収入印紙の消印(割印)の押し方とは?領収書・契約書での正しい位置を解説!

収入印紙の消印(割印)の押し方とは?領収書・契約書での正しい位置を解説!

収入印紙の消印(割印)の正しい意味と押し方を理解しているでしょうか?この記事では、それらは何故必要なのか?収入印紙の本来の意味から、消印の必要性までを詳しく解説しています。領収書や契約書作成に必須な収入印紙と消印について、正しい知識を身に付けましょう。

記事の目次

  1. 1.収入印紙の消印(割印)の押し方を知っていますか?
  2. 2.そもそも収入印紙とは?
  3. 3.消印ってなに?
  4. 4.消印の押し方
  5. 5.文書別の収入印紙を貼る位置と消印の押し方
  6. 6.収入印紙の消印は忘れずに正しく押そう!

収入印紙の消印(割印)の押し方を知っていますか?

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領収書や契約書を作成する際、収入印紙への消印(割印)の押し方を正確に理解していますか?普段の生活では、これらを使う機会が無いことから「消印の位置や押し方が分からない」、そんな方が多いのも事実です。

しかし、ビジネスシーンでは領収書や契約書の作成時の「必須となるスキル」のため、社会人として完璧に身に付けるべきものです。それによりステークホルダーからの信用も高まります。それでは、収入印紙の消印(割印)の法令や正しい作法について学んでまいりましょう。

そもそも収入印紙とは?

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そもそも収入印紙とは、何か?その目的は?どんな時に必要か?など疑問を感じる方は多いと思われます。収入印紙とは、領収書や契約書などの「課税文書」と呼ばれる帳票に貼付する印紙を指しています。

その目的は、先述の「課税文書」に当たる領収書や契約書に貼付し納税することです。収入印紙を貼付しなければならないケースは様々ですが、詳しいことは国税庁が示す「印紙税額一覧票」を参照すると良いでしょう。

収入印紙の入手方法は法務局や郵便局、またコンビニでも購入することが可能です。収入印紙の金額は領収書や契約書の金額によって決まっていますので、確認してから購入しましょう。

印紙税を納付する手段

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領収書や契約書など課税文書の作成者は、その課税文書に課される収入印紙を貼付する方法で、印紙税を納付しなくてはなりません。これは印紙税法の定めに基づくことで、つまり収入印紙貼付は、印紙税を納付する手段となります。

例えば、飲食店の領収書の場合は課税17号文書というものにあたります。この場合は、収入印紙を貼付し印紙税の納付を行います。収入印紙の金額は領収書の金額によって決まってきますが、5万円以上100万円以下の場合は200円となっています。

印紙税は消費税の増税にともない、平成26年4月1日以降に非課税範囲が広がるように改正されされています。「金銭又は有価証券の受取書に係る非課税範囲の拡大」、つまり領収書の受取金額の非課税範囲が、3万円未満から5万円未満へ拡大されました。

収入印紙を貼らないとどうなる?

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ビジネスの場面では、日々色々な領収書や契約書が生まれます。そのため、法令に従った正しい管理が必要ですが、万が一収入印紙を貼り忘れたらどうなるのか?それは印紙税の脱税となり、高額な罰金が課されます。

これは「過怠税」と呼ばれる追納税で、貼り忘れの他に「金額不足」にも適用されます。発生する過怠税は「納付しなかった印紙税額」+「その2倍に相当する金額」の合計額になります。つまり通常の3倍(金額不足は差額の3倍)の印紙税額になってしまいます。

また、税務調査の前までに貼り付け忘れを発見、そして自主申告をした場合は1.1倍に軽減されます。過怠税は会計処理上で経費へ参入することが出来なく損失に繋がります。このため、収入印紙の「貼り忘れ」や「金額不足」には十分な注意が必要です。

消印ってなに?

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消印とは何なのか?正しいい押し方や、その目的を詳しく解説します。消印とは、課税文書に収入印紙を貼り付けた時に、その収入印紙と下の課税文書にまたがって押す印のことを指しています。

この消印は領収書や契約書、そして手形などの課税文書の他、ハガキや封筒などの「切手」にも使用されます。収入印紙と切手の見た目は似ていますが、全く違うものです。収入印紙は印紙税の支払いを証明、切手は郵便料金の前払いを証明しています。

文書に貼った収入印紙に押す印

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消印は、印紙税法第8条第2項によって義務付けられています。文章や契約書、領収書などの課税文書に収入印紙を貼付した際、その収入印紙と文書にまたがって押す印のことです。

つまり、消印とは収入印紙を「消す」という意味があって、ハンコが印紙と文章に割れている割印とは違います。そのため収入印紙の消印は、印鑑で無く署名(サイン)でも消すことが出来るため、認められています。

消印を押す文書とは?

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印紙税を納付するため、収入印紙を貼付しなければならない文書のことを「課税文書」と呼び、併せて消印(割印)を押さねば無効となってしまいす。この課税文書はいくつかの種類があり、国税庁発行の課税物件表に第1号か第20号まで分類されています。

身近なものとして「不動産の売買契約書、土地賃貸借契約書、金銭消費貸借契約書」などの契約書は第1号。「工事請負、広告、会計監査、プロ野球選手や映画俳優などの専属契約書」などの契約書が第2号。「保険証券」は第10号。

領収書に代表される「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書等」は第17号に分類されています。詳しくは国税庁のホームページ「課税物件表」を参照するか、不明な場合は現物を税務署へ持参して確認しましょう。

消印を押す目的

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収入印紙と文章にまたがって消印(を押す目的は、もうお分かりの通り印紙税の納付です。契約書や領収書などの課税文書を作成した際に、定められた金額の収入印紙を文書に貼り付け、消印して印紙税の「納付完了」となります。

また、消印や割印の目的は「再利用の防止」も挙げられます。消印は収入印紙の再利用(脱税)を防止するために押され「印紙税法第8条2項」によって義務付けされていますので、確実に押すようにしましょう。

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消印の押し方

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消印の位置と押し方は?収入印紙や文書の押す場所はどこ?消印は税法で決まっている規定で、その目的は収入印紙の再利用を防止するためです。消印が不要であると、剥がして何度でもしようが可能になってしまいます。

消印の押し方や位置に特別な指定はありません。課税文書と収入印紙にまたがった押し方でOK。また、位置は見た目を考えて、収入印紙の右か左の中央付近に消印することが多いです。

収入印紙と文書に跨って判明に押印

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領収書や契約書など「印紙税の課税対象となる文書に印紙を張り付けた場合には、その文書と印紙の彩紋とにかけて判明に印紙を消さなければならない」と、印紙税法8条2項に明記されています。

つまり、偽造が難しい「彩紋」な収入印紙にかけて、はっきりと鮮やかな「判明」の消印を収入印紙と文書に跨った位置に押印する。それにより収入印紙の再使用を防ぎ、印紙税の納付完了の証とする。こんな風に理解すれば良いでしょう。

消印として使用できる印は?

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消印として使用できる印鑑は何か?国税庁ホームページ「収入印紙の消印の方法」によると、印鑑を使用する場合は、認め印や実印、他にも氏名や名称などが表示されている日付印、役職名や社名称などが表示されたゴム印(角印)などでも問題なく使用できます。

消印として使用できる印鑑は次の通り①認め印②実印③日付印(氏名、社名などが表示されている)④ゴム印(社判など、社名や役職名が表示されている)⑤シャチハタでもOK(ただし氏名、社名、役職名が表示されている)。

消印を押す際は誰が押したか、一見して分かるようにすることが重要です。また、消印は収入印紙が「使用済み」、そのことが分かれば良いので、必ずしも文章に使用した印鑑を使う必要はありません。

消印として使用できない印は?

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消印として使用できない印は、印章として認められないものとなります。印章とは通常印判と呼ばれる「印鑑」「判子」の他に、氏名、名称を表示した日付印、役職名、商号、屋号を表示したゴム印などを指しています。

具体的に消印として使用できない印は、単に「印」と表示したものを押したりした場合です。つまり「印章」に当たらない印は使用できないという事で、課税文章に「誰」が押した消印かわからない印が該当します。

消印の代わりにサイン(署名)や手書きでも良い?

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契約書や領収書などに収入印紙を貼り付け、消印をする目的は収入印紙が再利用されることを防ぐことと先述しました。この目的が達成されれば、印鑑や判子などの「印章」でなく「署名」でも消印と認められます。

署名は自筆による氏名の他、その表示は屋号、通称、商号などでも構いません。ただし、後で消すことが出来る鉛筆書きや斜線などでは消印した事にはなりません。ポイントは、油性ボールペンなどで「消すことが出来ない署名」をすることです。

文書別の収入印紙を貼る位置と消印の押し方

Photo byds_30

領収書や契約書など数ある課税文書、それぞれ収入印紙を貼る位置と消印の押し方に違いはあるのでしょうか?収入印紙を貼り消印を押す目的はどれも同じで、使用済みであることを示し、収入印紙の再使用を防ぐことです。

ここでは代表的な領収書と契約書、この2つの文書別の収入印紙を貼る位置と消印の押し方を解説します。併せて契約書に行う「割印」と消印の違いについても解説します。

契約書の場合

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契約書に記載される金額が、ある一定の金額以上になると課税対象となり印紙税の納付が必要です。そのため収入印紙を貼り、消印を行わなければなりません。印紙税額は国税庁のホームページ「印紙税額の一覧表」から確認できます。

契約する際「原本」と「控え」など同じ内容の契約書がある場合は、全ての契約書に収入印紙を貼り消印を行います。収入印紙の購入代金は折半し、双方で負担するのが一般的です。

収入印紙を貼る位置に厳密な規定はありませんが、収入印紙は「左上」に貼るのが一般的です。消印は契約書と収入印紙の模様部分にまたがって、中央にハッキリと押しましょう。印鑑は契約に使用したハンコでなくても良く、署名でもOKです。

契約書の消印と割印の違い

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日本は印鑑社会で、押印により契約を始め様々な「事柄」が成立しています。そのため消印や割印の他に、印鑑を押す(押印)の呼び方(名称)も多数あります。これらの意味を正しく知っておけば、ビジネスでも役立つ場面が多い事でしょう。

そこで、契約書に印鑑を押す「消印」と「割印」の違いと、正しい意味を理解しましょう。繰り返しになりますが、収入印紙を貼った後、その印紙の再使用を防ぐため文章と印紙の彩文(図柄)に跨って押すのが消印です。

一方、割印の正しい意味は、内容の改ざんや欠落を防ぐために押す印のことで、全ての書面に「同一性」や「共通性」を持たせるのが目的です。書面が複数枚にわたる場合は、各ページにかけて押します。また袋綴じにすれば、裏面の背表紙部分の1ヵ所に割印するだけでOKです。

領収書の場合

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領収書では、記載された受け取り金額が5万円以上の場合、収入印紙を貼り消印が必要となります。領収書に貼る収入印紙の消印、その位置は特に指定はありません。しかし、変なところに押すと見栄えが悪いこともあり、収入印紙の右下あたりが一般的です。

ここで疑問になるのが、5万円以上とは税込み金額?又は税引き金額?です。原則は消費税込みの金額となります。ただし領収書に消費税額が別途明記されていて、税引き金額が5万円以下なら収入印紙を貼り付ける必要はありません。

押し方で注意するところは、領収書と収入印紙の模様部分に跨ってハッキリと押すことです。印鑑は代表者でなくとも作成者、代理人、そして従業者の印鑑であれば誰のものでも問題ありません。また、同じ位置への署名でも消印として認められます。

消印を押し忘れるとどうなる?

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収入印紙を貼り忘れた場合は、故意か過失かにかかわらず、正規印紙税額の3倍の過怠税が課されると説明しました。収入印紙が正しく貼られていてるが、消印を忘れた場合も同じ扱いとなるので注意が必要です。

つまり、消印を押さなかった場合、収入印紙の未貼付と同様に刑罰の対象となり、文章に貼った収入印紙と同額の過怠税が徴収されます。加えて過怠税は、法人税の損金や所得税の必要経費には算入できませんので注意しましょう。

印紙税の推移と今後

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印紙税は買うものにかかる消費税、儲けたお金に掛かる所得税や法人税と比べて、税金として徴収される理由が分かりづらい税目と不評です。しかし、印紙収入の決算税額は、なんと1兆700億円なり。課税の不合理感と大きな負担のため、経済界から改正要望が尽きないのも頷けます。

某メガバンクが「紙の通帳をやめれば1000円キャシュバック」というキャンペーンを展開し話題に、地銀などで追従する動きが出始めています。インターネットが普及し金融機関の事務負担を軽減するための工夫ですが、最大のメリットと本音は印紙税の節約です。

国外で課税文書が作成されれば非課税、課税文書でもFAXや電子契約でやり取りすれば非課税とされています。法令が施行された時代には想定できなかったのでしょう。将来は改正論や廃止論がますます盛んになる予想で、経済界からの関心が高まっています。

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収入印紙の消印は忘れずに正しく押そう!

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経済活動(ビジネス)の結果で生まれる取引、そこには利益が発生することから課税対象になっています。そのため、取引の結果作成される文書は印紙税がかかり、文書の内容や金額などにより印紙税額はかわってきます。

正しい金額の収入印紙を、剥がれることのないようしっかりと貼り付け、後は、文章と収入印紙に跨ってしっかり消印を押す。収入印紙の貼り方と消印の押し方を、しっかりマスターしてビジネスシーンでスマートに使いこなしましょう。

ノビー
ライター

ノビー

定年退職後フリーのライターを選択、現在に至ります。生活の知恵/不動産関連/金融、各種契約仕様/車/ゴルフなどが得意なジャンルです。日々精進を心掛けています。

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