衆議院と参議院の違いをわかりやすく説明!それぞれの国会での役割とは?

衆議院と参議院の違いをわかりやすく説明!それぞれの国会での役割とは?

ニュースなどでよく見かける国会に関すること。普段生活しているうえではあまり気にしませんが、政治は私たちの生活に根差したものです。本記事では衆議院と参議院の違いについて説明します。衆議院と参議院にはどのような役割の違いがあるのでしょうか。

記事の目次

  1. 1.衆議院と参議院が属す国会の役割とは?
  2. 2.衆議院と参議院の違いをわかりやすく解説!
  3. 3.解散や内閣不信任決議における違い
  4. 4.参議院の役割と問題点
  5. 5.二院制にする必要はある?
  6. 6.世界の議会制度
  7. 7.有名な衆議院解散
  8. 8.衆議院と参議院の違いを役割から見極めよう

衆議院と参議院が属す国会の役割とは?

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テレビや新聞などで国会に関する報道がよくなされています。国会には衆議院と参議院があり、それぞれで審議が行われているのですが、改めて国会がどのような役割をしているのかを聞かれると困る人も多いのではないでしょうか。ここでは衆議院、参議院が属している国会とはどのようなものかについて、わかりやすく説明します。

国会は国の唯一の立法機関

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学生時代に学んだ国会の役割についても、忘れてしまっていることもあります。日本国憲法では国会を「国権の最高機関」と定めています。国を運営するうえで、欠かせない機関であるということです。また、「国の唯一の立法機関」でもあり、法律を作ることができるのは国会のみになります。

衆議院と参議院は三権分立のうち立法を担う役割

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日本は三権分立という制度をとっています。三権分立とは法律を決める「立法権」、政治を行う「行政権」、裁判を行う「裁判権」の三つの権力を分ける制度です。これは権力が一つに集中して暴走するのを防ぐためです。衆議院と参議院は立法を担っており、国会議員が集まり、話し合って法律を作る役割を担っています。

衆議院と参議院の違いをわかりやすく解説!

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法律を作る立法という役割を担ってる衆議院と参議院。それぞれに役割やルールがあります。社会科の授業で学んだこともあると思いますが、忘れてしまっている人も多いのではないでしょうか。ここでは衆議院と参議院の違いをわかりやすく説明します。国会の仕組みとはどのようなものでしょうか。

違いはイギリスの仕組みに似ている

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日本の議会制度はイギリスをお手本としてはじまりました。そのため、今でもイギリス議会のような二院制になっています。イギリスの議会制度は貴族院と庶民院に分かれており、身分によって所属する院が違います。日本でも戦前は衆議院と貴族院にわかれていて、戦後に身分制が撤廃されたため、今の形になっています。

違いは「選ばれ方」で見極める

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衆議院と参議院にはその役割によって規則に違いがあります。まず定数ですが、衆議院は465人と多く、参議院は242人と少ないです。逆に任期は衆議院が4年と少なく、参議院が6年と長めに設定されています。被選挙権については衆議院が25歳以上、参議院が30歳以上となっております。

衆議院には解散があり、解散される度にすべての議員が失職します。参議院の場合は解散がなく、半期の3年ごとに議員数の半分が入れ替わる制度をとっています。衆議院と参議院、それぞれの選ばれ方に違いがあるのが日本の議会制度の特徴です。

衆議院の方が国民の意見を反映しやすい

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衆議院には解散があるため、現在の民意を反映してないと国民が思った場合は解散になる場合があります。そして選挙で国民の民意に沿った人物が選ばれることによって、今現在の民意を反映することが可能になります。参議院は解散がないため、リアルタイムの民意の反映には適しませんが、長期的な視野で政策を考えられるのが利点です。

解散や内閣不信任決議における違い

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上でも説明したように衆議院には解散があります。解散の要件は下記の項目でわかりやすく説明しますが、要するに民意を反映していないと判断された場合に解散になります。民意を反映してない場合は不信任決議が下されます。この解散があるという点が衆議院と参議院の大きな違いです。

違いに大きな意味を持つ「解散による選挙」

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衆議院の解散の要件には以下の四つの項目があります。「任期を満了した場合」「衆議院にて内閣不信任決議案が可決された場合」「衆議院にて内閣信任決議案が否決された場合」「内閣が必要だと判断した場合」。この四つの項目のいずれかの場合になったとき、衆議院は解散され、新しい議員を決める選挙となります。参議院にはこの解散がありません。

衆議院が実際に解散されたのは1度だけ

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衆議院が任期満了により解散となったのは戦後1回のみでした。あとの解散は不信任決議案が可決されたか、信任決議案が否決されたか、時の総理大臣が解散させたかのいずれかになります。わかるやすく言うと、衆議院はその時の政情に左右されることが多く、4年の任期を満了させることがほとんどないということです。

6年の任期を全うする参議院と違って、衆議院は時の政情を正確に理解していないと務まらないでしょう。自分の政策を時間をかけて成就させたい場合は、参議院でじっくりと活動するのがいいのではないでしょうか。

解散の理由に最も多い「7条解散」とは?

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日本国憲法第7条には天皇が内閣の助言と承認により、衆議院を解散することができると記されています。日本国憲法が施行されて今まで、衆議院解散の中で一番多いものはこの7条解散です。わかりやすく言うと、内閣総理大臣が行っている行政が国民の求めているものかどうか信を問うために行われるのがこの解散です。

「衆議院の優越」とは?

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日本は二院制を採用しており、衆議院と参議院で意見がわかれることがあります。そのような場合には、より国民の意見を反映していると思われる衆議院の判断を尊重します。例えば、衆議院で可決された法案が参議院で否決された場合、衆議院の2/3が賛成すればその法案は成立したと見なされます。

参議院の役割と問題点

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日本の二院制の一つ、参議院とは実際にはどのような役割を担っているのでしょうか。6年という衆議院より2年長い任期をもち、被選挙権が30歳以上とされているのには理由があります。

解散もないため、衆議院よりリアルタイムな民意を反映していないけれども、そのことによって参議院が果たさなければいけない役割を果たすことができます。ここでは参議院の役割についてわかりやすく説明します。

参議院の役割は法案の審議とチェック

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参議院は良識の府と呼ばれ、以前は有識者がその役割を担っていました。衆議院は国民のリアルタイムな意見を反映しますので、その意見が長期的に見て国の利益に適っているかチェックする必要があります。その役割を担うのが参議院です。そのため、被選挙権30歳以上で6年の任期が課されているのです。

リアルタイムな国民の意見から離れて、落ち着いた目でその法案の可否を判断します。それだけの見識を持っていることが参議院には求められます。

参議院の問題点

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それでは参議院の問題点とはなんでしょうか。それは衆議院の過半数を占めている政党と参議院の過半数を占めている政党が違う場合に起こります。衆議院で法案を可決しても、敵対する政党が過半数を占める参議院では法案が否決されてしまいます。衆議院で法案を通した政党が2/3を占めていない場合、その法案は廃案となります。

このように衆議院と参議院の議員数がねじれてしまった場合、良識の府である参議院が公平に法案の中身をチェックするわけではなく、政党同士の対立としての役目しか果たさなくなってしまいます。ねじれ国会と呼ばれ、政治が前に進まなくなる現象がこれです。

二院制にする必要はある?

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国会が空転するねじれ国会。それは衆議院と参議院で過半数を占めている政党が違うことから起こる現象でした。それでは二院制にしていることがねじれ国会の原因ではないでしょうか。一院制にすれば問題は解決するはずです。日本はなぜ二院制という制度を採用しているのでしょうか。ここではその理由をわかりやすく説明します。

一院制で衆議院だけの場合

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例えば衆議院しかなかった場合、どのようなことが起こるのでしょうか。結論としては政情が不安定になります。一院制の場合、国民から選ばれた政党が法案を作ります。そこにはどんなチェックも入りませんので、好きなだけ好きな法案を通すことができます。

しかし、国民が意見を変え、また別の政党が衆議院の過半数を占めたとします。すると直前の政党とは正反対の法案を作り、実施していきます。社会は法律によって統治されています。その法律がころころと反転してしまうと、そこに生きる人や企業が困ります。一院制の問題点は、わかりやすく言うと、法律の変更が頻繁に起こるためによる政情の不安定化です。

衆議院と参議院の二院制の場合

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それでは衆議院、参議院の二院制の場合はどうでしょうか。衆議院選挙があり、今までとは違う政党が多くの議席を占めました。その政党は自分たちの好きなように法案を通そうとします。しかし、参議院はまだ以前の政党が過半数を占めているとすると、衆議院で通った法案は参議院で否決されます。

仮に衆議院で多数派の政党が2/3の議席を持っていて、参議院で否決された法案を強引に成立させたとしましょう。国民はその強引なやり方に不安を感じて、次の衆議院選挙ではその政党を選ばなくなります。

政権与党の暴走を防ぐ

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衆議院と参議院の二院制にはねじれ国会という政治を空転させる問題がありました。しかし、一院制では政情が不安定化してしまうとともに一つの政党が強引に政治を進め、暴走してしまう恐れがあります。二院制による相互のチェック機能によって、政治が安定して前に進むことができます。

世界の議会制度

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日本の議会制度は衆議院と参議院による二院制でした。それでは世界の議会制度はどうなっているのでしょうか。多くの国が二院制を採用していますが、世界には一院制を採用している国もあります。そして三院制もかつては存在していました。ここでは世界の議会制度についてわかりやすく説明します。

二院制を採用している国

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世界の国の多くは二院制を採用しています。アメリカ、ドイツ、フランス、イギリス、カナダなど先進国の多くは二院制です。日本では衆議院と参議院ですが、海外での二院制は上院と下院になります。日本の制度はイギリスを模倣して作られているので、欧米諸国と似たような制度になっています。

一院制を採用している国

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二院制ほど多くはないですが一院制を採用している国もあります。フィンランド、ノルウェー、デンマークなどの高福祉国家で一院制が採用されています。また、そのほかにイスラエル、ニュージーランド、ポルトガル、ルクセンブルクなども一院制です。議員数の増加による歳出の削減として一院制が採用される場合が多いです。

三院制が採用されていた国

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かつて南アフリカ共和国では三院制が採用されていました。これは人種によって議会を分けており、人種差別的な傾向がありました。1994年に廃止になり、今では二院制が採用されています。また、明治の日本も正院、左院、右院の三院制度を採用していました。今では三院制度を採用している国はありません。

有名な衆議院解散

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これまで衆議院では数多くの解散が行われてきました。中にはメディアを騒がす有名な解散もあります。国民の信を問うために行われる解散ですが、どのような解散があったのでしょうか。ここでは有名な解散をいくつか紹介します。それぞれの解散は俗称がついているのでわかりやすくなっています。

バカヤロー解散

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1953年に行われた衆議院解散の俗称です。当時の総理大臣だった吉田茂首相が野党である社会党の質疑に対して「バカヤロー」と発言したため、議会が紛糾し、その後、内閣不信任案が提出、可決され、衆議院解散となりました。吉田茂首相の「バカヤロー」という発言からはじまったため、「バカヤロー解散」と呼ばれています。

死んだふり解散

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1986年に行われた衆議院解散の俗称です。当時の政治状況として、議会の制度上の問題で衆議院の解散は難しいと思われていました。しかし、その時の総理大臣である中曽根首相が臨時国会を開き、そこで衆議院の解散を断行しました。衆議院の解散はないと考えていた野党は反発しましたが、憲法7条の総理大臣権限により解散は実行されました。

思いがけない選挙の結果、与党である自民党が勝利し、解散は成功しました。中曽根首相は後に「解散は無理と思わせた。死んだふりをした」と表現したことから「死んだふり解散」という俗称がつきました。

郵政解散

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2005年に行われた衆議院解散の俗称です。当時の総理大臣だった小泉首相は悲願である郵政民営化の実現に邁進していました。しかし参議院で郵政民営化関連法案が否決され、法案は廃案となりました。かねてより郵政民営化関連法案が否決になれば、衆議院を解散すると言っていた小泉首相は言葉通り衆議院を解散しました。

まさか衆議院解散までするとは思っていなかった郵政民営化反対派はこれに驚き、実際に選挙が行われると小泉首相が送り込んだ刺客が反対派を退け、民営化推進派が勝利を収めました。これによって与党である自民党からも民営化反対派が追い出されることになりました。

今後はどんな解散があるのか

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ここでは歴代の衆議院解散について見てきました。政局は常に流動的で、いつなにが起こるかわかりません。現在でも憲法改正など政治に関する問題は山積みなので、また新しい衆議院解散が行われるはずです。

与党と野党の駆け引きによって衆議院解散の多くは行われますが、そのことによって国民の生活がよくなるような政策が実現するように、有権者である私たちは選挙によって最善の選択をしましょう。

衆議院と参議院の違いを役割から見極めよう

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ここまで国会の役割、衆議院と参議院の違い、二院制の必要性についてわかりやすく説明してきました。衆議院、参議院、それぞれに制度上で必要とされる役割がありました。国民の利益を最大限に引き出してくれるために両議院は日々活動しています。選挙に行かない人もいますが、今一度両議院の役割を理解して、ぜひ投票に行きましょう。

タカシ
ライター

タカシ

こんにちは。 タカシと申します。 今まで営業と人事を経験してきましたが、今後はライターとして活動していきたいと思っております。 また仕事と並行して小説も書いております。 よろしくお願いします。

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