ハブリングとは
愛車をドレスアップしたい、その第一歩と言えばホイールの交換、最近では沢山の社外ホイールが発売されていて定番となりました。お気に入りホイールのオフセットやPCDはまず気に掛かり、異なると着かなかったりはみ出したりしてしまいます。同様にハブのサイズが合うかが問題で、社外ホイールの換装にはハブリングを取り付ける場合が殆どとなります。
ハブリングとは名の通り、車軸のハブに取り付ける「輪っか状のリング」で、ホイールのセンターホールと車側のセンターハブの間に出来る「隙間を埋める」重要な役割を持つパーツです。また、車の回転軸を安定させる大きな効果も発揮しています。
ホイール中心部の隙間を埋めるもの
車軸の中心部に位置する丸い部分がセンターハブと呼ばれる部品です。最近は社外製の人気ホイールが増えてきたことで純正で無いホイールを装着するユーザー増えています。この為メーカーはコスト削減からハブサイズにある程度余裕を持たせて供給、様々な車種へ対応できるようにしています。このホイール中心部の接点の隙間を埋めるのがハブリングです。
ハブリングを取り付ける本来の目的は「走行時のハンドル振動回避」や「ホイールとナットの緩み防止」で事故を未然に防ぐことです。その重要な役割と効果から、社外ホイールを使用する際は、全てのホイールに取り付けることが推奨されています。
ハブリング・役割と効果
センターハブは、ホイール装着時に「センターを出す」という重要な役割を持っています。純正ホイールであれば、ホイールハブの径がセンターハブにピッタリと合うように調整してあります。しかし、社外品は汎用性重視で「少々大きめなホイールハブサイズ」なので、ハブリングが隙間を埋めて、より正確に中心を保ちセンターを出す役割を担います。
また、ハブサイズはホイール交換における重要ポイントであり、人気のハブリングを選んでもホイールハブより小さくなければ装着できません。適合するハブリングでハブサイズを合わせることで、高精度でホイールを回転させ安定した走行をもたらす効果があります。
①隙間を埋めて車の安定感を増す
先述した通り、純正ホイールはハブとセンターホールがしっかりと嵌まりセンターが出るように設計されています。社外ホイールは多くの車種に対応できるようにセンターホールのサイズが大きめになっています。その為、一般的には社外ホイールの多くは、テーパー(先細り)のホイールナットを使用してホイールのセンター出しをしています。
ですが、当然ハブでセンター出しをした方が確実で位置がずれず、ホイールの取り付けが出来て安心です。社外品ではハブ径がピッタリとはいかないため、ハブリングを使用することで、確実にハブに固定したセンター出しで回転軸が安定する効果を引き出しています。
社外ホイールで高速道路を走行すると「ハンドルに僅かな振動が出る」という声を多く聞きます。その時、ホイールバランスのウエイトは問題ないのであれば一度ハブリングの使用をおすすめします。きっとホイールとハブの接地面積が増えてハンドルは落ち着くでしょう。
②ホイールナットの緩み防止
さらにメリットとして、ハブリングを使用し車側のハブとホイールのホールとの隙間を埋めることにより、「走行時の振動やホイールナットの緩みを防止する」効果があります。特に輸入車に多くみられるようにホイール側からボルトを埋め込むタイプの車は、しっかりしたセンター出しのためやボルトの緩み防止にハブリングは大きな役割と効果を発揮します。
また、ハブリングが必要となるのは国産車も例外ではありません。トヨタや三菱などは純正ホイールを使用しており、一般的なナットで無い「平座タイプのナット」が採用されています。その為ハブリング無しではハブ径を合わせることが出来ないので注意が必要です。
ハブリング・メリット
愛車をドレスアップするホイール交換の際には、ハブ径を合わせることは「基本中の基本」と捉えてください。それは安定した走行を保ち、社外ホイールを使用し、ホイールを原因とした事故の防止を両立させるためにはハブリングは欠かせないという事になります。ここでは、そんなメリットの他にどんなメリットがあるのか解説していきます。
①ホイールを長持ちさせる
ハブリング無しでは車軸とホイールのハブサイズが合わないまま、ボルトとナットだけでホイール支えることになります。こんな場合は、高速道路など速度を出して走行する際に振動が伝わり続けるようになったり、最悪の場合には装着したホイールが変形・破損したりすることもあります。こんな事からハブリングはホイールを長持ちさせるメリットがあります。
②社外ホイールにも対応
社外ホイールはメーカーや車種によって違いがあるハブサイズに対して、汎用性を持たせたるために穴のサイズを大きく設定しています。ハブリングを利用せず社外ホイールを装着すれば、ハブとホイールとの接合部に数ミリ単位の隙間が生じてしまいます。その為、ハブリングを使用することで殆どの社外ホイールにも対応できるようになりメリットとなります。
ハブの隙間は、走行中にハンドルが振動するシミー現象の原因の一つとなり回転軸を不安定にしてしまいます。社外ホイールを装着する場合は、ハブリングがシミー現象を抑制させ重心と回転軸が安定する役割と効果の他、ナットが緩みにくくなるメリットを発揮します。
③スペアタイヤの装着にも便利
ハブリングの最大のメリットは、利用することで様々な社外ホイールを装着できるようになることです。突然のパンクなどでスペアタイヤが欲しい時などハブリングが大活躍してくれるでしょう。応急用の廉価なスペアタイヤを利用したり、社外品を借りたりして対応できてしまいます。さらに前後のタイヤサイズにも対応できてハブリングの恩恵に感謝です。
④冬場もオシャレは譲れない
雪国にお住まいの人は冬のスタッドレスタイヤへの交換はルーチンワークとなります。一年の内、雪の季節が半分以上の地域も中にはあり、そんな冬場でも足回りをドレスアップした車で過ごしたいものです。社外ホイール・スタッドレスタイヤの値頃のセット品は、ハブでセンター出しをするタイプが主流です。こんな時にも活躍してくれるのがハブリングです。
ハブリング・デメリット
ハブリングの利用にはメリットばかりでなく、一度取り付けたら滅多に外す機会がない為に大きなデメリットもあります。デメリットの代表例をとしては、ハブリングを「取り外すのを忘れて」スペアタイヤを装着してしまった場合や「長い間付けっぱなし」にしてメンテナンスを怠った場合などに起きる、面倒で厄介な費用が掛かるデメリットとなります。
①一度装着すると忘れやすい
愛車の足回りドレスアップが終わり満足してしまうと、ハブリングを装着したことは忘れがちです。それはハブリングは一度装着すると滅多に取り外す機会に恵まれないことが原因です。そのためにパンクで純正スペアタイヤを取り付ける際にハブリングを外すのを忘れて、スペアタイヤを装着した結果、ナットを締め付ける時にハブボルトを損傷したりします。
②純正ホイールではデメリットも
ハブリングが必要になるのは「社外品」のホイールであることは理解頂いたでしょう。ですので「純正」ホイールはリアもフロント用のものも問わず、どちらもハブリングは不用の設計になっています。その為、無理に装着しようとするとホイールに不具合を起こすデメリットがある他、走行に悪影響が出たり、最悪の場合はホイールが脱落する危険性もあります。
正しいハブリングの外し方
取り外しが難易なこともデメリットでしょう。不幸にもハブリングを外すのを忘れてホイールを取り付けると「ナットが硬い」という違和感を感じつつも締め続けハブボルトを痛め交換となってしまいます。そうならない為、次の手順で必ず外しておきましょう。ハブリングの外し方は、はめ込んだリングとハブの取り付け面の隙間から慎重に始めます。
その隙間から対角線上にマイナスドライバーなどを優しく差し込み、てこの原理で引き起こす感覚で隙間を作ります。その後、ある程度ハブリングが起き上がるとすんなりと外れます。これで取り外す際のデメリットは克服、また、ネットで重宝するツールも探せます。
ハブリング・社外ホイールに必要?
一般的に社外ホイールにはセンター出しの為にハブリングが必要となり、ある意味デメリットでもあります。しかし「絶対的」とは限らず、ハブリングが不要な社外ホイールも存在します。それは、あらかじめナット取り付け位置にセンター出しがあるホイールです。この種類のホイールにハブリングを取り付けるとナットがずれてしまい危険になってしまいます。
社外ホイールはハブ径のサイズが大きめ
ドレスアップの目的で純正ホイールから社外ホイールに交換する際に、ホイール径やP.C.Dといった数値サイズほどには、ハブサイズは意識されていないのが普通です。その理由は、社外ホイールの各メーカーが商品に汎用性を持たせるため、普及する車種のハブサイズよりも大きいサイズをホイール径としていることがあります。
メーカーとしては、各サイズごとに対応するホイール径を生産し提供するにはコストが掛かり過ぎるためで、この点は各メーカーは足並みが揃っています。何れにしても、ハブリングはリーズナブルな値段でもあり自分好みのホイールの装着を可能にしてくれます。
さらに社外品はひと工夫して、ホイールを装着の際に取り付け面が斜めになっているナットを用いることで、センター出しの効果を高めています。社外メーカーは、このナットを利用しつつホイール径を大きめに作る対応を取って、そのデメリットを解消しています。
ハブリングが不要なホイールの仕組み
社外ホイールの使用にはハブリングの役割や効果、そしてメリットを知ると絶対に必要と感じてしまいます。しかし、その中にはハブリングが不用なホイールも存在します。それはナットの役割に大きな違いがあるテーパーナットを使用するホイールです。このテーパーナットのメリットは、ナットによるセンター出しが可能でハブリングは特に必要ありません。
ハンドルのブレが出なければ不要
社外ホイールでもセンターホールとハブに隙間が無い場合はハブリングの役割も効果も無くなるので付ける必要はありません。また、ハブリングを装着しなくてもハンドルのブレが出ない場合は、ナットの締め付けで上手くセンターが出ていますので不要でしょう。特に、車両重量が軽くパワーも小さ目な軽自動車などの場合はこんなケースが多く見受けられます。
ハブリングは必要派と不要派に分かれている
ハブのサイズは車種ごとに異なっていて、国産小型車のサイズは概ね54~56mm、普通車サイズで60~67mmと多岐にわたります。プジョー、シトロエン、ボルボなどは65mm、メルセデス、ワーゲン、アウディはPCDは同じもメルセデスが66.5mm、ワーゲン、アウディは57mmなどと異なっており、同じホイールでも共有できない仕様となっています。
こんなことから、車種によってはハブリングがないとハブとホイールのハブサイズがピッタリ合わない事態となります。このような状態を良しとしないハブリングの役割・効果の必要派と、ナットで止めれば大丈夫というハブリング不要派とに分かれているのが現状です。
国産車の場合
国産車の場合は、ハブリングは「必要ない」という意見が主流を占めているのも事実です。その理由は、ハブリングがなくてもテーパーナットを均等にしっかり締めていればセンター出しは可能としていることです。そもそもハブリングの内径はほんの僅かハブより大きいことや、ハブリング無しでの事故報告も無く法規制が無いことも根拠としています。
輸入車の場合
輸入車の場合は、国産車とは真逆でハブリングは「必要」という意見が主流を占めています。特に欧州車の場合はホイールはハブ径にピッタリ合っていいた方が良く「絶対に必要」と言われています。その理由は、一般的に欧州車は車軸側ナットになっていて、ボルトを使ってホイールを取り付けるからなのです。この辺はホイール選びのデメリットとなります。
その為、国産車の様に車軸から出ているボルトにホイールを掛けておいて、ナットを順に締めていく手順が踏めず、ハブにホイールを嵌めてから穴位置を調整してボルトで固定する手順となります。これは重労働で作業状のデメリットと言えるでしょう。
この時、ハブサイズが合っていないとハブ側の穴とホイールの穴を合わせるのに大変な苦労となります。重たいタイヤ付きのホイールを持ったまま、ナットとの穴の位置を正確に合わせる、こんな神業は無理でしょうから、ハブリングの利用をおすすめします。
ハブリング・注意点
ここでは、ハブリングを装着する際の注意すべき点を解説していきます。ハブリングを装着したことは忘れやすいもので、そのため長い間ハブリングを付けっぱなしにしておくと、サビによりハブとハブリングが固着して外れなくなってしますことがままあります。この時、純正ホイールに戻そうとしてもハブリングが外れないという大変なデメリットとなります。
そんな事から、ハブリングを装着する際には事前にハブ面のサビをきれいに落とし、サビ止め剤を塗布するなどの対策をする必要があります。さらに、理想なのは定期的なメンテナンスを施して、予防対策を万全にすることをおすすめします。
ハブリング固着防止にサビ止め加工
新たに装着したハブリングにたとえサビが発生したとしても、強度や機能に目立った差し障りはありません。しかし、スノータイヤに履き替えたりタイヤローテーションやスペアタイヤに付け替える場合、ナットが硬くなって遣りずらくなったりしてしまいます。最悪の場合は、前述したデメリットでホイールそのものが外れなくなる状況も起きてしまいます。
ですので、ハブリングのサビ止めはやっておくべきことと言えるでしょう。タイヤ専門店やカー用品店で施工してもらうのも良いでしょうが、グリスやラッカー塗料など市販のシャーシーブラックのスプレー缶で手軽に塗布するDIY型でも十分なので試してみましょう。
樹脂製のハブリングも選択肢の一つ
足回りのドレスアップはしたいけど、ハブリングの取り付け前に行うサビ対策が面倒と感じている方、あるいはハブリングの固着デメリットがどうも心配だ、という方へおおすすめするのが樹脂製ハブリングです。ホイールショップや通販でも多くの種類が流通していて手頃です。樹脂タイプは耐久性では金属タイプより劣りますが役割や効果は十分に発揮します。
ハブリングの選び方と取り付け方法
ここからはハブリングの失敗しない選び方を解説します。まずはホイールのセンターホールと車軸側のセンターハブのサイズを測りましょう。使うのは100円均一などで販売されているノギスで十分です。このノギスでホイールセンターホールの内径と車軸側の外径を測ります。小さなインチのホイールなどでノギスの先端が引っ掛かる場合はカットしてください。
センターホールとハブのサイズが測定出来たら、カー用品店やネット通販でマッチするハブリングを購入します。適合するサイズはハブリング商品の表面の右上に大きく表示されていたり、商品説明に記載されていますので、そこを見て判断してください。
商品パッケージには「73/56」や「73/67」などの数字が記載されています。左の数字がホイールのセンターホールサイズ、右の数字が車軸側のハブ径を表しています。例えばプリウスにセンターホール73mmの社外ホイールを付ける場合は「73/56」を選ぶという事です。
ハブリングはツバ付きがおすすめ
ハブリングには、「ツバ付き」と「ツバ無し」の2種類があります。ハブリングを利用するのならツバ付きのリングをおすすめします。ホイールホールの裏側にはテーパー(先細り)になっている部分があります。ツバ付きのリングを使用することで、この部分にツバが引っ掛かり固定され安定します。
ハブリングはとても精度が高いもので、ツバ無しのリング状では嵌まって取り外せなくなる場合が多くあるのでツバ付きのハブリングをおすすめします。また、ツバ付きタイプはホイールスペーサーとの併用が可能なものもありオフセット調整時にも使用されています。
ハブリングの上手な取り付け方法
ここからは実際のハブリングの取り付け方法を解説していきます。とは言っても特別に難しいものでもなく、ジャッキアップをして既存のホイールを外したら、手にしたハブリングを車軸のハブに嵌めこむだけのことです。コツとしては製品の役割や効果を引き出すため、また、製品の特性上非常に制度が高いのでハブの清掃・サビ取りを行ってください。
そして、ハブリングを嵌めこむ際に特に注意したいのがハブリングの向きです。「ハブリング装着は必ずテーパーのある方を車軸側に嵌めこむ」ことが重要です。こうすることによりハブリングをセンターハブの奥側までしっかりと挿入することが出来ます。
メーカー・車種別ハブ径
ここでは把握すべきハブ径について、その代表例をご紹介します。まずは国産車から、ハブ径(サイズ)67mmはマツダ「RX‐8、CX‐3、CX‐5など」、トヨタ「クラウン(130系・140系)、ハイラックス(2WD)など」、三菱「デリカD5、アウトランダー、GTO、など」、66mmは日産「スカイライン、GT-R、セレナ、リーフ、X‐TRAILなど」となり。
64mmではホンダ「ヴェゼル、オデッセイ、ステップワゴンなど」、60mmではトヨタ「アルファード、ハリアー、C-HR、プリウスαなど」、レクサス「GS、SC、RX、HS、RC、NXなど」、スズキ「スイフトスポーツ、エスクード、エブリィなど」になります。
さらに56mmでは、ホンダ「フィット、N‐BOX、グレイス、S660など」、スバル「フォレスター、XV、レヴォーグ、インプレッサなど」、トヨタ「86」、54mmではトヨタ「アクア、ヴィッツ、プリウス、カローラ、シエンタなど」となっております。
輸入車のハブ径
輸入車ハブ径の代表例は、66.5mmでメルセデス「Aクラス、Cクラス、Eクラス、Sクラスなど」、アウディ「A5、S5、A6、A7、S4、S6など」、66mmはボルボ「S60、V70、S70、C70、V90など」、シトロエン「C2、C3、CAピカソ、エグザンティア」、57mmはVW「ポロ、ゴルフ、ティグアン、ニュービートルなど」の構成となっています。
ハブリングは車の走行を安定させる効果がある
ハブリングの「役割・効果」については賛否両論あります。走行面において安定した回転軸を確保できるので必要、ナットで十分で不要とも言われます。しかし、純正と同じような感覚で、簡単に確実にホイールナットで締め付けできるというのは重宝ではないでしょうか。僅か1,000円程で、その機能が手にできるのであれば使用しても何も損は無いはずです。