「ご縁がありましたら」の使い方を覚えよう!
ビジネスや就職活動におけるメールで「ご縁がありましたら~」という文面を目にすることがあります。ご自身でこの言葉を使った経験がある方もいらっしゃるかもしれませんが、「ご縁がありましたら」という言葉の正しい意味や使い方をご存知でしょうか。
そもそも「ご縁がありましたら」という使い方をしていますが、ビジネスや就職活動以外にも神社でお参りをする際に「良いご縁」を祈願することもあります。この場合の「ご縁」は結婚等に繋がる異性との出会いを指しています。
このように「ご縁」という言葉も状況や使い方によって意味が変わってくることがありますが、ビジネスで「ご縁がありましたら」という使い方をする場合は、正確にはどのような意味を持っているのでしょうか。今回は、正しい「ご縁がありましたら」の意味について解説します。
「ご縁がありましたら」とはどういう意味?
では早速、ビジネスや就職活動で使われる「ご縁がありましたら」の意味を紹介していきましょう。普段何気なく使うことがあるかもしれませんが、それが正しい使い方なのか改めてチェックするとともに、意味を正しく理解して適切な場面で使えるようになりましょう。
「ご縁」の意味は「機会」
ではまず、一般的に使われている「ご縁がありましたら」の意味から解説していきましょう。一般的に「ご縁がありましたら」と使う場合の意味は「機会がありましたら」という意味で使われています。つまり「ご縁」は「機会」という意味になるということです。
「ご縁がありましたら」も「機会がありましたら」も、主にビジネスシーンを中心に使われている言葉です。「ご縁がありましたら」の意味をもう少し理解するために、「機会」という言葉の意味も考えてみましょう。
「機会」は、お互いにとって良い時という意味があり、英語に置き換えると「チャンス」になります。何かの提案を受けた際「ご縁がありましたらお願いします」という使い方をしますが、「チャンス」に置き換えると意味がわかりやすくなります。必ずしも不採用という意味にはなりません。
何かの折に出会った相手との別れ際の挨拶
また、「ご縁がありましたら」という言葉は「別れる際の挨拶」に使われることも多くあります。例えば、偶然出会った方と別れる際「ご縁がありましたらまたお会いしましょう」などという使い方をします。意図的に出会ったのではなく、何かの機会(ご縁)で出会ったときに使うのが適切です。
「ご縁がありましたら、またお願いします」という使い方は、日常会話でもする機会があります。いずれにせよ別れの挨拶として使うのが適当ではありますが、この言葉に大きな意味が含まれてはいません。ただ、「ご縁」という言葉からは、良い関係を期待することが感じられます。
良い関係が生まれることへの期待の言葉
実は「ご縁がありましたらの」という言葉には、スピリチュアルな意味で「波長」や「オーラが合う」という意味が含まれています。古くから出会いや機会といった意味として使われている「ご縁」ですが、「運命の赤い糸」も何らかの運命により結ばれている関係を強く表しています。
漢字から意味を考えても、縁は「えにし」という読み方をするのですが、これは古くから使われている仏語で、男女間の結びつきを表す言葉でした。類語に「よしみ」や「絆」などがあり、いずれも良い関係性を期待させる言葉です。
「ご縁がありましたら」は敬語?
「ご縁がありましたら」という言葉はメールなどでも使われることの多い言葉ですが、この言葉は敬語なのでしょうか。敬語であるか否かを知ることで、どの様な場面で口にして良いのか、どの様な文面のメールに使用することが出来るのかが変わってきます。
先ほど「ご縁」は「機会」と同じ意味であることを紹介しましたが、「機会」よりは丁寧な印象のある言葉であることは感じられるでしょう。
結論から先にお知らせすると、「ご縁がありましたら」という言葉は敬語として使われる言葉です。その為、様々な場面で使うことの出来る便利な言葉ですので、正しい使い方を覚えて使いこなせるようにしておきましょう。
「ありましたら」は「あれば・あったら」の敬語表現
「ご縁がありましたら」という言葉を分解すると「ご縁」と「ありましたら」に分解することができます。その中で「ありましたら」にフォーカスすると、この言葉は「あれば」や「あったら」の敬語表現として使われる言葉です。
「ご縁」そのものは丁寧語ですが、敬語である「ありましたら」と合体した「ご縁がありましたら」という言葉になると、目上の方や取引先の方に対しても失礼のない敬語表現として使える言葉になるのです。丁寧な印象を残すことができる便利な表現です。
ビジネスで失礼のない表現として使える
このように、敬語として使うことの出来る「ご縁がありましたら」という言葉は、当然ながらビジネスで使うことができます。敬語をよく使うビジネスメールで使うこともできますし、口頭で使うことも出来る言葉になります。
ご縁=機会=チャンスですので、仕事のチャンスという意味を敬語表現するときに「ご縁がありましたら」や「ご縁をいただけましたら」として使うことができます。
「ご縁がありましたら」のビジネスでの使い方・例文
「ご縁がありましたら」が敬語として使えることが分かりました。敬語であればビジネスの現場でも非常に使いやすい言葉ですので、積極的に使っていくようにしましょう。
そこでここからは「ご縁がありましたら」をビジネスで使うための使い方を、例文を交えて解説していきます。例文に出てくる表現はどこかで目や耳にしたことがある表現ですので、例文を使える場面で、例文を真似て使い始めるのが良いかもしれません。
面接などで不採用を伝える時
「ご縁がありましたら」という言葉を聞いたとき、真っ先に頭に浮かぶシチュエーションが就職活動の際に企業から送られてくる電話やメールへの記載ではないでしょうか。
この場合の「ご縁がありましたら」はあまり目にしたくないケースでの使い方になります。就職活動中に「ご縁がありましたら」という言葉を目にする場合は「不採用を伝える」場合になります。
例文
就職活動中にこの言葉を目にする際の例文としては「残念ながら今回は不採用とさせていただきますが、またのご縁がありましたら幸いです。」などと、不採用である旨に付け加えられるのが一般的です。
「ご縁がありましたら幸いです」だけの文面を受取った際、「またのご縁がありましたら」と言われて次のステップに進んでいると勘違いした方もいたようですが、このような遠回しな表現(本音と建前の使い分け)は日本の文化でもあります。
もしこの例文の様なメールを打つ際は、相手に誤解を与えないよう例文のように「残念ながら」と冒頭でつたえることをおすすめします。または「今回はご縁がございませんでしたが~」の様な表現を使うと良いでしょう。
仕事の提案や誘いを断る時
「ご縁がありましたら」は他にも「仕事や誘いを断る」ときにも使われますです。通常業務を断るときに使うことはあまりないかもしれませんが、例えば競合コンペなど、先方から仕事の提案を受けるような場面で、その提案を採用できない場合で使います。
提案途上の内容を断る場合など、継続して業務が続く場面で「ご縁がありましたら」という言葉は使いませんが、その案件そのものを断る場合には使うことがあります。また、仕事を断るだけでなく何らかの誘いを受けることができない場合にも使います。
例文
仕事や誘いを断る際の「ご縁がありましたら」の例文は、断りにくい案件や気を使わなければならない相手に断りを入れる場合に使える例文です。
単に「今回は遠慮させていただきます」と伝えるだけでは、言葉足らずな印象を与えてしまうのが不安な場合、「またのご縁がありましたらよろしくお願いいたします」と付け加えるだけで、大きく印象を変えることができます。
ビジネスシーンにおいては、商流が上の会社からの誘いを断る際には特に返事の仕方に気を使う必要がありますので、「ご縁がありましたら」を締め言葉に使って柔らかさを加えることは本当に便利なのでおすすめします。
今後も関係を伝えたい相手に
「ご縁がありましたら」は、その機会においてはお断りするものの、次の機会には是非一緒にやりたいという意思を示すことになります。つまり、今後も関係を持ち続けたい相手に「次回もお願いします」と伝えるということになります。
先ほどビジネスでの提案を断るときに「ご縁がありましたら」を使うことを紹介しましたが、その時の提案は不採用とするものの、次の提案の際にも是非提案してほしい。それ以外の通常の業務においては引き続きお願いしたい、そんな意味が含まれています。
例文
今後の関係を継続したい場合に「ご縁がありましたら」を使う例文として、「残念ながら今回の提案は不採用とさせていただきますが、ご縁がありましたら別の機会に御社ご提案を期待しております。」などが挙げられます。
ただ気をつけていただきたいのが、「ご縁がありましたら」という言葉そのものはどちらかというとネガティブな印象のある言葉であるということです。本来的な意味としては悪い言葉ではないものの、日ごろの使い方が遠回しに断る言葉の印象が強いのです。
その為、本当に今後も関係を続けたい相手に対しては「ぜひ今後ともよろしくお願いいたします」など、誤解を生まない表現で伝えた方が適当であると言えます。
「ご縁がありましたら」のメールでの使い方
「ご縁がありましたら」という言葉は、口語でも使われる言葉ではありますが、どちらかというとメールで使われることの方が多いかもしれません。
それは、何らかの事柄を断るときに使われることの多い言葉であるというところに起因しているのかもしれませんが、やはり面と向かって何かを断るのは苦手という方が多く、メールで断りを入れる機会が多いからなのかもしれません。
そこでここでは、「ご縁がありましたら」をメールで使う際によく見かけるケースを紹介します。どうしても口頭で断るのが苦手という方は、メールで断りを入れるときの参考にしてください。
不採用を伝えるメール
まずは、先ほどの就職活動中に使われるケース同様、不採用を通知するときにメールで使われるケースが多いようです。企業への就職希望者は大人数いらっしゃいますし、多くの企業で採用者よりも不採用者の方が多いのが実情です。
その為、不採用者1人1人に電話で話ができるまで不採用を伝えられないのは都合が悪く、多くの場合、不採用通知はメールで受け取ります。その際の文面に使われるのが「ご縁がありましたら」という言葉です。
ほとんどの場合「ご縁がありましたら」をそのまま使わず、「残念ながら、今回はご縁を持つことができず」や「今回はご縁がなかった」という表現が使われています。
次回の期待を込めたメール
続いては、ビジネスで「次回に期待するものの今回は不採用」というような場合のメールに使うケースです。メールの最後に「ご縁がありましたら、ぜひ今後ともよろしくお願いします」と書き入れると丁寧な印象を与えるでしょう。
これは、日ごろの付き合いがあまり深くない相手に送るメールに書かれるケースが多く、日ごろから深い付き合いのある相手は、そもそも日ごろの「ご縁」がある状態なので不適切と言えるでしょう。
なお、「ご縁がありましたら幸いです」という表現が敬語として適した言葉になります。「ありましたら」は「あれば」の敬語表現なので、適切な敬語を使ったメールを作るように気をつけましょう。
仕事を断る時のメール
先ほど、次回への期待を込めた言葉として「ご縁がありましたら」を使うことを紹介しました。そのメールにも該当しますが、基本的に「ご縁がありましたら」という言葉は丁寧に物事を断るときに使用する言葉になります。
その為、この言葉は「仕事を断る」ときにも良く使われる言葉で、相手に不快感を与えないように最後の締めくくりに書かれることが多いのです。「今回は不採用です。申し訳ございません。」ではぶっきら棒な印象を与えてしまうため、この言葉を添えています。
相手から断られた時の返信メール
メールで「ご縁がありましたら」を使う場合、必ずしもこちらが断られるときに受取るメールに書かれているだけではありません。こちらが断られた側だった場合、その返信に「ご縁がありましたら」という言葉を使うケースがあります。
例えば先ほどの仕事を断られたケースでは、断りのメールへの返信として「今回は我々の力不足により、御期待に沿う提案が叶わず申し訳ございませんでした。ご縁がありましたら、次回以降、よろしくお願いいたします。」などと使うことができます。
「ご縁がありましたら」の類語
ここまで「ご縁がありましたら」という言葉の意味や使い方を解説してきましたが、それでも「ご縁がありましたら」という言葉は使いにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。
そこで「ご縁がありましたら」と同じような意味を持つ「類語」をいくつか紹介しておきましょう。丁寧な言葉遣いをしたいが「ご縁がありましたら」は使いにくいと感じる方は、是非、類語を活用してみましょう。
機会がありましたら
最初に紹介する類語は「機会がありましたら」です。そもそも「ご縁がありましたら」は「機会がありましたら」という意味になりますので、そのまま置き換えることが可能です。
なお、人との付き合いや仕事での付き合いに関しては、「ご一緒する機会」という使い方をするケースも多々あります。欠席連絡をする時にも使えるフレーズで、「今回は欠席となりますが、またご一緒する機会がありましたら、よろしくお願いします」と使えます。
機会があれば
「機会がありましたら」と同じ様な類語になりますが、「機会があれば」という使い方もあります。意味は同じですが、「あれば」の方がより砕けた表現になります。目上の方に使う言葉ではなく、同僚や友人などに使うようにしましょう。
類語として当然ですが、「ご縁がありましたら」と同じように「またの機会があれば、出席させていただきます」や「また機会があれば、よろしくお願いします」と使うことができます。
機会があったなら
次の類語は「機会があったなら」です。ここまで紹介してきた類語と意味や使い方は同じですが、「なら」という仮定形の言葉がつくことで、これまで紹介した類語よりも可能性が低い場合に使う言葉になります。
物事を断る際「機会があったなら参加させていただきます」というような使い方になりますが、同じ様な機会が確定はしていないものの、次の機会があれば、というニュアンスが強い言葉になります。
また何かありましたら
続いての類語は「機会」という言葉を使わない類語で「また何かありましたら」という言葉になります。「また何かありましたらお願いします」というフレーズもよく目にするフレーズです。より丁寧に「また何かございましたら」と使うのも一般的です。
何かの折にはよろしくお願いします
続いての類語も「何かありましたら」と似た言葉になりますが、「何かの折にはよろしくお願いします」という言い換えになります。「折」にも機会という意味があるので、「何かの折」は「何かの機会」という意味になるので、同じ使い方をすることが出来ます。
チャンスがありましたら
最後に紹介する類語は「チャンスがありましたら」です。ご縁=機会=チャンスの言い換えは、最初に紹介した内容ですが、「チャンス」は偶然性が高いことを意味することも多いので、「ご縁」よりもやや軽めな印象を残す言葉になります。
「ご縁がありましたら」をビジネスで正しく使おう!
いかがでしたか。「ご縁がありましたら」という言葉についての理解は深まったでしょうか。敬語として丁寧な印象を残すこともできる「ご縁がありましたら」という言葉は、使い方次第で非常に便利な言葉です。ビジネスにおいても積極的に使うと良いでしょう。