「トレビアン」の意味とは?
「トレビアン」という言葉を耳にした時に「お洒落(おしゃれ)」と感じる方が多いのではないでしょうか。使ってみたくなる言葉だけれど正しい意味は?またどんな場面で使ったら良いのでしょう。
興味を引く言葉だけに色々な疑問がわいてきます。そんな疑問をこれから一つずつ解いていきましょう。まず手始めに「トレビアン」の意味から紹介します。
「素晴らしい」という意味
「トレビアン」はフランス語で主に「とても素晴らしい」「とても良い」という意味です。1つの単語と思われる方が多いのですが「Très(トレ)とても」「bien(ビアン)良い」の2つの単語からできています。
英語でいえば「very good」にあたる褒め言葉です。「très(トレ)=very」と「bien(ビアン)=good」をあわせて「とても+素晴らしい」「とても+良い」という意味になります。
トレビアンの意味は多彩
フランス語で「お元気ですか?」と聞かれた時に「Très bien.(トレビアン/とても元気です。」と答えます。トレビアンには「とても元気」という意味もあります。英語の「very fine(ヴェリファイン)」と同じです。
「元気(fine)」の他に「優れている(good)」「了解(sure/OK)」という意味もあります。このように「トレビアン」には「素晴らしい」という意味の他に多彩な意味があり、色々なシチュエーションで使われる言葉です。
「トレビアン」の類義語
類義語とは意味や使い方が似ている言葉で、類語・同義語とも言います。「トレビアン」は多彩な場面で使われ、意味も沢山持っています。意味が多岐に渡るので「トレビアン」の類義語を探すのは少し苦労がいります。
「トレビアン」を日本語の意味「素敵」「素晴らしい」「元気」「了解」などでフランス語を検索すると、ほとんど全て「très bien(トレビアン)」が出てきてしまうので見つけ難いかも知れません。
そんな中で「素晴らしい」という意味のフランス語には「Excellent(エクセロン)」「Super(スペー)」などがあります。
いつも「トレビアン」の連発では飽きてしまうので、たまにこれらの類義語を交えると良いでしょう。少しニュアンスが違うかも知れないけれど「トレビアン」の意味に近い類義語「ミニョン」を紹介します。
「mignon(ミニョン)」の意味
フランス語で「mignon(ミニョン)」は「かわいい」という意味です。例えばショッピング中に可愛らしい素敵な物を見つけた時などに「mignon(ミニョン)」を使います。
花屋さんで可愛い花を見つけた時にも使えます。この時にミニョンのかわりに「très bien(トレビアン)」と叫んでもおかしくないので類義語としてあげてみました。
この他にも類義語はあるのでしょうが「トレビアン」の意味があまりにも多彩なので見つけ難くなっています。逆をいえば類義語が見つからないくらいに「トレビアン」は色々な場面で使える便利なフランス語と言えるのではないでしょうか。
「トレビアン」の使い方・例文
「トレビアン」というフランス語は、場面によって使い方や意味が変ってしまう言葉です。それだけに場面による使い方を知らないと、とんでもない誤解をしてしまいます。
例えばフランスのレストランでメニューを決めてオーダーした時に店員が「トレビアン」と言います。そんなに私が注文した料理が「素晴らしい?」と解釈するのは誤解です。
この場合の「トレビアン」は「確かに注文を承りまりました」「了解しました」という意味です。そんな誤解や使い方の間違いを起こさないために、場面ごとの使い方を例文を参照して検証します。
例文①褒める場合
人を褒める場合は「素晴らしい」「とても上手」という意味で「très bien(トレビアン)」を使います。「Takashi parle très bien le français.(タカシ・パルル・トレビアン・ル・フランセ)」は「タカシはフランス語がとても上手です」という意味です。
「Hiromi est très bien pour la cuisine.(ヒロミ・エ・トレビアン・プー・ラ・キュイジーヌ)」の例文は「ヒロミの料理はとても素晴らしい」という意味になります。例文のように「トレビアン」は人を褒めたり賞賛する場面で使います。
例文②健康状態が良い
健康状態を聞くとき、日本語では「お元気ですか?」、英語では「Are you fine?」、フランス語では「Comment-allez vous?(コマンタレヴー)」と聞きます。
そのとき元気であれば、英語では「I'm very fine」フランス語では「Je vais très bien.(ジュ・ヴェ・トレビアン)」と答えます。どちらも「私はとても元気です」という意味です。
簡単に「Très bien.(トレビアン)」と答えるだけでも元気なことが伝わります。このようにフランス語の「トレビアン」は、英語の「fine」と同じ健康状態が良いことを表現することができます。
例文③成績が良い
フランス語の「トレビアン」は「très (トレ)」と「bien(ビアン)」の2つの単語で構成されています。「très (トレ)」は「とても」という意味で英語の「very」にあたり、「bien(ビアン)」は「良い」という意味で英語の「good」に相当します。
成績を評価する時に日本では「優」「良」「可」または「A」「B」「C」などがよく使われます。ではフランス語ではどう表すのでしょう。
フランス語では「優」のAランクには「Très bien(トレビアン)」、「良」のBランクには「Bien(ビアン)」、「可」のCランクには「Assez bien(アッセ ビアン)」が使われます。
「Assez(アッセ)」は「充分」「中々」という意味で、成績でいえば「不可(Dランク)にはならないけど、まあ良いでしょう」といったところです。「トレビアン」は「トレ」と「ビアン」に分けることで、成績や評価を表すことが出来る便利な単語です。
例文④レストラン
レストランやカフェでの「トレビアン」の使い方は、日本人が最も誤解しやすい場面ではないでしょうか。
料理を食べて美味しかったり、盛付けが素晴らしかった時に使う「Très bien(トレビアン)」は「とっても美味しい」「盛付けがとても素敵」という意味です。
しかし料理を食べ終わってコーヒーが飲みたいので「Un café s'il vous plaît(アン ・カフェ・ シルヴプレ/コーヒーを1杯下さい)」と注文すると、レストランの店員が「Très bien(トレビアン)」と答えます。
「えっなんで、コーヒーの注文がトレビアンなの?」と思ってしまいますが、この場合のトレビアンは「かしこまりました」という意味です。
「トレビアン」には「了解した」「承諾した」「確かに承りました」という意味があり、人から物を頼まれて了解した時にも使います。英語の「Sure」と同じような意味の使い方があります。
「トレビアン」と「エレガント」の違い
「トレビアン」はフランス語「エレガント」は英語ですが、どちらもお洒落な感じで日本人特に女性に好まれる言葉です。何気ない会話の中に使えるようになれば、素敵なエレガントな気分になれるのではないでしょうか。
「トレビアン」と「エレガント」は同じような使い方をされる言葉ですが、意味に違いはあるのでしょうか。「トレビアン」についてはこれまで説明してきたので、ここでは「エレガント」の意味を詳しく調べることで互いのニュアンスの違いを引き出してみましょう。
エレガントは「優雅」という意味
エレガントは英語でスペルは「elegant」と書き、「優雅な」「上品な」「洗練されている」「格調高い」などの意味があり「トレビアン」と共通する部分も多いようです。
また「エレガント」はもともとフランス語を語源とする言葉なので、そこにも何か相通じるところがありそうです。
エレガントは「彼女は上品でエレガントだ」のように人を褒める時に使いますが、他にも「彼の家は実にエレガントな佇まいをしている」のように建物などの物にも使います。
しかし「トレビアン」のように「とても元気」などの健康状態や、成績の評価、「了解しました」のような使い方は出来ません。ここが「トレビアン」と「エレガント」の違いです。つまり「トレビアン」の方が多彩な場面で広い意味の使い方ができる言葉です。
「トレビアン」を使う際の注意点
「トレビアン」は色々な場面で使われ、意味も多彩な言葉です。それだけに使う場面や使い方に注意しなければなりません。
また相手が「トレビアン」と言った時にも、どんな場面でどんな意味で使っているかを注意しないと、レストランのところで紹介したように誤解をしてしまいます。また「トレビアン」を使う際には、日本語の習慣のままフランス語に直訳して使うのはNGです。
褒め言葉以外では使えない
日本語の「素敵」「素晴らしい」は基本的に褒め言葉ですが、日本語の場合は否定的に使うことがあります。
たとえば例文で「彼は雑だからトレビアンじゃない」「彼女はトレビアンとは言いがたい」ように否定する場合にも使います。これをフランス語に直訳して「très bien」を使うのはNGです。フランス語では褒め言葉以外にトレビアンを使わないのが通例です。
「トレビアン」の由来・歴史
「トレビアン」という言葉はフランス語で、上品で優雅な響きやイメージを持っています。また日本語でも英語でも違和感がなく溶け込んでいる言葉です。
では何故フランス語なのに英語やドイツ語など欧米の国々の言語に溶け込んで愛されているのでしょう。それには「トレビアン」を含めたフランス語の由来や歴史が関わっています。
由来
「Très bien(トレビアン)」という言葉は、以前にも紹介したように「Très(トレ)」と「bien(ビアン)」という2つの単語の合成語です。
トレビアンの「とても素晴らしい」という意味の由来は、この2つの単語の意味「Très(とても・非常に)」と「bien(良い)」が合成されたことに由来しています。
「トレビアン」と単独で使われることが多いのですが、2つに分けられ別々に意味があることに由来して「très bon(とても美味しい)」「très petit(とても小さい)」「bien-être(幸福感)」のような使い方ができます。
また成績に使う場合の「Très bien(優・Aランク)」「Bien(良・Bランク)」「Assez bien(可・Cランク)」という言葉も、「Très bien(トレビアン)」が2つの単語の合成であることに由来しています。
歴史
「トレビアン」がフランス語であるにもかかわらず、欧米諸国の言語の中に溶け込んで愛されている由来を考えてみましょう。
かつての欧州(ヨーロッパ)は、ローマ帝国のように特定の国が入れ替わり立ち替わり支配した歴史があります。また19世紀には英国とフランスが北米大陸を、スペインとポルトガルが中南米を植民地として支配しました。
その後大英帝国(イギリス)はインド、オーストラリア、香港などをも植民地化しました。つまり世界中のほとんどの国を欧州が支配した歴史があり、今でもアフリカのいくつかの国や、カナダのケベック州ではフランス語をしゃべります。
中世〜19世紀その当時の欧州の上流社会ではフランス語を学ぶことが重要視されていました。つまりフランス語をしゃべることが出来ることが上流社会に仲間入りする証、ステータスになっていました。
フランス語の中でも「トレビアン」という言葉は上品なイメージで覚えやすいので、上流社会の人に好まれて使われたのではないでしょうか。
その風潮が欧州が支配した植民地に伝わり、アメリカやオーストラリアなど英語圏にも根付いたのが、「トレビアン」が各国の言語に溶け込んだ由来なのではないでしょうか。現在でもフランス語ができる人は、一目置かれる風潮が各国でみられます。
「トレビアン」の英語表記
英語には、フランス語のトレビアン「très bien」のスペルの中の「è」にあたる表記がありません。そのためにトレビアンの「とても上手」「とても美味しい」などの意味を表現する場合「very good」や「so good」「delicious」がよく使われます。
「Your English is very good.(あなたの英語は非常に上手です)」「This chocolate cake is so good!(このチョコレートケーキはとっても美味しい!)」
「They have some delicious desserts on the menu.(あの店には美味しいデザートがある)」などの例文になります。
また「fine」を使って「He's a very fine musician.(彼はとても素晴らしい音楽家です)」「It is very fine today.(今日はとても良い天気です)」のように「トレビアン」を表現します。
「トレビアン」の漢字
「トレビアン」を日本語の漢字で表現すると「大変素敵」「非常に良好」「大変有効」「大変優秀」「大変元気」「元気溌剌(はつらつ)」「気分爽快(そうかい)」「了解」「了承」「承諾」などとなります。
「トレビアン」を漢字にすると、このように少し堅苦しい表現になってしまいます。「トレビアン」という言葉が持っている「お洒落(おしゃれ)」な雰囲気は漢字ではなかなか表現しきれないようです。
「お洒落」や「優雅」なニュアンスを伝えるには、漢字よりフランス語のほうが勝っていると言えるのではないでしょうか。
トレビアンは「とても素敵」という意味
トレビアンには「とても素敵」という意味の他に、「とても元気」「とても良い」「了解した」と様々な意味と、色々なシチュエーションで使われることを紹介してきました。
また由来や歴史、使い方や使う際の注意点などを例文も合せて紹介しました。これらの記事を参考にして、普段の会話や文章で使いこなせたなら、気分がよく、ちょっとした優越感が味わえるのではないでしょうか。