「玉串料」の意味とは
まず「玉串料」とは一体なんなのでしょうか?この「玉串料」と言う言葉を聞いたことがない、と言う方も少なくないかもしれません。
今回は様々な種類がある「のし袋」の中でも、知っておきたい大人のマナーとも言える「玉串料」について見て行きましょう!
「玉串」とは
まず「玉串料」の「玉串」とは一体なんなのでしょうか?現代の生活ではほとんど耳にする機会はないかもしれない「玉串」は、実は神社で主に目にする物なのです。
神社では、多くの方が様々な種類の神事を行いますが、その際に神職やその神事へ参列する方達が祭壇に供物を捧げます。
今回ご紹介する「玉串料」の「玉串」は、その供え物の種類の一つで、榊の枝に紙で作られた飾りが施されているものを指します。その紙の飾りものは、紙垂や木綿と呼ばれています。
「玉串料」の読み方
このあまり聞きなれない「玉串料」という言葉の読み方ですが、意外にも簡単で「玉串料」と書いてそのまま「たまぐしりょう」と読みます。
見慣れない言葉だと難しい読み方なのでは?と感じてしまうこともありますが、「玉串料」の読み方は非常にシンプルです。一度覚えてしまえば間違うこともないでしょう。
「玉串料」の由来
では続いて「玉串料」の由来についてご紹介いたします。現在は「玉串料」として「のし袋」にお金を入れて渡すシステムが普通ですが、昔は違いました。
その昔は神事の際に必要な供物や玉串を、依頼する者が全て用意する必要がありました。しかし、時代の移り変わりとともに必要な物を一般の人が用意するのが難しくなってしまったのです。
そうして現在では「玉串料」を支払い、全て神事に関わる玉串や供物を神社が用意してくれるようになったのですが、その際にかかる費用として神社へ納めるということで「玉串料」と呼ばれるようになったそうです。
「玉串料」と「初穂料」の違い
神社へ納める際に使用する「のし袋」の種類で、「玉串料」の他に「初穂料」という言葉を聞いたことはありませんか?こちらも神社へお供えする料金です。
では、その「初穂料」と「玉串料」は一体何が違うのでしょうか?いざという時に間違ってしまわないように、「初穂料」と「玉串料」の違いをよく理解しておきましょう!
「初穂料」の意味
では神社への供物の種類の一つである「初穂料」についてご紹介いたします。「初穂料」の「初穂」は、(はつほ)と読みます。したがって「初穂料」は(はつほりょう)です。
昔から人々は農作物や酪農、漁業に関わらず、初めて収穫した物を神様に奉納するという習慣がありました。そしてそれらは「初物」と呼ばれ、その中でもお米の初物は「初穂」と呼ばれていました。
その年のはじめに収穫されたお米は「初穂」と呼ばれ、現在の「初穂料」の由来となっています。そして収穫された「初穂」は、お米が収穫できた、豊作に実ったという気持ちを神様に感謝するという意味で行われます。
そして現在は各地で豊作と収穫を神様に感謝する神事が行われていますが、こちらも「玉串料」と同じく、やはり「初穂」と呼ばれる初物のお米を一般の人たちが用意するのは難しくなってしまいました。
そのため、初穂の代わりに「初穂料」という形で神社に奉納して、神様にお供えするようになったのです。時代の流れとともに、神社の神事も「玉串料」や「初穂料」のように時代に合わせて変化しているのです。
また、こちらの「初穂料」は、神社でお守りやお札を購入する際にも使われる言葉ですが、お守りやお札を購入する際に「玉串料」は使用できませんので注意しましょう。
「玉串料」ののし袋の種類
では、続いては「玉串料」を納める際に使用する「のし袋」についてご紹介いたします。のし袋には様々な使用があるので「玉串料」を渡す際に、どれを使用するのがいいかわからない方も多いでしょう。
実は「玉串料」というのは、葬儀などの弔事と、神社で祈祷やお祓いなどをしてもらう際の慶事の両方で使用されるのです。
慶事用ののし袋
ではまずはじめに、神社で祝詞をしていただいたり、祈祷やお祓いをしていただく際に納める「慶事用の玉串料」に使用するのし袋の種類をご紹介いたします。
同じ「玉串料」であっても、慶事の際に使用する「玉串料」ののし袋と、葬儀などの弔事の際に使用する「玉串料」ののし袋では種類が違いますので注意してください。
白赤の蝶結びが一般的
慶事で使用される「玉串料」の場合に使用されるのし袋は白赤の水引が使用されている蝶結びの物を選ぶのが一般的と言われています。
また、白赤の蝶結びののし袋の他に、「玉串料」の場合は水引のついていない白い封筒で代用してもいいと言われています。そして同じ慶事であっても、結婚式の時に使用される「結び切り」と言われる水引とは違いますので、注意が必要です。
弔事用ののし袋
続いては、葬儀などの弔事で使用される「玉串料」ののし袋についてご紹介いたします。もちろんですが、同じ「玉串料」でも弔事と慶事では使用される種類が全く違いますので注意が必要です。
では、葬儀などの弔事の際には、一体どのようなのし袋で「玉串料」を用意したらいいのかを見て行きましょう!
水引の色
まず、「玉串料」を渡す際に行われる葬儀が神事であるという確証がある場合は、水引が双白、もしくは双銀の弔事用ののし袋を用意しましょう。
しかし、葬儀が神事なのかそうではないのかあまり自信がなく確証がない、という場合は、水引が白黒の弔事用の「玉串料」のし袋を用意するのが無難です。
水引の結び方
続いて、葬儀などの弔事で使用する「玉串料」ののし袋の水引の結び方についてご紹介いたします。「玉串料」ののし袋を探しに行くと、様々な種類のデザインが店頭に並んでいて、悩んでしまうかもしれません。
しかし、葬儀など弔事の際に使用される「玉串料」ののし袋の水引は、簡単に結び目が取れない結び方「結び切り」や「あわじ結び」などが良いとされています。これは、葬儀などの不幸な出来事が何度も繰り返されない、という意味を持ちます。
この「結び切り」や「あわじ結び」という水引の結び方は、結婚祝いなどにも使用される結び方です。弔事と慶事の「玉串料」の目的は全く違いますが、理由は同じようなもので結び目が簡単に解けないという理由から結婚祝いにも使用されます。
弔事用ののし袋の注意点
葬儀などの弔事の際に使用される「玉串料」ののし袋には、もう一つ大切な注意点があります。それは、キリスト教、仏教など宗教に関わる物です。
のし袋を選ぶ際にハスの花の絵が描いてあるものは仏教用、百合の花が描かれているものはキリスト教用ののし袋となっています。
そのためそれらを神事の「玉串料」として使用することはマナー違反となりますので、神事での葬儀の際には、必ずそれらを避けて使用するようにしてください。
そして、宗教的な注意点の他にも、「玉串料」として中に入れる金額によってものし袋の選び方が変わりますので注意が必要です。
金額が3千円程度の「玉串料」であれば、印刷多当と呼ばれる簡易的な使用の「水引も含めてすべて印刷」されたタイプを選びます。
また5千円程度の「玉串料」は封筒に多少装飾がされていて水引が印刷されている物、1万円から3万円の「玉串料」の場合は7~10本束の水引がついている白無地の封筒、そして3万円から5万円の「玉串料」の場合は、これらよりも一回り大きい封筒で、水引も10本以上あるものを選びます。
「玉串料」ののし袋の書き方
では続いて、のし袋の選び方に続き、「玉串料」を納める際ののし袋への書き方をご紹介いたします。のし袋には様々な種類の書き方があります。
個人の場合の書き方、連盟での書き方、そして表書きや中袋など、大人として知っておいた方が良いマナーをご紹介いたしますのでご覧ください。
慶事用ののし袋の表書きの書き方
慶事の際ののし袋の表書きの書き方には、様々な種類がありますが、一般的によく使われるのが「御初穂料」「御玉串料」「御礼」「御神饌料」です。
そしてこれらの書き方ですが、水引よりも上の部分、上段に書きます。水引より下の部分には、祈祷やお祓いを受ける人の名前を記入してください。
弔事用ののし袋の表書きの書き方
続いて、葬儀などの弔事の際ののし袋の書き方をご紹介いたします。まずのし袋の表の書き方ですが、一般的に「御玉串料」「御神前」「御榊料」「御霊前」などが使用されます。
こちらは神式の葬儀の際に利用され、葬儀に参列する人が持参する香典の書き方となります。また、葬儀の後に謝礼を神職に渡す場合の書き方は「御玉串料」「御神饌料」「御礼」などが使用されます。
連名の場合の書き方
これらののし袋を個人で渡す場合は書き方に悩むことは余りありませんが、これが連盟で渡す場合には少し書き方に注意が必要となります。
もしも家族で出す場合には、代表名をフルネームで記載して、3名程度であればその他の2名は名前のみを代表者の左側に記載します。
3名以内の有志連名で出す場合には、それぞれのフルネームを書き、一番年配の方が真ん中に来るように書きます。
また、4名以上で出す場合は、代表者一名の名前をフルネームで記載して、他は「外何名」と代表者を抜いた人数を左側に書いてください。
そしてお金を出し合った人たちの名前や住所などのリストを他の紙に記入して中袋に入れるのが一般的な書き方です。
もしそれが何らかのグループである場合は、のしの中央にグループ名を書きます。また、会社で出す場合は、右側に会社名を、真ん中に代表者の名前を記載します。
のし袋の中袋の書き方
続いて、のし袋の中に入っている「中袋」の書き方についてもご紹介いたします。この中袋は、のし袋の種類によっては付いていないものもあります。
もしも購入したのし袋に中袋も付いていたとしたら、ぜひこちらの書き方もチェックしておくのがおすすめです。
中袋表
もしも購入したのし袋に中袋が付いている場合は、中袋の表に、のし袋に入れた金額を大きく縦書きで記入します。
そしてその際に使用する文字は、普段使っている「一万円」のような漢数字ではなく、「金壱萬圓也」と言った、難しい漢数字を使用します。
こちらの理由は、後から何者かに金額を書き足されてしまわないようにという理由があるそうです。一万円と記入したのに誰がに線を足されて三万円にされてしまう、という具合です。
中袋裏
続いては、中袋の裏面の書き方についてご紹介いたします。中袋の表面に金額を記入し、裏面には、左下側に縦書きで住所と氏名を記入します。
もしも中袋がついていないのし袋の場合は、のし袋本体の裏側に金額や住所、氏名を記入する欄がありますので、それに従って書いてください。
のし袋へのお札の入れ方
続いては、こちらものし袋にまつわる重要なマナーの一つ「のし袋のお札の入れ方」です。のし袋の選び方と同様に、お金の入れ方にも慶事と弔事では違いますので注意が必要です。
まず結婚式などの際に使用するお金は、新札を用意するのがマナーです。同じ慶事であっても七五三などの行事の時には、比較的綺麗なお札であればそこまで気にする必要はありません。
それとは逆に弔事の際に新札を使用するのはタブーです。使い古したお札が良いでしょう。そして入れる向きですが、弔事の際は顔が中袋の裏面下側に来るように、慶事はその逆で、表面上側に顔が来るように入れてください。
「玉串料」の金額の相場
続いては、「玉串料」を用意する際の気になる金額をご紹介いたします。これは神事の種類、葬儀する側と参列者の間柄、そして年齢などにもより金額が前後します。
一般的には3千円から10万円となっています。では、どのような神事の場合に、どれぐらいの金額を包むのが一般的なのかを見て行きましょう。
葬儀の金額相場
まずは、葬儀を行う側が神社に支払う「玉串料」の金額ですが、こちらは10万円から30万円と言われています。そのため、参列する側が遺族に少しの足しにしてもらうのです。
そして参列者の年齢、神事を行う方との間柄にもよりますが、一般的に葬儀の場合は3千円から10万円を包むことが多いようです。
二十代の方は3千円から10万円、三十代は5千円から10万円、そして四十代以上は7千円から10万円が一般的です。
続いては、間柄別で金額をご紹介します。まずは両親の場合は3万円から10万円、兄弟の場合は3万円から5万円、祖父母の場合は1万円から5万円となっています。
そして親族以外の知り合い、会社関係、ご友人などの場合は5千円から1万円となっていますが、こちらももちろん親しい間柄であれば遺族の方が恐縮してしまわない程度の金額を包んでも問題ありません。
その他行事の金額相場
続いては、「玉串料」を渡す際の、葬儀以外の行事についてご紹介いたします。まず七五三、お宮参り、お祓い、お見舞いの場合は5千円から1万円が相場です。
そして新車を購入したり、工事を始める際の祈願の場合は2万円から3万円、結婚式の場合は5万円から10万円が相場と言われています。
「玉串料」の意味・のし袋の種類や書き方を覚えておこう!
大人になると子供の頃には必要なかった様々なマナーを身につけなければいけなくなりますが、その中でも冠婚葬祭などにまつわるマナーは必須となってきます。中でも葬儀などの不幸は突然として訪れるものです。急な出来事に焦らないように、事前に学んでおくのがおすすめです!