心掛けましょう。
当然、志望動機が多く、履歴書の枠全体を埋めるように見やすく丁寧に志望動機を書くようにすることによって、採用担当者は、その応募者の履歴書から熱意と努力を感じ取ってくれる可能性が高いと言えるでしょう。
就職活動で苦労している事を書く
先述で、現在も継続して就職活動をしていることを伝えることは重要だと説明しましたが、同時に現在行っている就職活動で苦労している面を書くことも大切です。現在も就職活動をしているが、〇〇という理由により苦労している、また△△のスキルを取得することが必要である、のような形でどの様な理由でどの様な苦労をしているのかを明確に記しましょう。
就職意欲の盛り込み
最終的に就職することに関しての意欲を強く訴求する様な文章を履歴書に書くのも効果的だと言えるでしょう。折角職業訓練に合格しても最終的に就職できなければ意味がありません。その為、履歴書には職業訓練に合格した際にはどのような姿勢で訓練に臨むのかを具体的に書くことが合格に繋がり易い可能性が高いと言えるでしょう。
職業訓練の面接当日の服装
次に職業訓練の面接当日の服装について説明します。「人の第一印象は殆どのケースに於いて、初めの見た目で決まる。」とよく言われますが、これはある程度人間の心理・本能の核心をついた事実であると言えます。特に面接官は何百人との面接を経験しているので、服装や髪形等の第一印象でその人の性格や人格をある程度察知する能力が長けています。
服装はスーツ
職業訓練の面接当日の服装でふさわしいのは当然スーツにネクタイです。このような服装に関する常識は、一般常識とも言え、高卒・大卒の新卒学生でも知っている知識です。「面接の際の服装はスーツで行くべき」という、社会人として至極常識的な思考が出来ない様な人間を採用する面接官は、まずいないと言えるでしょう。
服装に関しての注意点として、スーツの色は派手なものではなく、紺色か濃いグレーのような社会人として落ち着きのある印象を与えやすい色を選ぶことです。今後、職業訓練を受けて就職するにあたり服装に関し少し注意するだけで面接官への印象を良くすることが出来ます。また、柄もストライプのような派手なものではなく、無地の柄が適切だと言えます。
スーツの中に着る中シャツは、白いワイシャツです。ここでも、面接の際に服装に関しての注意点として、ワイシャツやスーツは必ず面接の前に丁寧にアイロンがけしたり、クリーニングに出して、皺の無い状態のものを着るように心掛けましょう。皺が目立っていたり、汚れがついている服装で面接を受けるのは社会人としてマナーに反すると言えます。
ネクタイの柄に関しては、そこ迄派手な柄でなければ問題ありません。ストライプの柄は比較的爽やかな印象を与える事が出来るのでおすすめです。色はも比較的爽やかなイメージを連想させる、水色や薄い紫色、無難にいくならば無地の紺色が良いでしょう。
また、髪形やピアスと言った装飾品についてですが、これらも髪を茶色などに染めているならば黒く染めた方が無難です。また、長髪や髭なども社会人として良い印象を与える要素が全くないので、清潔にカットしてから面接に臨みましょう。また、アクセサリーについてですが、ピアスや派手なブレスレットは論外です。必ず外すようにしましょう。
これらは、冷静に公務員という国の税金で生活している面接官の視点に立って考えてみると、比較的容易に想像できると言えます。仮に職業訓練の面接の際に、茶色く染めた長髪でピアスをした人物が面接室に入ってきたら、自分ならどう思うかということをよく考えてみましょう。
繰り返しになりますが、人の第一印象は殆どのケースに於いて、初めの見た目で決まる。と多くの人が考えていることを自覚しましょう。ただ、この考え方が当てはまるならば、逆に服装などの身嗜みを整えるだけで、第一印象を良くすることが出来るとも言えます。
金銭的にこれらの服装を用意できないと考える人もいるかもしれませんが、現在の極端な日本のデフレ市場に於いて、少し工夫をすれば、安いスーツやシャツ等の服装は比較的容易に探して買うことが出来ると言えます。同様に靴やネクタイも非常に安く購入でき、全ての服装を揃えるのに2万円も掛からない時代です。
職業訓練当日の持ち物
次に職業訓練当日の持ち物についてですが、面接の他に筆記試験もありますので、筆記用具も必ず持っていくようにしましょう。また、応募票を提出する際に写真(3か月以内に撮ったもの)などが必要になります。他にも職業訓練を受ける地域や、コースによって当日持っていくものが異なるケースも有り得ますので、募集要項を事前にチェックしましょう。
筆記用具
職業訓練の面接当日には、同時に筆記試験も行われます。筆記試験のレベルは一般企業が新卒採用の際によく採用される「SPIテスト」という、企業への適正を試す為の試験があり、そのテストよりもやや簡単な内容の問題が出題される傾向にあります。当然、面接以外の内容以外にも、この筆記試験の結果も職業訓練に合格出来るかどうかに関わります。
どうしても職業訓練に合格したいけれど、筆記試験が不安だと感じる人は「SPIテスト」の過去問や、実際の職業訓練で出された問題などがネットに掲載されているので、事前に調べ、予習していくことによって合格率を上げることが出来ると言えるでしょう。
応募票(写真貼付)
また、当日持参するものとして、忘れてはならないものが、本人の顔写真です。これは当日に職業訓練の応募票を提出する際に必要になります。これも募集要項を事前にチェックして確認する必要がありますが、基本的に顔写真の大きさは、タテ40㎜、ヨコ30㎜で3か月以内に撮影されたものに限られますので、注意しましょう。
職業訓練の面接では就職意欲を見せよう!
職業訓練は、一般企業の採用基準と異なり、会社の業績を上げる為に採用される訳ではなく、国全体で失業者や転職希望者のスキルアップの援助という形で行われているものです。その辺りの仕組みを良く理解した上で謙虚な気持ちで当日の面接に臨むことが大切だと言えます。
また、職業訓練の面接に合格したからといって、あくまで最終目的は就職して安定した生活基盤を築くことですので、そのような根本的なこともしっかりと自覚して当日の面接に臨むように心掛けましょう。