畳の正しい掃除の仕方や注意点を紹介!
畳が敷き詰められた和室は日本の住宅ではよく見られる部屋形態です。和室の大きな特徴としては、畳の上に直接座れたり、時には畳の上で直接寝転んだりとくつろぎやすい空間が醸し出されている点と言えます。
しかしながら、畳の部屋はフローリングと違ってどのように掃除すれば良いのか、正しい掃除法はどのようなものなのか、どのくらいの頻度で掃除をすれば良いかについて意外に知らない人も少なくないのではないでしょうか。
もちろんフローリングと同様に畳にも日常的な掃除は必要です。畳はフローリングとは違い、い草を編んで組み合わせて作られているという特徴があるので、畳の特徴にをきちんと知った上で正しい掃除方法、適切な頻度で掃除を行うことが大切です。
ここからは畳の基本的な掃除方法やその頻度、手入れの方法や掃除の際の注意点、またアクシデントや不注意によって畳にシミやカビ発生等のトラブルが発生してしまった際の対処法についても紹介していきます。
畳の掃除の基本
家の和室の畳を長く快適に使うためには、まず正しい掃除の方法について知る必要があります。畳のある家で暮らしている場合、どのような掃除や手入れが必要かについて、基本の掃除方法についてまずは説明していきます。
畳の目に沿って掃除
基本的な掃除の方法は、畳の目に沿って掃除機をかける方法、もしくはほうきで掃く方法です。畳の目に逆らった方向で掃除をしてしまうと、畳に傷がついてしまったり、畳の隙間に埃が入り込んでしまうリスクがあるので、注意が必要です。
よりお勧めの方法は畳をほうきで掃く掃除方法です。現在では室内用のほうきを持っている家庭はそれほど多くないですが、もしほうきがあるのであれば掃除機をかけるのに比べて埃を払うのに効果的です。畳を傷つけてしまうリスクも少ないと言えます。
畳の掃除方法
畳の掃除の基本はほうき、もしくは掃除機を使って埃を掃きだす方法です。ここからはほうきと雑巾での掃除を軸として、どのような要領で、どの位の頻度で掃除を進めていけば良いのかについて紹介していきます。また掃除を行う上で注意が必要な点についても説明します。
ほうきと雑巾での掃除の仕方
畳の掃除にほうきを使う場合には、畳の目に沿う形でほうきの先を小刻みに動かすようにして掃除します。畳にある隙間から埃やダニを掻き出すようなイメージを持って掃除を行うようにしましょう。ほうきで畳の表面の汚れを掃除した後は、次は雑巾の出番です。
雑巾での水拭きの仕方
ほうきで畳の表面のゴミを吐き出したら、畳の皮脂汚れを落とすために固く絞った雑巾で水拭きを行っていきます。ここで注意しなければいけない点は、畳は水分に弱いので、雑巾で水拭きを行う際は濡らした雑巾を必ず固く絞って水気を十分に切ってから拭くようにしてください。
水拭きを終えたら、必ず乾拭きを行うのを忘れないようにしましょう。畳のい草は水分を吸収しやすいので水分が畳に残っている状態のままにしておくと、カビだけではなく、ダニ発生の温床となってしまいます。
また乾拭きを行うだけではなく、畳掃除の後は部屋の換気を良くして、畳をしっかり乾燥させて、カビやダニの発生を防ぎましょう。
掃除機での掃除の仕方
畳の目の埃を取るには、ゆっくりと掃除機をかけることがコツです。急ぐからと適当にかけて終わらせる人も多いですが、畳1枚につき40秒から60秒くらいの時間を使って掃除機をかけましょう。こうすることで埃やゴミをきちんと吸い取ることができ、アレルゲン対策にも効果的です。
掃除機をかける際に注意が必要なのは、畳のヘリの部分の掃除です。置き畳などヘリのない畳の場合には気にしなくても問題ありませんが、畳のヘリは傷みやすいので、掃除機をかける時にはデリケートな扱いが必要です。掃除機を少し浮かすようにしてかけるのがコツです。
畳の掃除の頻度は?
畳の場合はい草とい草の間に埃が溜まりやすいという特徴があります。またフラットなフローリングと比較してモップや掃除機での掃除がしづらく、埃が取りづらいのでフローリングと同じくらいの頻度、もしくはそれに準ずる頻度で掃除をすることが理想的です。
理想としては1日1回の頻度で軽くでも掃除ができることが理想ですが、難しいようであれば3日に1回くらいの頻度でほうきで掃いたり、掃除機をかけるのが望ましいでしょう。また日常の掃除に加えて、年に2回位の頻度で畳干しを行うようにしましょう。
畳干しとは「畳の大掃除」とも言えるもので、屋外に畳を出して新鮮な空気に触れさせて、乾燥させたり叩いて埃を落としたりすることを言います。
畳干しに適しているのは、湿度が低くカラっとした季節の晴れた温かい日です。日光がよく当たる日中の時間帯に、5、6時間干すと良いでしょう。
畳の掃除で使用を注意したいもの
ここまで畳の基本の掃除方法と水拭き・乾拭きの仕方、更に畳の手入れの仕方について説明してきました。畳に限らず、掃除の方法には色々な方法がありますが、中には畳の掃除には注意が必要な方法や、使用してはいけない方法もあります。
ここでは畳の性質について触れつつ、畳の扱いで注意が必要な点と掃除にあたり、してはいけない事柄を説明します。
重曹
エコでクリーンな掃除用道具として人気が高まっている重曹ですが、畳への使用には注意が必要です。合成洗剤と違い、環境にも優しい重曹は最近では需要も高まってきていますが、この重曹を畳の掃除に使用するのは間違ってもしてはいけません。
湯呑の茶渋を取ったり、排水溝の汚れの掃除等には適している重曹ですが、重曹を畳にまいて使用すると、畳の素材であるい草が重曹のアルカリ成分に反応してい草が変色してしまい、畳が黄ばんでしまいます。最悪の場合は黄ばみが黒いシミとなって落ちなくなってしまいます。
万一誤って重曹を使って掃除をしてしまい、畳を変色させてしまった場合には、すぐに水で薄めたお酢で拭き掃除をしてください。
粘着式カーペットクリーナー
忙しい日常の中での掃除に便利なグッズとして利用されている粘着式カーペットクリーナーですが、これも重曹と同様、畳の掃除には向いていません。
こうしたカーペットクリーナーは粘着力が強いのが特徴ですが、これを畳の掃除に使うと、粘着力の強いカーペットクリーナーの粘着面にい草がほつれて戻らなくなったり、毛羽立ってしまう危険性があります。
ほうきや従来の掃除機を使って掃除するのは面倒だし…とついつい便利な粘着式カーペットクリーナーに頼りたくなってしまいますが、面倒がらずにきちんとほうきや掃除機を使って掃除を行うようにしましょう。
ロボット掃除機
ロボットタイプの掃除機は掃除機が動くルートが自分でコントロールするのではなく、ロボットの指示によって行われるため、畳の目に沿って掃除をすることができません。畳に使われているい草を毛羽立たせてしまい、畳を傷めてしまう原因になります。
従って掃除機を使って掃除を行う場合は、ロボット掃除機ではなく、自分で掃除する範囲をコントロールできる、一般の掃除機を使いましょう。
畳の汚れがひどい場合の掃除の仕方
畳の普段のお手入れは、基本的にはこまめにほうきや掃除機で埃を落として、水で濡らした後に固く絞った雑巾で拭く掃除方法で十分です。しかし、しばらく掃除ができていなかった場合や、例えば年末の大掃除なのでしっかりと掃除をしたい時もあるでしょう。
ここではそのような場合に効果的な念入りな掃除方法をご紹介し、また注意するべき点についても合わせて説明していきます。
用意するもの
畳の汚れに対処するために必要な道具はクエン酸、バケツ、そして雑巾2枚です。クエン酸は重曹と並び、エコでクリーンな掃除用品として使われていますが、このクエン酸は重曹とは違い、畳にも使用可能です。
クエン酸は家の中の様々な場所の掃除に使用でき、畳の掃除に使うと殺菌効果や消臭効果が期待できます。また雑巾は水拭き用と乾拭き用の2枚を用意しましょう。
掃除の仕方・手順
まずバケツに半分位水を入れ、小さじ1杯のクエン酸を加えて混ぜてクエン酸水を作ります。このクエン酸水に雑巾を浸して固く絞った後、畳の目に沿って雑巾で拭き掃除を行います。水拭きの後は乾いた雑巾で拭き、畳をしっかり乾燥させるようにしましょう。
クエン酸は殺菌効果があるので、畳の汚れが落ちやすくなるだけではなく、カビを生えにくくしたり、また防ダニ効果も期待できます。特に梅雨時期等の湿度が高く、カビ発生に注意が必要な季節の前にクエン酸で畳を掃除しておくのもお勧めです。
ただし、クエン酸の畳への使用に関しては注意が必要な点もあります。まだ新品で青さが残る畳に対してクエン酸を使用すると、色褪せてしまうなど畳が変色してしまうことがあります。このような新しい畳に対してはクエン酸での掃除は控えるようにしましょう。
畳にカビが生えた場合の掃除方法は?
畳の原料のい草には吸湿性があるため、日頃から換気を心がけるなど注意を払ってはいても、その時の気候や住環境によってはカビが発生してしまうのは珍しいことではありません。但し、カビが生えてしまっても早期に対処できれば綺麗に取り除くことは可能です。
カビ対処の方法ですが、希釈した中性洗剤、もしくは消毒用のアルコールスプレーを準備します。それを布に含ませ、カビをゆっくりと拭き取りましょう。その後は水を固く絞った布で拭き、最後は乾拭きで仕上げます。
この時に畳に水分が残っていると再びカビの原因となってしまうので注意が必要です。窓を開けて換気をしっかり行うのに加えて、扇風機で乾燥させるのも良いでしょう。
畳のトラブルの応急処置の仕方
日頃から掃除や手入れをしっかり行い、管理に気を配っていてもちょっとしたトラブルや不注意によって畳を汚してしまったり、傷めてしまう可能性は起こり得ます。ここではトラブルの原因別に対処方法について紹介していきます。
畳にシミができた場合
畳にシミができてしまった場合の注意点は「とにかくすぐに対処を行うこと」です。時間が経てば経つほど、シミは畳のい草に染み込んでいってしまい、畳からシミをきれいに落とすことが難しくなります。ここではシミの種類別に対処の仕方について紹介します。
飲み物や調味料をこぼしてしまった場合
ジュースやお茶、お酒等の飲み物や、醤油やソースといった調味料を畳にこぼしてできたシミに対しては、素早い対処が必要です。こぼしたまま放置しているとシミが畳にしみこんでしまって取れづらくなってしまいます。
このような液体汚れのシミは畳の奥深くにしみこんでしまう前に、即キッチンペーパーやティッシュ、タオル等で拭きとることが大切です。
拭き取った後に汚れてしまった部分に食塩や小麦粉をかけてしばらく置いておきます、こうすると粉末が水分を吸って湿ってきますので、それを掃除機で一気に吸い取ります。
化粧品やクレヨンで汚してしまった場合
油脂成分を含む口紅やファンデーションや、お絵かきでついてしまったクレヨンでできたシミに対しては住宅用洗剤(中性洗剤)と歯ブラシを使用してシミ対処を行います。使用済みの古い歯ブラシに洗剤を付けて、畳の目の中に入り込んだ汚れを畳の目に沿って丁寧に掻き出します。
汚れを掻き出した後は、通常の畳掃除の時と同様の要領で固く絞った布や雑巾で水拭き、その後に乾拭きして仕上げ、畳をしっかり乾燥させましょう。
畳が日焼けした場合
まずは中性洗剤含ませて固く絞った雑巾で拭いて畳の汚れを落とします。その後、お酢と湯を1:2の割合で混ぜたものを作り、それを霧吹きに入れて畳の日焼けした部分に吹きかけます。それから乾いた雑巾で畳の水分を拭き取り、自然に乾かすようにして下さい。
畳が凹んだ場合
畳が凹んでしまった場合ですが、凹みに対処する際に必要なものは、基本としては水に濡らしてから固く絞った雑巾とアイロンとなります。畳の凹みを直すには何か特別な道具が必要と思われがちですが、いたってシンプルな道具で対応できます。
畳の原料であるい草には熱と水分を与えることで繊維が膨張し、元に戻ろうとする性質があります。雑巾とアイロンを使った対処方法はこのいぐさの性質を利用したものとなります。
凹んでしまった畳を直すには、まず凹みが気になる部分へ固く絞った雑巾を置きます。次にその上からアイロンを当ててください。そうするといぐさの圧縮された繊維が膨張して戻り、少しずつ凹みが改善されていきます。
もしスチームアイロンがあれば濡れ雑巾は不要です。畳の凹んだ部分にスチームを当てると凹んだ部分が元に戻ってきます。
畳が焦げてしまった場合
タバコの灰を落としてしまったり、火のついた線香を落としてしまったり、ちょっとした不注意やアクシデントによって畳に焦げ跡を作ってしまう可能性もあります。その際にはどのような方法で対処すれば良いのでしょうか?
一番お手軽な方法としては、市販されている「畳補修シール」を利用することです。ホームセンターのDIYコーナーにも置いてありますし、ネットショッピングでも購入可能です。
これは畳の色に合わせて、4色の畳の目が印刷されているシールで、畳の焦げ跡のサイズに合わせてシールを切り取り、畳の目に沿って貼り付ければ、とても簡単に焦げ跡を隠すことが可能です。
また畳の焦げ跡に対して直接アプローチする方法としては、家庭にある消毒用のオキシドールを使う方法があります。オキシドールを綿棒にしみこませて焦げ跡の上に塗って乾かし、乾いたら塗ってを何度か繰り返すと、焦げ跡の色素が薄くなることがあります。
正しい掃除の仕方で畳をキレイにしよう!
本記事では畳の基本的な掃除の仕方やその具体的な方法、シミや焦げ、カビの発生や凹みといったトラブルへの対処の仕方や、重曹や粘着式カーペットクリーナー等、畳の掃除にはNGの道具等に至るまで、畳の掃除をする上での注意点について説明してきました。
フローリングの床と比較すると取扱いに迷ってしまう人も多い畳ですが、一度やり方とコツを覚えてしまえば、無理なく掃除や手入れも行うことができるようになります。
夏や涼しく、冬は暖かく過ごせる気持ちよさを与えてくれる畳を長持ちさせるためにも、正しい掃除や手入れの方法を身に着けて、日頃のメンテナンスをしっかり行っていきましょう!