初心者でもできるサボテンの育て方を紹介!
自宅で過ごす時間が増えている昨今、部屋に植物があるというのはとても癒されるものです。毎日のお世話はちょっと自信がないけど、緑を感じていたいという人にはサボテンがおすすめ!
今回は初心者でも出来るサボテンの育て方を一挙ご紹介しましょう。置き場所や増やし方、管理方法など要チェックです!
サボテンとはどんな植物?
そもそもサボテンとはどんな植物なのか、その定義や基本的情報から説明していくことにします。「サボテンってトゲのある緑の植物でしょ?」「サボテンって花咲くの?」など、実は身近にありながら知らないことも多い植物。サボテンの正体を要チェックです。
サボテンの基本情報
サボテンは、サボテン科に分類される植物の総称です。メキシコや砂漠に生えているイメージの強いサボテンは、北アメリカと中央アメリカを中心に2000種以上があると言われています。
サボテンの多くが多肉植物なので、多肉植物の別名として使われることもありますが、多肉植物の中にはサボテン科以外の植物も混ざっているので、サボテンは多肉植物の一種ということになります。
サボテンといえば、針状の棘の印象が強いですが、実はこの棘がサボテンの葉になります。サボテンの中にはこの針状の葉が退化しているものもあり、棘の無いサボテンも存在します。
サボテンの棘は、色々な形をしていて、種類によってその形態は様々ですが、他の動物に食べられるのを防いだり、他の動物の体について運ばれたり、表面積を増やして空気中の水分を露として凝結させたりといった役割を担っています。
全体が棘で覆われているようなサボテンの棘は、吹き付ける砂嵐や強い太陽光、冷気などを防ぐ役割も果たしています。砂漠や雨の少ない土地に適応するべく、茎や根、葉に栄養分を蓄え、花も咲かせます。ドラゴンフルーツなど南国を代表するフルーツもサボテン属に分類されるサボテンの一種です。
また、サボテンの自生するチリやペルーでは楽器が作られたり、芯の部分を建築材やランプシェードとして加工して使われたりもしています。
サボテンの育て方①選び方
種類も様々なサボテンを自宅で楽しむためには、どのようにしたら良いのでしょう。サボテン栽培の初心者には、既にある程度大きくなっている鉢植えのサボテンを購入することをおすすめします。サボテンの育て方として、初心者におすすめの選び方のポイントを詳しく紹介していきましょう。
初心者向きのサボテンの選び方
初心者は鉢植えされているサボテンを選びましょう。鉢植えされているサボテンは表面に張りがあり、色が濃いものがおすすめです。柔らかかったり、色が黄色っぽくなっているサボテンは健康状態があまりよくないというサインなので、初心者は選ばないようにしましょう。
さらに害虫が付いていないか確認することも大切です。鉢と株のバランスがとれていて、根がグラグラしていない色艶が良いものがおすすめです。また、サボテンには育てやすい種類と手間をかける必要がある種類があり、その点にも注意が必要です。
気温や日当たりなどに十分に配慮が必要な種類、ある程度頻繁な水やりが求められる種類もあり、そういった手間をかけられるのかどうか、など初心者はよく考えて選ぶことが重要です。植物のお世話に自信のない初心者はある程度放置しても枯れない強いサボテンを選ぶのがおすすめです。
初心者におすすめの具体的な種類としては、シンプルな形の柱サボテンの「朝霧閣」やブラジルやパラグアイ原産の「金晃丸」、成長と共に変化が感じられる「越天楽」、コブが出る変異を起こした「福禄竜神木」などがあります。最初は小さい鉢のものを購入し、可愛く育ててみるのがおすすめです。
また存在感抜群のオブジェとなるサボテンを探している方には「墨烏帽子」もおすすめです。別名バンザイサボテンとも言われる雰囲気のあるサボテンで、ある程度の大きさにになったものを購入すると初心者でもすぐに楽しむことができるでしょう。
サボテンの育て方②置き場所
サボテンの育て方では置き場所もポイントになります。サボテンを購入する時には、自宅のどこに置くか、あらかじめ置き場所を想定してから購入するのがおすすめです。
鉢の大きさや他の植物との関係など、サボテンの置き場所を確保してから購入するようにしましょう。サボテンの育て方・置き場所について詳しく説明します。
日当たりの良い場所に置く
サボテンの育て方のポイントである置き場所は日当たりの良いことが必須条件となります。もともとサボテンは砂漠や乾燥地帯に生育していることが多い植物ですから、日当たりの良い場所を好むものがほとんどです。
沢山光を当ててあげると、とても生き生きとしていますが、直射日光が当たる置き場所は避けた方が良いでしょう。直接強い光が当たると、サボテンの葉が焼ける「葉焼け」現象が起きていしまいます。程よい光の入る直射日光の当たらない置き場所を確保しましょう。
風通しの良い場所で管理
サボテンの育て方・置き場所として、光だけでなく、風通しの良い場所で管理することも重要です。風通しが悪い条件下での栽培は、病害虫の原因になります。置き場所としては、出来るだけ風通しの良い所がおすすめです。
特に水やりの後の換気は大切で、水やりの後に風が当たらず土が湿った状態が続くと、根腐れしてしまう可能性があります。気温が高くなる時期は部屋の窓を閉めて出かけることも多いと思いますが、水やりの後は外の新鮮な風を入れることを忘れずに管理しましょう。
温度が5度以下の場合は室内で管理
サボテンは低温が苦手というのが多くの初心者の認識ですが、一概にそういう訳でもありません。というのも、サボテンが自生している環境には、昼は炎天下でも夜は0度になる高地も沢山あるからです。むしろ、そういった寒暖差のある環境の中で管理した方がよく育つということもあります。
ただし、いくら低い温度が大丈夫と言っても、冬など常に低い温度下で長時間管理するのはタブーです。昼間は出来るだけ日の当たる場所に出し、夜や気温の低い日は室内で管理するなどメリハリをつけるのが良いでしょう。
寒さに弱い種類は、5度を下回る気温は苦手で、植物自体が弱ってしまうので、5度を一つの目安とし、5度を下回る場合は室内で管理するようにしましょう。
置き場所を考慮したい寒さに弱いサボテンの種類としては、花座が特徴的なメロカクタス属のマタンザヌスやディスコカクタス属のホルステイ、ギガンティア、エステぺシー、ユーベルマニア属のペクチニフェラ、プセウドペクチニフェラ、グミフェラなどがあります。
サボテンの育て方③水やり・肥料
サボテンには生育期と休眠期があり、水と栄養を吸収しグングン大きくなったり花を咲かせる時期と、水も栄養もほとんど必要としない時期に分かれるのが自然な状態です。
日本でのサボテンの生育期は春と秋で、休眠期が真夏と冬に当たります。季節に合わせてサボテンを管理してあげると、成長も早く、丈夫なサボテンを育てることができるでしょう。サボテンの育て方の3つめとして、サボテンのサイクルに合わせた水やりや肥料の与え方について説明します。
土が乾いたら水を与える
サボテンの育て方として、土が乾いたら水を与えるというのが基本です。乾燥状態が長く続くことはよくありませんが、常に湿っている状態も病気などの原因になります。鉢植えなどの表面を触って、土が乾燥していると感じたら水を与えるようにしましょう。
季節により時間を変える
先にも少し触れていますが、サボテンには生育期と休眠期が存在しています。基本的には暑い真夏と冬の休眠期には、ほとんど水は必要にならないのですが、暖房などで部屋の中が常に一定の温度に保たれているような環境では、そうはいかないこともしばしばです。
真夏や冬に休眠期に入るサボテンの水やりはどうしたら良いのでしょう。それぞれの季節の水やりについて説明します。
春・夏の終わり
春から夏の終わりにかけての水やりは、午前中のうちに行います。春は夕方になると気温が下がることもあり、気温が下がってから水を与えると土の中の温度はさらに低くなり、サボテンにとってはダメージが大きくなります。
出来るだけ午前中の内に水やりをするのがおすすめです。鉢の表面の土が乾いたら全体が湿るくらいの水を与えるようにしましょう。
真夏
真夏の水やりは夕方から夜にかけてがベストです。本来休眠期に入っているサボテンですが、昼間に乾燥した分の最低限の水だけは与える必要があります。
昼間は気温が上がるので、暑い時期に水やりをすると高温で株が蒸れてしまい、病気などの原因になります。夕方涼しくなってから、水やりをするようにしましょう。土の表面が乾いて2~3日空けるくらいが丁度良い間隔です。
秋・冬の始まり
サボテンの秋と冬の始まりは春と夏の始まりと同様、午前中のうちに水やりをするのがベストです。理由は春と同じ。ほどほどの温かさが感じられる午前中のうちに水やりをしましょう。
秋・冬の始まりの水やりで春と違うのは、サボテンがこれから休眠期に入っていくてめ、間隔を徐々に開けていく必要があること。2週間に1回くらいのペースで行うのがおすすめです。
冬・春の始まり
冬から春の始まりの水やりは、昼間の気温の高いうちに行うことがベストですが、この時期サボテンは完全な休眠期で、ほとんど水を必要としません。ただし、小さな苗などは水やりをしないと乾燥で枯れてしまうこともあります。
気温が5度以上あり、乾燥している場合には月に1回は様子をチェックして気温の高い午前中のうちに水やりを行いましょう。低温時の水やりは、根が傷んだり、根腐れの原因になります。冷たい水を使わずに15度くらいのぬるめの水を与えるのがおすすめです。
肥料は植え替え時に少量与える
サボテンの育て方として、肥料は植え替えの時期に緩効性肥料を少量与えるのがおすすめです。緩効性肥料とはゆっくりじわじわと栄養になるタイプの肥料です。植え替えの時期については次の項で説明しますが、サボテンの休眠期である真夏と冬には肥料は一切必要ありません。
サボテンの育て方④植え替え・剪定
サボテンに限らず、生長し大きくなる植物を鉢植えで楽しむ場合、定期的な植え替えが必要になります。サボテンの場合は根の生育が早く、土の栄養も足りなくなってしまうので、大きな株は1~2年に1回、小さな株は3年に1回程度植え替えするのがおすすめです。
サボテンを大きく生長させたい場合は、根が十分に伸びていける大きさの鉢を準備する必要がありますが、同時に剪定を行っていくことも大切です。サボテンの育て方の4つめ、植え替えと剪定について説明します。
植え替えの適期
サボテンの育て方・植え替えの適期は、サボテンの大きさに対して鉢が小さく感じたタイミングです。冬の植え替えは植え替えした直後のダメージが大きいため、春から秋にかけて、午前中に行うのがおすすめです。
土が乾いている時に植え替え
サボテンの植え替えは棘に注意しながら行いましょう。初心者は特に怪我をしないよう、手袋を使うのがおすすめです。また、植え替えは土が乾いている状態で行うのが適切です。
植え替えの具体的な方法としては、まず水やりを控え鉢の土を乾かします。次に新しい植木鉢の底に鉢底ネットと軽石を敷き、鉢の3分の2くらいまでの土を山型に盛ります。
鉢の側面をたたいて土をほぐし、根を鉢から引き抜きます。根についた土をもみほぐしながら落とし、伸びすぎた根や傷んだ根を取り除きましょう。根をキレイに整理したら根を広げるようにして植え、土を詰めて根をしっかり固めます。
剪定方法
サボテンを植え替えるタイミングで、剪定も行いましょう。葉や茎が伸びて全体の形が乱れているようであれば、剪定を行います。また、サボテンの根元の小さな芽が出ている時には、付け根から切り取り、挿し木などでサボテンを増やすこともできます。
サボテンの育て方⑤増やし方
サボテンは1株からどんどん増やしていくことができます。サボテンの増やし方には3つの方法があり、それぞれについて詳しく説明していきましょう。
小さな鉢をどんどん増やしていくこともできますし、増やし方をマスターしたら、次々と知り合いなどに分けることも可能です。
上手な増やし方でサボテンを存分に楽しんでみてはいかがでしょう。サボテンの育て方の5つめ、増やし方について詳しく説明します。
挿し木の仕方
サボテンの増やし方のひとつめは挿し木です。挿し木は先にも触れたサボテンの根本から出ている仔吹きという小さな芽を切り取って行います。切り取った仔吹きはすぐに植えてしまうと雑菌などが入る可能性があるので、日陰で2~3日乾燥させ、川砂やバーミキュライトの上にのせましょう。
1か月ほど日陰で管理していると自然と新しい根が生えてきます。根が十分に生えてきたら鉢に植え直し、1週間ほどかけてゆっくりと日向に移動させ、水やりをします。挿し木の適期はサボテンの植え替えと同じ、4~9月頃です。初心者にもおすすめの増やし方です。
接ぎ木の仕方
サボテンの増やし方の2つめは接ぎ木です。接ぎ木はサボテンの一部を切り取り、他のサボテンに継ぎ合わせて一つの新しいサボテンを作り上げる作業です。主に根が弱いサボテンを強いサボテンを台座にし、生育を早め、丈夫な株にするのが目的です。
接ぎ木をすることで、より強い棘や花付きを良くすることができます。根腐れが進んだサボテンなども、根を切断し台木につなぐことで、復活させることができます。
接ぎ木によって株を増やすというのは、接ぎ木することで生育が促進されたサボテンの仔吹きがよくなるため、沢山の仔吹きを出させ、それをまた接ぐという作業を重ねて同じ形質のサボテンを増やせるということになります。
ただし、もともとのサボテンの鑑賞価値は薄れてしまいますし、接ぎ木をするとサボテンが急成長するため、本来の姿が失われたり、模様が消えてしまうというデメリットもあるようです。
接ぎ木の適期3~5月頃です。快晴が続き、空気の乾燥している日がおすすめです。梅雨の時期や雨天の日に行うと、切断面の乾燥が遅れるため、腐敗や病気の原因となることがあるので気をつけましょう。
接ぎ木の方法は、まず台木を選びます。台木には、竜神木、袖ヶ浦、三角柱などの柱サボテンや短毛丸、花盛丸などの球サボテンがよく使われます。病気を持っていない実生苗を選ぶのが大切です。
台木となるサボテンと増やしたい接ぎ穂のサボテンをカッターナイフを使ってそれぞれ水平に切り、お互いが密着するように重ね合わせます。このとき、台木となるサボテンを切るカッターと接ぎ穂となるサボテンを切るカッターは別のものを使うのがベストです。
水平に切り落した断面同士を重ね合わせますが、この時、維管束と言われる植物に水や養分を送るパイプの束同士を重ね合わせるようにするのがポイントです。重ねた上からガーゼや包帯をかぶせます。
風通しの良い明るい日陰に置き、包帯をかぶせた後20~30分扇風機で風を当てるとさらに成功率が上がります。10日間ほど放置し、その間水やりや移動はしないようにしましょう。
10日後、棘などに引っかからないようにガーゼなどを外します。成功してればしっかり密着しているはずです。初心者には少し難しい増やし方です。
種まきの仕方
サボテンの増やし方の3つめとして、種まきによる増やし方も可能です。サボテンは他の植物と同じように種で増やすことができます。種の発芽する温度は20~25度で、地域にもよりますが、3月上旬から10月にかけてが適期と言えるでしょう。
サボテンの増やし方・種まきの方法は、浅い平場地の底に軽石を入れ、上から川砂や赤玉土などの粒子の細かい清潔な土を入れておきます。そこに、種同士が重ならないようにまき、土はかぶせずに水を張った容器の中に鉢を置いておきましょう。
鉢に透明なガラス板かサランラップをかぶせて鉢を密閉し、半日陰に置いて管理します。3日~1週間ほどで発芽することがほとんどですが、中には1か月かかることもあります。
芽が生えそろうまでは水を切らさないようにすることが重要です。発芽が確認出来たら、3~4日ほどかけてガラス板やラップを徐々に外します。
風通しを良くし、乾燥を防ぎながらある程度まで育て、3か月ほど経ったころに一つずつ鉢に植え替えます。初心者にもぜひチャレンジしてほしい増やし方です。
サボテンの育て方⑥害虫・病気
サボテンの育て方として、害虫や病気にも配慮して管理する必要があります。特に花芽や新芽などの柔らかい個所は被害を受けやすいので注意しましょう。
サボテンの病気は大きく2つに分けることができます。ひとつは害虫によって引き起こされる病気、もうひとつは菌によって引き起こされる病気です。注意したいそれぞれの病気について詳しく説明します。
注意したい害虫
サボテンの病気を引き起こす害虫には、カイガラムシやワタムシ、コナカイガラムシなど棘や皮の溝につく害虫、ハダニなど高温乾燥の環境下で発生する害虫、さらに冬の休眠中に繁殖することが多いネジラミの3つの種類があります。
棘につくカイガラムシなどの害虫は幼虫のうちにスプレーで殺虫剤をまいて駆除します。特にコナカイガラムシは寒くなると地中に潜るので、植え替えの時期に土を入れ替えることで予防することができます。
ハダニは高温乾燥で発生しますが、水に弱いため、定期的に霧吹きなどで水を振りかけるようにすると予防できます。大量発生した場合は殺ダニ剤を使用して駆除しましょう。
ネジラミは、2~3mmの白い虫で、根の周りに発生します。春の植え替えの時に根をチェックし、見つけ次第取り除くようにします。また、根に異常がある場合はサボテン全体に行き渡るような浸透移行性の殺虫剤を土に混ぜるようにしましょう。
注意したい病気
サボテンの菌による病気には赤くされ病、黒くされ病、黒斑病、すす病などがあります。赤くされ病は、根本や根が赤くなって柔らかくなる病気で、黒くされ病は逆に黒くなり柔らかくなる病気です。
黒斑病はサボテン本体に黒い斑点が付き、次第に広がっていく病気で、進行すると灰色のカビが生えてきます。すす病はサボテンの棘にすすのようなカビが生える病気です。
病気を避けるためには湿度の高い梅雨の時期の管理が大切で、なるべく乾燥した風通しの良い置き場所を設置することが重要です。ただし直射日光は変色の原因になるので、注意しましょう。
病気になってしまったサボテンは、病気部分を切り取り、キレイな部分だけを残すようにします。切除部分は30分くらい日に当て、日陰で数か月乾燥させましょう。切除部分が乾燥したら新聞紙で全体を包み発芽を待ちます。発芽後は、挿し木と同じ手順で土に植えましょう。
サボテンを元気に育てて楽しもう!
いかがでしたでしょうか。サボテンは置き場所や水やり、管理の方法など育て方のコツをつかめば初心者でも比較的簡単に楽しめる植物です。増やし方を覚えれば、どんどん増やしていくこともできます。ぜひ初心者向けのサボテンを購入して育て方をマスターし、楽しんでみてはいかがでしょう。