革靴にひび割れができる原因
スーツに革靴であったり、私服に革靴など仕事やプライベートで革靴を履く機会は多くあります。ふと足元を見てみると自分の革靴にひび割れや革が裂けていたことはありませんか。
革靴は手入れを怠ってしまうとひび割れや革自体が裂けてしまう可能性があります。革靴に起こってしまうこのような状況は何が原因なのでしょうか。具体的な原因を挙げて説明をしていきましょう。
乾燥
革靴のひび割れの原因に乾燥が挙げられます。人間のお肌と同じように革靴も乾燥するとひび割れを引き起こしてしまうのです。
本来革は柔軟な素材で強度にも優れており、足に馴染む特性を持っています。しかし、乾燥をしてしまうと革の特性が失われひび割れを起こしてしまう原因となるのです。
ひび割れを起こしたまま履き続けると、ひびの深さはどんどんと深くなっていき傷も付きやすい状態となってしまいます。
お手入れ不足
革靴のひび割れの原因の一つに手入れ不足も挙げられます。革靴は他の靴の素材である綿や麻、ナイロンやアクリルなどと違い定期的に手入れが必要な素材になります。
革靴に限らず靴を履き外を歩くと、表面には砂などの汚れが付きます。他の素材の靴は多少そのままでも構いませんが、革靴は手入れをしないまま履き続けるとひび割れを起こしてしまう原因となります。
手入れをするとひび割れや傷を防ぐことができ、革靴を長持ちさせることに繋がります。革靴はお値段も張るものが数多くあります。良い革靴を可能な限り長持ちせるためには定期的な手入れは必須の作業です。
クリームの塗り過ぎ
革靴のひび割れの原因の一つにクリームの塗りすぎも挙げられます。革靴は手入れが必要な靴です。手入れの際に革靴表面に専用のクリームを塗り乾燥を防ぎます。この手入れ自体は良いのですが、クリームの塗りすぎは返って革を乾燥させ、ひび割れの原因となってしまいます。
革には銀面(ぎんめん)と呼ばれる層があり、クリームを塗りすぎると銀面へ浸透できなかった水分が蒸発します。蒸発によって革に乾燥したクリームの層ができてしまいます。
その後、再度クリームを塗ったとしても乾燥した層のせいで銀面へ成分が届くことはありません。あとから塗ったクリームも乾燥してしまうので乾燥は直らず悪循環となってしまうのです。
シワの手入れ不足
革靴のひび割れの原因の一つに、シワの手入れ不足も挙げることができます。革靴は履いていると自然にシワができるものです。これは仕方のないことですが、手入れをせずに履き続けてしまうとシワはどんどん深くなり、ひび割れを起こしてしまいます。
ひび割れたまま更に履き続けてしまうと、仕舞いには革自体が破れてしまう可能性があります。ひび割れたまま履き続けることにより、足を踏み込んだ際の荷重によって革が耐え切れなくなり破れてしまう原因となるのです。
人間のお肌同様に革靴の革は乾燥が原因でひび割れを起こします。革の手入れの重要性を認識できれば長く大事に使用するための想いが生まれてきます。
革靴のひび割れを補修に便利な道具
革靴のひび割れを補修する便利な道具を紹介していきましょう。革靴を補修する道具は様々存在しており、革靴の状態によっても役割が異なります。具体的な道具を挙げてどのような役割があり、どのような効果をもたらすのか説明をしていきます。
革靴の状態を知ることができれば、どの道具を使い補修を行えばよいか知ることができます。正しい道具を使用して大事な革靴を長持ちさせていきましょう。
靴クリーム・クリーナーを使う
革靴の補修をするときに靴クリームやクリーナーを使用するとよいでしょう。革クリームの役割は革全体に栄養を与え、ひび割れを目立たないようにすることです。革クリームには油と水分が含まれており、革全体へ馴染ませることにより乾燥から守ってくれるようになります。
クリーナーの役割は、革の表面に付着している以前塗ったクリームの除去であったり、削れてしまった革の破片などを落とすものです。クリーナーを使用することにより革を痛めることなく、汚れを落とすことができる重要な補修道具となります。
ワックス・靴墨を使う
革靴を補修する道具にワックスと靴墨を使用するとよいでしょう。ワックスと靴墨の役割は、革の表面をコーティングして乾燥から守るとともに革への浸透を防ぐ働きがあります。
外を歩くと雨が降ったり、泥水が跳ねたりと天候の影響を受けてしまいます。ワックスと靴墨はこのような外部の影響から革を守る役割を果たします。加えて革の表面に光沢を保つ役割もあり、見た目のツヤツヤした輝きを演出し、埃などの汚れも付きにくくなるメリットがあります。
サンドペーパー・ヤスリを使う
革靴を補修する際にサンドペーパーやヤスリを使用する場合があります。サンドペーパーやヤスリは革靴のひび割れを補修するときに必要な道具となります。ひび割れた革靴を更に傷つける行為と思われがちですが、革の溝を無くすための重要な作業です。
サンドペーパーやヤスリは大まかに削る荒いものと、仕上げで使用する細かいものと使い分けをします。目の粗さ見分け方ですが番手呼ばれる♯(シャープ)の付いた番号の大きさで区別することができます。数字が小さいほど粗目となり、大きくなるほど粒度が細かくなります。
強く擦ると深く削れてしまう可能性があるので、力は入れずにゆっくりと擦っていきましょう。指で触りながら凹凸を確認します。指に革の抵抗が無くなってきたら、仕上げのサンドペーパーやヤスリで磨き上げてください。
布を使う
革靴のひび割れ補修に布は欠かせない道具です。ブラシで取り切れなかったクリームなどの汚れを綺麗に除去することができます。革靴の最終仕上げで使用することが多く、靴屋さんでは専用の布も販売されています。
100円均一などでも購入はできますが、可能な限りきめの細かいものを選んでください。ごわごわした布ですと革へ傷が付いてしまうことがあります。きめ細かい布はひび割れに入ったクリームを全て除去することなく、適度に残してくれるものです。
布は使い回しはせずに毎回新しいものでおこなうことをおすすめします。汚れた布を使用すると、せっかく綺麗にした革靴に古いクリームが付いてしまうだけではなく、布にカビが発生していることもあるからです。
アドカラーを使う
革靴のひび割れ補修にアドカラーという道具を使用します。アドカラーとは革靴に色を付けるためのクリームになります。アドカラーの色は15種類ほどあり、自分の革靴に合った色を配合して作ることになります。そのため数本のアドカラーを用意することをおすすめします。
まずは自分の革靴に一番近い色のアドカラーと、青と黄色のアドカラーを購入してください。マッチする色を作るには色調をだす必要があるからです。色を濃くしたい場合には青を混ぜて、薄くしたい場合には黄色を混ぜて色調の調整をおこないます。
使い方としてはサンドペーパーやヤスリで革を削った後に、自分で配合をしたアドカラーでひび割れの補修をおこなっていきます。
筆で混ぜる
アドカラーは筆で混ぜて使用します。例えるならば、筆でキャンバスに絵を描くようなイメージです。筆の形状は、革靴の細部にもしっかり塗ることができる小さめの平筆の3号をおすすめします。
筆の毛はナイロンが主流ですが、筆の毛にもこだわる場合はセーブル筆を使用してはいかがでしょうか。セーブル筆はリスの毛やクロテンの毛を使った筆になります。セーブル筆は滑らかさと弾力に優れ、アドカラーを含ませたときの含みの良さが特徴となります。
セーブル筆は1本2000円から4000円程度になるので高級筆の部類となります。自分で配合したアドカラーを、革靴というキャンバスに最高の筆で描いてみてはいかがでしょうか。
パテで仕上げるのもおすすめ
革靴のひび割れ補修にパテを使用することもおすすめします。ひび割れで凹凸ができている部分を埋める役割があります。パテはとくに傷みやすいかかとやつま先にも有効な補修道具となります。
パテは色付きのものから白いパテまで様々な種類が販売されています。自分の革靴の色に合うパテがない場合は、白いパテでひび割れを補修した後にクリームなどで色付けをこないましょう。
パテを使用する場合はあらかじめ革靴の油分をしっかり除去し、乾燥を確認してからおこなってください。補修後にクリームで革靴に油分を含ませいき仕上げていきましょう。
革靴のひび割れを補修する方法
革靴のひび割れを補修する方法を紹介していきましょう。革靴のひび割れに必要な道具の種類が分かったあとは、どのように補修をしていくか具体的な方法が必要となります。
革靴のひび割れには重症度によってアプローチの仕方が異なります。軽度、中度、重度と分けて革靴のひび割れ補修の方法を説明してまいります。
軽度のひび割れの修復方法
軽度のひび割れの修復方法を紹介していきましょう。革靴の軽度のひび割れは、ブラシとクリームで目立たなくなる程度のひび割れを指します。この程度で直るひび割れは修復というよりも手入れと呼んだ方が合います。
まず最初に、柔らかいブラシで革靴の汚れを落とし、クリームをひび割れに塗り込んでいきます。最後に布で綺麗に拭いて終了となります。難しい作業はなく普段おこなっている手入れとさほど変わりません。日々の手入れをしっかりおこなえば大事な革靴を長く使用することができます。
中度のひび割れの修復方法
中度のひび割れの修復方法を説明していきます。中度のひび割れとなると軽度と違い時間と労力が必要となってきます。
まず最初にぬるま湯を用意して革靴を丸ごと浸けてください。温度は40度程度で時間は2時間を目途におこないましょう。タオルを使用して半渇きになるまで拭いていきます。
次にクリームを革靴全体にしっかりと塗りこみ自然乾燥をさせます。乾燥を確認したら再びクリームを革靴全体に塗り込んであげましょう。布で綺麗に仕上げれば終了となります。
中度のひび割れ補修では革靴を柔らかくすることから始めます。その後クリームを二度塗りすることにより、中度のひび割れにしっかりとクリームが行きわたらせることができます。
重度のひび割れの修復方法
重度のひび割れの修復方法を紹介していきます。重度のひび割れはより修復の工程数が増えてしまいます。中度のひび割れよりも更に時間と労力が必要となります。
まず最初にサンドペーパーやヤスリでひび割れの凹凸を除去していきます。指でなぞりながら凹凸の確認をおこない削ってください。削りカスはクリーナーを使用し布ですべて取り除きましょう。
次に自分の革靴に配合したアドカラーで色を付けていきます。重ね塗りをおこない色合いも調整するようにしてください。アドカラーが乾燥したらクリームを塗り込み布で拭きあげて終了となります。
革靴のひび割れを補修する注意点
革靴のひび割れを補修する上での注意点を説明していきます。革靴の補修には繊細な作業が必要な場合があります。
革靴は1足たりとも同じ表情をしておりません。履く人それぞれのライフスタイルによってもひび割れの仕方が異なるからです。革靴のひび割れを補修する際に、どのような点を注意知ればよいか具体的に紹介していきます。
革の風合いが変わらないように気をつける
革靴のひび割れを補修するときに、革の風合いが変わらないように注意しなければなりません。ひび割れを補修する際、サンドペーパーやヤスリを使用するときがあります。革を削る作業になるので削りすぎてしまうと、革の風合いが変化してしまう原因となってしまいます。
革の風合いはアドカラーで修正は可能ですが、アドカラーも革靴の色合いに合わせた配合が必要となるため、色づくりを失敗して塗ってしまうと元の風合いと異なってしまう場合があります。
革靴の風合いは全体の見た目に大きく影響をします。補修をする際は革靴の色合いをしっかりと見定めて、補修する部分のみをフォーカスするのではなく全体の風合いに気を付けておこないましょう。
直せないひび割れもある
革靴のひび割れには自分で直せるものと、直せないひび割れが存在しています。直せないひび割れとは、革自体が破れてしまった場合になります。
ひび割れはそのままにしておくと深くなっていきます。その状態で履き続けてしまうと革自体が破れてしまうのです。破れてしまった革はサンドペーパーやヤスリで削っても凹凸を直すことができず、更に深い傷の原因となるのでおこなわないようにしてください。
革が破れてしまった場合は、プロの職人に任せた方がよいでしょう。買い替えの予定であった場合はよいですが、お持ちの革靴が高級であればプロの腕で修復してもらうことをおすすめします。
革靴のひび割れを予防する対策
革靴のひび割れを予防する対策を紹介していきます。革靴は使用していくとシワはできてしまいます。シワは革靴の風合いを醸し出すのにはよいのですが、ひび割れまでは起こたくはありません。大事な革靴をできるだけ長く履くために、どのような予防と対策をすればよいか説明をしていきましょう。
脱いだ後にブラッシングする
革靴のひび割れ予防対策におすすめなのが、脱いだ後に直ぐブラッシングをすることです。靴を脱いだら部屋にすぐ行きがちですが、そこを我慢して直ぐさま革靴の手入れをおこないましょう。
ブラッシングは革靴の基本中の基本です。ブラッシングをすることによって埃を除去するだけではく、革靴の状態に気付くことができるからです。
革靴は浅いひび割れであれば補修が可能です。しかし手入れをせずにいると深い傷となってしまいます。脱いだ後に直ぐにブラッシングをおこなえば、ひび割れを予防する事前対策に繋がるのです。
シューキーパーを入れる
革靴のひび割れ予防対策にシューキーパーを使用しましょう。シューキーパーとは靴の形を維持するための木製の型のことです。
革靴は履き続けていると型崩れを起こしていきます。型崩れが起きるということはひび割れが起きる可能性があるということです。シューキーパーを使用することにより革靴の形が維持され、ひび割れを起きにくくすることができます。
シューキーパーはシワを伸ばしひび割れを予防する需要な道具の一つです。革靴を購入する際にひび割れ対策のために一緒に購入することをおすすめします。
月に一度はクリームを塗る
革靴のひび割れ予防対策の一つに、月に一度はクリームを塗ることをおすすめします。日々の手入れをしながら月に一度はクリームを革靴全体に塗り込み、革に栄養を与えてあげましょう。
クリームで栄養を与えたらしっかりとブラッシングもおこない、綺麗な布で拭きあげてください。ひび割れの予防となると同時に、ひび割れの対策ともなるのです。クリームは大事な革靴を長く履き続けるための重要な道具であり栄養素となってるのです。
雨に濡れた後は乾かしてから手入れする
革靴のひび割れ予防と対策で重要なことがあります。それは雨の日に濡れてしまった革靴をしっかりと乾かすということです。革靴にとって湿気は非常に大敵なものです。
濡れたままにしておくと、湿気は革に浸透していき乾燥をしていきます。乾燥していく過程で革が収縮しひび割れの原因となってしまうのです。
革靴が濡れてしまった場合は直ぐにタオルで拭きとるようにしてください。その後、乾燥しているか確認をしたらクリームを塗ってひび割れを予防しましょう。水分を直ぐに拭き取ることによりひび割れの予防だけではなく、雨染みとカビの対策にもなるのです。
革靴のひび割れを予防する便利グッズ
革靴のひび割れを予防する便利グッツを紹介していきましょう。革靴のひび割れ予防には日々の手入れが重要不可欠です。毎日行うことを習慣づけると、ひび割れ対策にもなり大事な革靴を長く履けることにも繋がります。
但し毎日行うとなると使い勝手のよい、革靴にとって便利なグッズが必要になります。革靴のひび割れ予防に便利なグッツとはどのようなものがあるのでしょうか。具体的な用途を説明していきましょう。
除菌消臭スプレー
革靴のひび割れ予防対策に除菌消臭スプレーも使用しましょう。革靴をずっと履いていると蒸れてしまうことがあります。梅雨の時期は特に湿気を帯びてしまい、革靴にとって大きなダメージとなります。
湿気を帯びたままにしておくとひび割れの原因となり、カビまで発生してしまう可能性があります。除菌消臭スプレーを使用することにより、カビなどの菌の発生を抑制するとともに、嫌な臭いも除去してくれます。
除菌消臭スプレーは靴専用のものを使用するようにしましょう。部屋や衣類用のものを使用してしまうと成分の違いから、革が色褪せてしまったりする可能性があります。
ミンクオイル
革靴のひび割れ予防対策にミンクオイルを使用することをおすすめします。ミンクオイルは革製品のためのオイルです。防水性に非常に優れたオイルで、革への浸透力が高く乾燥にも強いという素晴らしい特性を持ち合わせています。
革靴にとって乾燥はひび割れの原因となる大きな要因です。ミンクオイルを使用することにより乾燥を抑え、湿気を寄せ付けない革靴にとってよい効果をもたらしてくれます。
ミンクオイルは革靴のひび割れ予防対策にとって素晴らしい道具の一つですが、使用量には十分気を付けるようにしてください。塗りすぎてしまうと反対にカビの発生を引き起こしてしまう可能性があるからです。
靴用防水スプレー
革靴のひび割れ予防対策に革用の防水スプレーを使用しましょう。外出先で急な雨などに見舞われる場合があります。革靴にとって湿気はとても大敵です。
革用の防水スプレーを使用することにより水を弾く効果が得られます。水を弾いてくれるということは、雑菌の繁殖も抑えカビの発生も予防してくれます。天気予報を確認して翌日が雨模様であれば、前日にしっかりと防水スプレーをかけておきましょう。
靴用乾燥剤
革靴のひび割れ予防対策に靴用乾燥剤も効果的です。靴用乾燥剤は革靴が湿気の乾燥後に起こるひび割れや、カビ発生を予防してくれる道具になります。
靴用乾燥剤は普段おこなっている手入れの最後に靴に入れておくことをおすすめします。湿気を除去することによってひび割れを予防するだけでなく、雑菌やカビの発生を抑え嫌な臭いも抑制する対策にもなるからです。
革靴は日々の手入れでひび割れを防げる!
革靴のひび割れの予防対策には日々の手入れが不可欠です。革靴を脱いだらその場で手入れを施しましょう。ブラッシングをおこない埃を除去し、月に一度はクリームで革へ栄養を与えてください。
革靴は湿気が大敵です。靴用の防水スプレーで対策をおこない、除菌消臭スプレーでカビと嫌な臭いも予防対策しましょう。靴の中に乾燥剤をいれておけば、いつでも快適な状態で履くことができます。これらの日々の手入れをすることにより、大事な革靴を長く履き続けることへと繋がっていきます。