家族構成を記入する必要性とは
普段、普通に生活している時、家族構成を意識する機会は少ないかもしれません。そんな家族構成を意識する機会となるのは、社会生活をしている時です。年末調整や就職のための履歴書などで、家族構成を書く欄が出てきます。
公的な書類に家族構成を書いて提出する時に、家族構成を改めて考えることになるでしょう。そもそも家族とは何なのでしょうか?
一般的に家族というのは、同じ家に住んでいる、夫婦、子供、祖父母といった存在になります。血のつながった兄弟であっても、家を出て生計を別にしている場合も家族なのでしょうか?家族の定義とは何か、例を挙げてみましょう、まず民法では家族の定義はありません。
しかし、親族という名称で家族の範囲を定義しています。民法による家族とは、本人の曾孫の孫の子供や自分の甥・姪の子供、本人のいとこの孫など6親等以内の血族と、本人の配偶者の兄弟姉妹、配偶者の叔父・叔母など3親等内の婚族を言います。
民法以外の例も見てみましょう。本人が現在働いている会社が倒産したり、会社を辞めて職を失った時に受け取れる失業保険の給付を定めている雇用保険法に家族の定義があります。それによると家族は配偶者、父母、子供、配偶者の父母になります。
また、輸入税や関税制度について定めた法律である関税定率法による家族の定義は、配偶者、父母、祖父母など本人より前の世代の直径尊属、子供、孫など本人より後の世代になる直系卑属などの親族の範囲であると定められています。
続柄から身元をしっかり証明するため
どうして家族構成を書く必要があるのでしょうか?家族構成とはどんな続柄の親族が、何人いるのかを示したものです。続柄とは血縁関係、婚姻関係、親族関係のことを言います。続柄の近親者の確認は、質的構成と言われます。
これは核家族世帯、単独世帯、直系家族世帯、その他の親族世帯、非親族世帯に分類されます。本人が書類を書いている時点で、誰と一緒に暮らしているのかが家族構成です。「何人いるのか」という箇所は質的構成と言います。
つまり何人住んでいるのかという意味です。家族構成とはどういうものかというと、本人が何人の人と一緒に住んでいて、誰と住んでいるのかを表したものです。履歴書に配偶者の有無、扶養人数を書く欄がありますが、これも家族構成です。
年末調整の書類には家族構成を記入しますが、税金の計算をする上で、扶養家族を把握するためのものです。子供の学校関連の書類にも家族構成を書く欄があります。また、クレジットカードの申し込みでも、配偶者や扶養人数を書く欄があります。
家族構成の書き方
あなたの身元証明のために家族構成を記載し、書類を提出するケースは多いことでしょう。ところで家族構成の書き方について考えたことがありますか?家族構成の書き方には、一定のルールがあります。
しかし書き方を学校や役所、会社では教えてくれません。家族構成の書き方について、しっかりルールを押さえ、覚えていきましょう。家族構成の書き方の基本はまず、その世帯の世帯主を記入します。その次に、世帯の中にいる年齢の高い人から順に書く書き方をします。
最後に家族構成のそれぞれの人物に、本人から見た続柄の記入をします。これが家族構成の書き方です。世帯とは何でしょう?簡単に言ってしまえば、一緒に暮らす人々のことを指します。
続柄とは例として、両親であれば「父」「母」、兄弟でしたら「兄」「姉」「弟」「妹」、祖父母は「祖父」「祖母」といった書き方をします。自分の欄にも続柄の記入欄がある場合「本人」と記入します。次にその他の例で、家族構成の書き方を見ていきましょう。
本人
家族構成を書く時、本人のことはどういう書き方をすればいいのでしょうか?基本ルールとして、家族構成欄には、本人を記入しないようにしましょう。それは別枠で自分を記入する欄があるからです。記入内容の重複は好ましくありません。
したがって、家族構成は同居している家族のうち、本人1人を除いた人たちを記入する書き方をします。例として「父、母、姉、自分、弟」が同居しているとします。この場合は「父」「母」「姉」「弟」と4人を記入しましょう。
たいていの書類は、家族構成欄の別枠に、本人記入欄があります。ただ、書類によっては家族構成欄内に本人を含めて記入する場合もあるので注意が必要です。家族構成を書く前に、書類の内容をきちんと確認するようにしましょう。
親や兄弟
家族構成の書き方の基本は、まず「世帯主」を最初に記入します。次に年齢順に記入する書き方をしていきます。この場合、世帯主に年齢は関係ありません。例として父より母の方が若く、しかし収入が高い場合を例に取ると、世帯主は「母」となります。
父も母も退職しており、本人が一家の家計を支えている例なら、世帯主は本人となります。家族構成で兄弟を記入する場合も、男女の差はなく、年齢順で記入する書き方をしましょう。男兄弟をまとめて記入、女姉妹をまとめて記入といった書き方をしてはいけません。
自分より年上の兄弟は全て「兄」「姉」になります。年下の兄弟は全て「弟」「妹」になります。例として兄が2人いるから「兄①」「兄②」といった書き方をしてはいけません。全ての兄を「兄」と統一した書き方をしましょう。
配偶者とその家族
次に配偶者とその家族について見ていきましょう。配偶者の続柄の書き方は「夫」「妻」になります。「旦那」「嫁」といった書き方は正式名称ではありません。
「旦那」「嫁」は呼び方です。呼び方と正式名称をごちゃまぜにしないように、家族構成を記入した時には気を付けましょう。次に同居する子供について見ていきましょう。子供は数に関係なく「子」という書き方をします。
「長男」「二女」といった書き方をする必要はありません。子だくさんの場合、双子や三つ子といった特殊な家族構成であっても、全員を「子」として統一しましょう。
祖父母や親戚
祖父母や親戚も、同居して生計を一緒にしている場合は、家族構成に含まれます。この場合も家族構成の書き方は変わりません。「世帯主」を記入してから、年齢順に記入する書き方をしていきましょう。
次に家族構成の記入順です。これは年齢順でありかつ、世帯主の家族からまとめて記入していくという書き方です。例として祖父、祖母、父、母、自分で暮らしており、世帯主が父だとします。そうなると記入順は「父、母、自分、祖父、祖母」の順になります。
職業
書類によっては家族構成欄に、職業の記入をする場合があることでしょう。職業は「会社員」「自営業」「公務員」「主婦」といった書き方で問題ありません。職に就いていない人は「無職」と記入しましょう。
会社名は、書類で指定されない限り、伏せたほうが良いとされています。また、職業欄は必須というわけではありません。無記入というのも1つの手です。
個人情報漏洩の恐れがあるので、職業欄を無記入でも問題ない場合が多いと言えるでしょう。もし気になる場合は、提出先に尋ねてみましょう。
家族構成の続柄の書き方例
家族構成の続柄の書き方には、いろいろと注意が必要です。普段は「お父さん」「お母さん」「おじさん」「おばさん」と何気なく呼んでいることでしょう。しかし家族構成を書く時は、呼称で書いてはいけません。提出する書類の家族構成を書く時は、正しい続柄で書く必要があります。ここでは具体的な例を見ていきましょう。
自分から見た相手の立場
家族構成の続柄を書く時は、本人から見た相手の立場を書きましょう。あなたにとって父親なら「父」、母親なら「母」、弟なら「弟」、妹なら「妹」です。親戚の場合を例に見ていきましょう。
両親の兄弟を同居している場合は、なにげなく「おじさん」「おばさん」と呼んでいるでしょう。しかしそのおじさん、おばさんが、両親より年上か年下かによって、続柄は変わります。両親の兄、姉の場合は「伯父」「伯母」と記入しましょう。
両親の弟、妹の場合は「叔父」「叔母」と記入しましょう。漢字は違いますが、読みはどちらも「おじ」「おば」です。両親の兄弟の子供と同居していたら、家族構成に書きましょう。子供が男の子なら「甥」、女の子なら「姪」と書きます。
同居しているお姑さんは義母
次に両親の親について、例を見ていきましょう。祖父母、親戚を家族構成に記入する時、「父方」「母方」といった記入はしません。年齢順に「祖父」「祖母」と記入していきましょう。
また、本人が結婚している場合、お姑さんと同居している例もあることでしょう。お姑さんは家族構成の続柄では「義母」と書きましょう。お姑さんの正式な続柄は「夫の母」です。しかし「義母」と記入したら関係がはっきり理解できる例がほとんどです。
不安に感じる場合は「夫の母」と記入してもかまいません。しかし、たいていの場合は「義母」と書く例が多いようです。同じ例で舅さんの場合は「義父」となります。不安な場合は「夫の父」と書きましょう。
義理の子供は「子」
子供の続柄は「子」と書きます。養子の場合や、再婚して連れ子ができた場合など、血縁関係にない子供であっても、「子」という書き方をしましょう。戸籍謄本では、本人と養子縁組した義理の子供の続柄は「養子」です。
養子縁組をしない子供の続柄は、親子関係が発生しません。そのため「長男」「二男」といった書き方をします。しかしこれは戸籍謄本の話です。家族構成の記入を求められる書類には、血縁関係があるなしに関係なく、続柄は「子」と書くようにしましょう。
しかしかつては、戸籍謄本以外の書類の場合でも、「長男」「二男」「長女」「二女」といった記載がなされていた例がありました。しかし個人情報の保護やプライバシーの観点から、そうした詳細な続柄の書き方はなくなりました。
養子であっても、子供は全て「子」です。ただし例外もあります。婿養子の場合、養子縁組をしていれば「子」になりますが、養子縁組をしていなければ「子の夫」と書きます。
家族構成はどこまで書く?
家族構成とは、あなたの個人情報、プライバシーの部類の1つでもあります。家族構成を書くことで、家の中の状況がかなり明らかになってしまいます。たとえば、親戚の中にあまり褒められたことをしていない、問題児的な人がいたとします。
そうした人との続柄は書きたくないという本音も出てくるのではないでしょうか?家族構成を書く時、どこまで書けばいいのでしょうか?家族構成の書く範囲と言うのは、なぜその書類を提出するのかという根本的問題にかかわってきます。
一緒に住んでいる家族を記入
初めて家族構成の欄を書く人は、どの範囲までの家族構成を書いたらよいのか、悩んでしまうのではないでしょうか?そもそもなぜ、家族構成を書く必要があるのでしょうか?書類の提出相手は、あなたが誰と同居しているかを知りたがっています。
したがって、同居している家族を書けばよいということになります。血縁関係にあっても、遠く離れて暮らしているのなら、祖父母のことは書かなくても問題はありません。
血のつながった兄弟であっても、結婚して実家を出ている場合は、書かないで問題ありません。
ただし、書類の提出先が、結婚して同居していない兄弟姉妹の名前も書くようにと指示してきた場合は、結婚後の名字で名前を書いて、続柄を記入しましょう。提出先がどんな家族構成の資料を求めているのかを確認しておきましょう。
家族構成の名前を書く順番
同居している家族が大人数の場合、家族構成の欄に名前を書く順番について悩むのではないでしょうか?たとえば、祖父母、両親と暮らしていて、同居している兄弟に子供がいたとします。この場合、家族でいちばん重要な人物を最初に書くべきと考えるかもしれません。
その場合、いちばん年長であるあなたの祖父が、いちばん家族の中で発言権があったとしたら、祖父を最初に書かなくてはならないと考えるかもしれません。そうなると、祖母の立場はどうなるでしょうか?
祖父の妻ですから、2番目に書くのかと悩むかもしれません。それとも成人して仕事のある父親を2番目に書くべきでしょうか?このように、家族内の力関係を素直に書こうとしてしまうと、混乱してしまうでしょう。
家族の世帯主が一番上
家族構成の名前を書く順番の1人目は、その家族の世帯主です。それ以降は、年齢順に書いていきましょう。例えば、本人に配偶者がいないで、両親と同居している場合は、父親の名前を1番目に書きましょう。その次に母親、次に兄弟となります。
もし本人が結婚して親と同居している場合でも、世帯主が父親であれば、父親の名前を1番目に書きましょう。本人が世帯主で、配偶者と子供と暮らしている場合は、世帯主は省略して、配偶者を1番目に書きましょう。
その次に子供の名前を書いていきます。両親と同居していて、本人が世帯主な場合も、世帯主は外すので、歳のもっとも上のほうの親から書いていきましょう。
家族構成を書く際の注意点
書類に家族構成を書いて提出するというのは、簡単なようですが、いろいろと注意をしなければならない問題もあるでしょう。たとえば単純な核家族で、本人が世帯主でない場合は「父」「母」「本人」と書くといいでしょう。
また同じ核家族でも、本人が世帯主の場合は、本人を除いて「妻」「子」と書けば問題ないでしょう。しかし人にはそれぞれ異なる背景があります。家族の背景もそれぞれです。家族構成の書き方の注意点というのはどんなものなのでしょうか?
一人暮らしの場合
家族構成を記入する上での注意点の1つ目は、一人暮らしの場合です。家族構成とは、同居している人、生活を共にしている人をを指します。要するに、住民票の住所が同じ人を家族構成欄に書くことになります。一人暮らしの場合は同居している人がいません。
そのため家族構成は本人1人のみになります。結果として、世帯主も本人になります。もし家族構成欄とは別に世帯主欄がある場合は、世帯主欄に本人の名前を記入することになるので、家族構成欄は空欄になります。
世帯主欄と家族構成欄が1つになっている場合は、本人1人の名前を書いて完成となります。ただし、学生で一人暮らしの場合は状況が少し違います。住民票が実家のままになっているケースが多いでしょう。
その場合、住民票先の実家の家族構成を記入しましょう。居住先が1人というだけであって、生計も戸籍上の住所も実家にあるので、実家の家族構成を記入しましょう。
別居の場合
家族構成を記入する上での注意点の2つ目は、別居の場合どうするかという問題です。単身赴任や、家族の話し合いの結果、その他さまざまな問題から、本人が家族と別居している場合もあるでしょう。
家族内で別々に暮らしている場合、家族構成欄にはどのように記入すればいいのでしょうか?学生の一人暮らしの項でも述べたように、家族構成は住民票を移しているかどうかで大きく変わってきます。
居住先が離れていても、住民票を移していなければ、同じ住所ということになります。その結果、世帯は同じとみなされ、家族構成の欄に記入する必要があります。別居することで家族構成の書き方の順序が変わることもありません。
世帯主が別居して離れて暮らしていても、最初に世帯主を記入し、次に家族を年齢順に記入していきます。
兄弟が結婚している場合
家族構成を記入する上での注意点の3つ目は、兄弟が結婚している場合どうなるかという点です。日本では結婚すると戸籍が変わります。その結果、家族構成にも影響が出てきます。結婚をして実家の戸籍を抜けると、結婚先での新しい戸籍になり、別世帯になります。
逆に、本人の戸籍に配偶者が入ってきた場合、これまでの家族構成に配偶者が加わります。本人の兄弟の配偶者は、本人にとっては血のつながらない兄弟になります。この場合、血のつながった兄弟と区別するため、「義姉」「義弟」といった記入方法にしましょう。
家族構成の記入順は、世帯主に合わせます。結婚によって、新たな世帯の世帯主に誰がなっているのかをしっかり確認しましょう。
兄弟家族の子供も一緒に住んでいる場合
家族構成を記入する上での注意点の4つ目は、兄弟家族が子供と一緒に住んでいる場合です。結婚したからといって、別世帯になるとは限りません。本人の兄弟姉妹が結婚をして、家族を持ったとします。
そこに子供が生まれます。そういった、家族を持った兄弟姉妹が世帯を変えずに、住み続けることもあります。本人が兄弟姉妹の家族が同居しており、生計が同じ場合は、家族構成には甥や姪も含まれます。
この場合に注意しなければならないのは、誰がその家の世帯主であるのかをしっかり確認することです。それに合わせて、順番に家族構成を記入していきましょう。
結婚後も同居で世帯主が親の場合
家族構成を記入する上での注意点の5つ目は、結婚後も同居で世帯主が親の場合どうなるかということです。この場合も、家族構成での記入順序が少し変わってきます。世帯主に合わせた記入順になるという理由からです。
まず、世帯主の父親を記入します。次に年齢順に家族を記入していきますが、気を付けるべきことは、最初の世帯主の家族をまとめて書いてから、結婚した兄弟の家族をまとめて記入していきます。
例として、「父、母、兄、義姉、本人」という家族だったとします。この時の順序は「父」「母」「本人」「兄」「義姉」という順序になります。
結婚後も同居で世帯主が長男の場合
家族構成を記入する上での注意点の6つ目は、結婚後も同居していて世帯主が長男の場合どうするかという問題です。この場合も、世帯主に合わせた順序で記入することが前提なのは変わりありません。
先述の例と同じ「父、母、兄、義姉、本人」と言った家族構成で、世帯主が兄という場合は、兄が1番目になります。その後に世帯主の家族が来て、次に世帯主でない家族が続く形になります。そのため「兄」「義姉」「父」「母」「本人」といった記入順になります。
家族構成はシンプルに一緒に住む家族を書こう!
履歴書などの書類に家族構成を書く場合、知っておくことがいくつかありました。家族それぞれの正式な名称を書くだけでなく、あなたが世帯主であるかないかも重要です。
世帯主を1番目に書くことを頭に入れて、一緒に暮らしている家族の中でどのような家族構成になっているのかを見ていきましょう。基本はシンプルに、一緒に住んでいる人だけを書いていきましょう。