生前贈与とは
生前贈与とは、生きているうちに自分の財産を譲ることです。あとに残される家族のために事前に財産を渡しておきたい、相続税がかかるくらいなら早めに分配しておいた方がいいということもあるのではないでしょうか。生前贈与には様々なメリットがある半面、デメリットや注意点もあります。今回はは生前贈与とはどのようなものなのかを詳しく解説します。
生きているうちに財産を譲る
生前贈与とは、生きているうちに財産を近しい人たちに譲ることですが、その詳しい仕組みや手続きは知らないという人もいるのではないでしょうか。生前贈与の仕組みや手続きをきちんと理解し、活用することができれば、さまざまなメリットがあります。ただし、生前贈与を活用するにはそのデメリットや注意点も理解しておく必要があります。
生前贈与・手続き方法とは【金銭】
生前贈与を活用するにあたって、まずはどのような手続きが必要なのかをご紹介します。生前贈与に関する手続きは、金銭に関するものと不動産に関するものでは、用意するものなどが若干異なってきます。まずは金銭に関する手続きの場合ですが、契約書と双方の通帳が必要になります。とはいえ手続き自体はそこまで難しいものではありません。
①必ず贈与契約書を作る
生前贈与を活用するための手続きで忘れてはならないのは、贈与契約書を作ることです。贈与契約書とは、誰が、誰に、いつ、何を、どうやってという5つの部分を明確にしておく必要があります。贈与とは契約です。口約束でも贈与という契約は成立しますが、書類という形が無くては税務署などに認めてもらえない場合があるため、注意しましょう。
②通帳記入をして証拠を残す
贈与とは、口約束や贈与契約書だけでは不十分な場合があります。手渡しで現金を受け渡すと、受け取ったのかどうかが分からないことがあります。渡す時には銀行振り込みにして、通帳に記入し、証拠をきちんと残すようにしましょう。もちろん渡す側も受け取る側も、その金銭の受け渡しが生前贈与であるということをきちんと認識しておくことが大切です。
生前贈与・手続き方法とは【不動産】
不動産を生前贈与として活用しようとする場合には、金銭の贈与とはまた違った手続きをする必要があります。不動産の場合は、登記申請をする必要があるからです。きちんと登記がされていなければ、贈与とはみなされないため、注意が必要です。金銭の時のように口約束でいいというわけにはいかず、書類をきちんと揃え、手続きをする必要があります。
①契約書作成・登記申請の書類を集める
不動産の生前贈与を行うにあたって必要なのは、契約書の作成や、登記申請のための書類をそろえることです。贈与契約書には不動産の住所を明記する必要があり、住所が明確には分からなかったり、認識している住所と登記の住所に若干ずれがあったりすることもありますので、作成する前に法務局で「登記事項証明書」を取得して調べておくといいでしょう。
②不動産の贈与契約書作成
不動産の贈与契約書とはどのようなものなのでしょうか。記入する必要事項は金銭の時と同じで、誰が、誰に、いつ、何を、どうやってを記載します。それに加えて、対象となる不動産の明確な住所、種類や構造、床面積、引き渡しはいつになるのか、移転登記はするのかなども記載します。不動産の場合は契約書に印紙を貼る必要があるので注意しましょう。
③生前贈与の登記申請を法務局にする
生前贈与の登記申請は法務局で行います。法務局では不動産の住所はもとより、その登記情報を調べたり、登記を行ったりすることができる場所です。登記や名義変更の手続きは司法書士に依頼すれば手間が省けますが、きちんと仕組みを理解し、必要なものをそろえれば誰でもできます。法務局に行く前に書類を揃え、贈与税など税金の確認をしておきましょう。
生前贈与・7つのメリットの仕組みとは
生前贈与には7つのメリットがあります。節税などの税金対策、贈与する相手を選べる、贈与する時期を選べる、贈与する金額を選べるなどです。どのようなメリットがあるのか、その仕組みとはどのようなものなのかをきちんと理解してから生前贈与をうまく活用しましょう。ここでは、生前贈与に関するメリットをご紹介していきます。
①暦年贈与で大きな節税効果
生前贈与のメリット1つ目は、暦年贈与です。実は財産を贈与する場合に、必ずしも贈与税がかかるというわけでも、贈与は1回限りというわけでもありません。贈与税は、年間の贈与金額が一人当たり110万円以下であれば、控除の対象となります。毎年一人当たり110万円以下の金銭を贈与し続ければ遺産が減り、相続税をかなり軽減することができます。
②渡す時期を自由に選べる
生前贈与のメリット2つ目は、渡す時期を自由に選べるというものです。今はまだ必要はないけど、孫が大きくなった時に資金が足りないという時、子どもが仕事を失ってしまってお金が必要だという時など、渡したい相手がお金に困っている時に贈与という形で財産を譲ることができます。時期が決められているわけではないので、必要な時に渡せます。
③相続相手を選択できる
生前贈与のメリットの3つ目は、渡す相手を選べるという点です。例えば息子には渡したくはないが孫には渡したい、相続になると嫁には権利がなくなってしまうから今のうちに渡しておきたいというふうに、自分の財産を残したい相手に渡すことができます。財産の相続人は法律で定められているので、渡したい相手がいるなら生前贈与の方がいいでしょう。
④相続時精算課税制度が使える
生前贈与のメリット4つ目は、相続時精算課税制度が使えるという点です。相続時精算課税制度とは、贈与税が減額されるという制度です。贈与者がなくなった時に相続した財産にかかわる税金は、贈与した財産を加算して計算します。贈与した金額の2500万円までは非課税になり、越えた分は20%の贈与税がかかります。一度出した届け出は変更できません。
⑤教育資金なら1500万円まで贈与可能
贈与税のメリット5つ目は、教育資金です。今までは孫の教育資金を出してやりたいと思っても贈与税が重くのしかかっていました。しかし2021年3月31日までであれば、教育資金一括贈与の特例を利用すれば1500万円までは非課税で教育資金を提供することができます。しかし30歳までに使い切る、教育以外には使えないなどのデメリットもあります。
⑥住宅取得資金贈与は贈与税が掛からない
生前贈与のメリット6つ目は、「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」という制度を利用することです。法律で定められた限度額以内であれば、親や祖父母から財産の贈与を受け、その贈与を資金として住宅を取得した際に贈与額を非課税にするという制度です。デメリットとしては配偶者の父母や祖父母は認められないということがあげられます。
⑦贈与税の配偶者控除が使用可能
生前贈与のメリット7つ目は、「配偶者控除の特例」です。配偶者控除の特例とは、婚姻期間が20年を超えた夫婦に使用できるもので、夫婦の間で居住用の不動産を贈与した時に適用されまる控除です基礎控除110万円のほかに、最高金額2000万円までは控除されます。デメリットというよりも注意点として、同じ配偶者からは1度限りの適用となります。
生前贈与・3つのデメリットの仕組みとは
生前贈与にはデメリットもあります。きちんと生前贈与の仕組みを知り、デメリットや注意点を理解したうえで賢く活用しましょう。制度の仕組みをきちんと理解できていなければ、デメリットを見過ごしてしまい、知らないうちに損をしてしまうことも考えられます。そうならないためにも、活用する前にデメリットや注意点を把握しておくことが大切です。
①土地・不動産の贈与は課税対象
生前贈与のデメリット1つ目は、土地や不動産の贈与も課税の対象だということです。現金と違い土地や不動産は評価や計算が複雑になってきます。さらに譲るのが土地だけでなく家ということであれば土地と建物は別々に考える必要もあり、さらに大変です。贈与でなくても名義だけ変えておけば、と思うかもしれませんが、名義変更も立派な贈与です。
②税務署に認めてもらうのが大変
生前贈与のデメリット2つ目は税務署に認めてもらうのが大変というところです。贈与自体は口約束でも問題はありませんが税務署に贈与であると認めてもらうには、きちんとした証拠が必要です。そのため贈与するときには贈与契約書や銀行振り込みにするなどして、きちんと証拠を残しましょう。書類などがきちんとそろっていれば税務署も認めてくれます。
③相続時点から3年以内の贈与は無効
生前贈与のデメリット3つ目は、生前贈与をしたとしても贈与者が亡くなってしまって財産を相続した時からさかのぼって3年以内であれば、贈与は無効になるということです。人が亡くなる時がいつかなどわかるはずもありませんが、生前贈与を賢く活用するなら、まだまだ元気だから必要ないといわずになるべく早めから財産を贈与するようにしましょう。
生前贈与・賢い活用とは
生前贈与の賢い活用方法とはどのようなものなのでしょうか。生前贈与の仕組みをきちんと理解し、賢く活用して出来るだけメリットがあるようにしましょう。生前贈与の仕組みはそこまで複雑ではないため、生前贈与を行う前にきちんと勉強しておきましょう。仕組みを理解できてなければ、知らないうちに損をしていたなどということもあるかもしれません。
贈与税の節税制度とは
贈与税の節税制度は大きく分けて2つあります。節税制度の仕組みをしっかり理解してから活用するようにしましょう。節税の仕組みや上限の金額、活用する際の注意点をきちんと理解して、なるべくデメリットの無い方法で税金対策をしましょう。特に不動産にかかわる制度は仕組みが少しややこしいこともあるので注意が必要です。
2つの課税制度から選択
生前贈与の課税制度は大きく分けて2つあります。1つは暦年課税、もう1つは住宅取得等資金の贈与です。どちらの制度も仕組み自体難しいものではなく、簡単に活用することができます。どちらの制度も活用するときに一番知っておかなくてはならないことは上限額です。上限額を越えてしまうと、課税の対象になってしまうので注意しましょう。
①暦年課税の非課税枠を活用
暦年課税の非課税枠を活用する方法は、非常に簡単です。贈与は一人当たり年間110万円までであれば非課税です。いざという時の相続税を減らしたいのであれば、早いうちから年間110万円までを目安に毎年お金を贈与しておくことです。そうすることによって、相続するときに財産が減り、相続税が安くて済むというメリットがあります。
②住宅取得等資金の贈与で活用可能
生前贈与の節税には住宅取得等の資金の贈与があります。この制度をうまく活用すれば、かなりの節税ができます。もっとも住宅取得等資金の上限は、家屋の種類、契約締結日、消費税率などによっても異なってきますので一概に言うことができないのがデメリットと言えます。この制度は暦年課税の非課税枠と併用することができるため、上手く活用しましょう。
生前贈与・注意点とは
生前贈与には、デメリットのほかにも注意点があります。制度の仕組みを知り、デメリットだけでなく注意点も理解しておきましょう。せっかくためたお金は、できるだけ子供や孫に残したいものです。生前贈与の節税制度をうまく活用して、きちんと準備をしておくことで、いざという時の相続時の負担を減らすことができるのです。
①連年贈与
暦年課税を活用して毎年110万円以下の金銭を贈与している場合は、定期贈与とみなされないように注意しましょう。予め10年間で1000万円を贈与するなどという取り決めを行い、毎年同じ金額を振り込む場合には定期贈与として、年間の贈与金額が110万円以下であっても贈与税がかかってしまいます。暦年課税は連年贈与になるように注意しましょう。
②名義預金
名義預金をご存知でしょうか。銀行で夫が子供のためにとか、孫が生まれた場合に孫の名義で通帳を作ろう、将来のために少しずつ溜めておいてあげようということは良くあります。しかしここで注意点が一つあります。名義預金は、相続の時に子や孫の名義にも拘らず、父親が預金したのであれば父親の財産とみなされ、余分に税金がかかることがあります。
③贈与契約書を作成
贈与契約書は必ず作成しておきましょう。贈与契約は口約束でも何の問題もありません。しかし、いざという時、客観的に証明できる契約書が無くては税務署に贈与と認めてもらうことができず、余分に税金を取られる可能性があります。ただし、連年贈与の場合は契約書にも注意が必要です。契約書で定期贈与とみなされてしまうと贈与税がかかります。
④亡くなる前3年以内の生前贈与
いつ人が亡くなるのかなど、わかるはずもありません。しかし、病気なってしまい余命1年などと宣告される場合があります。そうなってから慌てて財産の整理をし、生前贈与の手続きをしても意味がありません。遺産を相続した時からさかのぼって3年以内は贈与とはみなされないからです。生前贈与をするなら早いうちから整理をして贈与しておきましょう。
生前贈与と老後
生前贈与は様々なメリットがあるのは間違いありません。しかし一方でデメリットも存在します。生前贈与を活用するときに、注意しなくてはならないことは、生前というところです。生前ということは、渡すほうはまだ生きていて、これからの人生もあり、先がとても長いかも知れないということなのです。今後の資金をきちんと残しておくことが肝要です。
老後の資金
生前贈与をする前に注意すべきなのは、自分の老後の資金はきちんと確保できているのかという点です。もしも自分があと20年生きるとして、その分の資金は間違いなく用意できているのでしょうか。預金はすべて生前贈与してしまったとなってしまえば、自分が大病を患ったときに困ることになります。贈与は自分の今後と相談してから行うようにしましょう。
ライフプランをしっかり立てる
生前贈与をする前に、きちんと自分のライフプランを立てておきましょう。自分が生活する上で今後どの程度のお金が必要なのか、年金や預金をもとにきちんと計画立てておきます。ただし、どのくらい生きるかは誰にもわかりませんので、いざという時のために多めに残しておきましょう。計画を立てたら余った分だけを非課税枠内で贈与するのもいいでしょう。
将来必要な費用
残しておくべき必要経費とはどんなものでしょうか。必要な費用は、月々の定期的な支払に、食費、生活雑費、医療費などです。特に医療費は今後も増えるかもしれませんし、多めに計上しておくといいでしょう。同居の場合であっても自由になるお金は多めに持っておいた方がいざという時に助かります。贈与の金額はよく考えてから決めましょう。
老人ホームなどの入所費用
老人ホームに入所するから手続きが棲めばお金はさほど必要ない、という人もいるかもしれません。しかし入所する場合でも生活雑費や食費などホームによっても違ってきますが、月々にそれなりにお金が必要になってきます。入所の手続きをする際にどのような仕組みであるのか、今後どの程度お金が必要なのかをきちんと確認してからにしましょう。
制度と手続き
生前贈与に係わる手続きには、気を付けたいものもあります。連年贈与をしていたつもりで、仕組みがよくわからないために定期贈与になってしまった、ということはないでしょうか。配偶者控除を受けたのに、その後しばらくして家を売ってしまって課税対象になったというようなこともあるかもしれません。生前贈与の制度をしっかり理解しましょう。
法定相続人以外にも贈与できる
暦年贈与の非課税枠を利用した贈与は、手続きがほとんど必要なく誰でも利用できるところです。もちろん複雑な仕組みなどもありません。金額は年間110万円と大金を贈与することはできませんが、最も大きなメリットとして、贈与税がかかることなく法定相続人以外の人に複雑な手続きなく、財産を分けることができるという点です。
定期贈与
定期贈与とは、あらかじめ贈与する金額を決めておき、年々同じ額を贈与することです。特別な手続きは必要なく、難しい仕組みもありません。ただし暦年贈与の非課税枠が適用されません。なぜならあらかじめ1000万円贈与する、と金額を決めていたとすると、年間の金額は110万円を下回っていたとしても大本の1000万円に対して課税されるからです。
連年贈与と定期贈与の違い
連年贈与はたとえ毎年贈与を続けても「たまたま毎年贈与する分がありまして」といった感じで、あらかじめ金額は分からない、毎年非課税枠内でたまたま贈与できました、となります。これを毎回同じ金額を同じように振り込んでしまうと、税務署に定期贈与を疑われて贈与税を徴収される可能性が出てくるので注意したいところです。
暦年贈与と併用できない制度
暦年贈与と併用できない制度は、相続時精算課税制度です。一度相続時精算課税制度の届け出を出してしまうと、暦年贈与に戻すことはできなくなります。相続時精算課税制度は贈与税は節税できますが、税金の支払いがなくなるわけではなく、最終的に相続税もかかってくるため、制度を活用する場合はよく考えてからにしましょう。
贈与が成立するには
贈与は契約書が無くても、口約束で問題ありません。ではどういった場合に贈与となるのでしょうか。基本的には渡す側が「贈与した」という意識を持ち、同時に貰ったが輪も「贈与された」という認識を持った時です。この時渡す側が贈与したと思っていても、もらう側が贈与だと認識していなければ、贈与は成立しません。双方の意思が必要になります。
第三者にも贈与が可能
生前贈与は第三者や法人に対しても可能です。以前とてもお世話になった人へ感謝の気持ちとして贈与したい、という場合などもあります。ただし、贈与は双方の合意なくしては成立しないため、もしもどちらかが認知症と判断されていれば、意思の正確な確認ができないため贈与は無効とされてしまいます。贈与は早めに準備しておきましょう。
夫婦それぞれが贈与する場合
夫と妻それぞれが一人の子供に年間110万円ずつ贈与した場合は、贈与税はかかるでしょうか。実はこの場合は課税対象になります。なぜなら非課税枠は、受け取る側が年間110万円までだからです。この場合は子供が受け取るのは父親から110万円、母親から110万円の合計220万円となります。したがってオーバーした110万円に贈与税がかかります。
贈与契約の撤回は可能
たとえば夫婦間や親子で、300万円の贈与を口頭で約束したとします。もちろん口約束であっても贈与契約は成立しています。しかし状況が変わり、贈与を撤回したいという場合もあるのではないでしょうか。そういったときに契約は撤回できるのかといえば、口頭での契約の場合は履行していなければ撤回は可能です。契約書を作るか否かはよく考えましょう。
贈与税の申告もれ
贈与税はもしかして贈与があったことを申告しなければバレないのでは、とふと魔が差してしまうこともあるかもしれません。しかし、すぐにバレることはありませんが、税務署もそう簡単に申告漏れを見逃したりはしません。それではどのようなタイミングで税務署にわかってしまうのでしょうか。申告漏れをした場合にどうなるのかをご紹介します。
税務署が知るタイミング
贈与の場合、申告漏れに税務署が直ぐに気づくことはありません。不動産の場合は登記などあるのですぐに気づきますが、現金を手渡しなどであればなかなか税務署にもわからないでしょう。ではどういったタイミングで気づくのかといえば、相続の時です。財産を亡くなった方から相続するときには、税務署からのチェックが入ります。
通帳を10年は遡る
実は相続の時に税務署がチェックするのは今の通帳だけではありません。少しでも不審な点があれば銀行の履歴を10年はさかのぼって調べることもあります。必要であれば亡くなった方だけでなく相続する方の銀行口座まで調べられます。そうすると不審なお金の流れはすぐに気づかれてしまうので、贈与のことを黙っていても知られてしまいます。
不動産の場合は
不動産の場合は登記や名義変更したことを黙っておけばいいではないか、と思う人もいるかもしれませんが、残念ながら登記や名義の変更がった場合には、法務局から税務署へ連絡が行きます。その後税務署から問い合わせや場合によっては調査が来るため、不動産は現金の時よりもすぐにわかってしまいます。申告はきちんとしましょう。
申告漏れのペナルティ
申告漏れが発覚した場合は延滞税と加算税がプラスされます。延滞税は年間最大で14.6%、加算税は15~40%も取られてしまいます。そもそも贈与税や相続税はかなり税金の割合が高いため、できるだけ非課税枠を活用して節税をする方がいいです。しかし申告漏れなどがあり追徴課税されるとその後非課税枠の利用が出来なくなる場合があります。
贈与税には時効がある
贈与税には時効が存在します。贈与税の時効は6年間です。ただし、悪質に隠匿した場合は2年加算され、時効は8年になります。8年くらいなら隠し通せるのではないか、と考えてしまう人もいるかもしれませんが、残念ながらそううまくは行きません。時効が来ても相続の時に税務署に相続の一部とみなされ相続税が多くとられることもあります。
贈与を受けているのに無申告だったときは
すでに贈与を受けているのに、申告を忘れていた、もしくは知らなかったのであればどうすればいいだろうか、と悩む人もいるのではないでしょうか。もし本当に申告を忘れていたのならば、まずは受け取った贈与が非課税枠なのか、課税対象なのかをきちんと調べてみましょう。案外非課税枠で対応でき、無申告でも問題ないかも知れません。
気づいたらすぐに申告を
もしたくさんの贈与を受け取っていて無申告だった場合にはいったん未使用分を贈与した側に返却し、改めて非課税枠を利用するような形で贈与を受けるといいでしょう。既に使用しているのであれば、気づいたらすぐに申告に行きましょう。ペナルティは受けますが、自己申告であることが考慮されて悪質でないと判断され、加算税は少なくなります。
1日でも早い申告を
贈与税の申告は遅くなればなるだけ、税金が多くとられてしまいます。特に延滞税は延滞した日数に応じて加算されていきます。上限はあるとはいえ、できるだけ節税したいと考えるなら、申告漏れに気づいたらすぐに申告に行くことが望ましでしょう。税務署に指摘を受けるまで引っ張ってしまうと加算税も大きくとられる可能性があります。
贈与が否認されると
贈与が手渡しで行われたり、明確に贈与だという証拠が残っていなかったりすると何が困るのでしょうか。その場合は税務署に贈与だと認められない、つまり否認されてしまう可能性があります。否認されてしまうと、贈与として受け取って非課税枠を利用したにもかかわらず、相続の時に相続財産の一部に加算され、相続税が増えてしまうことがあります。
生前贈与は節税効果が高くメリットが多い
生前贈与は、普通に遺産を相続するよりも税金の節税効果が高く、メリットが多いのが特徴です。とはいえその仕組みをきちんと理解し、必要な手続きをきちんとすることが求められます。贈与する場合はデメリットと注意点に気を付けて、行いましょう。せっかくの制度ですからきちんと勉強し、メリットを生かし、しっかり節税しましょう。