初心者でもできる刺繍のステッチのやり方を紹介!
刺繍には、一針一針進める作り手のハンドメイドの温もりと優しさがあります。ステッチを繰り返すことで生まれる繊細(せんさい)な手仕事です。刺繍の歴史は古く、古代エジプトで基本のステッチが確立していたと言うから驚きです。日本の刺繍は中国から伝わりました。
世界にはたくさんの刺繍の種類が古くからあります。日本でポピュラーなフランス刺繍、北欧ではスウェーデン刺繍、ノルウェー刺繍、東欧ではハンガリー刺繍、ルーマニア刺繍、アジアで中国刺繍、日本刺繍、インド刺繍、タイ刺繍など多彩です。
世界各地にある刺繍は、それぞれ特性豊かで世界中の女性たちに愛されていますが、決して難しいものではありません。すべての刺繍にはベースになっている基本のステッチがあり、そのパターンの繰り返しやパターンの組み合わせで、温もりあふれた美しい作品を作り上げているのです。
高度な技術が必要とされる芸術作品のような刺繍作品がある一方、身近なものに刺繍糸でステッチを刺すことで簡単に初心者にもすぐ取り組める、それが刺繍の魅力です。
そして誰しもが初めは初心者です。初心者は基本になるステッチをまずマスターしてみることから始めるとよいでしょう。シンプルな図案を使って実際に作品を作ってみることをおすすめします。ここではフランス刺繍をメインに取り上げ初心者が始めるにあたっての刺繍の基本から紹介します。
初心者の刺繍のステッチに必要な道具
フランス刺繍を始めるにあたって、基本の道具が必要です。手芸店で図案や布、刺繍糸から針までワンパックになった初心者用のキットも手に入りますが、その他にも必要なものが出てきますので基本の道具を揃えましょう。ここでは刺繍ステッチを始めたい初心者に必要ないくつかの道具を紹介します。
刺繍針
刺繍を始めてみたい初心者はシンプルに道具を揃えて行くとよいでしょう。まず針ですが普通使われる縫針に比べ、フランス刺繍針は針先に丸みがあり、長さ、針穴の大きさが違う針が何サイズか用意されています。初心者は最初、何サイズかの刺繍針がセットになったものがおすすめでしょう。
刺繍糸
刺繍糸ですが、細い糸が6本束ねられて1束になった25番が初心者にはおすすめです。カラーバリエーションは豊富なのでお好みの色を用途に合わせ、絵を描くとき色鉛筆を揃えるように用意します。1束の中から必要な本数の糸を使うことで、その違いからステッチの質感の味わいに差が出ます。
刺繍枠
刺繍枠は使わなくてもステッチは刺せますが、刺繍枠があった方が初心者には刺繍を刺しやすいでしょう。布がたわんだり、シワになったりを防げます。初心者におすすめのフランス刺繍の刺繍枠のサイズは、8㎝〜15㎝です。手に持って扱いやすいサイズをご自身で使ってみて選んでみましょう。
糸きりハサミ
刺繍糸を切る糸切りハサミは、工作用のハサミでは刺繍糸の切り口がほつれてしまうのでおすすめできません。やはり刺繍用の先の尖った切れ味のよい刺繍ハサミを用意しましょう。細かい作業に向いた、指先になじむものがよいです。
ハギレ布
あなたが刺繍したいものは何でしょう?初心者であれば最初はハンカチやお子さんのランチ・バッグなどかも知れません。その場合、用意する布の素材は、目の詰まったコットンやリネンがおすすめです。刺繍の図案を描きやすく、ステッチを刺しやすいからです。
初心者であっても、イメージをスケッチしながら、刺繍を進めて行ければ布選びも楽しめるでしょう。お子さんのランチ・バックに好きな花や動物を刺繍してあげたら喜ばれます。
チャコペン・チャコペーパー
刺繍の図案を下書きするチャコペン・チャコペーパーですが、刺繍が完成する前に自然に消えてしまうタイプは、おすすめできません。刺繍がしやすいのは目立った色で、完成してから水で洗って消えるタイプがおすすめです。上の動画では簡単に図案を布に写すやり方を紹介しています
刺繍のステッチの基礎
刺繍のステッチの基礎は、初心者には特に大切なポイントです。針の刺し始め、刺し終わり、糸の扱い方などは、刺繍が完成したときの仕上がりを左右するものです。最初は少し難しいかも知れませんが、これらの基礎をマスターすれば、上の画像のような作品にも応用できます。
刺繍のステッチの刺し始め
初めての刺繍では、刺し始めの糸は「玉どめ」でもよいのですが、初心者の方にとっても刺繍した布の裏が気になるのではないでしょうか?刺し始め、刺し終わりを覚えておくと、きれいに仕上がりその上刺しやすいのです。
上の動画では基本のバックステッチを刺す場合の刺し始めを紹介しています。「玉どめ」ではない刺し始めにすることで、布も裏を返してもきれいに仕上がります。刺し始めの刺繍糸を少し長めに残しておき、バックステッチをする度に裏に刺した針にからめて始末していくやり方です。
刺繍のステッチの刺し終わり
刺し終わりは、布の裏面に糸を出し、裏側のステッチに数回糸を通して糸を切ります。布の裏側に出ているステッチに糸を通していくことで、玉どめでのボコボコした始末と違い、きれいな仕上がりになります。また玉どめも場所によっては応用できます。
刺繍糸の扱い方
初心者に扱いやすい25番の刺繍糸は細い糸が6本、ゆるく束ねられています。何本使うかは布地や図案、ステッチの種類によって変わってきますが、2本〜3本取りが刺しやすいでしょう。最初は束ねられた糸口から1本づつ、刺していて使いやすい長さ(40〜50㎝)を引き出して切ります。
刺繍糸を針穴に通すときは、刺繍針の針穴は細長いので通す糸の先を二つ折りにして折りぐせをつかてから指先でしっかりはさんで、糸を針穴に通すようにするとよいでしょう。上の動画では、刺繍糸を針穴の通すコツを紹介しています。
刺繍の基本のステッチのやり方
いろいろな種類の刺繍の中でもフランス刺繍のステッチは違うステッチの組み合わせなどによって表情豊かで質感も表せる刺繍です。よく知られているクロスステッチ(Xの繰り返しで面を埋める刺し方)よりもさまざまな表現ができるのがフランス刺繍の魅力です。
ここではフランス刺繍の基本になるステッチの刺し方をマスターしてみましょう。刺繍糸の色を変えたり、違うステッチの組み合わせで、初心者でも簡単に身近にある小物をオリジナルのおしゃれなグッズに変身させられます。ここでは、フランス刺繍の基本になる7種類のステッチを紹介しましょう。
①ランニングステッチ
同じ間隔で針をひと針ひと針刺して進めて行くだけのステッチで、点々のラインができます。縫い物では運針と呼ばれる刺し方で、「刺し子」にも使われていて、これは藍色の布に白い糸で刺繍します。初心者におすすめ、刺繍糸の色や描く図案のアイデア次第でおしゃれな作品を作れます。
②アウトラインステッチ
図案のラインを刺繍糸で刺して、描くようなイメージが作れるステッチです。針を斜め斜めに刺して進めていきます。きれいにラインのように刺していくためには、自分の感覚で針を刺すポイントをつかんでいく必要があります。慣れるに従ってきれいなラインを作れるようになります。
③バックステッチ
バックステッチはひと針分、針を後ろに戻してから前へ刺し進めて行くステッチです。ミシン目のイメージで、とぎれ目のないアウトラインが作れます。初心者もきれいにできる基本のステッチです、応用範囲が広く、活躍してくれる刺し方でしょう。
④サテンステッチ
サテンステッチはフランス刺繍の基本のステッチの中でも、一番難しいと言われているステッチです。刺繍針を刺し進めて立体感を作れるステッチですが、慣れない最初はすき間ができてしまうでしょう。何回か試していくうちに糸と糸が詰まるような刺し具合がつかめてきます。
⑤チェーンステッチ
チェーンステッチは、刺繍糸を小さな輪にして刺し繋げていく刺し方です。流れのあるラインを作りやすく、応用範囲も広いステッチでしょう。作る輪の大きさは加減できるので、同じ大きさの輪が作れるようにするとよいです。
⑥フレンチノットステッチ
フレンチノットステッチは、針に刺繍糸を巻いて玉止めのように刺すステッチです。針に糸を巻くボリュームで、コロコロ丸い粒の形が変わってきます。お花や動物の図案に応用できて、かわいらしい粒の立体感が楽しめるので、刺繍糸の色を変えたりして試してみましょう。
⑦ロング&ショートステッチ
ロング&ショートステッチは広い面を埋められるステッチです。サテンステッチ同様に質感や立体感が出せるステッチです。段ごとに刺繍糸の色を変えて行くとグラデーションのような表現になります。ロング&ショートステッチとアウトラインステッチなどを組み合わせることで、表現の幅が広がります。
刺繍の基本ステッチで作ってみよう!
基本のステッチを使って、作品を作ってみましょう。初心者には初めシンプルな図案がおすすめですが、糸の色やシンプルな図案の構成など工夫することで個性あふれたあなただけの作品が仕上がります。上の動画はシンプルな植物の図案でステッチも基本的なものですが、十分に見応えがあります。
動画の中でやり方のポイントは、シンプルな図案を使って基本的なステッチをいくつか組み合わせていることです。創意工夫が生かされ楽しいプロセスが見れます。ここでは、シンプルな図案をベースにした刺繍ステッチのやり方を紹介しましょう。
シンプルなハート・星を作成
シンプルなハートの図案を基本のチェーンステッチのスターフラワーで描いて行くと言うやり方です。上の動画のように、とても簡単な刺し方ですので初心者は作りやすいでしょう。ポイントはスターフラワーとスターフラワーの間隔がきれいに揃うように下絵を最初に作っておくとよいです。
基本のステッチを使って、最初はシンプルな図形のハートや星を刺繍してみましょう。上の動画のやり方ではハートの図案を基本のサテンステッチで刺し、スターの図案はラインで刺しています。このラインにはバックステッチやアウトラインステッチでもよくステッチの刺し方の練習にもなります。
シンプルなイラストを作成
シンプルなイラストの図案を使い、基本のステッチで刺繍してみましょう。上の動画ではニンジンを手にしたかわいいウサギだけのシンプルなイラストですが、お子さんのランチバッグなどのワンポイントにおすすめです。線画を描くような感覚でできます。
上の動画ではウサギやニンジンの輪郭は基本のアウトラインステッチを使い、ニンジンの葉はサテンステッチで面を埋めるように刺して行くやり方を紹介しています。このように基本のバッグステッチやアウトラインステッチとサテンステッチの組み合わせでオリジナルな表現ができるのも魅力でしょう。
上の動画ではシンプルで楽しいイラストがいくつか集められています。基本のステッチであるランニングステッチ、バックステッチ、アウトラインステッチ、フレンチノットステッチなども組み合わせを工夫することで表情豊かな作品を作れますので、おすすめです。
名前やメッセージを作成
名前やメッセージの刺繍は、ワン・ポイントになりやすく、特に名前のイニシャルだけの刺繍だけで、十分に個性を表せます。やり方は上の動画でご覧になれるように、名前やメッセージをチャコペーパーで布に写し、後は基本のバックステッチを使って丁寧にラインを繋げて行きます。
ラインを描くには基本のチェーンステッチやアウトラインステッチでもよいですこの動画のように名前やメッセージは単色で、周辺に小さな花々を基本のサテンステッチを使ってカラフルに散りばめると美しい作品に仕上がります。初心者でも作れますので、チャレンジしてみましょう。
上の動画では、名前やメッセージのベースになるアルファベットをオリジナルなデザインで刺繍するやり方が紹介されています。基本のステッチを使って実に多彩で楽しく美しいニュアンスを表せていて魅力があります。お誕生日カードなどを布に刺繍して作れば、特別なものになるでしょう。
シンプルな図形の塗りつぶし
シンプルな図形を基本のステッチ、サテンステッチやロング&ショートステッチで塗りつぶしてみましょう。上の動画では、シンプルな動物の図形を基本ステッチで刺して行くプロセスを紹介しています。あらかじめ色を入れたスケッチをしておくとよいです。
この動画のやり方では、動物の図案の輪郭をベースになる色で外側から内側へサテンステッチで埋めて行き、少しずつ動物の毛の流れを意識しながらロング&ショートステッチで動物の白い胸を刺し埋め、特徴である足先の暗めの色を刺し埋め、最後に目など入れて仕上げています。
シンプルな図形の塗りつぶしの刺し方です。上の動画ではオウムのシンプルな図案で基本のバックステッチでラインを表し、サテンステッチ、ショート&ロングステッチなどを使い塗りつぶして行くやり方を紹介しています。トライしてみましょう。
簡単なステッチから覚えて刺繍を楽しもう!
温もりのやさしい手仕事がお好きなら、初心者でも基本のステッチは刺しやすく、回数を重ねるごとにコツもつかめてきますので、身近なもので楽しい作品を作れます。絵を描く感覚でとりかかれる刺繍の基本ステッチで、お部屋の中のグッズやインテリアにあなたらしいテイストを加えてみましょう