梅干しを塩抜きするにはどうしたらいいの?
梅干しは長期保存ができるというメリットがある食品です。なぜ長期保存が可能かというと、梅干しは塩分が多く含まれているためです。
長期保存が可能なメリットがありますが、塩分が高いことから、塩辛くて食べられなかったといった経験をしたことがある人も多いでしょう。
食べづらい梅干しは「塩抜き」という方法を用いて塩分を下げることで、食べやすい味に調節することができます。簡単にできるので、梅干しを手作りしたいと考えている人も知っておくと良いでしょう。
梅干しの歴史
日本で梅干しは古くから愛されている食品のひとつですが、その歴史をご存知でしょうか。実は梅干しの材料となる梅は、中国から伝わったと言われています。
もともと漢方として使用されており、梅を「黒焼き」と呼ばれる方法で焼いてつくられた「烏梅」というものが梅干しの原型になります。「梅干し」という名称が誕生したのは平安時代ごろと言われており、村上天皇が病を治すために梅干しと昆布茶を用いたという記録が残されています。
梅干しは長期保存が可能だったことから、戦国時代になると保存食だけでなく、怪我や病気の治療・予防などに重宝されました。戦をするうえで欠かせないものとなったことから、武将たちはこぞって梅の植林をはじめ、戦に備えたと言います。
江戸時代になると、「梅干し」は一般的な食べ物として広く普及するようになります。梅干しの作り方を掲載した本が出版されたり、現在の和歌山県となる紀州では梅の栽培が始まったことが記録されています。
また、この時代は梅干し単体を楽しむだけでなく、日本酒で煮詰めた「煎り酒」や、梅干しと昆布にお茶を注いだ「福茶」といったレシピが開発されました。
明治・昭和まで時間が経過すると、梅の栽培は大きく発展を遂げます。昭和になると品種改良が行われ、「古城」「南高」といった梅が誕生しました。
昭和56年ごろになると、梅干しは健康に良いとされたことから、爆発的なブームになりました。そして家庭で自作するだけでなく、コンビニ・スーパーでも簡単に入手できる食品のひとつとなっていったのです。
梅干しの栄養価
健康を保つ基本として大切なのは、普段の食生活に気を付けることです。そのためにも、梅干しの栄養価について確認していきましょう。
梅干し100gに含まれている栄養は、ナトリウム約8700mg、食物繊維3.6g、カルシウム65mg、マグネシウム34mgになります。カロリーは33kcalです。
カルシウムが多く含まれていることが特徴です。また、ミネラルも多く含有していることから、体の調子を整える効果を期待できる食品です。
梅干しの健康効果
豊富な栄養素が含まれている梅干しは、熱中症予防など様々な効果が期待できます。そのため、古くは漢方薬として用いられてきたのです。
では具体的に、梅干しにはどのような効果があるのでしょうか。梅干しの栄養素に関連して、その効果について紹介していきます。
疲労回復
梅干しには「クエン酸」という栄養素が含まれています。梅干しがすっぱいのは、このクエン酸によるものと言われています。クエン酸は、疲労の原因である乳酸を体外に排出する効果を持っています。
また体内のエネルギー源を燃焼する効果も持っていることから、疲労回復だけでなく、筋トレをしている人にもおすすめの食品なのです。
クエン酸にはこのほかにも、血糖値の上昇を抑える、便秘解消といった効果もあります。日頃の健康を気にしている人にとって、梅干しは効果的な栄養素が含まれているのです。
インフルエンザ予防
医学的根拠はありませんが、「梅干しを食べることで風邪を引かない」といった通説があります。実は梅干しには「エポキシリオニレシノール」という特有の栄養素が含まれているのです。
この「エポキシリオニレシノール」は、インフルエンザウィルスの増殖を防ぐ効果があると言われています。そのため、梅干しはインフルエンザ予防も期待することができます。
胃潰瘍の改善
胃潰瘍の改善効果が期待される梅干しには、「シリンガレシノール」という栄養素を含んでいます。この「シリンガレシノール」は、アルコール性の胃潰瘍を改善すると言われています。
また、この他にも「シリンガレシノール」は、日本人の大半が感染していると言われている「ヘリコバクターピロリ菌」の働きを抑制する効果もあります。
そして梅干しに含まれる「クエン酸」には、唾液の分泌を促すことから、消化吸収を良くする効果もあります。そのため、胃潰瘍だけでなく、胃炎・胃がんといった病気の予防効果もあるとされています。
美容効果も
あらゆる栄養が含まれている梅干しには、美容効果も期待できます。梅干しには、「梅リグナン」が含まれているからです。この「梅リグナン」は植物ポリフェノールに分類される成分で、強い抗酸化作用を持っています。
これにより、老化やしみ、そばかすといった「活性酵素」の働きを抑制してくれるのです。そのため、アンチエイジングとしても摂取しておきたい食品としておすすめです。
しょっぱい梅干し「白干梅」とは
梅干しにも色々な種類がありますが、最も高い人気を獲得しているのが「白干梅」です。梅干しのなかでもかなりしょっぱい部類に入りますが、それは梅干しの作り方に秘密があるのです。
では梅干しの「白干梅」がどういった方法で作られているのかだけでなく、そのメリットについても触れながら魅力を解説していきましょう。
昔ながらの製法で漬けた梅干し
梅干し作りは幾つか方法があります。そのなかでも「白干梅」は、梅干しそのものを素朴な味わいを大切にすることを重視してつくられていることが大きな特徴になります。
具体的には、梅干しを水で洗い、水気をふき取ったら、塩漬けします。塩以外の材料を使用せず、素朴で簡単な方法でつくられていることから、家庭でも手作りできます。
地域によっては、調味梅干しとしてはちみつなどを加えることで、あらかじめ食べやすいようにつくられているケースもあります。
長期保存ができる
長期保存に適した梅干しですが、作り方によって期限が2週間から1年とかなり幅があります。そのなかでも「白干梅」は、かなり長い期間保存が可能な種類になります。
梅干しが長期保存に向いているのは、塩分濃度によるものです。つまり梅干しの塩分濃度が高ければ、長い期間、保存することが可能になります。方法にもよりますが、「白干梅」の塩分は約20%と言われており、かなり濃度が高いことが特徴です。
塩分濃度が高いということは、そのぶんしょっぱい味付けの梅干しになってしまいますが、長期保存が可能という点は大きなメリットとなります。
しょっぱい白干梅の簡単な塩抜き方法
「白干梅」がしょっぱい理由は、含まれる塩分濃度が高いことが原因です。食べやすくするためには、「塩抜き」という方法で塩分濃度を調節していきましょう。
「塩抜き」の方法は簡単ですし、そのほかの梅干しでも使うことができます。梅干しが好きな人や、食べれないくらいすっぱい梅干しがあって困っている人はぜひ実践してみてください。
①塩と水での塩抜き方法
スタンダードな塩抜きする方法に必要な材料は、白干し梅または梅干しと水、塩、大きめのボウルです。分量は梅干し500gに対して、塩小さじ1、水2~3リットルを目安にしてください。
手順としてはまず、用意した水と塩をボウルに入れて塩水をつくります。そのなかに用意した梅干しをいれたら、時間を置きます。それをザルにあげて水気をふきとったら完成です。
塩水と放置時間に関しては、好みによって異なります。また、少ない量の梅干しを塩抜きする場合は、小さい容器で行うと良いでしょう。
塩抜きしたあとの梅干しは、水っぽくなっていることがあります。その場合は、水気を切ったあとに天日干しすると食べやすくなるでしょう。
②水だけで塩抜きする方法
手間なく簡単に塩抜きしたい人は、水だけで行う方法もあります。用意するのは、白干し梅または梅干し、水、大きめのボウルです。分量は塩と水で行う方法を目安にしてください。
真水で行う場合は、塩水と違って浸透圧が働かないことから塩が抜けにくい可能性があります。そのため、30度から40度くらいのぬるま湯を使用すると良いでしょう。
手順ですが、ボウルにお湯と梅干しをいれてたら放置するだけです。置いて時間は好みによって調節してください。簡単ではありますが、塩が抜けにくい可能性があるので、その性質を考慮しながら塩抜きを行ってください。
塩抜きする時間の目安
塩抜きする時間は、その人の好みによって異なります。一般的に梅干しの食べやすい塩分濃度は、10%~15%と言われていますので、「どのくらいの濃度にしたいか」を目安に塩抜きをしていくと良いでしょう。
塩と水を用いたスタンダードな方法で塩抜きを行った場合、約3時間ほどで塩分濃度は約15%になります。約8時間くらいになると、塩分濃度は14%に下がります。
更に24時間後には約5%~10%になります。緩やかに濃度は下がるので、はやめに塩抜きをしたい人は塩水を用いるか、ぬるま湯を使用すると良いでしょう。
このとき注意してほしいのは、塩抜きする梅干しがつぶれていたり、切れ目があるものは通常よりも塩分が抜けやすい性質を持っていることです。そしてサイズが大きい梅干しは、塩分が抜けにくい性質を持っています。
また、塩分濃度を下げると長期保存できなくなってしまいます。塩抜きする梅干しのサイズ、状態、量などを考えて時間を調節しましょう。上手に塩抜きする方法のコツとして、定期的に味見を行うようにしてください。
もし塩抜きを行ったあとに、梅干しを甘くすることを考えているのであれば、塩分濃度が約10%程度にまで下げる必要があります。時間の目安としては12時間程度を見積もっておくと良いでしょう。
塩抜きした梅干しをはちみつで甘くする方法
塩抜きした梅干しは、塩分濃度が低くなっているため、そのままでも食べやすい状態になっています。しかしはちみつに漬けることによって、梅干しの酸味や塩辛い味が苦手な人でも食べやすいようにすることもできます。
はちみつを用いて甘くした梅干しは、調味梅干しに分類される食べ物で市販でも販売されています。しかし簡単にできるので、家庭でもぜひ実践してみてください。
はちみつ漬けを行った場合のメリットとして、梅干しに含まれる栄養素「梅リグナン」の含有量が3倍になり、アンチエイジング効果を高めることができます。
梅干しの酸味や塩辛いのが苦手な人だけでなく、美容効果を期待している人も、はちみつを用いて梅干しを甘くする方法を学んでおくと良いでしょう。
用意する材料
では最初に、用意する材料を用意していきましょう。必要なものは白干し梅、水、塩、砂糖、みりん、はちみつ、梅酢、大きめのボウル、保存瓶になります。分量は白干し梅500gに対して、塩小さじ2、砂糖100g、みりん100cc、はちみつ100cc、梅酢100ccです。
水は用意した梅干しがかぶるくらい注ぐ必要があるので、適宜調整してください。梅酢は、白干し梅を作った時のものを使用しても問題ありません。保存瓶に関しては、あらかじめ煮沸消毒を行っておくとスムーズに進めることができます。
作り方・手順
はちみつを用いて梅干しを甘くする手順として最初に、塩抜きを行っていきます。最初に大きめのボウルに塩と水を混ぜ、白干し梅を12時間ほど放置します。目安として白干し梅の塩分濃度が10%程度になるように、時間を調節してください。
分量が少ない場合は、小さめの容器を使用しても構いません。塩抜きが完了したら、白干し梅はザルにあげて、水気をふき取ります。
ペーパータオルを用いるなどして、梅を傷つけないように優しく引き取りましょう。水気をふき取ったら、煮沸消毒した保存瓶に入れていきます。
白干し梅を入れたら、砂糖・みりん・はちみつ・梅酢を入れていきます。これははちみつ液と呼ばれるもので、梅干しのはちみつ漬けと同じ要領で行っていきます。はちみつ液は、あらかじめ全ての材料を混ぜてから保存液に注ぐとスムーズです。
白干し梅とはちみつ液を保存瓶に入れたら蓋をして、冷暗所に置いて漬かるのを待ち、時間が経ったら完成です。目安としては1時間から2時間くらい漬けておくと良いでしょう。完成したものは、冷蔵庫で保管してください。約2か月ほど保存が可能です。
しょっぱい梅干しを塩抜きして食べやすくしよう!
昔は家庭で手作りするのが一般的だった梅干したが、スーパーやコンビニなどでも簡単に入手できるようになりました。梅干しは塩抜きすることによって、食べやすい状態にすることができます。
またはちみつ漬けにすれば、梅干しはより食べやすくできるでしょう。やり方も簡単なのでぜひ実践してみてください。
梅干しは、健康だけでなく、美容や病の予防などに効果的な要素も多く含まれています。日々の献立に梅干しを取り入れることによって、体の内側から美しく、そして健康を保っていきましょう。