目を通すは敬語として間違い?意味や正しい言い換え表現を解説!

目を通すは敬語として間違い?意味や正しい言い換え表現を解説!

ビジネスシーンでよく使われる目を通すという表現ですが、この意味を解説します。また、目を通すとは、敬語として間違った表現なのかも検証します。そして、敬語として間違いならば、ほかにどんな正しい言い方があるのか、適切な言い換え表現も学びましょう。

記事の目次

  1. 1.「目を通す」の意味とは
  2. 2.「目を通す」の使い方
  3. 3.「目を通す」は敬語として間違い?
  4. 4.「目を通す」を敬語表現にする
  5. 5.「目を通す」の敬語としての言い換え
  6. 6.自分が「目を通す」場合の言い換え表現
  7. 7.「目を通す」の類義語
  8. 8.「目を通す」を敬語にする場合の正しい言い換えを知っておこう!

「目を通す」の意味とは

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「目を通してください」「目を通しておきましょう」などという使い方がよくされます。日常でもビジネスシーンでも使われることが多い「目を通す」という表現の意味を見てみましょう。と言っても、特に難しいわけではありませんが、正し意味を知ることで、よりその言葉の正しい使い方ができるようになります。

一通りみる・ざっと見る

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「目を通す」とは、簡単に言うと、「ざっと見る」「通覧する」「一通り見る」という意味です。この意味を見ればわかるように、軽く流し読みしているという感じで、あまり丁寧さは感じられません。したがって、目を凝らすように詳しく見るという場合は、「目を通す」という表現は使わず、別な言い方をします。

「目を通す」の使い方

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「目を通す」とはどんな意味かわかったところで、実際の使い方を見てみましょう。「目を通す」は、一字一字丁寧に追っていくような見方ではないので、大まかな概要をつかむ時に使う表現です。そのような例はいろいろありますが、日常生活でもビジネスシーンでも使ったことがある人は多いでしょう。

詳しく見る訳ではない意味の例文

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「ざっと見る」「通覧する」という意味がある「目を通す」という言葉なので、詳しく見るのとは正反対に位置しています。そのような意味の例文をいくつか紹介しましょう。ただ、例文を見なくても使い方はわかるという人もいるでしょうが、具体的な例を見ることで、「目を通す」をより使いやすくなるでしょう。

例文①

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「目を通す」の最初の例文は、「先日引き受けた書類にざっと目を通しておきました」です。これまでに説明した「目を通す」の意味からもわかるように、これは「書類を軽く一覧しておいた」という意味です。ビジネスシーンではよく使われる言い方で、実際に使ったことがある人もいるでしょう。

例文②

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次の「目を通す」の例文は、「今朝、新聞に目を通しましたが、その事件のことは見落としました」です。この例の場合は、忙しい朝の支度の最中にざっと新聞を読んだけれど、事件のことに気づかなかった様子が現れています。新聞は、丁寧に読む人もいますが、あらましだけを眺める(つまり、目を通すだけという)人も多いです。

例文③

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「早速全員の予定表に目を通し、次の準備をします」のような例文もあります。この場合も、全員の予定表をつぶさに見るという感じはなく、大体の予定の流れをつかんでおく時の表現です。詳しく予定表を見る必要がある時は、「目を通す」というような言い方ではなく、別の表現を使います。

例文④

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日常生活では、次のような例文もあります。「新聞の折り込みチラシに目を通して、値段を確認してから買い物へ行った」です。新聞の折り込みチラシは熟読玩味する必要はないでしょうから、「目を通す」だけで十分でしょう。家庭の主婦などが使いそうな例文であり、実際に使っている人もいるでしょう。

例文⑤

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今度は、自分が「目を通す」のではなく、他人に「目を通してもらいたい」場合の例文を紹介しましょう。たとえば、「このパソコンの使用の際は、この説明書に目を通しておいてください」と言われたことがある人もいるでしょう。パソコンに限りませんが、何を使用するにも説明書を軽く見ておいてほしいという意味です。

例文⑥

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職場では、こんな使い方がされることがあります。「これから作業を開始するので、この説明書にざっと目を通しておいてください」。作業開始前なので、丁寧に説明書を読んでいる時間的余裕がない場合などに、このような言い方がされます。詳しくは後で丁寧に確認してくださいということです。

例文⑦

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薬を処方する場合に、よく薬剤師さんが「薬を飲む前に注意書きに必ず目を通しておいてください」と言う場合があります。この場合も注意書きを軽くでいいので、読んでおいてほしいという意味です。もちろん、丁寧に読んでくれればそれに越したことはないのですが、軽く「目を通す」だけでも、注意事項は頭に入るでしょうという意味です。

「目を通す」は敬語として間違い?

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「課長、この書類に目を通しておいてください」などと言う場合があります。これを見ると、「目を通す」は敬語としても通用するようにも思えますが、実施には間違いなのでしょうか。このコーナーでは、「目を通す」が敬語として正しいのか間違いなのかを検証していきます。その結果を見ると、意外なことに気づくでしょう。

目を通すは敬語としてNG

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結論から先に行ってしまうと、「目を通す」は敬語としては間違い表現です。間違いの理由はこれから説明しますが、目上や上司、取引先などには使えない表現です。したがって、「目を通す」を敬語のつもりで使ってしまうと、相手に失礼になります。もし敬語として使ったことがある人は、今後は注意しましょう。

軽い行為を頼む意味になる

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「目を通す」とは、「ざっと見る」「通覧する」という意味ですが、これはかなり軽い行為です。尊敬すべき相手にこのような軽い行為を頼むのは、あまり適切なことだとは言えません。いい加減に済ませておいてくださいというニュアンスも感じられ、相手を侮辱しているようにも聞こえます。そのために、敬語としては間違い表現なのです。

目を通していただけますか

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「目を通してください」は敬語としては間違い表現です。しかし、「目を通していただけますか」「目を通していただけないでしょうか」のようにすれば、敬語としていいのではと思っている人もいるでしょうが、そういうわけにはいきません。たとえ丁寧な言葉を付け加えても、頼んでいる内容は変わらないので、敬語としては間違いとなるのです。

目下には使える

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「目を通す」は敬語としては間違い表現ですが、目下に使う分には全く問題はありません。「○○君、この書類に目を通しておいてくれたまえ」と上司が部下に命令しても、失礼にあたりません。したがって、「目を通す」は、同じレベルの人(この場合は注意も必要)か目下の人に使うのが正しい用法です。

「目を通す」を敬語表現にする

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「目を通す」は敬語として間違いなのですが、あえて敬語として使おうとすれば使えないことはありません。多少無理な感じにも聞こえますが、そのような表現をいくつか紹介しましょう。ただ、時と場合により、これらの敬語表現でもやや失礼な感じになることがあるので、注意が必要です。

軽薄なイメージにならないように注意

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「目を通す」とは、「ざっと見る」「通覧する」という意味なので、このまま目上や上司に使うと、どうしても軽薄な感じが出てしまいます。そこで、その軽薄なイメージが出ないような敬語表現にする必要があります。そんな敬語表現があるのかと思われる人もいるでしょうが、ないことはありません。

例文①

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まず、自分が「目を通す」場合の敬語表現を見てみましょう。自分が「目を通した」ことを目上や上司に報告する場合は、「目を通させていただきました」と言えばいいでしょう。この「させていただく」という言葉のうち、「いただく」が「もらう」の謙譲語になっていて、相手への敬語表現となります。

例文②

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「この書類にお目を通していただければ幸いです」という例文があります。「この書類に目を通してください」を言い換えて。敬語表現にしたものです。「お+していただく」で、相手から恩恵を受けることを表しますが、立派な敬語です。ただし、敬語ではあっても、意味自体は軽い部分があるので、使い方には注意が必要です。

例文③

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職場では、こんな会話が聞かれることがあります。「お目を通していただいたのちに、ファイルにまとめます」。上司や目上の人に「目を通して」もらうように依頼しているのですが、その後次の手順に移ることを説明しています。これも敬語表現ではありますが、少し無理な感じもする敬語です。

例文④

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少しバカ丁寧な敬語表現になりますが、「お目を通していただけますようお願い申し上げます」という言い方があります。よほど「目を通してほしい」という気持ちが高じて、このような敬語表現になったのだと思われます。これくらいの敬語表現になると、かなりの敬意は感じられますが、少ししつこさも感じられます。

「目を通す」の敬語としての言い換え

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「目を通す」をそのまま敬語に言い換えて、「お目を通していただく」と言っても、ある程度敬意は伝わりますが、少し無理な印象は否めません。それよりも、表現自体を言い換えて、別な敬語にするほうが丁寧な感じが出ます。そのような敬語表現をいくつか紹介するので、目上や上司、取引先などにはぜひ使ってみてください。

「ご覧ください」の敬語例文

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他人に「見てください」と言うと、少しぞんざいな感じがしますが、「見てください」の尊敬語である「ご覧ください」を使えば、かなり丁寧な響きが出てきます。これは、「目を通してください」の正しい敬語表現でもあります。例文は、「重要な文章なので、ぜひご覧ください」となります。「目を通してください」よりもずっと好ましい言い方です。

「ご高覧ください」の敬語例文

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「高覧」は、相手が見ることへの尊敬語です。「ご高覧ください」というと、「ご覧ください」よりも敬意の強い言い換え表現となります。かなりかしこまった場面で使われる敬語表現と言えるでしょう。この例文は、「昨晩作成した報告書です。ご高覧ください」です。この敬語表現は非常に丁寧で、上品な感じがします。

「ご一読ください」の敬語例文

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「ご一読ください」は、「一通り読む」の言い換え表現であり、尊敬語です。この敬語表現は読むことに重点が置かれているので、「お目を通してください」の言い換えとする場合でも、文字が連なったものを見る場合に使います。手紙や文章などが当てはまりますが、例文も「先日したためた私の文章です。ぜひご一読ください」のようになります。

「ご査収ください」の敬語例文

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あまり会話では使いませんが、「ご査収」という敬語表現があります。これは、「確認して、受け取る」という意味の言い換え表現です。正しい使い方は「ご査収ください」で、より丁寧にすると、「ご査収していただけますようお願いいたします」となります。これは確認するという意味があるので、その対象になるものがないと使えない表現です。

「ご査収ください」の正しい例文を見てみましょう。「注意書きを添えましたので、どうぞご査収ください」となります。なお、これでも十分に丁寧な敬語表現なのですが、もっと慇懃にしたければ、「ご査収のほどよろしくお願いいたします」のようにも言えます。

「していただけますか?」と疑問形にする

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「目を通す」をそのまま使えば、失礼な表現にもなるので、「目を通していただけますか」と疑問形に言い換えるのはどうでしょうか。用法としては正しいですが、敬語としては物足りません。もう少し丁寧にして、「お目を通していただけるでしょうか」とすれば、少しマシな敬語表現になりますが、これまでに紹介した敬語表現よりは劣ります。

自分が「目を通す」場合の言い換え表現

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自分が「目を通す」場合、「目を通させていただきました」という表現はあまりよくありません。ざっとだけ見ておいたという意味になり、ややいい加減な印象を相手に与えます。したがって、これも正しい敬語表現に言い換えする必要がありますが、どのような「目を通す」の言い換え表現があるのかを見てみましょう。

拝見させていただきました

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「拝見」とは、「見る」の謙譲語で、自分をへりくだる場合に使う敬語表現です、したがって、「目を通す」行為を自分で行う場合に使える表現です。たとえば、「部長のレポートを拝見させていただきました」と言えば、「目を通させていただきました」よりも丁寧な感じがし、気の利いた表現となります。

拝読させていただきました

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「拝見」と同じような言葉に「拝読」があります。ともに謙譲語ですが、「拝読」の場合、読むことの謙譲語となります。相手からもらった手紙などを対象にして使う表現です。したがって、例文も「昨日受け取った手紙を今日拝読させていただきました」のようになります。このように正しい敬語表現を使えば、「目を通す」よりもいい印象を与えられます。

一読させていただく

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目下や同僚に対して、「目を通す」ものがあった場合は、そのまま「目を通す」を使ってもいいのですが、ちょっと違う表現を使うこともできます。たとえば、「君の報告書を一読させていただいたよ」と言い換えれば、少し丁寧な印象になります。したがって、時には「目を通す」でない表現を使ってみるのもおすすめです。

「目を通す」の類義語

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「目を通す」とは「ざっと見る」「通覧する」「一通り見る」という意味ですが、ほかの類義語もチェックしておきましょう。まず、「一読」ですが、「ざっと読む」という意味なります。ところが、「ご一読ください」となると、しっかり読んでくださいという意味に変わります。そのほかの類義語は、「一覧」「拾い読み」「斜め読み」「走り読み」などです。

「目を通す」を敬語にする場合の正しい言い換えを知っておこう!

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ここまで、「目を通す」の意味、使い方、「目を通す」を敬語表現にした場合などについて解説しました。「目を通す」という言葉は、便利なのでついつい使ってしまいますが、時と場合により失礼になる場合があります。特に目上や上司に使うのにはふさわしくない表現なので、別な正しい言い換え表現を探して、丁寧に言う必要があります。

milky
ライター

milky

WEBライターを長年続けています。書くことと調べることはなによりも好きで、1日中パソコンにかじりついている私です。これからも皆さんのお役に立てる記事を書くべく、最大限の努力をします。パソコン以外では、コーヒーを淹れたり飲んだりするのが大好きです。好きなコーヒーを飲みながら楽しくWEBライティングをしています。

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