冷蔵庫の原理について前述しましたが、冷蔵庫は内側を冷やすため、内側の熱を奪って、外側(背面や側面、上部)から熱を放出しています。そこで、外側から効率よく熱を逃がすことができれば、電気代が節約できるのです。逆に、熱がこもるような設置をすると、電気料金がかかってしまいます。
例えば、冷蔵庫の背面と壁との間の隙間が狭すぎると、熱がこもってしまい排熱がうまくいきません。取扱説明書にある通り、背面は壁と十分な隙間をあけるようにしましょう。スペースを有効活用したいからと言って、後ろや横の隙間をぴっちり埋めるような配置は避けたほうが無難です。
また、これも前述しましたが直射日光があたるなど、冷蔵庫の外側を温めるようなことはしないようにしましょう。とにかく隙間をなるべくあける、風通しを良くする、冷蔵庫の上部、背面になるべくものを置かないことが大事です。排熱の効率を上げて、電気料金を節約しましょう。
水により劣化が起きることに注意する
キッチンは流しがありますし、何かと水分がある場所です。しかし、冷蔵庫のような電気製品は水分に弱い一面があります。水浸しの床に設置するようなことはしないようにしましょう。
冷蔵庫に限りませんが、電気製品は大抵金属の筐体で覆われており、塗装がなされていますが、長年水に触れているとサビが発生してしまうことがあります。また、内部の電気系統から漏電が発生することも考えられます。常に水がかかったり、床面に水が常にあるというような場所は避けましょう。
冷蔵庫の正しい設置の流れ
次に、冷蔵庫の正しい設置の流れについて説明していきます。ただ単純に置いてコンセントを繋ぐだけと思っていませんか?前述しましたが、機種によっては設置後しばらく静置が必要なものもあり、すぐコンセントにつなぐと最悪故障する場合があります。この点については後述します。
また、背面に適度な排熱用のスペースを取る、コンセントを潰さないような配置にする、アジャスタを調整して冷蔵庫の傾きを適切にするなど、設置時の流れがあります。以下で詳しく説明します。
背面・側面の放熱スペースを確保する
前述したとおり、冷蔵庫の主に背面には、冷媒が通る配管が埋め込まれています。昔は配管がむき出しでしたが、今はほとんどの冷蔵庫が壁面に埋め込まれているため、ぱっと見はわかりません。ただ、背面を触るとほんのり温かいのがわかると思います。この部分で排熱をしています。
そこで、この部分を壁にピタッと付けてしまうと、放熱がうまく行かず、効率が悪くなります。結果として電気料金に跳ね返ってきます。また、2ドアのタイプに顕著ですが、放熱の影響で上昇気流が発生し、長時間経つと微細なホコリが壁についてしまうこともありえます。
背面にはきちんと空気の流れを妨げない程度の隙間を空けてあげることが重要になります。壁面を汚したり、電気料金をむやみに上げたりしないように、設置時には気をつけたいものです。
また、壁にピッタリとつけてしまうと、コンセントを潰してしまうことになりかねません。掃除ができないとホコリが溜まってトラッキング現象を起こす可能性もあります。注意しましょう。
冷蔵庫の傾きを調整する
設置時に最も気をつけて欲しいにもかかわらず、あまり気にされないのが傾きの調整かも知れません。下手をすると怪我をしたり、電気料金が無駄になったり、思わぬトラブルが発生する可能性があります。
冷蔵庫は足の部分にアジャスターというものがあり、足の長さを調整できるようになっています。ここを調整して、すべての足が接地しているようにしてください。がたがたしていると異音がしたり、故障の原因になったりします。
また、絶対に前に傾かせないようにしてください。前に傾いていると、ドアがきちんと閉まらない恐れがあり、冷気が漏れて電気料金が高くなったり、冷蔵庫のドアが勝手に開いて中身が出たり、ひどい場合には倒れたりして危険です。少し後ろに傾かせた方がドアの締まりもよく、実は最適です。
冷蔵庫の設置後の注意点
設置時のところでも書きましたが、設置後にすぐにコンセントにプラグを挿すと故障の原因になることがあるそうです。これはメーカーにより見解が異なりますが、数分から、場合によっては1時間程度静置したほうがよいという意見もあります。この点に関しては後述します。
また、引っ越しの際に食材が悪くならないようにするには、アイスボックスなどに退避することが考えられますが、その際にも静置する時間を考慮するようにしましょう。
設置直後にコンセントを入れるのはNG
冷蔵庫を設置してからすぐにコンセントにプラグを繋がない理由について説明します。前述した冷蔵庫の冷却原理を思い出してください。冷媒の圧縮と膨張が冷やす原理でした。ところが、運搬の際に本来気体でいてほしい部分に液体が、液体でいてほしい部分に気体が混入する可能性があるのです。
そのような想定外の状態でコンプレッサーを運転すると、コンプレッサーに非常な負担がかかってしまう可能性があります。これが、場合によっては故障する可能性があるとしたゆえんです。気体と液体が安定するまで、静かに静置する必要があるのです。少なくとも30分は静置しましょう。
配送方法で待機時間は変わる
配送時の状況で、静置に要する時間は変わってきます。運搬時に斜めにしたり、階段をのぼる際に斜めになったりするのは要注意。横にするのはもってのほかだそうです。そのように斜めになったり、振動が与えられたりするため、気体と液体が想定外の状態になっていることが考えられるのです。
そこで、配送時の状況に応じて、静置する時間は調整するようにしてください。斜めになった時間が長そうであれば、静置時間を長めに取りましょう。真っ直ぐに、振動を与えないように運搬した場合には、静置時間は短くても大丈夫と言えます。
食材はアイスボックスなどに保存できる
引っ越しの際など、冷蔵庫の中身はアイスボックスなどに退避して、引っ越しの間食材が悪くならないようにすることが考えられます。そうは言っても、静置する時間も考慮しなければならないため、引っ越し前にはできるだけ食材を減らし、アイスボックスに入れる量は最低限にしましょう。
冷蔵庫の搬入・設置の相場
冷蔵庫は前述したように横にするのはもってのほか、斜めになるのも注意が必要で、原則として縦にして運ぶことが求められます。2ドアのように背が低ければ自家用車でも縦で運ぶことは可能かもしれませんが、3ドア以上の大きなものは、やはり業者さんにお願いするのが無難です。
そこで、以下では引越し業者さんやその他運搬のプロにお願いする際の相場についてご紹介していきます。業者さんによっては違いがあるようです。
一般的な相場
冷蔵庫を運搬する際の引越し業者さんの相場に関しては、近場の運搬であれば1.5万円から2万円ほどと言われます。また、最安値としては5000円という業者さんもあるそうです。運搬のスキル(特に階段等狭いところでの運搬スキル)なども考慮したいところです。安いだけが取り柄とは限りません。
料金の相談のコツ
料金に関しては、必ず値引きの余地がないかどうか相談するようにしてください。その際、下見をしてくれない業者さんの場合にはスキルが疑われる可能性があるため、避けたほうが無難かも知れません。
料金の値引きが期待できるのは、下見によって難易度の高い経路があるかどうかがわかる場合のみです。スキルのある業者であれば、曲がり角のクリアランスが少ないとか、エレベータを使えるか否かなど、下見で難易度を推し量ることができるはずです。
そのようなスキルのある業者であれば、料金の値引き交渉ができる可能性が高いです。業者さんもピンきりですので、きちんと見極められるようにしましょう。
冷蔵庫は正しい設置場所を選ぶことが大切
冷蔵庫の設置に関する注意点についてご紹介してきました。設置場所、設置方法だけでも、様々な注意点があることがご理解いただけたと思います。
電気料金の節約や故障の回避のためにも、設置時、設置後に気をつけたいことがたくさんありました。これらの点を考慮して、冷蔵庫を正しく設置するようにしてください。