寒中見舞いとは
寒中見舞いとは、日本の慣習の1つであり、気候の厳しい時期に相手の方を気遣って挨拶する挨拶状のことです。その他には、年賀状を何らかの理由で出せなかった場合や、こちらや相手の方が喪中であるため年賀状が出せない時、年賀状を出すのが遅れてしまった時などにも寒中見舞いを出すことがあります。
また、節分など季節行事の参加依頼に寒中見舞いを送ったり、はがき以外の挨拶では、お歳暮のお返しとして寒中見舞いを送ることもあります。それではそれぞれを詳しく見ていきましょう。
寒さが厳しい時のお見舞状
寒中見舞いとは、二十四節気の小寒(1月5日頃)から立春(2月4日頃)までの寒中に見舞う挨拶状になります。出す時期は、暦の上では1年で最も寒さが厳しい1月から2月の初旬の時期に出すのがマナーであります。そのため、実際には寒さの厳しい12月であっても、寒中見舞いを出すことはしません。
年賀状を出せなかった人への挨拶
寒中見舞いは1月から2月初旬に出すため、年賀状を出せなかった方に挨拶の返事として寒中見舞いを出す方が最近では増えています。年賀状を出せない理由として、こちらや相手の方が喪中だった場合や年賀状を出すのが遅れてしまった場合があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
こちらが喪中だった時
相手の方に喪中はがきを出し、年賀状の代わりに寒中見舞いで新年の挨拶が届いた時は、2月4日までに寒中見舞いの返事を書くと良いでしょう。寒中見舞いの返事は必ずしなければならない決まりはないので、返事を出すか出さないかは自由です。しかし、どんな場合であっても、きちんと返事を出すほうが好印象ではあります。
お相手が喪中だった時
寒中見舞いは、元旦に届く年賀状とは違い、お正月の慌ただしさが落ち着く頃に届くため、喪中の方への挨拶としても寒中見舞いは適しています。また、喪中と知らずに年賀状を出してしまった場合、お悔やみとお詫びを兼ねて寒中見舞いを送ることがあります。
喪中の方へ年賀状を送ってはいけないという決まりはありませんが、最近では喪中の方へは年賀状を出さないのが主流となっているため、寒中見舞いで新年の挨拶をするのが良いでしょう。
年賀状を出すのが遅かった時
年末忙しくてバタバタしてしまい、つい年賀状を出しそびれてしまった経験はありませんか?そんな時も寒中見舞いで相手の方に年始の挨拶をすることで、失礼にならなず、印象も良いでしょう。また、寒中見舞いを書く際に、必ず年賀状を出しそびれたお詫びを書くようにしましょう。
寒中見舞いを出す時期のマナー
寒中見舞いを出す時期のマナーとして、松の内が明ける日から立春までとなっています。松の内明けや立春とはどの時期なのでしょうか。詳しく解説していきます。
また、出す時期以外のマナーとして、「余った年賀状は使用しない」「豪華にせず、爽やかなデザインにする」「干支や日の出など年賀状に使われるイラストは使わない」「自分又は相手の方が喪中の場合は、おめでとう・喜・慶・賀などの文字は使わない」などのマナーがあります。以上のことに注意して寒中見舞いを書きましょう。
出す時期は松の内明け
松の内とは、玄関前の門松が飾られている時期内のことを言います。門松が飾ってある間は正月の年神祭が続いているということです。その期間は土地によって違いますが、一般的には元旦から7日頃までを言います。
この期間が終わることを「松の内が明ける」と言い、鏡餅の鏡開きを行ったり門松を片付けたりしてお正月の終わりを迎えます。寒中見舞いは松の内が明けてから出すのがマナーです。時期に気を付けるようにしましょう。
出す時期は立春まで
また、寒中見舞いは立春までには出すのがマナーです。期限までに出すようにしましょう。立春とは、毎年2月4日頃が立春となっています。毎年2月4日というわけではなく、その年によって2月3日や2月5日の場合もあります。
1年の季節を24等分した「二十四節気」の1つであり、冬至と春分の間が立春とされています。寒中見舞いはこの立春までには出すようにしましょう。
立春を過ぎたら「余寒見舞い」
もし、寒中見舞いを出そうと思った時に立春を過ぎてしまっていた場合や、立春以降に新年のご挨拶をしなくてはならなくなった場合は、寒中見舞いではなく、余寒見舞いとして出すようにしましょう。余寒見舞いを出す時期は特に決まっておらず、立春以降の寒さが続いているうちは余寒見舞いとして出すとされています。
ただし、2月の下旬から3月の上旬は雪が溶け始める「雨水」とされていることから、余寒見舞いは2月の中旬ぐらいまでを目安に出すのがマナーですので、気を付けましょう。
寒中見舞いの松の内時期に注意
お正月も三が日を過ぎると、普段通りの生活に戻る方が多いでしょう。ですが、三が日を過ぎても門松などの正月飾りはまだ残っています。先程もご紹介しましたが、正月飾りを飾っておく期間のことを「松の内」と言います。松の内とはどのような意味があるのでしょうか。また、関東と関西では松の内の時期が違います。それぞれ詳しく見ていきましょう。
松の内は正月飾りを飾る時期
松の内とは、門松などの正月飾りを飾っておく時期のことを言います。毎年お正月に各家庭に幸せをもたらしにやってくる神様と言われている「年神様」。年神様が迷うことなく家に来られるように門松を目印に置くと言われています。また、年神様は鏡餅に宿ると言われているため、松の内は鏡餅を飾ってお迎えします。
関東と関西では時期が異なる
松の内の始まりは元旦なのですが、松の内の終わりは地域によって違います。関東では1月7日まで、関西では1月15日までとされています。松の内はもともと1月15日までと全国で同じでした。そして、その当時は1月20日に鏡開きが全国で行われていました。
しかし、慶安4年4月20日に徳川三代目将軍の家光が亡くなり、毎月20日は家光の月命日となったのです。そのため、徳川幕府のお膝元の関東では1月20日に鏡開きをすることを避けるようになり、1月7日までが松の内となったのです。
その情報が関西には上手く情報が伝わらなかったため、これまで通りの1月15日までが松の内となり、関東と関西で違いができたのです。
寒中見舞いの基本的な構成
それではまず、寒中見舞いの例文をご紹介する前に、寒中見舞いの構成について詳しく見ていきましょう。構成を知ったうえで、例文を参考に実際に寒中見舞いの文章を書いていくと良いでしょう。
段落の書き出しは1文字下げて書くようにします。イラスト入りのはがきの場合は、イラスト部分を避けて文字を書くようにしましょう。ただし、薄い色のイラストの場合は上に文字を重ねて書いても良いです。
寒中見舞いの構成
①寒中見舞いの挨拶となる言葉を入れます。②時候の挨拶(省略しても可)③年賀状についてのお礼(年賀状の返礼の場合のみ)④書き手の近況報告(省略することもある)⑤ご支援やお付き合いをお願いする言葉(挨拶状として出す場合)⑥相手の方の体調を気づかう言葉⑦日付け このような構成で寒中見舞いを書いていくと良いでしょう。
時候の挨拶とは
日本には四季を表す言葉があります。手紙の冒頭の「時候の挨拶」とは、気候や季節の移り変わりや寒暖を表す挨拶の言葉であり、相手の健康を気づかう意味でもあります。
例文として、春の場合「春暖の候」や「新緑の候」など。夏の場合「盛夏の候」や「残暑の候」など。秋の場合「紅葉の候」や「深秋の候」など。冬の場合「大寒の候」や「余寒の候」などの時候の挨拶があります。
寒中見舞い・余寒見舞い例文
ここまで、寒中見舞いの出す時期やさまざまなマナーについて解説してきましたが、どんな文章を書いたら良いのか分からない方が多いようです。ここからは寒中見舞いの書き方と例文、余寒見舞いの書き方と例文を合わせてご紹介していきます。ぜひ例文を参考にしてみて下さい。
また、寒中見舞いなど季節の挨拶状は句読点を使わないのがマナーです。読みやすくするため、句読点の代わりに1文字空欄を入れると良いでしょう。
寒中見舞い例文
寒中お見舞いを申し上げます。寒さの厳しい日が続きますがますますご健勝のこととお喜び申し上げます。折をみてゆっくりお目にかかりたいと思っております。暖冬とはいえ冷え込む今日このごろくれぐれもご自愛くださいますようお祈り申し上げます。
寒中お見舞い申し上げます。新年のご挨拶を頂いたのですがご挨拶もせず失礼申し上げました。皆様お変わりなくお過ごしのようで心からお喜び申し上げます。私どもも元気にしております本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
余寒見舞い例文
余寒お見舞い申し上げます。先日は丁寧なご挨拶を賜りありがとうございました。厳しい寒さが続きますがお変わりありませんでしょうか。おかげさまで私どももつつがなく過ごしております。しばらくは寒さが続きますがどうかお体ご自愛くださいますようお祈り申し上げます。
余寒お見舞い申し上げます。春とは名ばかりに厳しい寒さが続いておりますが皆様お変わりはありませんでしょうか。そちらは雪下ろしで大変な日々ではと案じております。雪解けの頃に家族で帰省いたしますが お会いできるのを楽しみにしています。それではくれぐれもご自愛くださいますようお祈り申し上げます。
年賀状を出せなかった人【例文】
では、次に年賀状を出せなかった人の寒中見舞いの例文をご紹介しましょう。年賀状を出せなかった理由はさまざまです。例えば「こちらが喪中だった場合」「相手が喪中だった場合」「年賀状の返事がすぐに出せなかった場合」などの理由があります。それではそれぞれ詳しく見ていきましょう。
寒中見舞いの返事の例文
寒中お見舞い申し上げます。ご丁寧な年賀状をいただきありがとうございます。新年のご挨拶が遅れ申し訳ございません。今年は例年になく厳しい寒さですが、皆様お元気でお過ごしのご様子でなによりお喜び申し上げます。寒さももうしばらく続きそうですが、風邪など召されませぬようお気を付けください。取り急ぎまして一筆。お礼まで
寒中お見舞い申し上げます。新春のご祝詞を頂きながらご挨拶が遅れてしまい誠に申し訳ございません皆様におかれましては良いお年を迎えられましたご様子で心からお喜び申し上げます。厳寒の折風邪などをお召しになられませんようご自愛ください。今年もどうぞ宜しくお願い申し上げます
喪中の場合の寒中見舞いの例文
寒中お見舞い申し上げます。ご丁寧なお年始状をいただき有難く存じます亡き【故人続柄】の喪中のため年頭のご挨拶を差し控えさせていただきました。旧年中にお知らせ申し上げるべきところ。年を越してしまいました非礼を深謝いたします。まだまだ寒い日が続きますが風邪などひかれないようお気を付けください。
寒中お見舞い申し上げます。寒さはこれからが本番ですが皆様はお元気でしょうか。【故人続柄】の喪中のため年始のご挨拶を差し控えさせていただき失礼いたしました。本格的な寒さを迎える折お身体お大切に 元気でお過ごしくださいますよう今年も何卒よろしくお願い申し上げます。
喪中ハガキの返事の例文
寒中お見舞い申し上げます。ご服喪中と存じ年始の挨拶はご遠慮させていただきました。〇〇様の生前には大変お世話になりました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。遅ればせながらではございますが、同封のお香典を御仏前にお供えくだされば幸いと存じます。厳寒の折から皆様どうかお体を大切にお過ごしください。
喪中と知らずに年賀状を出してしまった場合の例文
寒中お見舞い申し上げます。【故人続柄・敬称】ご逝去のこと存じ上げなかったとはいえ、新年のご挨拶を申し上げ深くお詫び申し上げます。まだまだ寒い日が続きますが皆様お元気でお過ごしください。
寒中お伺い申し上げます。御喪中をわきまえず年始状を差し上げてしまい大変失礼いたしました。遅ればせながら【故人続柄・敬称】のご冥福をお祈り申し上げます。本格的な寒さを迎える折お身体を大切に元気でお過ごしください。
故人に年賀状が届いた時の返事の例文
寒中お見舞い申し上げます。年頭のご挨拶を頂きありがとうございました。【故人続柄】は【死去年月】に他界致しました。旧年中にお知らせ申し上げるべきでしたが年を越してしまいましたご無礼をどうかお許し願います。故人が生前に賜りましたご厚情に深く感謝申し上げますとともにこの厳寒の折、皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
寒中見舞いに品物を贈る時のマナー
「贈っていない方からお歳暮が贈られてきたけど、お返しをまだしていない」といった時や「お歳暮を贈り忘れてしまった」など、年末にバタバタしてしまいお歳暮を用意するのを忘れてしまうことがあります。
そんな時は、寒中見舞いをお歳暮の代わりとして贈ることができます。はがきや手紙と同じく、松の内が過ぎてから立春までの間に贈るようにしましょう。
寒中見舞いの品物の選び方
寒中見舞いをお歳暮として贈る場合は、品物を選ばなくてはいけません。よく選ばれるのは「お酒」や「ジュース」などの飲料類、「ハム」や「かまぼこ」などの加工食品、「クッキー」や「アイスクリーム」などのスイーツ類などがよく選ばれており、人気でもあります。家族みんなで楽しんでもらえる品物は、喜ばれやすい商品と言えるでしょう。
寒中見舞いをもらった時
寒中見舞いのことを年賀状の代わりのように、何となくでしか認識していない方が多いのではないでしょうか。ここでは寒中見舞いをもらった場合、返信はどうしたら良いのか、喪中の場合はどうしたら良いのか、返信はどのようなはがきで出すのか、詳しく解説していますので見ていきましょう。
寒中見舞いの返信は必要か
寒中見舞いが届いた場合、返信は必要なのか分からない方もいるでしょう。こちら側が喪中の場合であったり、年賀状を出した相手の方の場合は年賀状で新年の挨拶や喪中はがきでお知らせをしているため、寒中見舞いの返信は必要ありません。
また、こちらから喪中はがきを出し、相手の方から年賀状の代わりに寒中見舞いが届いた場合は、どうしても挨拶が必要だと思うのであれば、2月4日までに返事を出すと良いでしょう。ただ、寒中見舞いには必ず返事をしなければ失礼というルールはありません。
喪中の場合はどうするか
こちらから喪中はがきを出さなかった場合に、寒中見舞いをもらったらきちんと返事をするようにしましょう。
また、旧年中に出した喪中はがきに「喪中につき新年のご挨拶をご遠慮させて頂きます 来年が皆様に良い年になられますよう 心からお祈り申し上げます」と書いていれば、新年の挨拶も含まれているため、寒中見舞いが届いても新たに返信をする必要はないでしょう。
はがきで良いか
寒中見舞いの返信に使用するはがきは「官製はがき」と「私製はがき」どちらのはがきを使っても大丈夫です。官製はがきであれば、切手の部分は「胡蝶蘭」のデザインを選びましょう。寒中見舞いなどに利用できるデザインになっています。
私製はがきの場合は、椿、牡丹や雪景色などのイラストが書いてあるものを使用すると良いでしょう。ただし、余った年賀はがきを使用しないようにしましょう。年賀とは違う趣旨の挨拶になるので、受け取る方によっては印象が悪くなってしまいますので、気を付けましょう。
企業は寒中見舞いを送っても良い?
年賀状を貰ったのに1月7日までに返事が出せない場合や、相手が喪中の場合に出す「寒中見舞い」。
プライベートでは寒中見舞いを送ったり受け取る機会がありますが、例えば企業から取引先やお客様などに寒中見舞いを送ることは、ビジネスマナーとしてOKなのでしょうか。そこで、企業として寒中見舞いを出す場合の考え方について詳しく解説していきましょう。
企業が寒中見舞いを出す時はどんな時?
個人で寒中見舞いを出す時は主に「喪中で年賀状が出せない時」、「年賀状をもらったが1月7日までに返事が出せなかった時」、「相手の方が喪中の時」といった理由が一般的です。では、企業で寒中見舞いを出す場合はどうでしょうか。
企業は法人なので喪中はありませんが、年賀状の返事が1月7日までに出せなかった場合は企業でも起こりうることです。そういった場合は、企業が取引先やお客様に寒中見舞いを出すことは、ビジネスマナーとして問題ありません。また、暑中見舞いと同じく、季節の挨拶として寒中見舞いを送ることもできます。
企業が寒中見舞いを送る時のタイミング
では、企業が寒中見舞いを出す場合は、どのタイミングで送れば良いでしょう。例えば、年賀状の返事が遅れてしまい寒中見舞いを出す場合は、できるだけ速やかに寒中見舞いを投函するのが理想です。寒中見舞いは1月7日頃から2月3日頃までとされていますので、遅くても2月3日までには届くように送りましょう。
企業が寒中見舞いを送る時の書き方
企業が寒中見舞いを送る時に注意するポイントは、「相手企業の方々の健康を気づかう文章を入れるようにする」「文頭・文末(拝啓や敬具)は不要なので書かない」「日付は西暦ではなく、元号を使用する」「句読点は付けない」以上のことに注意して、寒中見舞いを書くようにしましょう。
企業が寒中見舞いを出す時の例文
寒中お見舞い申し上げます。本格的な寒さを迎える今日この頃皆様はいかがお過ごしでしょうか、このたびは年頭のご挨拶をいただきありがとうございます。貴社には佳き年をお迎えなされたご様子お慶び申し上げます。貴社ますますのご発展と弊社との末永いお付き合いを祈念し充実した年になりますようお祈り致しております。令和〇年〇月
企業が寒中見舞いを大量に出す場合
企業がたくさんの寒中見舞いを出す場合には、デザインの作成から印刷までを自社で行うことはとても大変なことです。また、年末年始の忙しい時期の負担にもなってしまいます。そういった時は、印刷会社に寒中見舞いの作成をデザインから印刷まで依頼するのもおすすめです。
寒中見舞いは出す時期とマナーに注意しよう!
ここまで寒中見舞いについて出す時期や挨拶文の例文などをご紹介してきました。寒中見舞いについて詳しく知らなかった方も多いでしょう。どういった時に寒中見舞いを出すのか、また出す時期はいつ頃が良いのか、など詳しく知ることができたのではないでしょうか。
思いがけない方から年賀状を頂いた時や、喪中の場合などにも慌てることなく、スマートに寒中見舞いを出せるようにしておきましょう。