生姜の育て方【基本情報】
生姜はショウガ科の多年草で、細長いものからよくスーパーで見かける大粒のものもあります。原産地は東南アジアで、野菜として食材に使われるほか、生薬としても使われています。中国から日本に伝えられた生姜は、世界各国でも栽培されている身近なものです。
畑やプランターで手軽に栽培できる生姜は、家庭菜園におすすめです。まずは、生姜の育て方の基本情報、栽培時期と3種類の生姜が楽しめる収穫時期についてご紹介していきます。
生姜の読み方
生姜の育て方の基本情報「生姜の読み方」です。「しょうが」と読むのが一般的ですが「しょうきょう」とも読み、どちらもショウガ科の多年草を指します。
文学の世界では、「しょうが」78.4%・「しやうが」13.5%・「はじかみ」5.4%・「しようが」2.7%の割合で使われています。
生姜の栽培時期
生姜の育て方の基本情報「生姜の栽培時期」は、4月中旬~5月中旬が適しています。(お住いの地域や植える品種により前後します。)生姜の栽培は、種から植えるのではなく、根生姜と呼ばれる生姜の根を植え付けします。栽培時期の4月中旬には、ホームセンターや園芸店・インターネットなどで購入できます。
生姜の収穫時期
生姜の育て方の基本情報「生姜の収穫時期」は、生姜の種類に関係します。生姜は「筆ショウガ」「葉ショウガ」「根ショウガ」の3種類を栽培することができますが、栽培時期や栽培方法・植え付ける根生姜もすべて同じです。収穫時期をずらすだけで呼び名も変わり、3種類の生姜を楽しむことができます。(保存をすることで4種類楽しめます)
筆ショウガ
生姜の育て方の基本情報「筆ショウガ」が収穫できる時期は、植え付けから約2ヶ月後の6月~7月になります。筆ショウガの収穫時期の目安は、新生姜の葉っぱが3~4枚ほど付いた頃です。収穫方法は、株元を手で押さえ、古根を土の中に残したままかきとり(引き抜き)ます。
葉ショウガは矢ショウガとも呼ばれ、収穫した生姜の根を筆の穂先のように整え熱湯にくぐらせ甘酢に浸し、焼き魚などの付け合わせにします。
葉ショウガ
生姜の育て方の基本情報「葉ショウガ」が収穫できる時期は、植え付けから約3ヶ月後の7月~8月になります。葉ショウガの収穫時期の目安は、生姜の葉っぱが7~8枚ほど付き根元が赤く染まってきた頃です。収穫方法は、根ごと土から引き抜きます。
葉ショウガで有名な「谷中生姜」の名前の由来は、生姜が江戸の谷中の特産品であったことから名づけられました。
根ショウガに比べて、辛みが少なくやわらかいのが特徴です。表面の薄皮をきれいにとり生で食べるほか、味噌をつけて食べたり甘酢漬けにするのが一般的です。
根ショウガ
生姜の育て方の基本情報「根ショウガ」が収穫できる時期は、植え付けから約5か月後の10月~11月になります。根ショウガの収穫時期の目安は、葉先が黄色く枯れてきた頃です。収穫方法は、根が見えるまで茎の周りを優しく掘り起こし、葉をもって引き抜きます。
引き抜いたばかりの生姜のことを「新ショウガ」と呼びます。お寿司に添えられるガリは、この新ショウガを使い甘酢漬けしたものです。
根ショウガはひねショウガ・ひねりショウガとも呼ばれ、引き抜いたばかりの新ショウガを2ヶ月以上寝かせたものです。スーパーなど店頭に並んでいるショウガは、根ショウガになります。固く繊維質で、辛みが強いのが特徴です。
生姜の育て方【栽培環境】
生姜を育てるために、まず考えなければいけないことは、生姜の栽培に適した環境づくりです。生姜は高温を好みますが、強い日差しを浴びると乾燥して弱ってしまいます。生姜の栽培は、適度な気温と湿度を保てる環境づくりが必要です。ある程度日光が当たり、真夏の強い日差しは避けられるような半日陰で育てるとともに、適した土づくりも必要です。
プランター
生姜の育て方「プランターの栽培環境」のコツは、深さのあるプランターを用意することです。深さ30㎝・幅60㎝のプランターでは、植え付けの目安は2~3株になります。
プランターで栽培できる生姜は、ベランダでちょっと家庭菜園を始めたい人にもおすすめです。長時間日光が当たらないよう、生姜より背の高い植物や野菜で日陰をつくったりシートを張るなどして、半日陰になるよう環境を整えましょう。全く日の当たらないベランダでの栽培には適していません。
畑(地植え)
生姜の育て方「畑(地植え)の栽培環境」のコツは、適した環境に植えることです。畑(地植え)栽培は、プランターのように途中で移動することができないので、生姜栽培に適した土作りも重要です。気温は15℃~30℃、適度な水分が保てる粘土質の土が適しています。水はけの良すぎる土地は、粘土質の土になるように赤土や黒土など加えましょう。
生姜の育て方【準備物】
生姜をプランターや畑(地植え)で育てるために、種生姜と肥料を準備する必要があります。種生姜とはどのようなものか、どこで購入すればよいのか、種生姜の種類や選び方などのコツもご紹介します。また、生姜栽培に適したプランターと畑(地植え)それぞれの土づくりも必要です。土づくりに必要な肥料についてもご紹介するので参考にしてください。
種生姜
生姜の栽培で準備するもの「種生姜」は、ホームセンターや園芸店・ネットショップでも購入が可能です。種生姜の品質は収穫する生姜の品質に影響するので、良いものを購入することが大事です。
種生姜の選び方のコツは4つあります。①表面の色つやが良く、鮮やかな黄色のもの②表面が水分を含みみずみずしいもの③芽がついているもの④病根のないものを選びましょう。
種生姜の種類
生姜の栽培で準備するもの「種生姜」にはいろいろな種類があります。紅生姜やガリをつくりたいなら「大生姜」、味噌をつけて食べたいなら「小生姜」がおすすめです。
大生姜の代表的な種類は「大身(印度)」「八郎」「お多福」などで、つくりやすいのは「お多福」です。辛みや香りがマイルドな「土佐」もあります。中生姜の種類は「近江」で、辛みと香りが強いのが特徴です。小生姜の代表的な種類は「谷中」「金時」「三州」などで、ピリッとした辛みが特徴です。プランター栽培には丈夫な「三州」がおすすめです。
肥料
生姜の栽培で準備するもの「肥料」は、生姜の栽培に適した土づくりに必要です。生姜は適度な気温と水分が保てる粘土質の土を好みます。プランター栽培の場合は土がない状態から準備するので、市販の培養土を用意しましょう。自作する場合や畑(地植え)栽培の場合は別の肥料が必要になります。
肥料の選び方
生姜の栽培で準備するもの「肥料の選び方」は、プランターと畑(地植え)栽培で変わってきます。プランター栽培では、野菜用の土など培養土を準備しましょう。自作する場合は、赤玉土(小粒)6:砂2:バーミキュライト3を混ぜます。用土10Lに対し、苦土石灰(くどせっかい)10gと化学肥料20gを加えて完成です。
畑(地植え)栽培では、生姜が好む弱酸性~中性の土壌にするため、植え付けの2週間ほど前に苦土石灰を1㎡100~150gを目安にまきます。1週間後に1㎡3㎏の堆肥と有機肥料150~200g(化成肥料は100g)を蒔き、よく耕します。
生姜の育て方【植え付け】
生姜が好む土壌が準備できたら、植え付け作業に取り掛かりましょう。まず、種生姜を栽培に適した大きさに揃えます。次に、プランターと畑(地植え)それぞれに栽培のコツがあります。立派な生姜を栽培するために気をつけなければいけない注意点などを含め、植え付け方法をご紹介していきます。
種生姜を1片50g前後の大きさにする
生姜の栽培で植え付けする種生姜を準備します。生姜の栽培に適した大きさは、1片50g前後です。購入した種生姜が大きいものは、手で割りましょう。包丁など使うのはおすすめしません。コブとコブの細くなったところを目安に、1片に2~3芽ついている状態が好まれます。切り口を2~3日乾かしておきましょう。種生姜準備のコツは「手で割る」です。
鉢・プランターの植え付け方法
生姜の栽培「鉢・プランターの植え付け方法」を簡単にご紹介します。まず、底にネットを置き軽石を敷き詰めます。培養土か自作の用土を6割ほど入れ、種生姜を20~30㎝間隔で並べます。芽が出ている場合は上に向くよう並べ、上から土を5~10㎝ほど入れます。最後にプランターの下から水が出てくるまでたっぷり与えて完了です。
畑(地植え)の植え付け方法
肥料の項で紹介したように、土壌を準備します。堆肥と有機肥料を混ぜた後は、水はけがよくなるよう畝(うね)を作っておきましょう。畝は幅60㎝高さ10㎝が目安です。1週間後、種生姜を20~30㎝間隔で並べていきます。小生姜は深さ7㎝、大生姜は深さ10㎝と、種類により深さを変えましょう。土をかぶせてたっぷりの水を与えます。
生姜の育て方のコツ
生姜の育て方のコツは「水やりの頻度」と「肥料を与える頻度」です。生姜は乾燥に弱いので、水やりは必須です。植え付けした後に肥料をまくことを追肥といいますが、生姜栽培に追肥は必要でしょうか。植え付けした後は追肥しなくても育ちますが、追肥することで立派な生姜が収穫できます。
水やりの頻度は多めに
生姜の育て方のコツ「水やりの頻度は多めに」生姜は乾燥に弱いため土が乾かないように水やりが必要です。プランター栽培の場合は週に1度の水やりが目安です。夏場の暑い時期は乾きやすいため、朝晩の水やりをおすすめします。畑(地植え)栽培の場合は、2~3日を目安に水やりしましょう。株元に敷きわらを置くことで湿度を保つことができます。
肥料は1ヶ月に1回のペースで与える
生姜の育て方のコツ「肥料は1ヶ月に1回のペースで与える」追肥の目安は、生姜の葉っぱが2~3枚ほど付き丈が15㎝ほど。その後は丈が30~40㎝になったら1ヶ月に1回のペースで与えましょう。追肥方法は、有機肥料なら1㎡50~100g、化学肥料なら30~50gを、株周りの土と混ぜ合わせて株元にかぶせることで種生姜についた新しい生姜の乾燥を防きます。
8月中旬までに3回を目安に追肥しましょう。敷きわらを使っている場合は、一度よけてから追肥しましょう。
生姜栽培で注意すること
生姜の栽培で注意することは、湿度を適度に保つことです。生姜は高温多湿を好むため、どのような対策が必要なのかご紹介します。また、根茎腐敗病や害虫・アワノメイガの被害を防ぐために、どのようなことに注意する必要があるのか、こちらも詳しくご紹介していきます。
湿度を適度に保つ
生姜の栽培で注意すること「湿度を適度に保つ」生姜が好む高温多湿を具体的な数値で示すと、気温は15度以上で25~28度が適温です。15度を下回ると、根腐りを起こすので注意しましょう。多湿とは、直射日光を避け、日当たりがよく土が湿った状態を保てる環境です。
プランター栽培の場合は丈の高い野菜で影をつくったり、畑(地植え)栽培の場合は遮光ネットを使うことをおすすめします。乾燥が気になる季節は、敷きわらをおすすめします。
根茎腐敗病に気を付ける
生姜の栽培で注意すること「根茎腐敗病に気を付ける」ためにはどのような対策が必要でしょうか。ます、根茎腐敗病は「こんけいふはいびょう」と読みます。症状は根ショウガを収穫する時期の見た目のように、茎や葉っぱが黄色く枯れた状態になります。カビの一種で土壌から感染します。
根茎腐敗病は、水はけが悪く湿気が多すぎることが原因です。湿気が多くなりすぎないよう、適度に水はけのよい土壌づくりに注意しましょう。
アワノメイガに注意する
生姜の栽培で注意すること「アワノメイガに注意する」アワノメイガとは、体長5㎜~2㎝ほどの黄白色の幼虫で、見た目はイモムシに似ています。茎や根などを食害しトウモロコシを好む害虫です。
見つけたらすぐに駆除しましょう。連作が原因で害虫が発生することがあります。土壌に原因がある場合は、害虫が嫌うマリーゴールドを植えると効果があります。
根ショウガの保存方法
根ショウガの項でご紹介したように、新ショウガを2ヶ月以上寝かせることで根ショウガになります。15度前後で湿度を保った状態で保存する必要があります。掘り起こした新ショウガを土付きのまま新聞紙で包み、水道水で濡らして発泡スチロールに詰めて保存します。新聞紙で隙間を埋めるよう敷き詰め、ガムテープで密封することで長期保存できます。
生姜の育て方のコツは水やりを忘れないこと
生姜の育て方のコツは「水やりを忘れないこと」が一番です。プランター栽培と畑(地植え)栽培では土の乾くスピードが違います。プランターの方が乾きやすいことを覚えておきましょう。土が完全に乾く前に水やりする必要があります。梅雨の時期や日照りが続いたりと日々土の状態は変わってきます。目で見ても判断できなければ実際触り判断しましょう。