公務員になる為に必要資格を知っておこう!
今回は、公務員になるために有利となる資格について解説していきます。そもそも、公務員になるために必須となる資格というものはあるのでしょうか。
基本的には、公務員になるために必要となる資格は、国家公務員・地方公務員を問わず特にはありません。一部の専門職は必要な資格が設定されています。
ただ、公務員としての職務をこなすためには様々な知識を持っておく方が有利になることが多いですし、採用試験の際にも評価につなげられます。公務員におすすめの資格、公務員であることで試験の一部が免除される資格なども併せて紹介します。
公務員になる為の資格は基本的には必要ない
公務員になるために取得しなければならない資格は、専門職を除いては特にありません。正確には、公務員になるための採用試験自体が「公務員資格」を取得するための資格試験といえます。
例えば国家公務員資格を取得した後、厚生省に採用されて晴れて国家公務員となることができます。資格取得と採用とは別々であると考えないといけません。
また、国家公務員試験と地方公務員試験は、別々に存在します。国家公務員の試験に合格し、公務員資格を取得したからといって、地方公務員になることはできません。
専門職の場合は資格を要する場合もある
公務員になるために特別な資格は必要ありませんが、例外的に公務員のうち専門職に採用されるためには職種ごとに必要となる資格が定められています。
これを「資格免許職」といいます。資格免許職は全部で11種類あります。いずれも大学で必要な単位を揃えて申請したり、別途資格試験に合格するなどを経て、資格を取得するなどしてから公務員採用試験に臨まないといけません。
11種類ある「資格免許職」のうち、代表的な職種を3つ紹介します。11種類の資格免許職は看護系や教育系などが大半を占めます。
教員
資格免許職のうち、一つ目は「教員」を紹介します。教員とは、いわゆる学校の先生のことです。教員免許は、大学の教育学過程を履修することで取得することができます。一定の単位を取得すれば免許を入手できます。
教員になるには、各自治体が実施する教員採用試験に合格することが必要です。公立校の教員は公務員の立場になります。これとは別で、私立学校の教員になるという選択肢もあります。この場合は公務員にはなりません。
児童生徒を正しい方向に導いていくという大事な役割を担う公務員ですので、その公平性や一貫性などが求められる重要な職種です。
保育士
資格免許職のうち、二つ目は「保育士」を紹介します。保育士とは、保育所で勤務し乳幼児の保育及び教育を実施する職種になります。公立の保育園で採用された保育士は公務員としての立場を得ることになります。
保育士資格を取得するためには、二種類の方法があります。第一に保育士資格取得に必要な単位を大学あるいは専門学校などで履修する方法です。第二に、一定数以上の単位を取得して受けられる保育士試験に合格することです。
後者の保育士試験は、8科目の学科試験と実技試験が実施されます。合格率は例年10%程度とかなりの厳しい試験になります。そのため、大学などで単位を履修して資格取得する方がおすすめとされています。
看護師
資格免許職のうち、三つ目は「看護師」を紹介します。看護師とは、病院やクリニックなどで勤務する職種で、昔は「看護婦」として呼ばれることが多かったものです。患者の世話をしたり医師の補助をしたりすることが主な仕事です。
看護師の資格を取得するためには、医療系の大学及び短期大学などで所定の単位を履修して卒業することが必要になります。
看護師資格には、「看護師」と「准看護士」の二種類があり、准看護士の方が簡易に取得できる代わりに医師などの指示を受けないと仕事ができないという違いがあります。
公務員になる為に必要なこと
公務員になるためには、まずは公務員試験に合格してその資格を得ることが必要です。公務員試験を受験するためには一定の条件が必要になります。前述のような専門職でない限りは特別な資格を持っていることは条件ではありません。
ただ、年齢制限や学歴に一定の決まりがあります。また、国家公務員と地方公務員によってその条件にも差があります。
自分が目指す公務員の種類を調べて、試験を受ける資格があるのかどうかをあらかじめ調べておきましょう。地方公務員の方が年齢制限が低めに設定されているなど、資格条件も様々です。
公務員試験を受ける為の条件
公務員試験を受ける資格がある条件としては、多くが年齢制限と身体能力制限とが挙げられます。また、国家公務員の場合に良くみられる形式として、学歴の制限も一般的です。
年齢制限の設定としては、「2009年4月1日から2015年3月31日に生まれたもの」など満年齢で制限する形式と、「最終学歴卒業から6年以内」など最後に学校を卒業してからの年数で制限する形式があります。
身体能力制限としては、身長や視力で制限をしているケースがよくみられます。学歴による制限を設けていない公務員試験もあるので、自分が目指すところの募集要項をよく確認し、資格を持っているかどうか理解しておきましょう。
公務員採用の際に有利になる資格とは
続いて、公務員を目指す方が取得しておいた方がいいおすすめ資格を紹介します。採用の際に有利になる資格もありますが、どちらかといえば採用が決まったあと、実務をこなすうえで知っておいた方がいい、役に立つ内容を学べる資格などを紹介します。
公務員として勤務していく場合には、総合的に幅広く知識を持っていることが求められます。公平な視点で正しい判断をしていく際、知っておくべきことというのはたくさんあります。
公務員としての能力的な資格を身に着けるうえで取得をおすすめする資格を3つ紹介します。勤務しながらの資格取得は時間もなく困難なので、あらかじめ取得しておくことをおすすめします。
日商簿記
公務員を目指す方が取得しておくべきおすすめの資格の一つ目は、日商簿記試験です。日商簿記とは、全国商工会議所が実施する経理関係の資格です。
現在、日本の企業会計においては複式簿記が基本となっています。この複式簿記を基礎から学ぶことができる日商簿記を身に着けておくと、公務員の業務をこなすうえで非常に役立つといえます。
企業経理担当者と打ち合わせをする機会も部署によっては増えてきます。その際に簿記知識があるのとないのとでは話し方や理解にかなりの差が生じます。商工系の分野で働きたい方に特に取得をおすすめします。
プログラミング系
公務員を目指す方が取得しておくべきおすすめの資格の二つ目は、プログラミング系の知識を身に着けることができる資格です。現在、各種事務作業をこなすうえではパソコンなどソフトの活用が欠かせません。
一方、公務員の業務は昔から同じようなアナログ的なやり方で継続してる部分がいまだに多いと言えます。そのルーティーンワークにプログラミング技術を取り入れることで、業務量が大幅に短縮できたという事例も多くあり、とても役立つ知識です。
公務員とプログラミング資格が直接結びつくことはありませんが、持っておくと業務上有効利用できる可能性の高い、取得を強くおすすめする資格といえます。
TOEIC
公務員を目指す方が取得しておくべきおすすめの資格の三つ目は、TOEICです。TOEICとは、英語コミュニケーション能力検定試験のことです。
一般的にTOEICといえばリスニング&リーディングの分類を指します。990点満点で、獲得したスコアで評価されることになります。公務員として勤務する中では様々な場面に遭遇する可能性があります。
外国の方と話をしたり海外企業とのやり取りをする機会が部署によっては出てきます。総合的に幅広い能力が求められる公務員としてはTOEICでハイスコアを取得しておくと有利です。
職務をこなしながら資格取得するのは困難
公務員と取得しておくおすすめの資格を考えるときに気を付けないといけない点は、勤務しながら資格試験の勉強をして取得をするということがかなり困難になるという点です。
公務員の業務は多忙を極めます。また、責任のある仕事をこなしていく必要があり、精神的な疲労度も感じます。その中で合間を縫って資格取得に向けての勉強をするのはかなり困難です。
そのため、公務員試験を受験して公務員になる前に、必要な資格あるいはほしいと思っている資格を取得しておくことをお勧めします。
公務員に役立つおすすめの資格4選
続いて公務員としての仕事をこなしていくうえで役立つ、あるいは実務的に生かすことができる資格について紹介します。
公務員として勤務する中では、様々な知識や技能を示す必要が生じる場面もありますその際に持っておくと有利になる資格を今回は4つ紹介します。
いずれも取得していなくても公務員として勤務することはできますが、業務上その資格の知識や技能を生かす場面が比較的多い資格になります。
宅地建物取引士
公務員としての仕事をこなしていくうえで役立つおすすめ資格の一つ目は、「宅地建物取引士」です。宅地建物取引士とは、宅地や建物の売買など取引をする際に、重要事項説明をすることができる資格のことです。
宅地建物取引士は「宅建」などと略されることも多いです。通常不動産関連の企業に勤務する際に役立つ資格ですが、公務員の業務をこなす中でも大いに関連してきます。
農地法や税法、土地計画法に関連する部署に配属となった場合、公務員でも非常に役立つ資格です。相談者に対して専門的な知識でアドバイスをすることができます。
FP(ファイナンシャルプランナー)
公務員としての仕事をこなしていくうえで役立つおすすめ資格の二つ目は、「FP」です。FPとは、ファイナンシャルプランナーのことです。家計に関するプロで、金融商品や各種公的保証制度などに精通した資格です。
本来は保険会社や投資関連商品を扱う企業に勤務する際に役立つ資格ですが、公務員においても例えば税制関連の部署に配属となった場合に非常に役立つ知識を得ることができます。
市役所で税関連の手続き窓口で勤務する際には、ファイナンシャルプランナーの知識を交えながら来訪者に説明することができ、内容の濃い解説をすることにつながります。
中小企業診断士
公務員としての仕事をこなしていくうえで役立つおすすめ資格の三つ目は、「中小企業診断士」です。中小企業診断士とは、企業の業績などを分析し、主に中小企業の経営者に対して経営上のアドバイスをすることができる資格です。
公務員では、中小企業庁に配属になった場合は非常に役立つ資格です。中小企業の経営者とのやり取りが増えるので、専門的な視点からやり取りができます。
また、地方公務員で地域振興関連の部署につくと、より実践的なやり取りが求められます。中小企業の実態を理解できる中小企業診断士の知識は大いに役立つことになります。
気象予報士
公務員としての仕事をこなしていくうえで役立つおすすめ資格の四つ目は、「気象予報士」です。気象予報士とは、天気の予報をして各種情報提供をする資格のことです。
気象予報士と聞けば、テレビの天気予報を伝えるイメージが強いですが、公務員においても非常に役立つ資格です。国家公務員においては、気象庁の職員になると非常に深く関わってきます。
また、国家公務員でなくとも地方公務員となり気象予報に携わる仕事に就けば非常に役立つ資格です。地方によっては天候に関する災害が多く、警報などの発表に携わることも大いに考えられます。
公務員が試験・科目を免除される国家資格5選
公務員として働く際に役立つ資格を紹介してきました。続いては、公務員であることを条件に試験や科目を一部免除してもらうことができる国家資格を5つ紹介します。
国家資格はいずれも難易度が高いですが取得すると仕事の幅が大いに広がります。国家資格取得の際に一部免除を受けるには、資格ごとに取り決めが異なりますが、既定の年数以上勤続することが求められるケースが多いです。
ただ、一部でも免除されるということは資格取得において非常に有利になります。自分が目指す資格の要件をあらかじめ調べておき、効率よく資格取得を目指しましょう。
税理士
公務員であることで試験や科目が免除される国家資格の一つ目は、「税理士」です。税理士とは、企業や個人事業主などの税務面のサポート及び代行をする仕事です。
23年以上税務署に勤務し、指定の研修を受けることで、試験を全く受けることなく税理士の資格を取得することができます。
また、道府県民税や事業税など地方税に関する部署に一定年数以上勤続することで、税理試験のうち地方税の科目が免除されるという制度もあります。税理士試験の内容は多岐にわたるので少しでも負担軽減をできた方が有利です。
行政書士
公務員であることで試験や科目が免除される国家資格の二つ目は、「行政書士」です。行政書士とは、官公庁などに提出する書面の作成代行や、権利義務に関する公的な書面を作成し、代理提出することを業とする資格です。
弁護士事務所や行政書士事務所で勤務する際に役立つ資格ですが、公務員の仕事とも深く関係するので、持っておくと便利です。
国家あるいは地方公務員として事務を担当した期間が20年以上経過すると、試験を受けることなく行政書士の資格を取得することができます。
弁理士
公務員であることで試験や科目が免除される国家資格の三つ目は、「弁理士」です。弁理士とは、特許権や意匠権、商標権などの権利関係の手続きを特許庁に行う代行をする仕事のことです。
企業活動において自社で開発した技術の特権を保護し、利益を維持するという点で非常に有効な資格ですが、公務員の特許庁での仕事にも深く関わる資格です。
特許庁の審査官あるいは審判官として、7年以上審査及び審査事務の仕事に就いた場合は、無試験で弁理士の資格を取得することができます。
司法書士
公務員であることで試験や科目が免除される国家資格の四つ目は、「司法書士」です。司法書士とは、登記手続きや供託手続きの代理を行なったり、法務局や裁判所、検察局に提出する各種書類を作成、提出する仕事のことです。
裁判所事務官か裁判所書記官、法務事務官あるいは検察事務官として通算10年以上勤務することで、無試験で司法書士の資格を取得することができます。
または、この条件と同等以上の知識と経験を持ち、法務大臣が司法書士としての仕事をこなすのに必要な知識や能力を持っていると認めた場合にも、無試験で司法書士の資格を取得することができます。
社会保険労務士
公務員であることで試験や科目が免除される国家資格の五つ目は、「社会保険労務士」です。社会保険労務士とは、社労士ともいわれることが多く、主に企業の社会保険関連の手続きを代行したり関連書類の作成及び提出をします。
社会保険労務士の資格は、完全に無資格で取得できる規定はありま線が、一定の条件を満たすことで、試験の一部を免除してもらうことができます。
国または地方公共団体の職員として社会保険関係の施行事務に従事した期間が10年以上であることや、日本年金機構あるいは全国健康保険協会に一定年数以上従事した場合にも一部試験を免除してもらうことができます。
地方公務員に向いている人とは?
最後に、公務員・特に地方公務員として勤務することに向いている性格、性質とはどんなものか、ということについて解説をします。
公務員として働くうえでは、様々な重要な手続き関係をこなしていき、かつ正確に公平な視点で厳しく規定に沿った業務を遂行していかなければなりません。もちろん一切の妥協は許されず、だれに対しても同じ基準で業務を遂行します。
そのため、「お役所仕事」などと批判されることも実際は少なくありません。厳しい判断基準を曲げず真面目にコツコツと確実に業務をこなしていける能力が重要になります。
ルール・規範に重きを置ける
地方公務員として勤務する際に向いている性質の一つ目は、ルールや規範に重きを置けることです。国家公務員もそうですが、地方公務員として勤務する中では、決められた法律や規律に厳格に沿って業務を行わないといけません。
業務の中には、大きな影響は少ないもののルールと外れたことを要請されることも少なくありません。そんな時に、厳格かつ一貫してルール順守を貫く姿勢を持てるかどうかが重要です。
日ごろから倫理観やルール順守の姿勢を明確にし、一貫して継続することができる強い意志が求められます。
真面目に続けられる
地方公務員として勤務する際に向いている性質の二つ目は、まじめに続けられるかどうか、ということです。地方公務員の業務の中には、ルーティーンなものが多くあまりやりがいを感じられないものも少なくありません。
それもかなり膨大な処理が必要になるものももちろんたくさんあります。地方の住民のすべての公的な手続きを預かることになるので当然のことですが、これら膨大な処理をコツコツとまじめにこなすことを苦に感じるようではいけません。
一つ一つの仕事を真面目にコツコツとこなしていける勤勉さと継続性の高さが、地方公務員には求められます。
広い視野を持てる
地方公務員として勤務する際に向いている性質の三つ目は、広い視野を持つことです。地方公務員には、専門性よりは汎用性が求められます。幅広く何でもこなせる人材が重宝されます。
違う部署への移動も多いのでそのたびに適切な対応が撮れる順応力の高さも必須の条件と言えます。誰とでも分け隔てなく接する適応力も重要です。
ストレス耐性がある
地方公務員として勤務する際に向いている性質の四つ目は、ストレス耐性があることです。公務員の仕事をしていると、様々な苦情を受ける機会が多くなります。
「お役所仕事」と批判されることも多いので、そのたびにストレスを感じていると継続して仕事をすることはできません。確固たる信念をもって罵詈雑言を苦にしないストレス耐性が求められます。
公務員の為に資格を取得すると有利になる!
以上、公務員に向いた資格について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。専門職を除き、公務員として勤務するために必須となる資格はありませんが、持っておくと有利になる資格はたくさんあります。
公務員は幅広く何でもこなせることが重要ですので、あらかじめ汎用性が高い資格を持っておくと仕事に就いてから有利に動くことができます。