ハイビスカスの特徴
ハイビスカスの育て方や注意点を見る前に、まずハイビスカスとはどんな特徴を持った花なのかから解説しましょう。ハイビスカスは南国の雰囲気が感じられる花として人気があり、日本の本土でも沖縄でも愛されていますが、どのような花でしょうか?
ハイビスカスの系統と特徴
ハイビスカスの原種は250種類以上、現在ある園芸品種は1万種類以上とも言われています。その種類ごとに色や性質、草丈などが違います。その全ては紹介しきれませんが、代表的な園芸品種の系統を見てみましょう。
代表的な園芸品種の系統とは、オールド系、コーラル系、ハワイアン系です。オールド系のオールドとは古いということですが、古くからあるハイビスカスの品種です。オールド系のハイビスカスは小ぶりな花が付きやすく、暑さや寒さにもよく耐えます。
コーラル系ハイビスカスには、フリルのような小ぶりの花が下向きに咲きます。寒さには弱いですが、暑さには持ちこたえられるようです。ハワイアン系ハイビスカスは最も多く出回っていて、大きな花と隙間なく並んだ花弁が特徴です。きれいですが、暑さや寒さに弱くなっています。
ハイビスカスはアオイ科に属するフヨウ属の花で、和名を仏桑花・扶桑花(ブッソウゲ)と言います。原産地は中国南部、インド洋やハワイ諸島、モーリシャス島などとも言われていますが、はっきりしたことはわかりません。
ハイビスカスの開花期は6~10月で、夏だけではなく秋にも花を咲かすことができます。丁寧な育て方や手入れをすると、冬持ちさせることも可能です。花持ちは1日くらいですが、中には2~3日持つものもあります。
ハイビスカスというと、観賞用と思っている人も多いでしょうが、食用や繊維用にもなります。食用の場合、ハーブティーの材料になることがあります。ハイビスカスにはビタミンCやカリウムも含まれ、とても健康的な食材です。
日当たりの良い戸外で育てるのがおすすめ
ハイビスカスは基本的に日当たりのいい場所で育てます。日当たりが悪い場所で育てると、蕾が付かなくなることがあります。日当たりというと、直射日光はどうなのだろうと思う人もいるでしょうが、問題はありません。日の光を燦々と浴びて、しっかりと育ってくれます。
ただし、夏場の太陽には注意が必要です。気温が30℃以上の日が続くと、ハイビスカスの株は弱ってしまいます。したがって、夏場、特に暑い時期は風通しの良い日陰に持ってくるといいでしょう。
ハイビスカスの色
ハイビスカスの花の色はさまざまです。赤いハイビスカスは多くの人が見たことがあるでしょうが、その他に黄色、オレンジ、白、ピンクなどもあります。また、あまりお目にかかる機会はないでしょうが、青やパステルカラー、シルバー、ルネッサンスブルーなどの色もあります。
ハイビスカスの育て方と注意点
ハイビスカスの育て方と注意点を解説します。美しい花を咲かせるハイビスカスの鉢植えを買ってくるのも悪くありませんが、種まきから水やり、肥料や追肥までを自分でやるのもおすすめです。そのような育て方をしたハイビスカスなら、愛着も一段とわくでしょう。
ハイビスカスの種まきの方法
ハイビスカスの育て方を種まきから行なおうという場合は、4月ころに始めるといいです。その際には生育ポットを使います。種まきをする土については、パーライトとパーミキュライトを混ぜたものがおすすめです。
ハイビスカスの種まきをして発芽しやすくするコツですが、土を湿らせてから行うこと、種を一晩水につけておくことです。
植え替えをする
ハイビスカスの種まきをして、苗まで成長したら、植え替えを行います。その際には、鉢に鉢底石、土の順に入れ、土は半分まで埋めます。そして、苗を入れ、周りに土を入れ、固定させればOKです。
ハイビスカスの育て方の一つに地植えがあります。この場合日当たりのいい場所を選ぶのですが、西日が当たらない場所がいいです。ただ、春から秋にかけても気温が6℃以下になる日がある地域では、ハイビスカスの地植えはやめておいたほうが無難です。
地植えでも冬は鉢上げをします。苗の植え替えは花壇に穴を掘って行います。地植えの場合は一つ注意点があって、害虫対策が必要です。
ハイビスカスの置き場所
ハイビスカスの育て方で特に注意したいのが置き場所です。置き場所を間違えると、それだけで枯れてしまう場合があります。ではどこに置くべきかですが、すでに説明したように日当たりのいい場所です。日の光をたっぷり浴びて、ハイビスカスは成長します。
ハイビスカスの耐寒気温は12℃くらいです。そのため、冬場に戸外に置いておくと、耐えられなくなり枯れてしまいます。したがって、冬場は室内に入れておくのがいいのですが、この際も日当たりの良い窓の近くが理想的な置き場所です。
なお、冬の室内というと、暖房が利いているでしょうが、暖房の風は当てないでください。また出かけるときに暖房を切る場合も注意が必要で、5℃以下になると、短時間でハイビスカスは枯れてしまいます。
ハイビスカスの水やりのコツ
ハイビスカスの水やりにはコツがあります。そのコツとは、土が乾いたら、水をたっぷり与えることです。特にハイビスカスの花が咲く頃は、水分を多く必要とするので、水切れなどがないように注意してください。水切れになると、蕾が落ちます。
ハイビスカスの水やりのタイミングは、夏場は朝夕2回です。面倒だから昼に水やりをしましょうという人がいるかもしれませんが、昼の水やりだと、水が温まってしまい、根が傷むことがあります。
冬場の水やりは控えておいたほうがいいです。水やりによってハイビスカスが腐ってしまうことがあるからです。なお、全く水をやらなくて大丈夫かという問題ですが、冬は室内に入れたハイビスカスの葉に霧吹きで水を軽く吹きかけてあげてください。
ハイビスカスにおすすめの土
ハイビスカスの育て方では、土選びも重要なポイントです。では、どんな土を使った育て方がいいのかというと、水はけの良い土です。これは鉢植えでも地植えでも変わりません。
と言っても、どんな土を選ぶべきなのだろうかという人もいるでしょうが、市販されている「花と野菜の土」がおすすめです。もしハイビスカス用の土を自分で配合したいというのなら、中粒の赤玉土と腐葉土を6:4の比率で混ぜます。
ハイビスカスのために特に水はけを良くしてあげたいという場合は、バーミキュライトを入れます。その比率は、赤玉土と腐葉土とバーミキュライトで、5:3:2くらいがちょうどいいです。
ハイビスカスにおすすめの肥料・追肥
美しくしっかりとした植物や花の育て方をしたいと誰もが思っているでしょうが、その分け目となるのが肥料や追肥のあり方です。ハイビスカスの場合も肥料を与えてあげないと、花が咲きにくく付きにくくなります。
その肥料ですが、5~10月の生育期には緩効性化成肥料や油かすや米ぬかなどの徐々に効く肥料を1月に1度くらいやりましょう。これで効果が出ます。
ハイビスカスにどうも元気がないようだと思われる時は、液体肥料がおすすめです。液体肥料は吸収がいいので、効果が早く現れ、ハイビスカスも元気を取り戻しやすくなります。
ハイビスカスにつきやすい病気・害虫
ハイビスカスの育て方で特に注意したいのが病気や害虫などへの対策です。病気については、うどんこ病という病気があります。ハイビスカスの葉っぱに白いカビの斑点がつく病気です。斑点程度で収まればまだいいですが、ひどくなると葉っぱ全体が白くなってしまいます。
全体が白くなると、光合成ができなくなり、ハイビスカスは急速に弱まります。対処法ですが、軽いうちは重曹を薄めたスプレーや殺菌剤を撒くことでなんとかなるでしょう。重くなったら、少し強力な殺菌剤を葉の表面から裏側、木の下まで丁寧にスプレーしてください。
ハイビスカスに生育する害虫については、アブラムシ、カイガラムシ、アザミウマ、毛虫、ハダニ、シャクトリムシなどがあります。対処法は殺虫剤の使用ですが、中にはワタアブラムシのように薬剤に強い害虫もいて、対処に苦労することもあります。
ハイビスカスの増やし方と注意点
ハイビスカスの育て方に続いて、増やし方とその注意点を見てみましょう。ハイビスカスは冬越しが少し難しいので、1年草で終わらせてしまう人もいますが、そんなハイビスカスを増やす方法があります。挿し木や接ぎ木などを使った方法ですが、手順を紹介します。
植え替えのコツ
ハイビスカスの増やし方を考える前に、植え替えについて勉強しておく必要があります。ハイビスカスは生育が非常にいいので、鉢植えで育てる場合、最初の鉢ではすぐに中が根で一杯に埋まってしまい、根詰まりを起こします。それを防ぐための植え替えです。
ハイビスカスの植え替えのタイミングは5~6月頃です。夏では遅すぎます。夏になると、生育が一段と良くなり、すぐに根詰まりを起こすので、少し早めに植え替えをしておきましょう。苗や株を新しく購入する場合もこの時期の植え替えがグッドタイミングです。
ただ、この時期以外でも鉢の底から根が飛び出ているときや水やりをしても水の浸透が悪いときは、植え替えをした方がいい場合もあります。植え替え時間ですが、涼しい時間帯が良く、午前中早い時間か夕方日没後がおすすめです。
ハイビスカスの植え替えには、大きくする植え替えと大きくしない植え替えがあります。手順が少し違うので、それぞれ確認しておきましょう。まず大きくする植え替えでは、水はけの良い新しい土を植え替え用の大きめの鉢に1/4ほど詰めます。
次に最初の鉢から抜いた株の土を崩さずに、新しい鉢に置きます。そして、土を加え、鉢と根の隙間にも土を埋めてください。土は鉢の上部2~3cmのところまで入れ、十分に水をやり、ハイビスカスの大きくする植え替えの完了です。
大きくしない植え替えでは、鉢から抜いた株の土を1/3ほど落とします。そして、古い鉢に新しい土を加えながら植え付けます。その後、枝を1/2か1/3ほど剪定し、水をやります。肥料はすぐに与えず、2週間ほど待ちましょう。これでハイビスカスは大きくならないでしょう。
挿し木のコツ
挿し木はハイビスカスを簡単に増やす方法です。ただし、ハワイアンタイプではできないものもあるし、購入したての株も挿し木をしないほうがいいでしょう。それ以外のものなら、挿し木をやってみましょう。
挿し木の手順とコツですが、まず前日に十分に水やりをします。そして、挿し木当日に元気のある枝を7~10cmくらい切り、上部の葉2枚を残して、他の葉は全部切り落とします。次にその枝を2~3cmの深さで鉢に入った土に挿してください。
土の種類は赤玉土小粒にするか配合土にします。配合度の比率は、ピートモスと鹿沼土小粒(or赤玉土小粒)で3:7にしましょう。挿し木をした鉢は風のない明るい日陰に置き、10日間程は、土が乾かないうちに鉢底から水が流れるほどの量の水をしっかりと与えます。
その後は、それほど水を与える必要はなく、土の表面が多少乾いたタイミングで水やりするといいです。1ヶ月位経過すると、根が出てくるので、根詰まりを防ぐ意味でも3合ポットに植え替えましょう。その後はどんどん生育していくので、その都度大きな鉢に入れます。
挿し木後は鉢上げが必要
挿し木をした場合に欠かせない作業が鉢上げです。鉢上げとは、挿し木して育った苗を別の鉢に植え替える作業です。挿し木した枝はどんどん生育しますから、鉢上げしてあげないと、根詰まりを起こします。
鉢上げの方法ですが、新しい鉢の底に鉢底石を置き、肥料入り培養土を入れます。挿し木した枝を傷めてはいけませんから、1本ずつ丁寧に植え付けていきましょう。そして、鉢底から流れ出るくらいの水を与えます。
ハイビスカスは基本的に日当たりのいい場所で育てるものですが、鉢上げ後はデリケートな状態です。そのため、直射日光を避けて、半日陰くらいの場所に置いておくほうがいいでしょう。その段階が済んで、株が成長し始めたら、日向に置いても大丈夫です。
接ぎ木のコツ
ハイビスカスの増やし方には挿し木以外に接ぎ木という方法もあります。接ぎ木をする場合は、増やしたい株と台木にする株を用意しておきます。やり方は、まず増やしたい株を8~10cmの長さで切り、大きな葉はすべて切り落としてください。
次に枝の切り口を30度くらいの角度のV字型に削ぎますが、これを穂木と言います。台木の方は、土から15~20cmくらいの高さで幹をカットしましょう。横に伸びた枝や葉や脇芽は不要ですから、全て切り落とします。
そして、台木の真ん中あたりに斜めにナイフで切込みを入れてください。幹の直径の1/3か半分までです。この切れ込みに穂木を隙間なく差し込みます。そこを接ぎ木テープで固定します。芽の出る部分は塞がないでください。2~4週間くらいで芽が膨らむので、台木の上部を切ります。
ハイビスカスの手入れの方法と注意点
今度は、ハイビスカスの手入れの方法と注意点をチェックしてみましょう。ハイビスカスの手入れの中心的な作業は花がら摘みと剪定ですが、そのコツをアドバイスします。そのアドバイスに従って、上手に剪定などの作業をしてください。
花がら摘みのコツ
ハイビスカスの花が咲き終わったら、花がら摘みという作業をし、種に養分が行かないようにしてください。また花を咲かせるために必要な作業です。花がら摘みのコツですが、花びらの付け根の額の下に線があるので、そこを爪で折るかハサミでカットします。
剪定のコツ
ハイビスカスは剪定により、風通しも良くなり、日当たりも改善し、害虫などの予防もできるようになります。つまり剪定という作業は、育成を促すために欠かせないものです。そのハイビスカスの剪定ですが、強剪定と間引き剪定があります。それぞれの特徴とコツを見てみましょう。
強剪定のコツ
ハイビスカスの強剪定は、全体を大きくカットし、株の高さを1/2か1/3にまでしてしまう剪定です。元気のないハイビスカスを元気づけたい、株を小さめに育てたい、あるいは冬を迎える前などによく強剪定を行います。
強剪定のコツですが、枝の長さを1/3ほど残すようにカットします。大きめの枝なら、もう少し思い切ってカットするのもありです。強剪定後は当面花が咲かなくなりますが、タイミングとしては花が少ない10月下旬ころまでがちょうどいいです。
間引き剪定コツ
ハイビスカスの間引き剪定は、必要なくなった枝だけを切り取る剪定です。混み合った枝、枯れた枝、弱っている枝などを剪定します。間引き剪定のコツは、付け根からカットするだけです。簡単なやり方なので、誰でもできるでしょう。
ハイビスカスの冬越しの方法
南国のイメージが漂うハイビスカスは冬が苦手です。冬越しをさせるためには、上手に管理・世話をしてあげなければいけません。さもないと、枯れてしまい、もう花を咲かせることができなくなります。そこで、ハイビスカスの冬越しの方法を伝授します。
室内に入れる
ハイビスカスは、気温が5℃以下になると枯れてしまいます。したがって、冬越しをさせるためには、それ以上の温度の場所に置いておく必要があります。つまり、室内に入れてやるのです。そのタイミングですが、花が咲かなくなった頃です。
冬越しのための強剪定をする
ハイビスカスを室内に取り込む場合は、強剪定をしてあげましょう。大きな枝はハイビスカスにとっても重荷であり、育成の邪魔になります。強剪定をしてあげれば、冬越しがしやすくになり、暖かくなったら大きく成長します。
冬越しの注意点
ハイビスカスの冬越しのために室内管理する場合、いくつか注意点があります。暖かい時期に室外で育てているときとは状況が違うので、気を使わなければいけません。では、どのような点に気をつければいいのか、いくつかポイントを纏めました。
蕾がついた場合
室内でハイビスカスを管理するようになると、暖かいので、蕾が付いたり、花を咲かせたりする場合があります。そのような時は、水やりに注意しましょう。水切れしないように土が乾きそうなら水を与えます。また、蕾が付きそうなら、肥料もやってください。
葉が落ちた場合
寒い時期にハイビスカスの葉っぱがどんどん落ちると、枯れてしまったのではと判断するかもしれません。その結果、捨ててしまおうかなと思うかもしれませんが、慌ててはいけません。葉が落ちても、また小さな葉に芽が出て、花が咲くことがあります。
したがって、葉っぱが落ちた状態でも、欠かさず水やりをするようにしましょう。表面の土が乾き気味になったら、水をたっぷり上げてください。ただ、それを続けて、5月になっても芽が出なければ、その時は諦めるしかありません。
急な寒さが来た場合
もう春だから大丈夫だろうと思って、ハイビスカスの鉢を外に出すでしょうが、春といえでも寒い日があります。急な寒波が押し寄せてくることもあります。そのような寒波襲来の天気予報を見たら、ハイビスカスを室内に戻してあげましょう。春であっても、油断は禁物です。
ハイビスカスの寄植えの方法
寄植えとは、一つの場所に複数の植物を植えることです。ハイビスカスも寄植えができるので、他の植物と組み合わせて、華やかな花のショーが楽しめます。そのハイビスカスの寄植えの方法を紹介するので、ぜひやってみてください。
日当たりを好む植物と組み合わせるのがおすすめ
ハイビスカスは日当たりのいい場所を好みます。育てる場合も、日当たりのいい場所に置くのが基本です。これはハイビスカスの寄植えでも当てはまることで、寄植えの対象となる植物も日当たりを好むものにしておけば、相性がとても良くなります。
小さい鉢に植物を入れすぎるのはNG
ハイビスカスに限りませんが、寄植えをする場合、小さめの鉢に植物を入れすぎてはいけません。寄植えした植物同士の根が詰まり、それがお互いへの負担になってしまいます。そうなれば、育生もしにくくなり、立派な美しい花が咲かないかもしれません。
寄植えのコツ
ハイビスカスの寄植えの仕方は季節によっても違います。秋ごろに寄植えをする場合は、剪定をし、根を半分ほど崩してからやってください。春や夏に寄植えをする場合は、剪定なしでそのまま植え付けて大丈夫です。
ハイビスカスの寄植えの土
ハイビスカスを育てる鉢に入れる土は、赤玉土や腐葉土であり、多くの植物と寄植えしやすくなっています。ただし、酸度無調整ピートモスのような酸性土壌を好む植物とは相性が良くないので、寄植えに当たっては土質の好みが同じ植物を選んでください。
ハイビスカスは日当たりが良い場所でよく育つ
ここまで、ハイビスカスの育て方、増やし方、手入れ方法、冬越しの方法、寄植えの方法などを紹介しました。ハイビスカスは日当たりのいい場所を好むので、置き場所に気を使ってあげてください。そうすれば、立派な美しい花が咲くでしょう。