宝くじ・期待値(還元率)とは
昔から日本人にはなじみの深い「くじ」ですが、年末ジャンボ宝くじを始め今でも人気です。日本で一度でも宝くじを買ったことがある人は全体で78%という報告もあります。そんな身近な宝くじですが意外にも宝くじの「期待値」や「還元率」については気にしたことが無いという人も多くいらっしゃるようです。
ここでは「期待値」や「還元率」の意味から計算方法、他のギャンブルと比較してお得かどうか。等について調査してみました。
当選金として分配される率
宝くじの「期待値」と「還元率」はほぼ同じです。還元率とは皆さんが宝くじを購入した総額に対してどのくらいの金額が「当選金」として支払われているかという割合になります。
宝くじの売り上げが6億で還元率が50%とすると、6億円の半分の3億円が当選金として当選者に支払われているという事です。
簡単に考えると宝くじ1枚300円の半分は運営側の運営費や収益に回っているという事になります。期待値はこの還元率に1枚の購入金額をかけたものです。期待値(還元率)が高ければ高い方が当選者に対して支払われる金額が高いのでお得なくじともいえます。
宝くじ・期待値(還元率)計算方法
期待値、還元率について知ると実際に自分が買っている宝くじの期待値や還元率が気になります。宝くじの期待値、還元率の計算は意外と簡単です。①宝くじ1枚の購入金額②宝くじの総売り上げ金額③宝くじの総当選金額の3つが分かれば計算できます。実際の宝くじを例にとって計算してみました。
売上と当選金から計算
宝くじの還元率は「宝くじの当選金額」÷「宝くじの総売り上げ金額」で求めることができます。例として2018年のサマージャンボで計算してみます。2018年サマージャンボは1等賞金が5億円で21本。前後賞1億円を含めた6等300円までの賞金総額は296億790万円でした。
売り出し枚数は2億1千万枚。1枚300円で販売しているので、売上総額は2億1千万×300円で630億円。還元率は296億790万÷630億×100=46.9966と割り切れないため、約47%となります。期待値の計算は1枚当たりの販売額×還元率です。
2018年のサマージャンボ1枚300円で販売しているので、300×47/100=141。141円となります。300円で買ったくじですが運営費用や収益金として159円かかるので宝くじそのものの価値としては141円分くらい。ちょっと損した気持ちになりそうです。
知っておきたい当選確率
期待値(還元率)についてはご理解いただけたでしょうか。期待値も還元率もどのくらいの割合のお金が収益金になるのかという目安になります。
一般には期待値(還元率)よりも「当選確率」のという言葉を耳にする機会が多いです。この章では期待値(還元率)と共に知っておきたい当選確率について簡単なご紹介をしていきます。
宝くじの当選確率はどのくらい?
「宝くじに当たる確率は交通事故に遭う確率より低い。」等ともよく言われます。当選確率とはこの当たりが出る確率のことです。当選確率はそのつど違いますがジャンボ宝くじで1等が出る確率はおよそ1/10,000,000。
0がいくつあるのか分からなくなりそうですが一千万分の1です。雷に当たる確率が同じ一千万分の1と言われているので如何に当たりにくいかがわかります。2等でも1/3,333,334です。末等は10枚に1枚当たるので1/10で身近ですが、高額当選はなかなかしにくいのが現状です。
宝くじ・期待値(還元率)低い
実際の宝くじで期待値(還元率)を計算すると、期待値(還元率)が高いのか低いのかが気になるのではないでしょうか。宝くじにはサマージャンボの他にも年末ジャンボ、ロト6,ロト7、ミニロト、スクラッチなど様々な宝くじが売っています。それぞれの気になる期待値(還元率)について比較してみましょう。
宝くじは還元率50%前後
還元率と期待値は数字は違いますがほぼ同じような指針ですので還元率について宝くじを比較してみましょう。宝くじの還元率はくじによって違いがありますがおおよそ50%より低いです。
ここでは還元率に注目してまとめてありますが、当選確率やくじの特徴、ご自身の好みに合わせて楽しめるようにいろいろな種類の宝くじがあります。還元率も宝くじを選ぶときの参考にしてみて下さい。
定番のジャンボ宝くじ
宝くじの代名詞とも言えるジャンボ宝くじ。1枚300円で億万長者への夢が見れるのも魅力の一つです。約1カ月の販売期間中に購入すれば当選日まで待つ楽しみがあります。特に年末ジャンボはニュースになるほどの人気を誇っています。よく当たると言われている販売所では遠方から買い求めに来る方も多く、長蛇の列ができる程です。
人気のあるときは売り切れてしまう事もあるようです。年末ジャンボ、サマージャンボ、ミニジャンボなどのジャンボ宝くじの還元率を調べてみるとおおむね47%となっています。先程例として計算した2018年サマージャンボの還元率も47%でした。
削る楽しみのスクラッチ
スクラッチはその場で分かる手軽さが人気です。削るときのわくわく感がたまらないという意見もあるようです。1等の当選金額は低いものから高いものまで様々で当選金額は回によって違います。
還元率もその度に違いますがおおよそ38%位から41%位の間を推移している様です。他の宝くじでは抽選日まで待たないといけないのですが、スクラッチですとその場でわかるので飲み会の景品として使っても盛り上がるようです。
好きな数字を選ぶロト
コマーシャルでもよく見かけるロトシリーズにはロト6とミニロト、2013年に登場したロト7があります。当選口数が回数によって違うのでその都度還元率も変わってきますが、理論的にはトータルで44%くらいのようです。トータルでというのはロト6,7にはキャリーオーバーと言う独特のシステムが存在しているからです。
キャリーオーバーとは
キャリーオーバーとはその回のくじで1等当選者がいなかった場合、当選金額が次回に持ち越しになるという仕組みです。1等2億円ロト6で当選者が出なかった場合は次回の1等の当選金額が2億円(持ち越し分)+今回の当選金額2億円=4億円となります。
1等の当選者が2回続けて出ない場合は2億円(前々回持ち越し)+2億円(前回持ち越し)+今回当選金額2億円=6億円と当選金額がどんどん積み上がって高額になっていくということもあります。
キャリーオーバーの場合は還元率が上がる
ロトシリーズを買う時の醍醐味のキャリーオーバーですが、このキャリーオーバーが発生している時は1等の当選金額が倍以上になるので還元率が高い計算になります。一方1等の当選が出ない時には還元率は低い値で出ることとなります。キャリーオーバーには上限が設けてあり、ロト6では6億円、ロト7は比較的高い10億円になっています。
上限があるとはいえ当たれば高額のチャンスがありギャンブル要素が高いくじとも言えます。毎週抽選日があるので楽しみも増えます。好きな数字が選べるので誕生日等自分なりのたのしみかたができます。1度買うと習慣になってしまうです。ロト6は2011年から抽選日が週に2回に増えました。
宝くじ・公営競技の期待値(還元率)比較
宝くじの還元率は宝くじの種類によってそれぞれでしたが、おおむね還元率は38~47%といえます。そうなると他の公営競技と比較して高いのか低いのか気になる人もいらっしゃるのではないでしょうか。総務省が調べた「宝くじと公営競技との比較」を参考にそれぞれの還元率を比較してみました。
海外のギャンブルと比較して日本の宝くじや公共競技の還元率は低いと言われています。最も還元率が高いドバイでは70%台の還元率を誇っています。日本の宝くじや公営競技はもともと財政への貢献の為に始められたこともあり、収益金の一部は公共団体への寄付等に使われているためでもあります。
①宝くじ・45.7%
受託銀行であるみずほ銀行によると宝くじの還元率は45.7%。宝くじ個々の差はありますが、全体の還元率を調べるとこの値になるようです。宝くじ購入金額の半分以上は宝くじ協会に行き、残りの半分以下が当選金に回ると考えると分かりやすいです。他の公営競技と比較してみましょう。
②競艇・74.8%
最近はボートレースとも言われています。TVCM等もみかけるようになったので身近に感じるようになったという人もいらっしゃるのではないでしょうか。競艇の還元率は74.8%宝くじと比較して随分高い還元率となります。それでも1000円投票権を買って252円は運営側に行くことになります。
競艇の収益金は船舶産業の復興や施設を運営する自治体などに使われています。最近は福祉やボランティア、国際協力などにも利用されているようです。
③競輪・75.0%
自転車レースでスピードを競う競輪も還元率は競艇と同じくらい高い75%となっています。何といっても最高時速70kmとも言われるスピードでバンクと呼ばれるすり鉢状の競走路で行われるレースは圧巻です。タッグを組んでの心理戦や頭脳戦などもあり見どころも満載です。
競輪にはあまり馴染みが無い方も多いかもしれません。車券は100円から買えるので競輪が初めてという人でも購入のハードルが低いのではないでしょうか。還元率が75%なので100円の車券を買うと25円分は選手の賞金や運営、寄付金として支払う仕組みです。小さい金額で始めると還元率が高いのも負担に感じにくいです。
④オートレース・74.8%
全国5か所のオートレース場で開催されています。全国5か所と言うと近くにオートレース場が無いという方もいらしゃいます。最近の公営競技はインターネットで購入できるので便利です。オートレースも車券をインターネットで買う事ができますが、初めてのオートレースではどんな風にかけていいか分からないことも。
オートレースにはレース前に試走があります。試走を見てその日のバイクやレーサーのコンディションを確認したり、タイムの予想ができます。還元率は74.8%で競艇競輪と比較してもほぼ同じになります。元スマップの森さんがオートレーサーになったこともあり、若い女性がオートレース場に増えたとも言われています。
⑤競馬・74.1%
公営競技と言えば競馬という人もいるくらい有名な公営競技です。他の公営競技が戦後導入されたのに比べて歴史も古いのも人気の一つかもしれません。全国から人気の馬がそろう有馬記念はニュースなどでも取り扱われることもあり、競馬ファンでなくても聞いたことがあるのではないでしょうか。
還元率は74.1%。他の公営競技と比較して若干低いくらいです。走るのが馬だけにレースの予想が大きく裏切られることもあるようです。近くで馬の走るのを見られるのも魅力の一つ。好きなアイドルを応援するようにお気に入りの馬を応援するなんていう楽しみ方をしている方も多いようです。そうなると負けてもあまり悔しくないとか。
宝くじ・期待値(還元率)の高い公営競技の方が良い?
ほぼ75%の還元率を誇る公営競技と比べると宝くじの還元率45%の低さが際立ちます。公営競技の方がお得なのかどうか、気になりるところではないでしょうか。公営競技の還元率は高いですが意外な落とし穴があるようです。意外な落とし穴についてしっかりとご紹介していきます。
かけるレースが多いほど期待値は下がる
宝くじに比べて還元率の高い公営競技をやればお得に楽しめそうです実際はどうなのでしょうか。人気の競馬で考えてみます。中央競馬場では一日に沢山のレースが行われます。3場開催されれば36レースにもなります。36はさすがに多いので3レースかけるとすると還元率は75%×75%×75%で42.1%です。
宝くじの還元率は45%程度なので、宝くじよりも低い還元率となってしまいます。そのうえ公営競技には個々の特徴があり、ただ買うだけの宝くじと違い、知識によって偏りが出やすいのもデメリットの一つです。
また、高額当選をすると所得税や住民税がかかるというのも宝くじと違うところです。宝くじと税金の関係については次項で法律を交え説明します。参考にして下さい。
宝くじと法律について
宝くじの還元率が低いことが分かりましたが、これは宝くじ協会が少しでも多く利益を得ようとしているからという訳ではありません。実は宝くじ協会は法律で定められた還元率の範囲で運営していることをご存知でしょうか。宝くじに関する法律のあれこれについてご紹介していきます。
当せん金付証票法
宝くじは昭和23年から施行されている「当せん金付証票法」という法律にのっとって運営されています。「当せん金付証票」とは宝くじの事です。この法律の中で「当せん金付証票の当せん金品の限度」(還元率)について規定があります。
第5条には当せん金付証票(宝くじ)の当せん金品の金額又は価格の総額は、その発売総額の5割に相当する額をこえてはならない、とあります。法律で還元率が50%を超えてはならないと決められているのです。
目的を持って宝くじを実施
更にこの法律では「当せん金付証票」の目的についても書かれていて、「当せん金付証票の発売により、浮動購買力を吸収し、もつて地方財政資金の調達に資することを目的とする」とあります。もともと宝くじは戦時中に軍用費の調達をするために発売されました。その後は戦後の復興資金として各地方自治体でも販売できるようになっていきました。
その流れを引きついで地方自治財政の調達の為に発売されています。きちんと地方財政に収益金が回るように法律で還元率が決められているのです。現在、売上金の38.1%は発売元である地方自治体に納められ公共事業などに使われています。
宝くじに所得税は掛からない
この「当せん金付証票法」という法律では宝くじが当たったときの所得税についても定められています。所得(収入)があると払わなければならない所得税ですが、嬉しいことにこの法律では当せん金に所得税はかけてはならないとあります。せっかく当たった当選金額から税金が引かれると何だか気分が下がってしまうのでとてもいいアイディアです。
宝くじの期待値(還元率)は決して高くはない
残念ながら宝くじの期待値(還元率)は高くないという事がはっきりしました。一方宝くじや公営競技には寄付の要素が強く自分が損してしまった分も地方自治財政に組み込まれるということも分かりました。大きく回って自分に帰ってくると思えばはずれたときのがっかりがちょっと減るかもしれません。
還元率は低いですがやはり宝くじが大きな夢を与えてくれることは違いありません。ちょっと大きな夢が見れて、当せん番号を見るときのワクワク感も楽しめて、寄付もできるというところが宝くじの魅力かも知れません。